長尾たかしの・・・未来へのメッセージ

自民党衆議院議員長尾たかしのブログ。平成11年からネット上で情報発信を継続。サラリーマン生活を経て政界へ。

硫黄島軍事訓練の視察

2016-09-02 14:57:22 | 安全保障


去る8月26日に、硫黄島へ行ってきました。 米国海軍日本管区司令官、マーシューJ・カーター氏からのお招きで、国会議員は私の他4名で、防衛省と外務省職員、在日米国大使館職員など。日米合同で厚木海軍飛行場からの硫黄島における陸上空母着陸訓練の視察でした。

陸上空母着陸訓練、通称はFCLP(Field Carrier Landing Practice)。 陸上滑走路を空母の飛行甲板に見立ててタッチ・アンド・ゴーを繰り返す訓練を視察しました。 滑走路が300m程度しかない空母への着艦は高い技術を必要とするばかりでなく、更にパイロットは昼夜問わず出撃できる体制を整えていなければなりません。 よって、夜間の着陸訓練も義務付けられています。 夜間訓練をNLP(Night Landing Practice)といい、闇の中に浮かぶ空母の短い滑走路のライトのみを頼りに着艦できる技術を身につけるのです。

その資格維持の為のプログラムは厳格で、前回の着艦から10日以上を空けることなどが許されていない。 任務の過程で資格更新の必要性が生じたパイロットは必ずこの軍練を受けなければならないのです。

FCLPが可能な施設は米国内に存在しています。 しかし、在日海軍の場合、資格更新の度に米国本土に戻るとなると様々な負担が生じてきます。 よって、日本国内周辺での飛行場を使った環境が必要ということで、硫黄島が使われているのです。

今回の視察が日米で行われた最大の目的は、訓練場所を硫黄島から馬毛島(鹿児島県)に移したいという米国のメッセージを共有することにありました。

日本を中心とする極東アジアの安全保障環境は非常に混沌としています。 我が国は、北朝鮮、中国、ロシアからの軍事的危機にいつも晒されています。 自衛隊と在日米軍の連携、つまりは日米同盟が存在するからこそ、ギリギリ平和を維持することが出来ているのです。 日本も米国も海の護りが最大懸案、特に日本は米国以上の海洋国家ですから、海上自衛隊や海上保安庁を有していても、空母を持たぬ日本が、海の護りを米国空母に頼らざるを得ぬことは容易に理解することができます。 その為の、硫黄島におけるFCLP、NLPなのです。

硫黄島訓練の際使用されるのは、厚木基地(神奈川県)の第5空母航空団、横須賀を事実上の母校とする空母ロナルド・レーガン搭載の艦載機スーパーホーネットです。 ところが、航空団が米軍再編により岩国(山口県)へ移転することが決まっているのです。

1991年のソ連崩壊による冷戦終結、米国同時多発テロの後、安全保障環境の変化や大量破壊兵器等の軍事技術の進歩に呼応して、冷戦型の米軍配置を世界的に見直すことになりました。 テロや大量破壊兵器の温床として米国が特に警戒する東シナ海・北朝鮮・台湾海峡からインド洋、中東に連なる「不安定の孤」に対して、自衛隊と在日米軍の役割分担や、在日米軍基地の再編の見直しについて協議を重ねた結果なのです。

厚木から硫黄島までは約1200km、岩国から硫黄島までは約1400km。 遠くなります。 一方、岩国から馬毛島までは約400km。 訓練の重要性とパイロットの技術向上と、コストの効率性を考えると、米軍としては何としても馬毛島での訓練を実現させたいのです。

ところが、そうもいかない事情があり難儀しています。

実は馬毛島は普天間基地の移設先としても検討されたことがあり、御多分に洩れず周辺自治体からの反対運動にあっていましたが、地主が法人税の脱税で有罪判決を受けた経緯もあることから、国は買収したいのですが、本人はリース契約に拘っており用地買収が進んでいないのです。

私たちは今回の視察で滑走路すぐ傍、50m程度のところでスーパーホーネットの爆音、振動を経験しました。 タッチ・アンド・ゴーの瞬間までは特段の轟音は感じないもの、通り過ぎ去る瞬間以降の轟音は凄まじく、耳栓をしないと確実に鼓膜が破れます。 特に離陸時のジェット噴射は立ち眩みするほどでした。 硫黄島は太平洋に浮かぶ島ですから周辺住民の騒音問題を心配する必要はありません。 しかし、天候が変わりやすく、過去にはFCLPを厚木飛行場、三沢基地などで実施したこともあるのです。 これは今後絶対に回避しなければなりません。

辺野古や高江などでご活躍の基地反対運動家が平和を脅かしています。 馬毛島問題もある種の障壁として、平和を脅かす深刻な要素の一つ、 何としても打開策を見出し、結果を出していかねばならぬことを実感した視察でした。

最後に、使用された滑走路の下には、硫黄島の戦いによるご遺骨は地中探査の結果、存在していないことがわかっています。 未調査区域の調査は継続中です。またここは、日本兵20,129名、米国兵6,821名が命を落とした共通の戦跡でもあります。 奇しくも71年前は敵同士として戦った日米の参加者で、慰霊碑や「上陸浜」にて、慰霊とともに、互いに平和を誓う機会ともなり、平和を心に刻む視察ともなりました。

平和維持には不断の努力と決意が必要です。そして、残念ながら、我が国独自でこれを担保出来ぬ環境下にあるのです。
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