長尾たかしの・・・未来へのメッセージ

自民党衆議院議員長尾たかしのブログ。平成11年からネット上で情報発信を継続。サラリーマン生活を経て政界へ。

安い賃金を共通項に考えるのは危険

2008-07-30 21:05:57 | 社会保障・税
実は聞き捨てならぬことを時に聞き流してしまうことがある。

゛医療介護現場の深刻な人手不足…外国人労働者は医療介護現場の救世主となるかっ!!゛

非常に良いフレーズである。インドネシアなど東南アジアからの外国人労働者は勤勉で、大家族。お年寄りに人一倍優しいという。人手不足の医療、介護現場がこの受け入れによって問題解決なされるならば確かに救世主といえよう。

Aさんの月給は月20万円。サウジアラビアで医療現場にいた彼女は日本への派遣のチャンスを得るためにサウジから帰国し、日本語教育を受け来日。志望動機は賃金の良さ。この給料であれば家族10人分を養えるという。日本の医療介護現場は人手不足、20万円でそこまで感謝され、双方の思惑が一致したのだから、Aさんの日本語行きは当然のことといえよう。

しかし、それによって日本人労働者の立場はどうなるのだろう?

そもそも20万円という給料が安すぎるのではないか?相当の専門知識が求められる現場においてはたしてこの賃金が妥当なのだろうか?よって、単なる医療介護現場の人手不足として理解してよいのだろうか?何故人手不足なのか?そのあたり議論がなされているないような気がする。

もしも、弁護士給料が月30万円程度だったらどうだろう。難しい司法試験に合格しても、その程度の給与であれば、当然弁護士不足に陥るだろう。要は゛割に合わない゛ということ。これは人手不足とは言わない。

結論を言ってしまうが、人手不足なのではなく、賃金が安いから、その専門性の割に合わない。だから、要因が確保されないと表現したほうが正確だと思う。安い外国人労働者を受け入れることは目先の問題解決にはなってはいるが、物事の根本解決にはならず、場合によっては、日本人労働者の空洞化にもつながってしまう。

同じことが社会保障制度にも言える。真面目に保険料を支払ってきた年金生活者が月々6万円で生活しているのに、生活保護者の中には12万円程度もらっている人がいる、だから生活保護費を引き下げるべきである。いや、まったく違う。この場合、年金の支給額が低すぎると解釈するべきであると思う。

医療介護事業現場の給料は安すぎる。その専門性、過酷性に比べそれに見合う賃金体系が確立されていない。職業はある一定までは理想と使命感で頑張れると思う。しかし、現実との狭間でもがき苦しむ現場をもっともっと直視するべきではないだろうか。

医療や介護事業者の労働条件の改善のブレーキにもなる外国人労働者受け入れの問題。゛安い賃金゛を共通項に物事を進めていることは非常に危険であることを指摘したい。
コメント
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