Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

山下敦弘「リンダ リンダ リンダ」

2005-09-28 18:48:58 | cinema

 

2005日本
監督:山下敦弘
出演:ペ・ドゥナ:ソン(Vocal)
   前田亜季:山田響子(Drums)
   香椎由宇:立花恵(Guitar)
   関根史織:白河望(Bass)
   三村恭代:丸山凛子
   湯川潮音:今村萠

水曜日に1000円で観ました。
バンドやるぞっていう初期衝動のみずみずしさと、学園祭の懐かしい熱気に触れて
久々に血の巡りがよくなった。
おもしろかった。
いいところがいっぱいあった。

誰も表だって熱血ではないけれど、一所懸命で、でも力まない。そのオフビート感がリアルでいい。

学校がいかにも学校らしいのがいい。小汚く埃っぽいし、その空間を満たす放課後のざわめきがリアル感を増す。
全編変に音楽で満たさないで空間の音をよくとらえているそのセンスがいい。

ソンさんのペ・ドゥナが絶妙によい。
・「いい加減な返事」が絶妙にいい。
・カラオケ店でのやりとりがシニカルでいい。
・男の子がソンさんに告白するところの会話がいい。
 相手の母国語で話そうとする男の子と、その言葉を必死に聞き取るソンさん。
 その受け答えがいい。結局意思疎通できないのだけれど。
・ソンさんパンツ見て笑ってるし^^

あと終盤、疲れ切ったスタジオのトイレで、ソンと恵が韓国語と日本語で会話するところがいい。バンドだけじゃない、彼女達の心のふれあいもいつのまにかしっかり成熟していたんだ。その表現のさりげなさはうまいなあ。

・・でも最後のほう、湯川潮音さんたちが穴埋めで歌うシーンはとってつけたように思えたな。それを受けたお客さんのテンションの上げ方もいかにもラストに向けてしつらえましたっていうノリ。
客席はもうちょっと引き気味なのがリアルなんじゃないかな。

ああでもそれはバンドの演奏でも同じだよな。最後に向かってどうやって作り上げていくか、これ重要だもんな。多少無理でも、予定調和でも、形ははずせないってあるよな。
バンド的構造を目指した映画なのかな。

でも高校生の軽音ってあんなにレベル高いのか?高すぎないか?それとも今はこうなのかな。
昔に比べると、今はバンドをやろうっていう若い人には、いろんな意味で先導者がいっぱいいる。
日本のロックっていうかJ-POPのモデルとなる「過去」がいっぱいある。
レベルも高くなるだろう。
でも、うらやましいような窮屈なような・・・

バンド・プロデュースにムーンライダースの白井良明氏の名が。
まあ実際の所バンドらしさもちゃんと作っているっていうことかな。

あと夢のシーンの「ラモーンズさん」本物?
じゃないよね?もうラモーンズさん亡くなってるはず?

関根史織サンはホントのベーシストで、所属するバンド→Base Ball Bear
がんばってください。いいなあ若いって^^;

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北野勇作「どーなつ」

2005-09-28 09:45:48 | book

 

 


P&M Blogのpiaaさんが、「ディックやレムファンはぜひ」と仰っていたので、これは読まねば^^ということで、読んでみました。

で、私はこれ好きです。

虚構を作っている骨組みと肉付けがほどよくスカスカで、危うい揺らぎのある物語になっている。
SF的仕込みもなにやら解決されないまま、別の本筋があったりするし、本筋すら全うされず宙ぶらりんに放り出される。
このあたりが快感である。

意図してか意図せざるモノかわからない抜けがある。
天然系SFとでも言いたくなる、そういう素質がある。

宙ぶらりんな架空世界はディックのそれに近いかも。
ブレードランナーネタもあるし「電気熊」も出るし、
ある程度はディック(というよりディックのメジャーな要素)の影響があるだろう。
でも話自体はうんと軽い。

**

「天脳賞」には笑った。「電気熊」や「人工知熊」といい、言葉への独特の嗅覚があるのがいい。
デパートの屋上のノスタルジックな風景も、地球防衛軍的TV感覚も、「抜き」感覚の舞台としては絶妙のセレクトだ。

落語ネタも面白かった。落語と記憶のアナロジーを論じながら、実は落語のスタイルを思いがけなく取り入れている。

**

ちょっと穂村弘のエッセイを読んでいるような感覚だな、と思ったらこのご両人は同い年=私と同世代。
何事も世代で括ってしまうのは私の悪い癖だけれど、
う~ん、やはりピンと来るモノが違うと思うな・・・

piaaさんどうもありがとう。おもしろかったです。

コメント (2)
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