Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「ブレードランナー究極読本」別冊映画秘宝

2017-11-27 01:57:30 | book
別冊映画秘宝ブレードランナー究極読本&近未来SF映画の世界 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)
クリエーター情報なし
洋泉社


ブレードランナーのオタク的超高密度本。
これはすごいっすよ^^;

巻頭からもうオタク層をぐっと引き込むのを目的とするような
濃密記事が70ページくらい炸裂し、
「いやもう勘弁してください〜私が話るうございました」
と叫びだしたくなる頃合いを見計らって燦然と現れるのは
「目次」

。。。これまでのは目次の前の序章に過ぎなかったのか//と絶望すら味わえるスゴイ本ですw



まあ実のところは「目次」の後からは、割と平和な論考と
裏話、Tipsが並ぶんで、ちょっとホッとしますが。。。

公式にも5つのバージョンが出ている「ブレードランナー」ですが、
他にも幾つかのバージョンが存在する話とか、

それらをベースに、究極理想のバージョンを構成してみる話とか、
実際にそういう編集版を作って出している海賊版のこととか。

これまたマニアックな経緯で話題となった「サントラ盤」の歴史とか。

撮影時の裏話も多数。




「「ブレードランナー」のタイトルを思いついたのは
プロデューサーのマイケル・デューリーだ」と、初期脚本を書いたファンチャーが
メイキングドキュメンタリー「デンジャラス・デイズ」で発言しているにもかかわらず、
「諸状況から考えて、ファンチャー自身が考えたと思われる。」と断言する論考とか、
本当迫力ある。
すごいよな。


あとは、わかもと製薬の社員にインタビューしている(すごいでしょ!)
とか、
あの「強力わかもと」広告の芸者さんを演じた人のインタビューがあるとか、
ほんと、信頼できるオタクぶりです。



ということで、ファン必読、
大変楽しめる本でございます。


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「回路」黒沢清

2017-11-23 23:58:11 | cinema
回路 [DVD]
クリエーター情報なし
KADOKAWA / 角川書店



2001年公開の映画ですが、
これもまた良いですね〜
すごい好きな感じです。

人が影になっていって消えるというテイストは
「降霊」での同様の感覚を
より意識的に明確に追求されている感じです。

そういうおぼろげな変化というのは
全体の進行にも通底していて、
日常が小さな不安の種から少しずつほころんでいくのだけれど、
いつの間にか知らないうちに取り返しのつかないところまで変わってしまったという
感じに常に曖昧な手遅れ感がありますね。

麻生久美子も加藤晴彦も(てか役名忘れました)
不安の中に何かが進行しているのを敏感に察知して
友人を救おうと頑張るのですが、決定的に手遅れな無力感とともにあります。

ホラーというよりは、不安と手遅れの中をどうやってどこに行けばいいのか??
という底の方に溜まっていくような怖さをもたらす。
恐るべき映画と思います。



例の一番の驚愕シーンは、
インパクト強すぎでしょう^^;
しかし、とりあえず「どうやって撮ってるんだよおい!」的な疑問が
先に立ってしまうのはどうなんだろう?(笑)

借りたDVDにはそこの丁寧なメイキングビデオが入っていたので、
疑問が解消して大変満足ですww


あの赤い養生テープで「封印」するセンスがとても良い。
独特の恐怖感があるよね〜
その後、ドアに赤い目張りがしてあるだけで、めちゃめちゃ怖く見えるもんね。


@自宅DVD
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「降霊KOUREI」黒沢清

2017-11-18 03:48:46 | cinema
夏頃ですが、WOWWOWで黒沢清ものをいくつかやっていた流れで
未見のものを観たくなって近所のツタヤに走ったところ、
そこには「降霊」「回路」「トウキョウ・ソナタ」「叫」が置いておりまして、
とりあえず「降霊」「回路」を借りてきて観たわけです。


壁のシミなのか人間なのかというような光は
後の「回路」でさらに明確に使われてますねー
いやーいい感じです。

冒頭から風吹ジュンの影だかなんだかわからない風の佇まいが素晴らしいのです。


人物がいると、その背後や奥の方の空間がもう
すごく気になる!!ような構図と
ライティング。
揺らめく光と影。

こういう工夫を模索して積み重ねて黒沢映画があるんだなあと思う要素多数。

****

すごく印象に残ったのは
なんでもないようなところなんだけれど、
風吹ジュンがファミレス去るところで、
店内から店員さんが二人(だったかな?)黙って彼女を見ている。
なんの説明もないんだけど、ああ彼女はファミレスやめたんだな、とわかる。

雰囲気でわかる。

なんて素晴らしい演出なんだろうか・・・・


それと、役所広司のお仕事仲間が
毎度毎度ヘンテコな音をリクエストしてくるのが面白い。
ヘンテコで可笑しいんだけど、なんとなくどこか怖いのよ。

本筋とまったく関係がないのだが、音にまつわる怖い話とかの伝説などを
ひっくるめて思い出させるような妙な怖さを醸し出して、
とにかくこんな調子で、あらゆる設定を、世界中不穏な感じに持って行くようにしているのが面白い。

*****

あとは哀川翔が実に素晴らしい役で出てくるのが嬉しいですな。。
大杉漣もちょい役だが最高なんですよ。
隅から隅までまともな人間が出てこない感もいいですよね。

あーあと石田ひかり



常にただならぬ緊張感、異様な気配に支配されている不穏な作品です。


テレビ用なためか、DVDは画質はイマイチでそこはちょっと残念かも。


****

現時点でDVDは普通には販売していないようですね。。。

原作はマーク・マクシェインの小説「雨の午後の降霊会」で
創元推理文庫で出てるけど絶版ぽい

それの映画化は1964年の「雨の午後の降霊祭」ブライアン・フォーブスってことです。
イギリス臭がプンプンしているので
これも見てみたい。。。



@自宅DVD
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「ロスト・イン・パリ」アベル&ゴードン

2017-11-15 02:36:30 | cinema
8月頃に観ましたが、今頃。。


パリものなので衝動的に鑑賞。

ジャック・タチのエスプリを継ぐ的な宣伝文句にも一応惹かれ。


で、
ごくごく個人的な好みの観点からの感覚的な感想ですが、
笑いを取るところ(ほぼ全編そこなんだけど)はどうも、
「どうです?面白いことをしてるでしょう?これ面白いでしょう?」
みたいなニュアンスが放たれているような気がして、
う〜む、これはタチとは違うなあ。。。

と思いました。

この違いはいったい何なのか?
具体的に何をどうすればその変なニュアンスがなくなるのか?

わからない・・・・

キートンのような場合は、やはりこれ面白いでしょう?という押しがあるのだが、
画面の中の人物は真剣そのもので、ガチに過酷に現実として滑稽な状況を生きているという感じがするですね。

いや、タチだって考えてみると、相当押しが強い。
というかかなり不自然に「面白いこと」をしてみせる。

が、「どうです?」とはならない。


不思議だわ〜〜



時々、あーこれが「文化の違い」ってやつかな。。というノリに出会う。
コメディに多いかもしれない。
ワタシ的には、Mr.ビーンなんかはそれ。
あー文化が違う。。。

「ロスト・イン・パリ」もちょっと文化が違いました。

*****

でもそれでも結構面白かったw

一番印象に残ったのは、葬儀に迷い込んだ上に
なぜか追悼の言葉を述べることになるドミニクの
すごい話の内容(笑)

フランス人やばいわ〜
と思ったら、製作・監督・脚本・主演のアベル&ゴードンは
カナダ(ゴードン)とベルギー(アベル)
の人でした。。

もうちょっとパリの街中を移動すると好みなんだけどなー
(完全に個人的な好み)


エマニュエル・リヴァの最晩年の姿を拝みに行きました。
結構高いところに登ったりしているような感じで、
頑張っていました。


高いところでおっとっと!!ってやってスリリングに盛り上げる演出が
ワタシはどうも苦手なんですけどね。。。



@ユーロスペース
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「ロシュフォールの恋人たち」ジャック・ドゥミ 劇場初鑑賞

2017-11-13 01:49:55 | cinema
ロシュフォールの恋人たち デジタルリマスター版(2枚組) [DVD]
クリエーター情報なし
Happinet(SB)(D)


劇場で上映してたので、
行ってみました。

前回はミシェル・ルグランの音楽が濃密に作り込まれすぎな感じがしたんですが、
今回はむしろ音楽の圧倒的な洪水が非常に心地よかったです。

もっと聴きたいぜ!って感じで。。


アレンジはジャズの雰囲気はありますが、
メロディとコード進行がガチフランスなので、
やっぱ好きだわよ〜

マクサンスが歌う、理想の女性を探す歌は
理想を求めるモチーフとして、マクサンス以外の人の歌でも繰り返し現れるんだけど、
いい曲だよな〜
メロディラインが最高ですな。

LES DEMOISELLES DE ROCHEFORT - La Chanson de Maxence


ダム氏が歌う切ない過去の歌も
似たテイストの曲で、これもヨーロピアンな香りをふんだんに放っている。
よくある感じといえばそうなのかもしれないが、
「よくある感じ」をずっと受け継いで熟成させるのが民衆の音楽なんだからね。



サントラCD買うなら、このリマスター完全盤だよね。
何しろソランジュが作ったコンチェルトが入っているのはこれ。
映画で、創作ピアノコンチェルトが出てくると、
もう9割がたはラフマニノフもどきなんだと思うけど(笑)
これも完全にラフマニノフ路線
で、いい曲だわ〜w

ロシュフォールの恋人たち リマスター完全版
ミシェル・ルグラン,フィル・ウッズ,ミシェル・ルグラン・クインテット,サントラ
ユニバーサル インターナショナル



と音楽のことばかりですな。



映像はリマスターものではあるが、若干粗め。
豊かな色使いを志している感じはするが、完全には達成できてない感。

しかし、全体的にと言うか、
隅々まで嘘くさい作り(というと語弊があるか・・・)
えーと現実の戯画化を徹底して行なっているところは
この映画の独特な雰囲気を作り出していると思われる。

色彩が微妙なところも含めて、この作品にしかない魅力のようなものを
醸し出している。
そこが好き。

なにしろ、フランソワーズとカトリーヌが歌い踊る。
それだけでワタシはもう感謝ですよ。

当初はオードリー・ヘップバーンとブリジッド・バルドーの主演を目論んでいたそうですが、
バルドーは出演の意向だったんだが、ヘップバーンが断ったために、
バルドーも断ってきたって話です。

(?どこで聞いたんだったかなこれ??)

ワタシとしては、ヘップバーン断ってくれてよかったと・・(笑)

製作陣はスター出なくなって青くなったでしょうけどね



それで、最近出たこの本も欲しいわ〜!!
山田先生だし。
ジャック・ドゥミ+ミシェル・ルグラン シネマ・アンシャンテ (立東舎)
山田 宏一,濱田 髙志
リットーミュージック



前に観た時の記事


@恵比寿ガーデンシネマ
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マレーシアの記憶4 〜本番日の午前中はチャイナタウンへ

2017-11-12 01:38:29 | マレーシア2017
いよいよ記憶が怪しくなってまいりました!

8月12日(土)。。だと思う

この日はいよいよ公演の本番!!
なんだけど、本番は確か20時頃で、
夕方集合じゃなかったっけ?

ということで、観光的なことをするなら
この日の午後早い時間まで!!
ということになりました。

と言っても全くのノープランでしたので、
とりあえずガイドブックで見て面白そうなチャイナタウンに行ってみることにしました。



チャイナタウンは、ホテルのあるKLCCから電車で数駅。
旅先で電車に乗るのが好きで、なんで好きかと考えると、正しい行き先の電車を見極めたり、
謎の時刻表を見たり、未知の発券システムに挑んだりするのが楽しいのではないかと。
まあ大したことないですね(笑)

KLCCの地下駅に行くと、券売機側でギター弾き語りのおっさんがいて、
THE BANDのTHE WEIGHTを熱唱しておりました。

クアラルンプールでザ・バンドというのはなんだかクラクラする感覚ですが、
まあワタシも日本でザ・バンド愛聴してるわけで、同じことですね。。

で、謎の券売機。


タッチパネルでどうやら最初に乗りたい路線を選んで、それから表示される駅名から目的地を選ぶ。
はてワシはどの路線に乗るのか?といきなりガイドブックのお世話になり。
路線にはそれぞれ色が決まっているので、わかりやすい。

お金を入れるとプラスチックのコイン型トークンが出て来ます。
クレジットカードが使えるかは確認し損ねましたが、お金は小額紙幣が使えました。高額のはダメっぽい。

トークンを改札機にタッチするとゲートが開いて無事入場。
日本みたいに紙の切符を読み取る機構が不要なので、安上がりなのではなかろうか。




さて、乗ったのはLRTのケラナジャヤラインで、
KLCCから4駅目のPasar Seniという駅までのあっという間の旅行。
車両も近代的なもので(無人運転なんだそうです)快適。




Pasar Seni駅の東側にチャイナタウンが広がっている感じなんですが、
なんとなくとりあえずショッピングモールであるセントラルマーケットへ行ってみました。

ショッピングモールと言っても、どうやら歴史のある場所らしくて、
建物の中もアジアの趣たっぷり。やや薄暗く、雑多なお店がびっしり入っていました。
よく晴れて非常に暑かったので、涼みつつ、
家族へのささやかなお土産を物色しつつ。

いわゆる観光的マレーシアの土産物は全部ここにありそうな感じです。



中のお店はそこらじゅうに「写真撮るな」って書いてあったので、
内部の写真は自粛



セントラルマーケットを後にして、
いよいよチャイナタウンへ踏み込みます。



とは言っても、そんなに広大な街ではなさそう。。
時間もないので、深入りせずに雰囲気だけ味わった感じです。

本当に様々な商店が軒を連ね、雑然として人がいっぱいいて、
まさしくアジアの街よねー。
これらのたくさんのお店はどうやって成り立っているんだろう??と疑問でした。
こんなにお店があったら買い物する人も分散する一方よね。。

雑多





関帝廟を外から眺め・・・


スリ マハ マリアマン寺院を外から眺め・・・・


このマレーシア最古のヒンズー教寺院てのは入ってみたかったですが、
時間がないのと、靴脱いで入らないといけないんだけど、
靴置き場に置くのにxxリンギットとか書いてあったりしたので、小銭を惜しんでしまいました(苦笑)

いろいろと飲み食いもできそうでしたが、
微妙にお腹具合が変な感じがしてたので、これも自粛^^;
いやーなにしに行ったのかねと思うが、まあ雰囲気を楽しみました。

全体的に朽ち果てる寸前みたいな建物で・・・


午後は本番です。(次回に続く)
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「オン・ザ・ミルキー・ロード」エミール・クストリッツァ

2017-11-05 02:29:43 | cinema
実はエイリアンよりブレランよりこちらを先に観たのです。

クストリッツァらしい重み。
重みと軽みが同時にあり、
絶望と希望が同時にあり、
人の命の重みは計り知れないけれども、
その軽さも現実。

必死に生きるけれども、
簡単に終わる。
希望はなく、絶望もしない。
絶望するけれど、希望はある。


パルムドール取った監督のインタビューをまとめた映画?で、
クストリッツァは、
「すべての人間を愛しているわけではない」というようなことを言っていたが、
その言葉の意味がよく分かる作品ではないかしら。

クストリッツァ自身が演じる不器用な男が、
それを説得力を持って表現していると思う。



エイリアンよりもブレードランナーよりも
「オン・ザ・ミルキー・ロード」でしょう。



****

一貫して優れた動物使いとしての手腕を披露してきたクストリッツァ作品だが、
ここでももう冒頭から動物たちの驚異の演技が炸裂しまくる。

多分クストリッツァにとっては人間も動物の一種なんではないかしら。
人間を操れるんだから動物だって簡単ですよ的な。

後半に動物たちが大変な災難に遭うのだが、
エンドロールでは「動物は全く傷つけてません」て出るので、ご安心を。


そういえばブレードランナー2049でもエンドロールに煙草がどうこうってあったようなきがするが、
近年こういうエクスキューズ増えたよね。多分。
まあ説明しておくことは良いのかもしれない。

ちなみにブレランでは多分誰一人喫煙しないが、
ここ本作ではバシバシ吸いまくる(笑)


それと、飛翔、雨と炎という
クストリッツァ的なモチーフがちゃんと出てきて、
しかも今回それらが組み合わさって登場なので、何やら集大成的な感動がありますです。。

*****

お相手役のモニカ・ベルッチ。
昨日ツイン・ピークスThe Return 14話録画してたのを見てたら、
モニカ・ベルッチ本人役で出てきてびっくりしたところですww

音楽はストリボールだけど、
いつもよりちょっと悲しげな音楽。

「オン・ザ・ミルキー・ロード」公式サイト


@シャンテ
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「ブレードランナー2049」二回目wは3D!

2017-11-04 00:10:39 | cinema
1週間空けずに今度はIMAXで観てしまいました〜
続けて2回見るのはワタシ的には大変珍しいんですが、
あの映像が3Dだとどうなってるのか観たい!という欲望で。。


映像については、大変感心したというか、
多分3Dは「アバター」とかゴダールのアレとか以来なんですが、
だいぶ技術が進歩したんじゃないかしら。

前は立体感はあるけどなんか奥行きに連続性がなくて
なんか舞台の書き割りみたいだよなーと思ってたんですが、
今回のこれは、立体感を通り越して、まさに臨場感。
自分が映像に入り込んでその場にいる感覚でした。
奥行きも手前から奥までスムーズに繋がっている。

いやーいい感じ。

ということもあって、2Dとはもう体験の質が違う。
どちらがいいとかではなくて、もう別物。
スクリーンの向こうにある世界を観て受け取るものと、
その場にいて受け取るものの違い。

その意味では両方観るのがオススメだわ〜





【でここからは盛大にネタバレ予定】







2回目の感想としては、これはかなり細かいところまで考えて作られてるな〜と
改めて思うなど。

冒頭の瞳のアップは考えてみるとなかなか象徴的でよろしいし、
その次の建造物?の巨大円形配置?と重なって面白い。
そこのシークエンスはなんとなくタルコフスキーのソラリスに似ている印象。

続くレプリカント(旧式)の住処の殺伐とした室内に
鍋がコトコトいっているとことか、
立ち回りがひとしきり決着がついたところでまた鍋のコトコトが響くとことか
いいセンスだよねえ。


孤児院で帳簿を見るあのデスクと空間の妙にマニアックな乱雑さはなんなんだろうか。。
Kが灰皿を意味ありげに回すんだけどあれはなんなんだ。
灰皿はおそらくピカソの絵なんだけど(エンドクレジットにも書いてある)
馬ということでつながりなんだろうか。

木彫りの馬の記憶はその孤児院の記憶なんだけど、
記憶の場所に来た時に、Kが黙ってその通路?を見やる。
そこの押し黙った無表情がとても良い。
こ・ここは??みたいな過剰な感情演出をしないのが良いね
(まあそのあと結局過剰にやるんだけどね(笑))


そういえば、アナ・ステリーン?博士?のところでKが記憶が実際起きたことだと言われて、
軽く激昂するのはなんでだろう?
椅子蹴飛ばしてるし。。
ショックを受けるのはわかるけど。
始末の対象はオレなのかよ。ってことかしらとも思うが、
そういうことで悩みそうな気はしないんだよね。


デッカードが言う
Sometimes in order to love someone, you got to be a stranger.
これは何かの引用かしら?と思ったんだけど
ちょっと調べてもすぐには出てこない。引き続き調べてみよう。
デッカードとKが会う最初に「宝島」の引用で遊ぶ?ので、
ここでも何かからの引用だと洒落てるなと思うわけですよ。

引用といえば、ウォレスがデッカードに(偉そうに)ラケルの懐妊の話をする。
旧約聖書の。
ラケルはもちろんレイチェルな訳で、
いやこれなるほどというか、後から考えたのかしらこのつながりを・・??
出来すぎている!


で、また改めて意識したのが、健気なバーチャル美女ジョイの存在。
これはまたデッカードが多分密かにモヤモヤしていただろう、
そしてまた偉そうにウォレスに突きつけられた、
「それは愛なのか?成功なプログラミングなのか?」問題の
重要で現代的な現れなんである。
終盤に広告ホログラムの彼女が、既視感のある言葉と、彼の「名前」を口にするとき、
ジョイの健気さにホワワンとしていた我々も、ちょっとゾッとするのだ。
いやーそういうことだったのか・・・・


ラストに流れるのは前作「ブレードランナー」でのヴァンゲリスの曲だが、
これが全体の音世界と溶け込んで非常に違和感がないのが感動的。
ベンジャミン・ウォルフィッシュとハンス・ジマーが前作を意識した音作りをしたのだねー

ハンス・ジマーは超売れっ子だよね。と思ってフィルモグラフィをたどってみたら
なんとスコリモフスキ「ムーンライティング」で音楽をやっている。。知らなかった。。


ということで、繰り返し見るとまた楽しめるですね^^



初回2Dの時の感想

@Tジョイプリンス?シネマ?だったっけ?
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「ブレードランナー2049」ドゥニ・ヴィルヌーヴ

2017-11-01 02:01:00 | cinema
「お前にとって私は何なんだ?」というセリフが
ワタシ的に大ヒット。
これヤマでしょう。。

記憶とアイデンティティーと意志や感情が
どう形作られるのか。
偽りのものと本当のものの境界はあるのか
あるいは境界に意味はあるのか。

移植された記憶であるけれど
それは自分のものである。
偽りのものであっても、それは真実でしかありえない。
K/ジョーのデッカードに抱く気持ちの出処はそこだ。

デッカードからするとそれはたいそう不思議
というかなんじゃこいつは?となるよな
面白いなー。



市街の風情や
そこに鳴り響く音響や
音楽は
旧作への敬意に溢れているが、
旧作よりさらに陰鬱に、終末感のあるものに仕上がっていて、
そのバランス感覚が良い。

前作では、すさんだ世界だけれど庶民はたくましく棲息しているって感じがあったけど、
今回のは荒みきってしまって庶民は息絶え絶えって感じ。。
生命力が失われる瞬間という風情。

あの折り紙的なものをしっかり継承しているのも感動的。



リドリーの作品が持っている奇想天外なテイストのようなものは
ちょっと足りないかもしれない。
前作『ブレードランナー』を観たときの
「おい、こんなの見たことないぞ。。。」
みたいな体験はちょっとないが、
それはこちらが無駄に経験をつんでしまったとかそういうこともあるだろう。

少なくとも嫌いなところがほぼなかったし
むしろかなり好き〜


****

健気なバーチャル女子ジョイちゃんはもうかわいいったらないのだが、
かわいいだけでなく彼女の有り様もまた
レプリカントと人間の境界は?という問題系の変奏なのがうれしいじゃん。
アナ・デ・アルマスはキューバ出身の女優さんなんだね。

問題の存在であるアナ(だったっけ?)を演じるカーラ・ジュリも素敵。
彼女についてはあまり情報がない感じね。

ハリソン・フォードの他に、旧作「ブレードランナー」からの人物としては、
ガフ役のエドワード・ジェームズ・オルモス。

脚本にハンプトン・ファンチャーがいるのも注目よね。
ある意味ブレードランナー生みの親。

****

3Dも観たいかも!
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