Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「ゴダールに気をつけろ!」杉原賢彦+フィルムアート社編集部

2007-08-28 04:46:16 | book
ゴダールに気をつけろ!

フィルムアート社

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図書館にあったので読んでみた。

90年代「フォーエヴァーモーツァルト」までのゴダール作品概説と、ゴダール全般に関するいろいろな切り口での軽い論考。
シブヤ系(すでに死語?)から東大学長まで(笑)を魅了するゴダールってなに?
てなノリの本なので、やや古いということを除けば、ゴダールを簡単に概観したい場合に重宝する本かもしれない。

ただ、個々の作品解説など読むと結構間違いも多いので要注意。
間違いは観て確認する、というのが面白いかも。

***

粉川哲夫がちょっと面白かった。
パリンプセスト
ゴダールのコラージュ、カットアップは適切には「パリンプセスト」と呼ばれるべきではないか。パリンプセストとは「焼き直し」「二番煎じ」を意味する言葉だが、70年代後半のイタリアで自由ラジオ運動が盛んになったときに、番組中にかかってきた電話をそのままつないで放送したり、突然の来客の声を放送したりという即興的重層的な番組作りが「パリンプセスト」と呼ばれたという。
ゴダールの特に90年代の作品で見られる突然の中断・挿入・接合はこれだ、というわけ。「新ドイツ零年」「決別」なんかはほとんど中断・挿入・接合でなりたっているような気もするな。

落書き闘争
「ワン・プラス・ワン」では壁にスプレーで落書き(CINEMARXISMとか(笑))するシーンがあるが、あれは60年代後半にイギリス・フランスで政治メディアとしての落書きが活発になったのが背景だそうな。後のグラフィティとは違い文字による運動である=インテリ層の運動だった。(ほんとか?)

メディアポリティクス
というか、中国女に出てくる毛語録。あれはハンディサイズであることがミソで、読み物としてだけでなく、手に持って振りかざす「聖具」としても使えるようにできている。黄門様の印籠ですな。これは本のメディアとしての本来の性質に対してユニークなあり方である。
ってゴダールと関係あるのか??

ほかには岡村民夫による文学論。
引用ないし朗読は、登場人物の発話を脱心理化・脱個人化し、社会-歴史的な場へ開く。言説と身体との相互的な異化をとおし「現実の反映」ではなく「反映の現実」が実現される。
というあたり。

****

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「ベイビー・オブ・マコン」ピーター・グリーナウェイ

2007-08-26 20:48:03 | cinema
ベイビーオブ・マコン

アミューズソフトエンタテインメント

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1993イギリス/ドイツ/フランス
監督:ピーター・グリーナウェイ
脚本:ピーター・グリーナウェイ
撮影:サッシャ・ヴィエルニ
出演:ジュリア・オーモンド、レイフ・ファインズ


グリーナウェイの映画は、関連資料なくして楽しむのは非常に心もとない。
徹底してヨーロッパ的伝統に根ざした諧謔であるから、このアジアの片隅にぽっと生まれた一介の東洋人にはにわかには理解し難い仕掛けがおそらくは随所にちりばめられているに違いない、などと思いながら穴のあくように観る以外、なすすべがない。
公開時にパンフでも入手していればまだしも、それもなく。
彼のHPにも大した手がかりはなし。
(↑このページいきなりぶっとんだ声がきこえるので要注意)

となれば・・・・やっぱ、適当なことをいい加減に考えるしかないわけで・・

***

たとえば、聖性がいかに生起してかつそれがどのように流通の制度として機能していくかについての映画だ。とか?

赤ん坊を抱いた娘は、かわいさのあまり、あるいは実の母の醜さのあまり、自分が母親を名乗ることをふと思い付く。そしてそのあとで、これがマリアの処女懐胎の物語に酷似していることに自ら気づく。同時にそのことで「稼げる」ことにも気づくのだ。
聖性は俗なるものとの対立という差異の最たるもので(シャレにあらず)、まさにその差異をエンジンに延々等価交換が行われてゆく。
民衆は聖なる子供の祝福を受けるため、列を成して家畜や財宝などをささげやってくる。貧乏人には無償で施し、持てるものからはふんだくる。
これは中世の教会維持システムの再現であり、これを教会の権威がすっかり相対化され世俗の勢力が力を持つバロック期18世紀に舞台設定したというところはなかなかセンスのよいところではなかろうか。

****

あるいは中世の反逆の映画である。とか?

中盤、子供の「奇跡」により「母」の権威は失墜し、確立していた経済システムごとごっそり教会が受け継ぐ→中世的権威の復権?
もしくは、子供が命を落としたあとによってたかって腑分けを行う姿は、偶像崇拝の戒めにも関わらず中世まで自然に行われてきた聖遺物崇拝の復権の姿では?

これらの復権がいずれも強力なグロテスクに彩られているのも興味深い。腑分けというところではトマス・アクィナスが没後茹でられちゃった逸話なぞも思い出しつつ、強烈な時代を経てきたもんだとしみじみする。


世俗勢力の権化たるメディチ家の催す芝居で、世俗権威の発生と失墜、よみがえる中世のグロテスクを演じるというのもなかなか皮肉っぽくていいかも。
しかも芝居と観客、演技と実行動との閾はどんどん不明確になり、最後には観客でさえカメラに向かってお辞儀をしてみせる。
なんともぞっとする構造だ。

思えばあの舞台装置なんかも、中世からルネサンスを経てバロック以降のオペラにつながる演劇史を掘り起こすようなつくりなのだろうと思う。レオナルド・ダ・ヴィンチなどが凝った舞台装置で名を売ったという話が思いだされるような。

*****

というようなことを放っておいても、絢爛豪華な衣装やセット、異常なほど作りこまれた舞台装置(二階構造になっていたりする)を見るだけで十分ただごとでないし、その上で展開する凄惨なドラマは格別におぞましい。
グリーナウェイファンには堪えられないおぞましさ(苦笑)


あと特筆すべきは、音響ドラマとしての構成の見事さだろう。
台詞回し、合間にはさまれるト書きの朗詠、音楽、兵士?が床を打つ音、これらが精密に設計されて鳴り響くその様式美にしびれました。

****

ゴダールはどこかで「「イギリス映画」というものは存在しない」と発言していた。それもそうかなあと思わないでもないけれど、でもたとえばパウエル=プレスバーガーや、移住前のヒッチコックや、ギリアム、そしてグリーナウェイなんかを考えてみるとき、やっぱりそこにイギリス的なものを感じずにはいられないなあ。

ところで「マコン」ってなに?



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路傍の石の気持ち

2007-08-22 23:01:30 | diary
今日はある挫折の日。

son*imaのライブをやろうとずっと画策していましたが、
いよいよライブハウスとブッキング交渉が具体化したところで、
根源的な問題が・・・

ボーカリストの仕事の性質上
スケジュールを確定することができない。
詳しいことは省きますが、なにごとも常にドタキャンの可能性を織り込まないといけない、ということなのです。

これまではスタジオでのリハとか、ドタキャンも内輪で回収できるリスクだったんですが、ライブとなると、ライブハウスを、そしてなによりお客さんをまきこむリスクになってくるということ。。

他人を巻き込んだ賭けを打つわけにはいかんだろう、ということで、
進んだブッキング話をご破算にしてきました。

いや~~見通しが甘かったな。
もっと慎重に動かねば。


でもちょっと遠かったけどライブハウスに足を運んでお断り話をしたが、
やっぱりこういうのは顔を突き合わせてのコミニュケーションが大事な気がする。
電話やメールでってわけにはいかんね。
・・というのはもはや旧世代???


無理にスケジュール調整をしてもらっていたメンバーにも
謝りのメールをいれたりで気疲れの一日でしたよ。。

・・・というわけで、son*imaのライブは
当分おあずけとなりました。
期待してくれていた方にはもうしわけありません。ぺこぺこ。
(いるのか?そんな人が??)


******

一日のおわりにスタバのアイスラテを飲んだ。
やっぱりスタバのラテはしっくりくる。
ちょっと作詞もした。
ただじゃ転ばんよ~!

****

帰って体重を測ったらやや減に(前日比)
ダイエット好調かも
(単なる夏バテという説もあり)



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mayuluca LIVE2007.8.16

2007-08-21 11:31:38 | music
2007.8.16(thu)
@池ノ上ボブテイル

mayulucaさんのライブに行ってきました。

mayulucaさんは以前あるユニットをやっておられて、
そのころmanimaniがいたバンドが対バンになったことがあって。

で、うちのバンドをみにきた友人が、mayulucaさんのいたユニットを気にいっていたんだけど、最近はmayulucaという名前でソロでやっているということを教えてくれたのです。

説明になっているかな??

mayulucaさんの曲はなんというか、俳句や短歌のような、ひきしまった様式美を持っていて、それは歌詞ということばの世界でもそうであるけれど、メロディのラインとリズムであったり、ギターの奏でるパターンであったり、声の質であったり、という全ての面で、自分のスタイルというものを感じさせてしまう美を持っているのです。

独特の浮遊感のある世界に気持ちを集中して聴いていたら、何曲やったとか、どんな歌詞だったとかいう、左脳的な情報がほとんど記憶に残らず^^;
お盆の夜、ライブバーの小さな空間を異世界に変える魔術に酔ってしまったのでありました。


写真はバーの入り口。
肝心のmayulucaさんの写真は撮りませんでした。なんとなく。

****

終演後、mayulucaさんとお話し。
son*imaのCDとmayulucaさんのCDを交換する。
物々交換だ。
またお会いしましょう~といって別れる。

お友達が増えてうれしい^^


すごくいいですよ
9月にライブがあるようです↓
mayuluca通信





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白くまアリスLIVE2007.8.15

2007-08-21 11:13:39 | music
2007.8.15(wed)
@吉祥寺マンダラ2


猛暑の終戦記念日に「白くまアリス」のライブに行ってきました。

白くまはmanimaniがベースを弾いていたバンドですが、
manimaniは昨年暮れに脱退してしまったので、
今回は初のお客さん参戦となりました。

リーダーおおばんぶる舞のトリッキーなオープニングを期待してたら、
なんと珍しく普通に曲を始めてビックリ
(っつーかこれが普通なんだけど)

途中にバルーンプレゼント大会やバルーンコスチューム披露なぞはさみ
7曲
今回ドラムが非常によく、安定してビートもよれない。
よいバンドになったと思うよ。

ただな、本来はおおばんぶる舞の目指す、「色物がかった、でもしっかりしたインスト」というテイストはちょっと探求不足かも。
「しっかりしたインスト」部分が立ちすぎて、「普通のインストバンド」になっちまっているかも。

でもサックスとギターの参加したフルキャストでの演奏は迫力があってよかったよ。

これからもがんばれよな~

******

しかし!
座った位置が悪かったのか、エアコンがんがん、
猛暑なのに、すっかり凍えてしまったのだ。
終わって外に出て空気のあたたかさにほっとひといき。
地球に優しくない過ごし方だなあ・・・・

******

あ~んど、
この日、ライブハウスにson*imaのデモCDを持って行ったら、
その場でブッキング交渉になってしまい、慌てる。
すみません、調整させてください~~

というわけで、9月にそにまLIVEをやるかもしれません。
まだ未定。


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「オリバー・ツイスト」ロマン・ポランスキ

2007-08-18 05:13:26 | cinema
オリバー・ツイスト [DVD]

ポニーキャニオン

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かねてから産業革命期のイギリスには住みたくないなあと思っていたりするわけですけど、ディキンズ原作のこの作品は産業革命もほぼ進行し尽くしたころのお話。極端な貧富の差で底辺ではろくでもない環境をそれこそ蠢くようにくらしているわけで、ああ、この時代に生まれていたらまちがいなく蠢く側にいただろうな・・などと想像するわけです。

いや、むしろ基本的に過去のどの時点にしろヨーロッパには住んでいたくないというべきでしょうか。歴史をひもとけばほぼ休む間もない暗黒の歴史と言えるわけで・・・それを乗り越えてこそのヨーロッパ文化でもあるわけですけどね。

それをいうならどの地域であっても血塗られた歴史のない土地はそうそうなく、なんだかんだ平和ボケの自分の過ごした時代をふがいなくも結構愛しているのでありまする。

***

と話がそれるわけですが、この作品、なんとなく(我々から見た)異国情緒豊かに貧民街やら富裕層の生活やらが描かれるので、どうにもおとぎ話的に見えてしまって。
というわけで文芸娯楽作品としてわくわくと楽しんでしまいましたね。
原作の含意にあるという、当時(1830年代)救貧法への批判とか、貧民を貧民たらしめている社会制度や風潮への批判という側面はあまり感じることはなかったです。(これはわたしの蒙昧さからくることのように思えますが)

むしろ悪党どもの最期が妙に人間臭いところとかに惹かれました。ビル・サイクスはいかにも根っからの悪党らしい死に方だし、実はオリバーに優しい気持ちで接していたフェイギンは恐怖のあまり錯乱し、なんとも哀れな最期を迎えるし。彼は盗賊団といっても孤児をあつめて富裕層から小銭をかすめて食わせていただけなわけで、ほんのわずかな金目のものを宝のように大事にするあわれな貧民なのです。

あわれといえばナンシーですねえ。悲惨な境遇のなかでも良心に従って行動し、そのために命を落としてしまう。

すべては社会のせいだ~と青臭いことを言ってみても、ここはいいような気がしましたね。

***

街並みや屋敷や貧民窟や、そういった背景をかなり綿密に「再現」?しようとする意志は、舞台こそ違えど「戦場のピアニスト」に通じる強い意志を感じましたね。
ロンドンの街路から道なりに遠くまで見通す遠近法的ショットは、「戦場・・」でのユダヤ人街の場合と同じ視点です。

本作と「戦場・・」は、ポランスキによるヨーロッパ近代史の映画的可視化プロジェクトなのかもしれませんね。
(とか最近のはこの2作しか観てないんで適当なこと言ってますが)

***

にしても実はオリバー自身はロンドンについてからは運命に翻弄されるがまま、ほとんど周りが勝手に物語を進めてしまいます。無垢で思わず周囲がやさしくしてしまうような存在、ということだけがとりえ?

この感覚を思いっきり誇張して抜き出したのが、キャロル・リードのミュージカル「オリバー!」だったでしょう。あれもなかなか面白いものでした。どうせ娯楽文芸作品になってしまうのなら、最初からノリノリでいっちまえということでしょうか。無垢を人間にしたようなマーク・レスターと、暗い陰のあるジャック・ワイルドの「小メロ」コンビは最高に娯楽していましたね。
オリバー!

ソニー・ピクチャーズエンタテイメント

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というわけで、ポランスキー版の核心はなにか?ということには全然触れることができないままこの記事は終わるわけです。あしからず。

*****

デヴィッド・リーン「オリヴァ・ツイスト」(未見)
オリバー・ツイスト

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フランク・ロイド「オリバー・トウィスト」(未見)
(DVDないのか?)




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「パパは出張中!」エミール・クストリッツァ

2007-08-16 02:44:15 | cinema
パパは、出張中!

東北新社

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パパは出張中
1985ユーゴスラヴィア
監督:エミール・クストリッツァ
脚本:アブドゥラフ・シドラン
出演:モレノ・デバルトリ、ミキ・マノイロヴィッチ、ミリャナ・カラノビッチ


85年カンヌのパルム・ドール受賞作ということで、いかにもカンヌらしい作品である。

1950年代のサラエヴォ、スターリン主義影響下のチトー統治時代。
少年マリックの父は愛人もいる飲んだくれのろくでなし。
ある日新聞に載った一コマ漫画を観て「やりすぎだな」とつぶやくが、それが原因で逮捕されてしまう。しかも義理の兄の手によって。
僻地での労働に従事する父。子供たちには父は仕事で出張中、ということにしている。
父の転地を機に家族もサラエヴォから引っ越し、ふたたび家族で暮らすも、父の当地での女漁りなどが原因でぎくしゃくした暮らし。
ある日、知事が当地を訪問するにあたり、マリックは少年団の代表として知事にバトンを手渡す役に選ばれる。セリフを必死に練習するマリックと父。なんとか本番を迎えるが、セリフ中で「チトー」と「党」のどちらを先に言わせたかで、また詰問を受ける父。
やれやれ。


少年の目線で、かつ父をとおして世の中との関わりをみつめる作品で、少年時代の初々しいエピソードに満ち、随所で笑いをはさみながらも生活全体が暗い政治の影に覆われている。

これを見ると、後に「アンダーグラウンド」発表時にあった(という)、クストリッツァはチトー時代をノスタルジックに描いているという批判は、まったく当たらないだろうと思う。
後年の作品でむしろ明らかなように、クストリッツァの作品は批評精神に溢れてはいるが、表立って特定の事象を賞賛したり批判したりする一面性とは無縁の作家だ。
この映画では社会主義時代の理不尽な圧政に翻弄される庶民を描いている点で、体制に批判的であるといえるが、その一方で、登場する人たちはそれぞれの人生を、嘆きつつも受け入れ謳歌しているし、登場人物に「人生はすばらしい」とすらつぶやかせるという点で、状況を賛美しているともいえるのだ。
その二面性(というか多面性)のうち一面だけをみてしまうのはこの作家のもつ力の多くを見落としてしまうことになるのだろう。

批判的まなざしも決して忘れないが、そのなかでなんとか生き延びる人間の、力強さというのとはまた違う、弱いけれどもふてぶてしい「生きる」姿にも等しく視線をそそぐ。そんな作家なのだろうと思う。
その視線のバランスというものが、近作では一種様式化していって、戯画的な笑いの渦にたどりついたのだろうと、この監督の出世作を観て、勝手に推測する。

で、その様式化は、あくまで「ローカルな」映画である本作から、舞台はローカルでありながらも次第に「国際性」を帯びてくる近作へ至る道だったのだろう。(とまた勝手に結論付ける)



本作はユーゴ紛争で原版が失われたそうで、DVDも現存するプリントから起こされているそうです。


<過去記事:クストリッツァ>
アリゾナ・ドリーム
ライフ・イズ・ミラクル
アンダーグラウンド
SUPER8



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いや、無理っす^^;

2007-08-14 21:43:42 | diary
とにかく暑すぎてですね。

映画もまあぼちぼちと観てはいるんですけど、
な~んも書く気にならんとですよ。

忘れんようにメモっておくかな。
「黒猫・白猫」(逆かしら?)クストリッツァ
「煉獄エロイカ」吉田喜重
「勝手に逃げろ/人生」ゴダール
「ハリーポッター」のいまやってるヤツ
「右側に気をつけろ」ゴダール

あれ?こんなもんかな?
記憶がハッキリしない。。。

***

先日職場の健康管理室で面談があり。
9月中旬復帰を目途にならしていきましょうということに。

今週から毎朝定時出勤のつもりで外出すること。
短時間でいいので図書館のような、仕事環境に近いところで過ごすこと。
などなど。

いやーしかし暑いんでつい家でダラダラが現実で^^;
とりあえず朝最寄り駅まで行って、帰ってくるかスタバるか。
火曜日はスタバったがぐうぐう居眠りしてしまって・・・
なんかのっけからだめっぽい感じでありまする。

***

今日は朝から家の大掃除・・??
いや、昨日から大掃除だ。
なぜならピアノの調律にくるから。

見違えるようにキレイ(普段比)になった我が家をみて、
夕食時に家族に「父の宣言」をするわたし。
今後はこの美しさを保つこと。
出したものは必ず片付ける。
一日の終わりは片づけで終わりましょう。

がきんちょどもの散らかし癖が治れば我が家はもっと平和なのだ。



あと、夕方にちょっと散歩して、精神を集中し、
一気に二曲分の作詞をする。
誰の為にもならんような歌詞のためにわたしはいったいなにをやっているんだろか・・・的暗黒にちょっと陥りそうになったけど、夕暮れ空のきれいさになんとかてきとうに気分をごまかしてみた。


あそうそう、昼間、簾を買ってきてぱそこん部屋の窓に設置。
涼しげでいいけど、つるしたばっかしなので匂いがちょとキツイ・・


という駄文ダイアリーでした。


明日は白くまアリスのライブに行く予定。

あち~





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なんかしらんがものすごく

2007-08-10 22:31:18 | diary
暑くないすか?@東京
「猛暑」という予報だったのが一転して例年並み?となったなあと
思っていたら、
なんのことはない、「猛暑」やねん。

朝、疑似出勤と称して最寄り駅まで出かけて
suicaにチャージしてかえってきたけど、
それだけで確実にお肌のメラニン増えたぞ。
こうなりゃ日傘か?
性別の枠を超えて実をとってみるか??

でもクソ猛暑なので軟弱にエアコン効かせて
午前中は家でゴロゴロ
こどもといっしょに上戸彩主演「アテンションプリーズ」のビデオを見る。
普通の人は汗水たらして働いてるっちゅうのに
すごいのんきな過ごし方だよな。

しかし「アテンションプリーズ」、主題歌はoh! pretty womanを木村カエラが歌っているやつなんだけど、なんちゅうか、彼女はなにをやらせてもイイ線いっちゃってすごいんだけど、そのすごさがスゴくないというか、与えられたものをそつなくこなすけど面白みがない感じがして、ビデオ観ててすごく気になっちゃうんだよね。

モデル的なのかも。求められる素材を演じて、でもそれ以上ではない。

あれ?木村カエラっていう名前でいいんだっけ?
老人力で記憶に自身がない。
調べて書く気もない^^;

***

で、昼ご飯を作る気力などないので、近所のマックへGO!
エアコンの効いたなかジャンクフードを食い、再び家へ。

だらだらするのも悔しいので、son*imaのライブ用デモのミックスしたヤツを
あらためて聞いてみる。
んだけど、家の音楽室というか籠り部屋にはエアコンがなく(汗)
ひたすら団扇を手放せない環境(汗)
団扇を動かす手を緩めるととたんに脳内温度が上昇し、脳死寸前に(汗)

ぱたぱたやりながらミックスした音源をCDーRに焼いてみる。(汗)
いいのかな~こんな出来で??(汗)
ぱたぱた(汗)
あち~よ~(汗)
まあいいやこんな出来で(汗)

な状態でデモCDの完成。
メンバー分焼いて送らないと。

しかし、盤面はどうしよう・・うちのプリンタじゃ印刷できないし・・・
・・・・・プリンタ買うか?・・・

と午前中には欠片も思っていなかった思考が芽生え、
午後2時には足はビッ○カメラへと向っていた。

この金の使い方の無計画さが我が人生の問題だよなあ・・
でも朝suicaにチャージしたのはこのお出かけの前ぶれだったのかも


で約2万円でスキャンもできる複合機を購入。
むか~し、単なるプリンタが8万くらいしたのが嘘のよう。
うそだ~
と夢に浸るのもつかの間、
お持ち帰りにしたプリンタの重いこと!!

最初はなんとかなるかな??とか思っていたが、
しばらくして手がぶるぶる震えて限界に。
10メートル歩く毎に休憩し持ち手を変える惨状に。

いままで持ち運んだもののなかで一番重かったかも・・・

あまりの疲労困憊に、家を目前にしてド○ールでアイスラテを一杯。
あ~~思い出しても疲れる!


やっとこさ家について、開梱とセッティングはMちゃん(久々登場)が手伝ってくれました。
彼女は幼少のころから機械ものの操作パネルが好きで
今回のプリンタのコンソールに目を輝かせておりました。
エンジニアにならんかな?


夜になっても暑い・・
のでCDレーベル印刷はちょっともうやる気なし
明日にしよう。

こう暑いと、ライブやりたいとかいう当初の欲求自体が薄れてしまって(汗)
まあ、そのうちでいいかな、とか(汗)
自分でない自分が勝手に思っている(汗)
そんな感じだよ(汗)


収拾せず終わる。(暑い)





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「サンセット大通り」ビリー・ワイルダー

2007-08-08 04:43:54 | cinema
サンセット大通り

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SUNSET BOULEVARD
1950アメリカ
監督:ビリー・ワイルダー
脚本:ビリー・ワイルダー、チャールズ・ブラケット、D・M・マーシュマン・Jr
音楽:フランツ・ワックスマン
出演:グロリア・スワンソン、ウィリアム・ホールデン、エリッヒ・フォン・シュトロハイム、ナンシー・オルソン、フレッド・クラーク、ジャック・ウェッブ、ヘッダ・ホッパー、バスター・キートン、セシル・B・デミル

デヴィッド・リンチのお気に入りの1作ということでセレクトしてみました。

あらすじなどは他を参照していただくとして、この映画をみてたら、虚実まきこんで猛烈に目眩を感じたので、その辺を列挙。

ノーマ?/グロリア?
主人公のノーマ・デズモンドは無声映画時代のスターだったが、いまや忘れられた存在。しかし自分ではそのことを認めることが出来ない。そのノーマを演じるグロリア・スワンソンも、撮影時にはすでに過去の人であり、主役を張るのは20年ぶりだったとのこと。
そのノーマ/スワンソンが、かつて自分が君臨したパラマウントの撮影所をおとずれ、セシル・B・デミル監督本人に会うシーンがある。デミルはまさにスワンソンをスターにした監督である。この邂逅はノーマが演じているのか?それともスワンソン本人のシーンなのか?あの、スタジオの門でのやりとりやスタジオ内でとりまかれるシーンは虚構なのか?現実なのか?
この領域侵犯感にくらくらしてしまふ。

パラマウントのスタジオもセットも実際の撮影所のものだし、撮影所とセットを「ロケ」したという面白いシチュエーションである。

ちなみにあのスタジオ(no8だったか?)の外壁風景は、リンチ「インランド・エンパイア」でも舐められていて(no14だったか?)、もしかしたらリンチは意識していたかもしれない。


マックス=元映画監督
執事マックスは、かつてはノーマのデビュー作を撮った監督であり、かつノーマの最初の夫であるという設定であるが、マックスを演じるエリッヒ・フォン・シュトロハイムは実際に20~30年代に異様な存在感で君臨した映画監督。しかもノーマ役のグロリア・スワンソンは、かつてシュトロハイムの監督した作品に出演しており、実際ふたりは恋仲だったという。
ノーマが自分が主演した過去のフィルムを観て恍惚となるシーンでかかるフィルムは、まさにシュトロハイムが過去に撮ったスワンソン主演の映画である。マックスのセリフに、「彼女を見いだしはしたが、幸せには出来なかった」とかいうようなのがあったが、これは実際のシュトロハイムのセリフであるといってもいいかもしれない。
これはシュトロハイムとスワンソンの胸中を想像するに、すごいシーンでは?


銀幕のスターたち
無声映画のスターがノーマの家に集まってブリッジをするシーンは、実際に無声映画で活躍した(つまり現在は落ち目の?)俳優が演じているとのこと。確かに、そのうちの一人はキートンだよ!「パス」ばっかしでくすりと笑わせてくれていますね~


語り手は誰だ?
でもいちばん面白いのはこの物語の語り手が誰だ?というところですかね。オープニングのシーンは試写の時はまったく違うシーンだったということだけど、それを書いちゃうと正真正銘のネタバレになっちまうからね。
ここんとこが結構リンチ的かもしれないな。プールのアングルとかね。

でもって、この語りを聞いている我々とはいったい誰だ?という、(めるつばうさんのおっしゃる)無限後退に似たような、自分を俯瞰してしまうような感覚に襲われる。これがいい。

ビリー・ワイルダーおそるべし。

****

オープニングの異常な視点からの一続きのショットは実にリンチ的というか、ワイルダーの方が先なんだけれども。

リンチは「マルホランド・ドライブ」のときかなんかにパラマウントの正門を撮ろうとしたら、シンボルマークの撮影許可が下りなかったと回想しているが、「サンセット大通り」では平然と映っている。

ナンシー・オルソンが利発でかつ初々しい恋人役を好演。すてきな女性。

全体的に、幻惑されながらも、どこか安心して身を預けられるような感覚もあり、これが50年代ハリウッドの力なのでしょう。
それはワイルダーはじめ、多くの亡命者による力ともいえるでしょう。


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「インランド・エンパイア」デヴィッド・リンチ(二度目)

2007-08-05 23:37:52 | cinema
「インランド・エンパイア」二度目、行って来ました。
これはですね、二度目の方が初回よりずっと楽しめました。
謎がわかる、とか、筋が見える、という楽しみとはまったく別物です。
浸りこめるものに一層浸りこんでいく、そういう楽しみです。

リピータープレゼントでポスターもらいました^^v


ロストガールは何者で、どこにいるのだろうか。
役者がポーランドの人だし、冒頭のポーランド語で会話する人たちのいたマンション?と同じ並びの部屋にいるらしいし、やっぱりポーランドなのだろうか?

むしろロストガールのいる場所はどこでもない場所、ノーウェア・ガールと思いたい。
ある面では、長い長い周り道をした結果、天使としてのニッキーがロストガールに救済を与えにたどり着く場所、であるから。
救済の映画。

ロストガールは「47」の殺害された主演女優だ、という説があるが、そういう説明をしてもらっても、なにかピンとこない。そうだとして、なぜTVですべてを眺め、あんなに涙を流し、最後になにが救いとしてもたらされたのか、が明らかにはならない。わかった気にならない。

ロストガールの女優さん(カロリーナ・グルシュツカ)はなかなか魅力的な顔立ち、ちょっと熟れた果実系の、みずみずしい存在感。80年生まれだそうですよ。


スミシー
天使の抱擁をうけたロストガールは、ようやく部屋をでて、男とその息子に出会い、喜びの抱擁をする。わけがわからないけどめでたしめでたし。という雰囲気だ。

その息子は、クレジットによると「スミシーの息子」となっている。だから男のほうは「スミシー」なのだ。で、私は「スミシー」は何者か?がよくわかっていない。誰?
冒頭近く、ニッキーたちが台本の読み合わせをする場面で、スタジオに建てられているセットが「スミシーの家」だ、とのセリフがある。
このセットはそもそも時空間が狂いはじめる最初の舞台となるわけで、ロストガールとスミシーの救済に向って次元は乱れはじめたのかもしれない。

で「スミシー」といえば、アラン・スミシー
このあたりもハリウッド内幕ものとしての色づけと、あとなんとなく不在の人物をさしているようで無気味さを覚える使われ方だなあ。

ロストガールと不在のスミシー親子が熱く抱擁すると、なにが救われたんだろうか?
潰えてしまった映画と人生への鎮魂なのかしら。
わからん。けどあのシーンでは思わず涙する私です。


冒頭
なにがいいって、冒頭の数分?あのぞくぞくするノイズとタイトルのあと、レコード盤と針、ナレーション。
そのあとの薄暗く灰色というか鉄色に沈む廊下を、なぞの男女がうごめく。
この一連のノリが大好きでね。
イントロがよければ勝ちなわけで。

エンディング
といってもあの熱唱ではなくて、裕木奈江の後から熱唱の前までの、あの迷宮をさらに濃縮した世界。無人の劇場で自分の姿をスクリーンに観るあの世界。ジェットコースターの最後の絶叫ポイントにむけた焦燥感。
エンディングがよければ勝ちなわけで。

この映画のつくりはだからポピュラー音楽の作り方なんだな。

ペンデレツキ
ペンデレツキの曲を、自分でこの映画用につくったもののように使いこなしてしまうのは見事。おもわずペンデレツキのCDを買いに走るわたし。

迷宮:人生
A woman in trouble・・とだけこの映画を語ったらしい。
恋愛、不倫、暴力、妊娠、殺人。ありとあらゆるトラブルがあるのがこの映画。
それが迷宮として現前するところに面白さがあり。
夢の世界でも無意識の世界でもなく、夢も無意識も含んだ現実としての迷宮を感じさせるのがこの映画なのでは??


サイトもパンフもあまり役にたたん映画です。

もう一度観たいよ。

一度目の記事


コメント (9)
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「気狂いピエロ」ジャン=リュック・ゴダール

2007-08-05 00:51:17 | cinema
気狂いピエロ

ハピネット・ピクチャーズ

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PIERROT LE FOU
1965フランス/イタリア
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
原作:ライオネル・ホワイト
撮影:ラウール・クタール
音楽:アントワーヌ・デュアメル
出演:ジャン=ポール・ベルモンド(フェルディナン・グリフォン)アンナ・カリーナ(マリアンヌ・ルノワール)


15年ぶりくらいの再観。
いいすね~


恋の前にはどこまでもつづくような空白がぽっかりと口をあけているもので、
すごい魅惑的なくせにその漠としたとらえどころのなさに、
人は惹かれながらも空恐ろしさを感じて、
空白に踏み込むのをなんとなく暗黙の内に避ける。
で、とりあえずは恋をかたわらに日常生活も捨てずに折り合っていったりする。

でもマリアンヌとフェルディナンは、その空白にふわっとすべりこんでしまうのです。自覚さえしていないのではないかしら。空白が空白であることにも。

空白を埋めようとするかのように、憑かれたように車を走らせる。金を盗み、ガソリンを騙しとり、車をオシャカにして、河を歩き、もっといい車を盗んでまた走る。
行き着く先は海。陸の終わり。
チャンドラーの生活からジュールヴェルヌの生活へ。

でも行き止まりの定住は、空白の虚無に耐えられない。
見えるのは二人の間の距離ばかり。
距離は知らないうちにすうっと離れていって、先に耐えられなくなるのはマリアンヌ。恋を抜け出してリアルワールドのしがらみにフェルディナンを陥れる。

希望を捨てないのはフェルディナン。男は言葉で考える。女は感情で考える。フェルディナンの言葉は「希望」。
陥れられてもマリアンヌを信じる気持ちを持ち続ける。

でも無理なものは無理。マリアンヌは空白の果てを見たかっただけ。フェルディナンはそこまでついていけただろうか?

悲しい終わり。
ふたりがいなくなったあと、誰のものともわからない言葉だけが残る。
「みつけた」
「なにを?」
「永遠を」



恋の、底なしというか無重力というか果てしなさというか、そういうものの魅惑と空恐ろしさを感じたことのある人には、大変オススメな映画だと思うのですがどうでしょ?

**************************

港で幻聴を聞いている男の話が妙に記憶に残っていた。
あれは音楽に合わせてやっているんだよなあ。すごい話芸だ。
でも内容もおもしろくてね。
手の上と下を愛撫し続けてもう10年だ!!とか切れていたけどね~
わかるなあ(笑)
(うちはもう20年だよ)

ベトナムごっこもすごいし。
(アンナ・カリーナのあんな姿みていいのか?的すごさ)

サミュエル・フラーのシーンは通訳がからんでいたのね。なんかそういう記憶がなかった。

**

しかし!
アンナ・カリーナにはずっと見とれてしまったですよ。
ちょっと左目のほうが大きい彼女。
カメラ目線で会話する彼女。
最初の登場から終わりにかけての変貌ぶりもいいし、
ころころ変わるファッションもいいよ。
(どこに服もってるんだ?なんて野暮なことは聞くまい?)

唐突に思えたミュージカルシーンも思ったより自然で、
なんたってアンナが歌っているんですもの!

意外とアンナをカラーで観る機会は少ないのよね。
アンナLOVE!




あとは音楽がとても饒舌なのが特徴でしょう。積極的に音楽も恋の空白の底なし感を語っていて、つい涙してしまうのです。
今ちょうどサントラが安く出ているので買い時です!
気狂いピエロ
アントワーヌ・デュアメル,アンナ・カリーナ,サントラ
ユニバーサルインターナショナル

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あ、そうそう、「あらんじあろんぞ!」という言葉がでてくるのもこの映画ですね~


好き度:やっぱ名作よ

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いやまいったよ

2007-08-03 04:45:13 | diary
あら?写真が横向きだよ^^;

今日はなにをやってもうまくいかん・・・


2日(木)は診察日でした。
18日から復帰するかどうかを検討しました。
朝の眠気はかなりなくなって、日中元気に過ごせるようになってきたので、
復帰してもいいとは思うのだけれど、
●まだ外出時の疲労が強く、元気~外出~へろへろをくりかえす状態であること
●復帰前に2週間程度の復帰訓練が必要であること
から、できたらもう一ヶ月復帰を延ばして9月あたまから慣らし出勤
という風にしたらどうかと言われました。

夏真っ盛りに復帰することも心配だということです。

まだ職場と相談していないのでどうなるかわかりませんが、
もう復帰しても大丈夫で、ただ18日ではあわただしいので、実質9月から復帰と思って暮らしなさいということだと思います。


なんとかして社会人として生きなければ。。
最低でも子供が成人するまでは(おお、もうすぐだぞ!・・いや、まだか^^;)

****

とかいいながら、早朝覚醒してしまったのでこんな所に書いているわけですが・・

早朝覚醒のときって、目が覚めたら起き上がらないでまた眠ればいいじゃない?とか奥様は言うんですけど、
どういうわけか、その時って寝ているのがものすごく苦痛でちょっと起きた方が気分がすっきりするんですよね~

下手に寝続けると悪夢に突入する。しかも連続する悪夢。

ここ数年よく見るのが、家に帰りたいんだけど、どういうわけか道に迷ってしまって、見知らぬ街をさまよい歩くというやつ。
ほんとに山あり谷あり、海もでてくれば巨大な集合住宅もあり、大概は夕暮れか夜なんだけど、急に人がたくさんいる所に出てしまったり。
方角はあっているんだけれどどうしてもそちらに抜ける道がない、、とか、大きなショッピングモールに入ってしまい出口がわからない、とか。
なんとか鉄道の駅に出たけど、自宅からはすごく面倒な路線だったり。

登場する風景や街並みはリアルカラーで見応えはあるんだけれど、ものすごく疲れるんですよね~一晩中さまよい歩いているようなもんで。

なので、早朝覚醒のときはさっさか起きてブログでも書いてすっきりして、眠くなったらまた寝る、というのが精神的によいのです。

***

ということはさておき、
我が家には死んだiMacが一台あるんですが、なんの気なしに立ち上げてみたら、なんと立ち上がっちゃったんです。

それはいいんだけど、ネットワークにつながらない。

何故だ????

なにも設定はいじってないんだけどな~
DHCPで拾ってくるアドレスが変なアドレスになっちゃってる。
しかたないので、手動でアドレス設定・・・・繋がらない・・・

なんてやっているうちに、他のパソコンまで繋がらなくなってきちゃった!
なんでだ?!?!

うむむむ~~~わからん~~
と思ってルータをオフ/オン

うう~~~繋がらない;;
そんなあ

こんどはLANケーブルを抜き差し
・・・ダメだ・・・

なんてことをやっていたら、30分くらいして急に正常化。

なんだこりゃ??


ネットワークスペシャリストの意地で原因究明したいところだが
よ~わからん^^;

SWハブのポート差し替えをやったんだけど、そこかなあ。
ルーティング情報を書き換えるのに一定の時間が必要だということかも

でもそもそもの発端がよくわからない・・・


ブログ的にはどうでもよくなってきたのでここでやめる。

****

病院の帰りに山●楽器でCDとスコアを買う
ペンデレツキ「ルカ受難曲」他数曲
ペルゴレージ「スタバトマーテル」
以上CD
レスピーギ「古風な舞曲とアリア#3」
グリーグ「2つの悲しい旋律」
ペルゴレージ「スタバトマーテル」
マーラー「交響曲第2番復活」
以上スコア

その後近くの本屋で「カラマーゾフの兄弟」新訳を買ってしまう。
旧訳読んでいるのに・・
全巻ボックスで訳者サイン入りというのに釣られて・・・

子供が読んでくれないかなあ

カラマーゾフの兄弟1
ドストエフスキー,亀山 郁夫
光文社

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カラマーゾフの兄弟2
ドストエフスキー,亀山 郁夫
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カラマーゾフの兄弟3
ドストエフスキー,亀山 郁夫
光文社

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カラマーゾフの兄弟 (4) (光文社古典新訳文庫 (KAト1-4))
ドストエフスキー,亀山 郁夫
光文社

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カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫 Aト 1-5)
ドストエフスキー,亀山 郁夫
光文社

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くそー明け方なのに蝉が鳴きまくっているよ



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「戦場のピアニスト」ロマン・ポランスキー

2007-08-01 20:11:46 | cinema
戦場のピアニスト

アミューズソフトエンタテインメント

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THE PIANIST
2002フランス/ドイツ/ポーランド/イギリス
監督:ロマン・ポランスキー
原作:ウワディスワフ・シュピルマン
脚本:ロナルド・ハーウッド、ロマン・ポランスキー
出演:エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン、エミリア・フォックス


すごかったな。

ドイツ占領下のポーランド・ワルシャワで辛くも逃げ延びたユダヤ人ピアニストの体験記をベースにした作品。

ピアニスト(シュピルマン)の視点でみた当時のワルシャワの状況を徹底的に視覚化してやろうという意志を感じた。

占領端緒はまだシュピルマンも街を歩けたので、ドイツが徐々にユダヤ人を迫害していく街の様子が克明に描かれる。
後半、ゲットーでの強制労働から逃亡し隠れ家での生活に入ると、窓や穴から外を覗く視点に移行する。ユダヤ人居住区からの抵抗や、ドイツ兵の傍若無人は、窓から見下ろす視線で描かれる。
次第に情報から疎遠になり、同時に食料や水もなくなり、当面今を生き延びることが主眼となってくる。強制収容所での惨劇も、連合国による解放もシュピルマンには大きなニュースとしては伝わらず、従って映画中でも大きく描かれることはない。
この絞り込むような視点の変化が、緊張感と臨場感を生んでいる。


それにしても可視化への情熱はすごいものがあった。
果てしなく続くユダヤ人居住区の家並み。あれがセットであることは最後に廃墟となった居住区でわかる。あの廃墟を遠近法で遥かに見渡すことにこだわりがあったに違いない。
日に日にみすぼらしくなるユダヤ人たちの服装。餓え。行き倒れの死体が転がる通り。夜、突如やってくるドイツ兵によるユダヤ人一家の虐殺。気まぐれに行われる銃殺。ぞっとするほど実物に似ている移送貨車。
シュピルマンの目にしたものは徹底的に写実的に描かれる。

この情熱は実際占領下のポーランドを逃げ惑った体験をもつポランスキーの執念なのだろうか。
敗者が映像をもたないことへの怒りをこめた埋め合わせのようなことだろうか。

***

音楽が極端に抑えられているのも特徴的だ。
「ミュンヘン」でも「パラダイス・ナウ」でもそうだったが、音楽は特定の状況においてのみ使われる。

この映画でもそう。自ずとシュピルマンがラスト近くで弾くショパンが異様に際だって聴こえることになる。(あのシーンは、なんだか「芸は身を助く」みたいで凡人には残酷なシーンのようでもあるが)

***

日本ではどうだろうか。
被占領国であった朝鮮、台湾、中国などの映画は、あの時代をどのように映像可しているだろうか。

ゴダールはこの映画をみてなんというだろうか。
やはり史実の可視化の政治性について、苦言のひとつでも口にするだろうか。

これを観る前にアラン・レネ「夜と霧」を観た。
こちらは「戦場のピアニスト」では描かれない強制収容所の映像であるが、移送貨車など、当時の映像を見ることができる。
二本立てとしてはなかなか重い組み合せであるが、内容的に補完しあっているかもしれない。


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アントニオーニも

2007-08-01 09:46:11 | cinema
「赤い砂漠」「太陽はひとりぼっち」などで知られるイタリアの映画監督ミケランジェロ・アントニオーニさんが30日、ローマの自宅で死去した。94歳だった。ベルトローニ・ローマ市長が31日、明らかにした。AP通信などが伝えた。死因は不明。葬儀は8月2日に出身地のフェラーラで営まれる予定。

とのこと。
ベルイマンと同じ日です。
ベルイマンのほうが年下だったんですね。



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