アピチャッポン・ウィーラセタクン
初鑑賞でした。
これはとてもよいと思う。
コロンビアで撮られているので
先入観的にマジック・リアリズムという言葉がよぎる。
思えばどのエピソードも
どの断片も
自然な現実の一コマのようであるが、
あとから考えてみると
あれは「現実」なんだろうか?
不確定な/不明な/不穏な
ことばかり。
目の前で起きていること
遠い過去に起きたこと
未来に起きること
あるいは起きてもいないこと
自分に起きたこと
他人に起きたこと
あるいは起きたか起きてないかわからないこと
それらがもっともらしい風情で
浮かんでは消えてゆく
そこにある「記憶」の
奇妙な現実感
と、わたしたちの存在を成しているもの
との
響き合い
のようなものが
絵として、
あるいは特に音として立ち上る
そういう時間を経た後の
最後のシークエンス
(風景と環境音のみ)
の存在感、
そこに含まれるものの深みは
圧巻で。
他にこんな映画があるかしら。
***
ということで、
同時期に上映していた
「A.W.アピチャッポンの素顔」も観てきたり。
「メモリア」のメイキング的なものであるが、
これはこれでアピチャッポンを主人公にした一つのアピチャッポン的映画
密林の川をボートで行きながら語る映画や自身の考えていること
誰も真摯だがどこか魔法の世界のことのよう。