Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

2383?

2007-03-31 21:53:54 | diary
昨日このブログは2383ページビューを記録!

しかしそのうち2000くらいは午前3時台に記録。
その時間帯のユニークビジター数は2。
ページ毎のアクセス数はせいぜい5。

つまりあきらかに集計過程になんらかのノイズが入ってしまっただけのことと思われる。
どよ~~ん

***

ブルースハープを買った。
ライブで吹きたいと思って。

むかしむか~し、フォークソングが好きだったころ、
ブルースハープはかっこいい楽器だったな~
聴いていたのは全然ブルースじゃなかったけど。

実家にいくとハーモニカホルダーがあるはず。
30年前くらいに買ったヤツだ。
とりに帰ろうかな。


30年たってやっと本物のブルースハープを買った。
30年前は小学校で使った「ハーモニカ」を吹いていた。
「本物」は想像以上に響きの良い音だった。

はたして日の目を見る日は来るか??



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さくら

2007-03-31 15:01:21 | movelog

さいた さいた さくらが さいた

でも寒いよっ
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ジャン=リュック・ゴダール「映画史第5章絶対の貨幣」

2007-03-29 05:22:33 | cinema
ジャン=リュック・ゴダール 映画史 全8章 BOX

紀伊國屋書店

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監督・編集:ジャン=リュック・ゴダール

今日のサラエヴォのことかと思って聴いていると、19世紀末のサラエヴォの事態を糾弾するユゴーの檄文の朗読である。怖いほど現代の状況に迫ってきてびっくりする。
過去は死なない。過去ですらない、、とはこういうことか。

このイントロに象徴されるように、思いのほか饒舌な第5章である。
二つの、二つ以上の、戦争が映画に、人間に、残した傷を強く強く糾弾する。
戦争と、それに伴う虐殺と、破壊。
1942年の列車、列車→アウシュビッツ行きの・・
徹底的な、運命的な、虐殺と破壊=断絶。


・・その断絶のあとに、むしろ力強く立ち上がってきたのはイタリア映画だったという。
他の、ヨーロッパの国々は軒並み断絶の影に倒れ伏しているのに。

ゴダールはほとんど手放しで戦後イタリア映画を賛美する。
ロッセリーニ、デ・シーカ、ヴィスコンティ、フェリーニ・・・
確かにすごい、の一言。

**

あとは、映画は写真を相続して始まった、、
写真は絵画に対して喪に服す白黒で始まった、、
近代絵画の父マネは映画の父でもあったのでは、、とも。

刺激的な起原の考察。



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行く川の流れは絶えずして・・

2007-03-27 03:25:24 | diary
もとの水にあらず?
わかっちゃいるけど変化に弱いmanimaniです。

職場の4月の人事異動で、これまでよき理解者としてわたくしを飼っていてくれた直属の上司がふたりとも異動になってしまい・・・
いまの上司はわたしの発病前の大活躍??を知っているので、かくまう義理も多少はあったんだけれど、こんどの人はまったく私の過去なぞ知らず。義理もなにもない。

これまでのようなゆる~い勤務態度ですごせるのもあとわずか・・ってもう1週間ないですよぉ
4月以降の身の振り方に寝ながら悩んでいるうちに目が覚めてしまったわい。

ま、悩んでもしかたない。病人らしく振る舞って事実を認識してもらうしかないにゃ。

ただでさえ年度末で詰まってきているというのに、別の上司はとんちんかんな資料作ってきてからに、それのメンテナンスをやるはめになっちまったし。
もういっぱいいっぱいだっちゅ~の


病院に行ったら行ったで、血液検査の結果肝機能障害の疑いがありますとか出ちゃうし。酒も飲まんのにそりゃないだろう;;しくしく

なんだか人生終末感にみちあふれてきたでございまする。。。。。

***

でも昨日はスケートのエキシビジョン?をTVで観て、スケーターたちの集中力というものを画面からちょっとだけ吸い取る。
これだ。この集中力でチェンバロを弾けばいいんだ。
と心に念じてチェンバロ教室におもむく。
と、これ不思議、楽器が自分の手の一部のように感じるじゃありませんか。
思った通りの演奏が出来て満足

前からそうだったんだけど、人が演奏している画面や実物を見ると、しばらくはそこから伝わってきた「楽器を弾く体感」が自分のなかに残っていて、妙にうまく楽器が弾けるようになったりする。
見ることも 大切だ。


寝よ



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今村隆寛「ONE PIECE ワンピース エピソード オブ アラバスタ 砂漠の王女と海賊たち」

2007-03-26 12:49:52 | cinema
ONE PIECE ワンピース エピソード オブ アラバスタ 砂漠の王女と海賊たち

2007日本
監督:今村隆寛
原作:尾田栄一郎
声の出演:田中真弓(ルフィ)中井和哉(ゾロ)岡村明美(ナミ)山口勝平(ウソップ)平田広明(サンジ)大谷育江(チョッパー)山口由里子(ロビン)渡辺美佐(ビビ)

川崎チネチッタ初体験でした。
どんな話かなと期待して観にいったけれど、なんのことはない、ワンピースの最初のでっかいアドヴェンチャーストーリーであるアラバスタの話を90分でダイジェストしたもの・・・だった。

コミックでも数巻にわたり、TVでも何回にもわたったアラバスタをめぐる物語を90分で??そりゃちょっと無理だろう・・
案の定、劇中にでてくるいろいろな決めシーンも、それまでの伏線があってこそ深みがあるってところも、全部よくわからないじゃないですか。。。
ビビがなぜ国を出てルフィたちと一緒にいるのか・・とかロビンがなんで敵なの?とか、バロックワークスってなに?とか、要はストーリーの全貌を知ってないとわからない要素が多すぎ。
じゃあ、全貌を知っていると楽しめるかというと、そうではなく、無駄に薄められたあらすじを見せられているようで、これだったらTVシリーズを見返したほうがいいかもな。

どうせならアラバスタにまつわるまったくのオリジナルストーリーのほうがよかったな。ワンピース劇場版はずっとオリジナルストーリーで来たんだし、なんで今回はダイジェストなのかなあ・・

まあTVシリーズもそうそう観ることはできないし、一種のファンサービスなのかな。

***

アラバスタを経てルフィ海賊団はそれまでの海賊ごっこからぐんとステップアップした。だからアラバスタのエピソードは、キャラクターたちそれぞれの成長の物語でもあるわけで、それはアラバスタでのバロックワークスのNoエージェントとの戦いで感動的に描かれていたのだ。
ナミは初めて一人で戦って勝利を収める、ウソップとチョッパーもチームワークで強大な敵に立ち向かう、ゾロは窮地においこまれたところで技と精神力を一段高いところへ持っていく。サンジもいつものクールさを保ち得ないところでの戦いを経験する。
映画版ではその戦いを結果的にふつ~の戦いとして描いてしまった。これが最大の残念所かな。


ワンピース劇場版、昔は映画館に入場者の列ができるくらいの人気だったけれど、いまは休日でも館内はすかすか。やっぱり世の中そんなもんなんでしょうかね~


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「パリ・ジュテーム」

2007-03-24 01:05:22 | cinema
パリ・ジュテーム
パリ、ジュテーム プレミアム・エディション [DVD]

ジェネオン エンタテインメント

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2006フランス/ドイツ/リヒテンシュタイン/スイス
監督:ブリュノ・ポダリデス、グリンダ・チャーダ、ガス・ヴァン・サント、ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン、ウォルター・サレス、ダニエラ・トマス、クリストファー・ドイル、イザベル・コイシェ、諏訪敦彦、シルヴァン・ショメ 、アルフォンソ・キュアロン、オリヴィエ・アサイヤス、オリヴァー・シュミッツ、リチャード・ラグラヴェネーズ 、ヴィンチェンゾ・ナタリ、ウェス・クレイヴン、トム・ティクヴァ、フレデリック・オービュルタン、ジェラール・ドパルデュー、アレクサンダー・ペイン
出演:ブリュノ・ポダリデス、フロランス・ミューレル、レイラ・ベクティ、シリル・デクール、マリアンヌ・フェイスフル、イライアス・マッコネル 、ギャスパー・ウリエル、スティーヴ・ブシェミ、ジュリー・バタイユ、カタリーナ・サンディノ・モレノ、バーベット・シュローダー 、セルジオ・カステリット 、ミランダ・リチャードソン、レオノール・ワトリング、ジュリエット・ビノシュ、ウィレム・デフォー、イポリット・ジラルド、ヨランド・モロー、ポール・パトナー、ニック・ノルティ、リュディヴィーヌ・サニエ、マギー・ギレンホール、リオネル・ドレー、ジョアンナ・プレイス、セイドゥ・ボロ、アイサ・マイガ 、ファニー・アルダン、ボブ・ホスキンス、イライジャ・ウッド 、オルガ・キュリレンコ、ウェス・クレイヴン、エミリー・モーティマー、ルーファス・シーウェル、アレクサンダー・ペイン、ナタリー・ポートマン、メルキオール・ベスロン、ジーナ・ローランズ、ベン・ギャザラ、ジェラール・ドパルデュー、マーゴ・マーティンデイル

ってここまで書いたらもういいかって気になるオムニバス(笑)
パリの各地を舞台に、1編5分のショートストーリーからなる120分。
旬の監督たちがパリをどう料理するか、楽しみに観にいった。

私のもっている今のパリのイメージに近いものが描かれていたと思う。
外国人がエトランジェになる疎外感、移民と人種の問題、博物館のような町並み、個人主義、コンセルヴァトワールに挑む若者、謎の券売機、駐車困難、横断困難(笑)、ゲイ、猥雑な夜?

1編毎の物語は他愛のないものがほとんどだけど、全体としてみると、面白いようにいろいろな表情を見せてくれるという点で、実は結構優れたオムニバスなんじゃないかなと思うのでありました。

***

5分をどう扱うかはほんとうに各編ごとにノリが違って、それも興味深かった。

善戦したのは諏訪敦彦「ヴィクトワール広場」で、5分のなかに喪失感とそれを乗り越える心の動きをきっちりと描ききってお見事!キャストも脚本に答えるように濃縮された演技でよかった。いつもは即興で演出するのだけれど、5分という制約で物語を成立させるためにはじめて脚本と絵コンテを描いたということだ。今後が楽しみな監督。
しかしジュリエット・ビノシュは年とったな~まあ「汚れた血」から20年は経っているんだからあたりまえか。それにひきかえウィレム・デフォーの変わらなさはなに?(笑)

コーエン兄弟「チュイルリー」もよかったな。スティーヴ・ブシェミのいいところはなんといっても顔だよな~と思っていたら、いきなりあの画面!さすが!わかってらっしゃる的演出に大笑い。

「死ぬまでにしたい10のこと」のイサベル・コイシェ「バスティーユ」もしみじみと男女の愛情の深みを突いていいな。自分の身に引き寄せて考えてしまったよ「ムラカミ」もでてくるし。

イライジャ・ウッド出演の「マドレーヌ界隈」は、作りから音楽からいかにも「ロード・オブ・ザ・リング」のパロディ風で初めっから大笑い。

異色なところではホラーで名をあげたウェス・クレイヴン「ペールラシェーズ墓地」なんかも心にのこるし、トム・ティクヴァ「フォブール・サン・ドゥニ」もいいし、オービュルタン+ドパルデュー「カルチェラタン」も往年のフランス映画的話芸で見せるし。アレクサンダー・ペイン「14区」のとぼけた観光客魂も抜けていていい。・・と切りがないけれど、どれも結構いい味出してたと思う。

5分という時間は「これでおわり?」という感覚をつねに感じさせるくらいの長さで、どれも未消化な感じを抱かせるけれど、それがかえって、全てのストーリーが同時現在進行形でずっと生き続けているような気分につながっていて、微妙なバランスで成功側に傾いているように思う。
なかなか際どい手法だけれど、これはまたチャレンジしてみる価値があるアイディアではないかな。
(今度は東京でどうでしょう?)



好き度:

**************



さてと、映画のあと三信ビルによってみました。もう店舗は1店しかなく、閉鎖を待つばかりなのでしょうか。
その残ったお店でコーヒーを飲んでいくことにしました。57年営業したその店も3月いっぱいで閉店とのこと。古びた喫茶店風の店もたまにはいいもんだなとのんびりしました。
コーヒーはお世辞にもおいしいとはいい難かったのですがね(笑)

そばの席で若者が映画談義をしておりました。
ちょっとおたく入ってましたけど、まだ時間も体力もありそうな彼等がうらやましくもありました。

歴史のあるランドマークがなくなっていくのは残念です。


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アイリーン・ガン「遺す言葉、その他の短編」

2007-03-23 06:10:15 | book
遺す言葉、その他の短篇

早川書房

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テッド・チャンより寡作という惹句にひかれて読んでみる。
死んでいる人と寡作の人にはなぜか惹かれるんだよね^^;

で、イーガンの短編のあとに読んだせいか、どうもネタの噛み砕き具合が足りない印象で、もうちょっと仕掛けに凝ったらいい小説になるのにな~と思ってしまいました。
とはいえ、下品な種明かしとかご都合主義的展開は一切なくて、架空世界にポンと説明なしに放りこまれる感覚はスマートで、ユーモアあふれる言い回しもさえていて読んでいて悪い気はしない。
一編が短くて読みやすいし、悪くないです。

**

○中間管理職のための出世戦略
昆虫といえばカフカだけど、これはもっと卑近な、俗っぽいがゆえに変に切実な寓話。その渦中にいる者は身につまされる感覚なのだと思うな。これに匹敵するくらい精神構造を改変してるんだぞ~っ!って。まあそれに気づかずどっぷり浸っている人は幸か不幸か・・?

○アメリカ国民の皆さん
これはわたし、肌でわかる世代じゃないな~
わかる人にはすっごく笑えるんだろうな~
NさんがTV司会者ってのも可笑しいが、R君は生き残ってるけどまたやられちゃうし。

○コンピュータ・フレンドリー
「友達」のノリが下品で最高にいい。これがアメリカの8歳児かあ。うちの子ははるかに上品だぞイ。
で、これは教育というものが未来に向けてどうしても想像させてしまう悪夢みたいなものをとらえているなあと。子供の持つアナーキーさと、それを否定する体制と、それを擁護しきれない親の立場と。で、状況を打開しようとするのは少女のっ枠組みを超えた心情と、マージナルな大人達・・って物語の王道ではないですか。

○ソックス物語
あははは~
シュヴァンクマイエルのアニメみたいだ。もしくはモンティパイソン?こういうナンセンスは若いころ好きだったな(^^;)

○遺す言葉
これは道具立てはすごく期待持てる。もうちょっと展開できたらもっと面白いのに~。でもあの先の展開を書かずに匂わせて終わるというのも確かにひとつの見識だな。想像力が刺激される~~~
・・と言うより、これはかつてあった生というものの不思議とそれに対する畏敬の物語なので、あまりSFチックに盛り上げる必要はないだろう。感じ取られるのは精神の不滅。その希望に涙腺が緩む。

○ライカンと岩
ちょっとティプトリーっぽいテイストの作品。
ここでも教育の悪夢とそれを乗り越える希望というテーマがみられる。
子供の頃大事だったものと、長じてからともに歩いていくというのはなかなか感動的。

○コンタクト
これはいい雰囲気だ。ファーストコンタクトものといえば断然レムだけれど、この作品、前半はレムを思わせるような厳粛さ。でも途中からはまったく違う。むしろ異世界間の愛のあり方を描く。世界が、異種であること、多様なもの混交であるならば、幸せとはこういう道であるのかもしれない。
これもティプトリーを思わせる。

○スロポ日和
一転してサブカルな雰囲気。ティプトリーの軽めの作品を思わせる。風俗産業の滑稽な真実をスパッと切り分ける異星人の妙な冷静さに笑えるし、それをとりまく人間の軽薄さがなんとなく人類の危機を救っちゃったりするのが可笑しい。(救うというか先送りってあたりもいい)

○イデオロギー的に不安定なフルーツ・クリスプ
ティプトリー賞(というのがあるのをはじめて知った)の資金を集めるためにティプトリー・ベイク・セールというお菓子即売会があるんだそうな。で、そのためのレシピだそうで。
う~ん、レシピまで作品集にいれるか~でも料理はイデオロギーを反映するってまじめかつユーモアたっぷりに論じるとなんともアイロニカルである。

○春の悪夢
ホラーだな。実体はまったくはっきり描かれないのでそれが怖い、といういいセンスを持っている。季節感をうまく利用して風景を肌で感じさせる。結局実体があったのか、それともそれは彼女の意識下にある情念だったのか?スティーブン・キングが編纂するアンソロジーに応募して漏れた作品だが、めぐりめぐって後に出版されたときにはキングが評を書くことになったという執念の作品。

○ニルヴァーナ・ハイ
ニルヴァーナもカート・コバーンもよく知らないけれど、そんな名前の高校が出来た日にゃ世も末だな。という末の世の学園日常ライフをお気楽に描けば、それは陰惨な影をまとって隠しきれない。コロンバインの事件の前に書かれて、あっというまに現実が小説の先へ行こうとしているという・・・

○緑の炎
4人の作家によるリレー小説。そのわりにまとまりがあり、面白い。道具立てがなかなかよくて、なんと主人公はアシモフとハインライン。それだけでぐっとくるのに、いきなり冒頭からマッドサイエンティストの祖形たるニコラ・テスラが絡んでくるというだけで口元が緩んでくる~
でもそれだけじゃなかったよ。史実や伝説をうまくからめてなかなかにエキサイティング。雪片と数学をやりとりするところなんかはちょっとイーガン的興奮を。


というわけで、ずしりとした感銘を味わうというよりは、多彩な作風を軽い気持ちで楽しむつもりで読めば十分に面白いと思いました。

アイリーン・ガンは1945年生まれのアメリカのSF作家。76年ころから作品をかきはじめ、シアトルのファンダムで活躍しているらしい。マイクロソフト社の草創期の社員だったそうです。ウィリアム・ギブスンの親友。

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黒沢清「叫」

2007-03-20 12:48:01 | cinema
2006日本
監督・脚本:黒沢清
プロデューサー:一瀬隆重
音楽:配島邦明
出演:役所広司、小西真奈美、葉月里緒菜、伊原剛志、オダギリジョー





「呪怨」だの「リング」だの「らせん」だの並み居るホラーをプロデュースし、
かつ「帝都物語」や「D坂」などの実相寺作品も手がけ、
古くはあの「夢見るように眠りたい」を製作した一瀬隆重が製作。

で、意外にも黒沢清監督作品の製作は初めてなのではないでしょうか?(違ったらごめんなさい)

なんていうほど黒沢作品を観ているわけではなく、昔「スウィートホーム」を観ていまいち乗れなかった記憶しかなく・・・

でも「叫」はなかなか面白かったな。
ホラーとしても、謎解きとしても、その道を極めるようなものではないけれど、むしろそのいずれでもない全体の仕上がりを目指したようなもの。
たとえば「ツインピークス」がそうであるような。

**

まず、怨念の残る舞台を湾岸にしたのはセンスいいと思う。
東京の湾岸って虚実と表裏が混然とした地帯で、まさに埴谷雄高の言う「非現実」。
ほとんど正気でそこを受け入れることはできないんじゃないかって気がするよ。

新しいものを指向する意志が新しいものをつくる一方で、きたないもの、目に触れさせたくないものをそこへ追いやっている。古くからあるものは居場所を失いながらもそこにとどまりつづけ、終わりの日を待っている。
埋め立て地、ぬかるみ、海水のにじみ出るみずたまり、資材置き場、コンクリート堤防、汚い海、暗い夜。
場所柄からしてすでに現代のホラーだ。

水際での人間模様もやっぱり陰惨なもので。
そこに提示されるのは、まともに人間をはぐくむことのできない精神世界だ。
まともでない子供。子供が手に負えなくなった親、恋人が手に負えなくなった男、恋人が手に負えなくなった女。すぐに暴力をふるう刑事。
水際のもろもろが象徴するような、人物の心の荒れよう。岡崎京子がかつて「リバースエッジ」で看破した水際の心性が今も脈々と生き続けているということなんだろう。

***

水たまりと、それに通じる鏡をいちいち意味ありげに撮るこだわりはなかなかよい。頻発する地震も水たまりを揺らしてみたいがための小道具だったのだろう。
水のもつまがまがしい力を、我々の周りにあるまがまがしさとして意識させるくらいのこだわりがあったと思う。

古い団地も自分的にはだいぶツボ。古い団地はいいねえ。警察の建物といい、問題の建物といい、廃墟的なものばかりを選んで撮っている。廃墟フェチにはたまらんな。この視線がとてもよいだろう。現在の湾岸を見る目はこうでなくちゃいかんと思う。
同じ湾岸でもあれとは大分視点が違うな。(あれって?アレよほらアレ・・オモイダセン(老人力))

あと、顔を見せる/見せないの使い分けをかなり綿密に設計していて、F-18の顔は結局よくわからないし、かとおもえば葉月里緒菜の顔はドアップで見せるし、よく考えられている。

ということで、水際の心性と廃墟的なるもの、水たまりのまがまがしさ。見せる/見せないの恐怖。
そのほかにはそれほどのこだわりがあったようには思えなかった。
たとえば「俺なにやった?」という現実崩壊感であるとか、かんじんの「叫び」の意味とか。

でもそれで十分楽しめたし、古巣にもどったような気分になれた。(←ほめ言葉ね)

****

・小西真奈美って大根だな~と思い、葉月里緒菜の話し方に違和感を覚えたが、ラストでああ!なるほど!そういうことだったのか~と理解。
良心的解釈かもしれないけどね(笑)

・葉月里緒菜はしかしほんとに整った顔をしてるよな~ほれぼれ。(彼女、瞬きひとつしない!)

・「有頂天ホテル」ではそうは思わなかったが、この映画では役所広司はなかなかいい役者だ。同じ演技だけれど。

・いちばんぱっとしなかったのはオダギリジョーだと思うな。

・音楽は秀逸(主題歌じゃないよ)派手すぎずでもこわい。日本的奥ゆかしさ。


他の黒沢も観てみたい。
(そういえば明も観たいんだけどね)


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今日はオフ

2007-03-19 18:39:05 | movelog

出勤ペースががたがたなので健康相談員さんと協議のすえ、思い切って今日明日休みにして5連休に

鋭気を養って起死回生を謀る。

が、結局昼まで(-_-)zzz
午後起き出して黒沢清「叫」を見に行く。

チェンバロまで時間があるのでスタバ。

休暇を記念して放置していた死霊にとりかかる。
まだ30ページしか読んでないが面白い。古巣に帰るような感覚。

叫も古巣感があったし今日は気分よし。
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猫沢エミ「青山ブックセンタインストアライブ」

2007-03-16 01:17:17 | 猫沢エミ

3月15日(木)20:00~
青山ブックセンター六本木店

行ってきました。
トークとミニライブのイベント。

エミさんのフランス語習得物語が面白かったです。
最初は多少勉強してパリにいったにもかかわらず、
実際に言葉を使うというのは勉強と別物。
言葉が出来ないということは、相手からすると犬や猫と同じようなもので、何をいわれても、わんわん!くらいしか言い返せないってことですよね~
とか。

なんとか相手のいうことの主旨がわかり、こちらからも必要なことがいえるようになるまで3年、5年たって道ばたの世間話がすっと耳に入るようになってきた、とか。

キャッシュディスペンサーの画面をデジカメで撮ってきてボタンにかいてある言葉の意味を調べたりという、猫沢さんの本ではおなじみのエピソードとか。

自分の経験としては、アメリカで電話かけるのにも一苦労、地下鉄の券売機でも苦闘したのを思い出したけど、ほんとに機械ひとつとっても日本とはまったく雰囲気が違うのが外国だよな。
外国で暮らすというのは本当にすごい体験なんだろう。


いつもは対談が多いエミさんのトークだけれど、今日は一人でした。よどみなく、しっかりとした内容で滔々と話ができる、ということに感心しました。自分もかくありたいと思いました。

***

さて、ライブは、お馴染み円山天使さんのギターとエミさんのパーカッションというミニマム構成。
円山さんは、さいきんはまっているというガットギターを華麗にプレイ。ひとりで音世界を引っ張っていくのはたいしたもんだと思います。

エミさんの声は場所のせいかちょっと緊張ぎみ。目がいつもより猫目になっていたように思います(笑)

1 夏の模様
2 私の世界
3 C'est vous sur le pont
4 Les cafes
5 Mon petit chat
6 Marshmallow-Waltz
7 T'en va pas
8 私のパパ

曲順とリストは記憶なんで、ひょっとしたら違うかも。
今日はマシュマロワルツがとてもよかったな。
ちょっとほろり。

***

猫沢さんを初めて見るというひとが多かったです。
ライブ後はサイン会
みんな本をかってサインをもらうために並んでいました。


写真はトーク中の風景。
お客さんの大半は女性で、オジさんは浮いておりました~~

で写真撮ったらお店の人に「トーク中は撮影はご遠慮下さい」といわれた。
「トーク中は??ということはライブ中はいいのか??」とつぶやいたら聞こえてしまったらしく、「ライブ中もご遠慮下さい」と付け加えられてしまった。
独り言は慎重にいうことにしよう。
(だから写真はこれ一枚)



というわけでした。
次のライブも楽しみです



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鈴木ヒロミツ氏

2007-03-15 10:39:17 | diary
鈴木ヒロミツさんは、都内某区の某マンションに住んでいた。
そのマンションの1階にはスーパーマーケットがあり、
そこへいくとときおり、食材をカートにのせてだるそうにのそのそと進むヒロミツ氏を見ることができた。
あの脱力ぶりはTV等で見るとき以上のものであり、ああ、やっぱり公衆の面前ではあれでも「オン」だったんだなあの人は・・と妙に感慨深かった。

モップスのころのことはよく知らない。
吉田拓郎のファンだったので、「たどりついたらいつも雨降り」をモップスが歌っていたというのは知っていた。

あとは「夜明けの刑事」

それから、30年ほど前にラジオ(局はわすれてしまった)でやっていた「ビートルズ大全集」という番組のパーソナリティをやっていたと思う。
その番組で私のビートルズ体験は構築された。


2007年3月14日午前10時02分肝細胞癌のため死去。60歳。
人はいつか必ず死ぬのだ。



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トム・ティクヴァ「パフューム ある人殺しの物語」

2007-03-12 12:34:00 | cinema
パフューム

2006ドイツ/フランス/スペイン
監督:トム・ティクヴァ
原作:パトリック・ジュースキント
脚本:トム・ティクヴァ、アンドリュー・バーキン、ベルント・アイヒンガー
ナレーション:ジョン・ハート
出演:ベン・ウィショー(ジャン=バティスト・グルヌイユ)ダスティン・ホフマン(ジュゼッペ・バルディーニ)レイチェル・ハード=ウッド(ローラ)

グロい映画は気になってしょうがない私としては、うわさにきく悪臭たちこめる18世紀パリの描写がどんだけのものか期待して観にいきました。
そのあたりは「マリー・アントワネット」でも当然描かれてなかったし。

そのあたりのグロさは主に前半に集中していましたが、まあまあ満足のいくものだったかもしれません。もうちょっとやってほしかった気もしますが、あの魚市場(ああいうのも”マルシェ”っていうんですかね?)でのあの感じはなかなかよかったと思います。

***

【ネタばれだと思います!!!!】


で、どうも香りへのオブセッションがまきおこす葛藤が描かれるかなあと思ったらさにあらず、葛藤も何もなくどんどんやっちゃう。葛藤どころかなんだかエスパー系。訓練犬以上の脅威の嗅覚ではるかかなたの人間を追跡しちゃうし、まったくどんぶり勘定で完璧な香水作っちゃうわ、しかもそれを1000種類でもOKみたいな?で結末がみんなひれ伏しちゃうばかりか「息子よ!」まで言わせちゃう?
これはほとんどグリム童話の世界だよ。すごく悪いやつだけど小さなビンを一振りするとあ~らふしぎ・・・・×××が××して××××××っちゃいました!

っていうまあ寓話なんでしょうね。しかし一昔前の映画だったらあそこで処刑されていたと思うんだよね。あそこでああなっちゃうというのは・・・今、おとぎ話復権の時代なんでしょうかしら??

ある意味、芸術至上主義という結末でもあるですね。芸術至上主義というのは非常に孤独な主義で、ほとんど自分で選択した原理というより、先天的にそういう生きかたしかできない人間が持つものだからね。ああいう出自の人間がああなるのは当然か。
にしても、それに対する世間は厳しい、という現実はまったく描かれず。これを現代の寓話とするとどういうことになるんだ?歴史のなかでは深い個性と技術をもつ芸術家なり職人が生まれたが、その深度の代償ともいえる裏面の犠牲があった。現代ではそうした暗部を排除する市民的社会原理が支配的になるとともに、芸術家や職人の持つ深度も深さを欠くようになった。それはいいことか?悪いことか?(問い投げっ)・・・ってなところなのかなあ・・・・???

孤独な人間の異様な愛の成就の物語でもあるな。おそらくは最初にパリの街角で嗅ぎ取った「あの」香りにグルヌイユは到達したのだから。これ以上言うことはないのかも。

実際はあそこで処刑されているとみるのも面白いのかもしれないな。ハンカチを振るあそこのシーンから先はグルヌイユの精神が見続けた夢で。古臭い?

****

・しかし実際そもそもああやって集めた匂いをブレンドして、天上の香りができるとは思えないよな(^^;)。でもおとぎ話的には正しいかな。美人ならいい香りか?っちゅうとそうでもないのに犠牲者は美人ばっかだし。

・最初の犠牲者となった女優さんがなかなか個性的な顔立ちでよかったなあ。名前がわからないんだよね。顔も体もばっちぐ~。

・われらがダスティン!「卒業」の、「真夜中のカーボーイ」の、「小さな巨人」の、「レニー・ブルース」の、ダスティン!ああ、こんな風に寓話の額縁におさまっちゃって・・時の流れを感じたよ;;

・この監督の「ラン・ローラ・ラン」も「ヘヴン」も未見。「ヘヴン」はキシェロフスキの遺稿を映画化したものだったよな。いま公開の「パリ・ジュテーム」にも参加してるし、旬な監督なのかなあ。この監督さん、音楽もやるんだよね。
今度「マリアの受難」もやるらしい。観たい。

・ローラ役のレイチェルは1990年生まれだそうです。
 つい昨日です。

・脚本のアンドリュー・バーキンはジェーンの兄。

・ドイツ/フランス/スペイン製作で、舞台はフランス、言葉は英語
 う~~む・・・・

・そうそう、ジョン・ハートのナレーション、ほとんど不要だったのでは?
 画面みていれば伝わることも解説しちゃっていたように思ったな~


好き度:


香水―ある人殺しの物語

文藝春秋

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映画「パフューム」オリジナル・サウンドトラック
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 サイモン・ラトル, サイモン・ラトル, ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団, ラトヴィア州立合唱団, クリスティアン・ヤルヴィ, チェン・レイス, メラニー・ミトラノ, トム・ティクヴァ, ジョニー・クリメック, ラインホルド・ハイル
東芝EMI

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グレッグ・イーガン「ひとりっ子」

2007-03-11 01:29:29 | book
ひとりっ子

早川書房

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グレッグ・イーガンの日本編集版短編集。

すごいすごい!
これまでの短編集にくらべてもかなり面白いよ。
キモとなる数学や物理学の話は例によって非常にチンプンなんだけどね~
そのわからないということにすっかり慣れちゃったのかも??

イーガンの面白さっていうのは、テクノロジーや理論の進展を突き詰めて考えていくと、これまで「これが人間」と思っていた枠組みがどんどん崩れていくんだよっていうところかな。
で、それだけじゃなくて、イーガンはその崩れた先までずんずん進んでいくんだよね。現実ってそもそも幻想?という現実崩壊ワールドを存分に楽しめるだけでなく、その先にある、ええっこんな世界観が待っているの?的パラダイムシフトまでをど~んと提示してしまうのよね。
ホントにSFってここまで来たか~としみじみ感じさせてくれるイーガンであります。

***

【ちょっとネタバレかもしれません!!】

○行動原理
要約しちゃうと、無意識と意識のとおりをよくしてすっきりするために、その間の障壁となっている信念にパッチをあててしまおうという話。
ナノマシンによるインプラントっていうアイディアもさることながら、これ読んで、イーガンさんってすごく実直な人なんではないかと思いました。人間には揺るがしがたい行動原理が備わっているという、芯のある考え方はとても真面目な感じ。
この実直さがイーガンのすっきりした読後感の源泉なのだな~
「ハル9000が×××」ってとこ笑えた。

○真心
これもインプラントネタの別バージョン。
これな~
自分だったらロックするかなぁ?誠実な愛に生きるのもいいけど恋多き人生も悪くないだろうなあ。でもまちがいなくロックしたほうが面倒の少ない人生を送れるよ(笑)
そうやって自分の決断や意志をコントロールできるようになるっていうのは、便利なようでいて、自分の可能な未来を限定するということでもあるよな。実際にそれを行おうというときの逡巡がみっちり描かれていて面白かった。

○ルミナス
これ!面白いな~数学の定理ってそもそも宇宙の原理として真なのか、それとも人間が発見して初めて真となるのか?みたいなくらくらするような感覚は自分も味わったことはあるけど、それをネタにしてこんなオチをつけてくれちゃうんだからな~
コンピュータ資源がネットを介した分散環境でしか成立しなくなって、単体で大きな計算能力を持つマシンがなくなっているっていうのもリアルです。

○決断者
これはちょっと印象薄いな。たぶん、自分の意志とか決断とかというものをどうやって認識する・・というか身につけるか・・ということを、アイパッチという小道具を使ってモデリングしているんだろう。わたし、昔心理学を専攻していたことがあって、あのころしっかり勉強していたらこの話、もうちょっとよくわかったんじゃないかな~残念。

○ふたりの距離
これもなかなか面白い。他人は世界をどう見ているんだろうか?もしかしたら自分が感じているのとはぜんぜん違っているのかも??って、誰もが一度は考えるんじゃないかな??
これの面白いのは、どうやったら他人の精神活動を体験できるかっていうことをすごく一所懸命考えてあるところ。それも理系で。この即物的熱心さで認識論みたいな世界に突っ込んでくるところはもはや笑うしかないかもしれない。
オチもすごい。わかりあえたと思った瞬間にそれは他者の喪失だったというですね・・・

○オラクル
というわけで、焦眉の中編。多元世界ものなんだけど、イーガンの場合は地に足がついてるおかげで、はるかかなたまでジャンプしてみせてくれるって感じだ。そのぶん理屈がさっぱりわからないんだけどね(汗)
なにしろ多元宇宙と量子論と無数に分岐する世界と意志と決定とがどうして人工知能の問題に結びつくのかなあ??根本的にわからないんだけど、まあ結びつくんだなと思って読むとあまり問題ない(笑)
つぎの「ひとりっ子」とつながっていて、そのつながりを考えるのもなかなか刺激的。分岐しない存在となるAIを作り出す理論の出発点にヘレンは現れるわけで、自分のような決定論的に誠実な単一の存在を、多くの分岐でも作り出せるように働きかけにきたわけで、自分の生成を促しに過去へ(違う分岐の過去へ)現れた、このメビウスの輪的な目眩感がいいなあ。

で、どうやら実在の人物の評伝をベースにしているらしい。こりゃ驚きだ!

それからしっかりファインマンなんかの名前も出していてさりげなく敬意を表しているのもいいな。


○ひとりっ子
この「ひとりっ子」というSFぽくないタイトルが実はすごい含意があるということが途中からわかってくるとがぜん面白くなる。中編ながらある面のイーガンの集大成になってるかも。量子力学ベースの多世界論とか、AIってどういうこと?とか量子コンピュータとかのSFネタも満載だし、意志と決断と行動とは?みたいな認識論もあれば、特殊ポリマーでウラン弾の残した放射性物質を取り除くっていう化学的アイディアもあるし、イラクをめぐる大国のありようへの辛らつな批判なんかもあれば、親子の愛情とはそもそも?みたいな人間ぽいテーマも織り込まれてる。しっかり活劇シーンまであるし。すごく面白いよ!
しかしな~別バージョンの自分がいて、どんな人生を送っているのか、誤った決断をしたり、悲惨な運命をたどる自分もいるんだろうな、なんて事を真剣に思い悩んでる主人公ってなかなかすごいよな、すごい強迫観念^^;
あとヘレナ・ボナム・カーターがちらっとでてきたよ(笑)

***

解説でも触れられているけれど、スタニスラフ・レムの思い描いていたSFを今体現しているのがまさにイーガンなんだろうな。レムはイーガンを読んだだろうか?レムの感想を聞いてみたかったな。

今年中にもうひとつ短編集が出るということらしいし、長編も執筆終わったらしいし、まだまだ期待です。

というわけで、大オススメ

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ジャン=リュック・ゴダール「映画史第4章命がけの美」

2007-03-10 02:29:42 | cinema
ジャン=リュック・ゴダール 映画史 全8章 BOX

紀伊國屋書店

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1998フランス
監督・編集:ジャン=リュック・ゴダール

第4章(2B)命がけの美 鑑賞


「時を時そのものとして語ること/これは狂気に近い挑戦だ」
映画がそうだ、と言うのだろうか。
狂気に近い挑戦。
命がけの、宿命の、美。
死の映画/映画の死。

ラングやムルナウの漆黒のサイレント
コクトーの息をのむようなカーテンのたなびき
デ・パルマの走る女の輝き
ロッセリーニの走る女のはかない運命の予感

死に近い、死の臭いのする映画やテキストのコラージュ。

**

「写真は、映像の死をあらかじめ知り、
喪に服すための白と黒で誕生した。」
(だったかな?)
絵画が世界の能動的解釈であるとするなら、
写真は世界の凍結、間断なく世界を過去へと葬り去る静かな死であるだろう。
それこそが映画の宿命?

**

「シネマテークは焼き払うといい
心の炎で
焼跡から新しいことをはじめたらいい」

「消す手だけが書くことができる」

映画は否定や消去のあとに生成する


そんな自覚につらぬかれた第4章は、
チャップリンの「ニューヨークの王様」の引用で幕を閉じる
王様は映画館で(実は違うのだが)映像にふりまわされ首を左右に降り続け、
とうとう嫌気がさして劇場を出てしまう。

劇場をでることからこの先を続けること。
映画の終焉から始めること。

それが映画の宿命なのだろうか?

・・・続く

なんちって



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健康相談

2007-03-08 17:20:05 | ウツ記
金曜日健康相談と書いてましたが、実は今日(木曜日)でした^^;

で、相談員さんに、
耳のこと、集中力が落ちていること、
お医者さんに夜の眠りが浅いといわれ眠剤を処方されたこと、
などなど・・
を説明しようと思い、はりきって相談におもむいたところ、
相談員さんはすでにすべて知っている・・・???

それどころかフォースリーンとカルチニンのことまでご存知

あらららら??

・・と思ったら、ああ、そうだった
ここのURLを教えてました私^^;
相談員さん、このブログをみて下さっていたんでした。

というか、報告の必要がないくらいすべてをここに書いていた私
う~~むむむ、ここまでハケグチにしていたか、ここを・・・・・・・
&どうも弱気になるとこのブログを人に教えちゃうらしい・・わたし・・^^;


相談員さんとはマンガの話とかで話が合うので、面談が楽しみなのです


で、時間差で面談にくるはずの課長は時間になっても現れず(--;)・・
ばたばたしてましたと仰ってますが、忘れてたというのが真相(笑)
ま、仕事の面で配慮いただいているのでここはよしということで。

***

で、と、

耳がやばいのは、間違いなくからだが弱っているということなので、
やはりここですこし休んだほうがいいだろうということになり、
3月21日の休日を利用して、5日くらい連休にしたら?
という話になりました。

休暇が残り少ないので冒険ではありますが、2日だけ休めば5連休なので、
ちょっとやってみようかと思います。
これ幸いとばかりこころゆくまで遊んでしまって、
ヘトヘトになるんじゃないかという気もしなくもないですが・・気をつけよう。


う~ん、にしてもあと1週間ちょいはがんばらないと。



思えば復職は去年の4月1日。
なんとか1年は乗り切れそうです。
(その先はどうなんだろか??)


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