Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「神々のたそがれ」アレクセイ・ゲルマン

2016-08-29 00:42:03 | cinema
神々のたそがれ アレクセイ・ゲルマン監督 Blu-ray 特典ディスク(メイキングドキュメンタリー)付属!
クリエーター情報なし
IVC,Ltd.(VC)(D)


すごい映画でした。
汚い画面好みのワタシとしてはマストな映画。

可笑しいほど泥濘糞尿にまみれるのだけど、
手法的にはあれ、えーと「フルスタリョフ、車を」と面白いほどおんなじ(笑)
王様が行く先々で色々な人が色々なことをしでかして、死んだり生きていたりするのが
とにかく延々
意味不明な生命力が画面にみなぎり、何のためのどこへ行く力なんだかよくわからんが
ひたすら圧倒されるというあれですよ。

というところで感想は終わっちゃうんだけどw

多分ストルガツキーの原作はもうちょっと教条的な要素があるだろうと推測はするが、
(これは未読なのです)
しかしストルガツキーには、こういう糞尿はなかなかないけれども、
説明のない混沌から混沌へ、不可思議から不可思議へとぐいぐい流れていくようなところがあるよね。
そういう点では原作の一つの要素が妙にゲルマン的なんだろうと思う。
(未読だからね)

それと、風俗がルネサンス期風である(がむしろ反動的な様相にある)社会ということで、
ある種のコスチュームプレイ。
コスチュームプレイ+泥濘糞尿というと、ワタシなどは
かのパゾリーニを思い出さずにはおれん。
「デカメロン」「カンタベリー物語」「アラビアンナイト」
パワフルで破天荒な「生の三部作」と言われるそれらを思い出さずにはおれん。
あの傍若無人な映画世界はどこへ行ったかと思っていたが、
ロシアに移っていたのである。


ということで、万人にお勧めできない素晴らしい作品です。
これが遺作とは的なね。


@自宅BD

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「シン・ゴジラ」

2016-08-17 18:45:48 | cinema
ネタバレです。

ネタバレを恐れて公開中は感想を自由に語れないとか変だよなあと思うんだけどね。
ネタバレ聞いてもワタシは別に影響ないんだけど、まあ忘れっぽいのかもしれない。


機能しない政府と努力する行政の末端
御用学者w
大災害、放射能、侵略と防衛
米国と国際社会、核
大戦の記憶

とあらゆる今の「日本の論点」がぎっしりと詰まっているのは感心するところです。
それぞれに様々な思いがあるのは皆同じで、懐の広い作品になってますね。

その中で、日本を救うのはオタク集団である、という設定は変に胸を打つ。
オタクというか異能集団は本当に国を救えるのか?

ゴジラデビュー作でもやはり異能の人芹沢博士が日本を救うので、今回もオタク救世主路線を踏襲したことになると思うのだが、このテーマは世界中で様々に変奏されていると思われる。

ワタシがパッと思い出せたのは村上龍「半島を出よ」。
あれはこのテーマにおいて「ゴジラ」によく似ている。「半島を出よ」の方はオタクが日本を救うばかりでなく、それを「人知れず」やってしまう分一層徹底していると思う。

このテーマによってある層の観客(読者)はある意味勇気付けられ、ジャンルの存続の底力のようなものが維持されてきたのではなかろうか。

それに「半島を出よ」の頃は、硬直化した組織の無効性を訴え、組織順応性には欠けるが高度な専門性と偏った行動力のある人間により世界が変わるのだと主張することに、なにやら希望のようなものがあったように思うのだ。

が、ワタシはそろそろ知りたい。本当にオタクは世界を救うのか?

本当なら今すぐどんどん世界を救ってもらいたい。中東から欧州の情勢を、グローバル企業や金融界の寡占により経済格差が野放図に拡大している情勢を見よ。救うなら今でしょ。

希望はもういいから、答を。もしダメなら、さっさと見切りをつけて次の希望を模索しないと。

という点で「シン・ゴジラ」がその辺には無邪気な気がしてちょっと残念な感じもしたのです。


そういうところでは、今回は、組織の「中の人」が組織を突き動かす形で奔走する姿が印象的でした。

主人公格の矢口くんや石原さとみ(石原さとみにしか見えないw)を筆頭に、フランス駐日大使?に深々と頭を下げる総理臨時代行とか、自衛隊の人達とか、超法規的に在来線を突撃させたJRの人とか、少なからぬ犠牲が出たであろう注入車の人達とか、行政の末端で避難民誘導で体を張る人達とか。

彼らが実際に意思決定の遅さに歯噛みしながら「これが民主主義だ」的なことを言うカットもあるし。

結局そういうことが日本を救うのではないのかな。組織的な地道だけどスピード感ある努力。そこしかないのかもしれないな?

……いやまてよ?いま沖縄で起きていることとか考えるとだな、組織の論理は組織を救うけどワシら一人一人を救うとは限らないな。。一旦最大限に住民を守るとなったらいいのだろうけど、「住民よりも公益を」となったらねえ。

そこらへんは柄本明とか好戦的な防衛大臣とかがよく演じてたね。



ということで…答えも希望もない感じなので、たまたまゴジラがストローで飲んでくれたから助かったのだと思うようにしよう。。


というわけで、随所にいちいち各種オタク心?をくすぐる演出あり。

あの役職忘れたけど無表情で早口で歯に衣着せないお姉さん(市川実日子)とかいいよねえ。(尾頭ヒロミという役名らしい)

自衛官とかが専門用語羅列会話をすごい早口でやるところとかも萌える。

石原さとみが退去命令をシカトして核を落とさせないと語るとこのありえない構図でのズームアウトとかもなんかマンガ的。

パソコンが山と出てきたり、総理の放送を街の人が皆スマホで見る/聴くのも今ならでは。
10年くらいしたらノスタルジックなシーンになるかも?


あとは、ゴジラの進路を細かく明示したのが良いね。観客はみな脳内にマップを起動したと思う。
ちなみに進路は住居表示的にドンピシャで我が家のエリアを通過。ギリギリで我が家あたりは破壊を免れたようでした。ほっ。
調べてみると初代ゴジラもそのへんは同じエリアを通過したそうである。

あ、ワタシとしては石原さとみは全然問題なし。
ああいう人実際いるし、そういうリアリティをちゃんと掴んでいたんでは?


@キネカ大森

あれ?そういえば、ゴジラがたくさん生まれちゃう設定はどうなったのかな?あれは全然解決してなくない?それともワタシの勘違いか?
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「シカラムータ・フランス編 vs ジンタらムータ・ドイツ編 」行ってきました

2016-08-10 01:55:07 | music
シカラムータ・フランス編 vs ジンタらムータ・ドイツ編
2016.8.9tue 吉祥寺スターパインズカフェ

行ってきました
大熊ワタルさん率いる二つのバンドの
まさかの「対バン」ライブw

ジンタらムータから始まりましたが
期待にたがわず客席後ろ(というか上)からの
チンドンバンド練り歩きで登場したのには感動しましたな。

ジンタらムータはクレズマーを中心に、ヨーロッパ辺境的な音楽をやるのですが、
その辺境感満載なところが考えてみると非常に好きですねー
そうか彼らの音楽がワタシは好きなんだなと
当たり前なことに納得してしまいました。

アンゲロプロスやクストリッツァの映画などにも
辺境感あふれる音楽が鳴り渡るけれども
理由はわからないけれどもアレが非常に好きなのよね。
なんども言っちゃうけど。

クセのある音階に時には変拍子なリズムと
きれいなだけじゃないリード楽器の音色と
こぶしの効いた節まわしはたまらん


と、音楽愛をだらだら垂れ流すのでありました。

タイトルが変な曲がクレズマーにはあって面白いという話も
「お父さん最高だぜ!」みたいなのとか。(それはどういうシチュエーションなんだろねw)
「禁止される前はどこにいた?」とか。(「禁止」とはどうも禁酒法のことらしいとか)

それと最後にやったやはりクレズマーの曲(タイトル忘れ)は、
以前チェリスト新倉瞳さんの演奏会にいったときに、
新倉さんがチェロの弾き語り!で披露してくれた曲ですな。
有名な曲らしい。
新倉さんの時はこれはどういう曲で、、って説明も聞いた気がするのだが
完全に忘却。

あとは、
みわぞうさんの歌ものもよいですね~
8/14にブレヒトソングのライブもあるので
そちらも楽しみです。

あ、ふーちんさんのドラムがまたステキなのよね
ワタシは昔からパーカッション女子に惹かれる傾向があって、
気を付けなくては(なにを?)


ということで、内容うすめで終わります。

あ。シカラムータについては、、、??

それとなぜ「フランス編」「ドイツ編」なのかは
シカラムータのHPで観てみてください。。。

おやすみなさい
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