Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

北野勇作「どーなつ」

2005-09-28 09:45:48 | book

 

 


P&M Blogのpiaaさんが、「ディックやレムファンはぜひ」と仰っていたので、これは読まねば^^ということで、読んでみました。

で、私はこれ好きです。

虚構を作っている骨組みと肉付けがほどよくスカスカで、危うい揺らぎのある物語になっている。
SF的仕込みもなにやら解決されないまま、別の本筋があったりするし、本筋すら全うされず宙ぶらりんに放り出される。
このあたりが快感である。

意図してか意図せざるモノかわからない抜けがある。
天然系SFとでも言いたくなる、そういう素質がある。

宙ぶらりんな架空世界はディックのそれに近いかも。
ブレードランナーネタもあるし「電気熊」も出るし、
ある程度はディック(というよりディックのメジャーな要素)の影響があるだろう。
でも話自体はうんと軽い。

**

「天脳賞」には笑った。「電気熊」や「人工知熊」といい、言葉への独特の嗅覚があるのがいい。
デパートの屋上のノスタルジックな風景も、地球防衛軍的TV感覚も、「抜き」感覚の舞台としては絶妙のセレクトだ。

落語ネタも面白かった。落語と記憶のアナロジーを論じながら、実は落語のスタイルを思いがけなく取り入れている。

**

ちょっと穂村弘のエッセイを読んでいるような感覚だな、と思ったらこのご両人は同い年=私と同世代。
何事も世代で括ってしまうのは私の悪い癖だけれど、
う~ん、やはりピンと来るモノが違うと思うな・・・

piaaさんどうもありがとう。おもしろかったです。

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2 コメント

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気に入ってもらえてよかったです。 (piaa)
2005-09-28 10:42:08
実はすぐそばで大きな事件が起きているのだけど、

自分はすぐそばでいつも通りフツーに仕事していた。みたいなTV世代の冷やっこさも感じ取れますよね。

著者は昭和三十七年生まれ。同世代、がんばってます。
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piaaさん (manimani)
2005-09-29 09:23:02
まきこまれているのにそれは脳の中のできごとなんじゃないか?とか言ってみたりね・・・

私たちもがんばりましょう。
返信する

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