P&M Blogのpiaaさんが、「ディックやレムファンはぜひ」と仰っていたので、これは読まねば^^ということで、読んでみました。
で、私はこれ好きです。
虚構を作っている骨組みと肉付けがほどよくスカスカで、危うい揺らぎのある物語になっている。
SF的仕込みもなにやら解決されないまま、別の本筋があったりするし、本筋すら全うされず宙ぶらりんに放り出される。
このあたりが快感である。
意図してか意図せざるモノかわからない抜けがある。
天然系SFとでも言いたくなる、そういう素質がある。
宙ぶらりんな架空世界はディックのそれに近いかも。
ブレードランナーネタもあるし「電気熊」も出るし、
ある程度はディック(というよりディックのメジャーな要素)の影響があるだろう。
でも話自体はうんと軽い。
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「天脳賞」には笑った。「電気熊」や「人工知熊」といい、言葉への独特の嗅覚があるのがいい。
デパートの屋上のノスタルジックな風景も、地球防衛軍的TV感覚も、「抜き」感覚の舞台としては絶妙のセレクトだ。
落語ネタも面白かった。落語と記憶のアナロジーを論じながら、実は落語のスタイルを思いがけなく取り入れている。
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ちょっと穂村弘のエッセイを読んでいるような感覚だな、と思ったらこのご両人は同い年=私と同世代。
何事も世代で括ってしまうのは私の悪い癖だけれど、
う~ん、やはりピンと来るモノが違うと思うな・・・
piaaさんどうもありがとう。おもしろかったです。
自分はすぐそばでいつも通りフツーに仕事していた。みたいなTV世代の冷やっこさも感じ取れますよね。
著者は昭和三十七年生まれ。同世代、がんばってます。
私たちもがんばりましょう。