Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「ゴッドファーザーPart II」フランシス・フォード・コッポラ

2019-03-13 23:23:53 | cinema
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もちろん続編も観るわけです。

殺伐とした荒地を田舎の葬列がやや遠景で歩いてくるが、
やや貧弱な銃声がパンパンと鳴ると棺を放り出して蜘蛛の子を散らすようにわらわらと皆逃げて行く。
鈍臭い景色の中で地味に悲劇が起こり、
よくわからないなりに段々と話が繋がっていく。

ハリウッドではなくまさにヨーロッパのノリ。
鳴り物入りで作られたと思われる続編をこれで始めるのは感動的。
ここから色々経て自由の女神と検疫まで繋げていくのもとてもよい。

前作のテーマ曲は日本でも替え歌歌謡曲みたいなのが流行ったりしたんで(確か尾崎紀世彦)
記憶に残るのはわかるが、この続編の曲もいっしょに歌えるのはなぜだ(笑)
1〜2回しか観ていないだろうと思われるのに。

デ・ニーロが声をあのようにしているのも嬉しい。若くしてすでにデ・ニーロなんだなー。
とてもいい奴で当たりも柔らかいのだが、冷酷な怨念のようなものを持っている。
全然それを表に出さないのに観るものにだんだん伝わっていく感じがすごい。


あの1910年から1920年ころのニューヨークの街並み。
自然だが大変に凝っていて、驚く。
雑然とした空気を、細部を完全動員して絵として訴えるのは、
後の「地獄の黙示録」の、全カット狂っているような凝りように通じている。


それにしても、マイケルに宿るあの残酷な正義みたいなものはなんなのか。
彼のこの不思議な心性こそがこのシリーズの最大の魅力にして骨格だろうと思う。

その自身の矛盾が最悪の結果を生んだ終盤の後に、
おそらく彼自身がこの不思議さに飲み込まれたのであろう
あのおよそエンタメ作品のラストにふさわしからぬラスト。
足場がふわっと緩んですべてがぼおっとするような時を描いて終わる。

ワシ的にはこれは秀逸なラストだわ。。。。

*****

お話としては前作に引き続いて緩い。
緩いのになんか力を秘めているのは前作を完全に引き継いでいる。

ジェームズ・カーンは終盤にちょろっと出てきて場を汚し、いや、盛り上げ、
それで残作と同じくらいのギャラをかっさらったという噂。

マーロンは出演していないが、同じシーンで気配だけ感じさせる。
「いる」感があるのがすごいw


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「ゴッドファーザー」フランシス・フォード・コッポラ

2019-03-06 23:11:18 | cinema
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これまた大昔にTV放映版は観たには観たのだが、
もちろんほぼ記憶になく。
WOWWOWでやったので改まって鑑賞と相成りました。

冒頭いきなり「アメリカは素晴らしい国だ」的なセリフから始まり、
なんとも意味深な空恐ろしい雰囲気を一瞬にして立ち上げるセンスがもう好きだわ〜
開始2秒くらいで、ワシこの映画好きだわ、と認定させる力がある。

その暗い息苦しく埃っぽい室内のやりとりが、実は婚礼パーティーの最中のことであり、
おっさんの苦しい心情吐露からカメラが徐々に徐々に外へと引いて行って、
野外のパーティーの喧騒につながっていくという流れもなかなかすごいじゃないですか。

そのあたりではまだ人物とか関係とかまるでわからない。
けど陽気な騒ぎの中の端々ではなにやら凶暴なものがちらちらと姿を垣間見せて、
これまた不穏な空気を膨張させてゆくダイナミクス。


というすごいパワーの一方で、全体てしてはテンポや活劇感はとても緩めなのがまたすごいと思うのよね。
近年の映画は多くはテンポよく引き込んで要所要所で派手に注意を引きカタルシスを得るような演出で、
それはそれで面白くはあるんだけれど、
こういうゆるいテンポ感のなかで力が秘められているみたいなのは
なにやらリアルというか、実際に人々の間で起こっていることなんだと感じさせるように思うのよね。


テンポの緩いところは、この映画がとてもヨーロッパの映画のテイストを持っていることにも関わるのではないかしら。
アメリカ映画というよりは、フランス、イタリアあたりの流れを引き継いでいるような気がする。
(まあ具体的にはわからんけれども)
シチリアでのまさしくヨーロッパの田舎的な時空間がたくさん出ることや、
ニーノ・ロータの音楽のせいでもあるけれど、
イタリア映画のような純朴感/ゆっくりした時間の中の強烈な人間性みたいな感覚を持っている。

(まあ気にいるわけですよね〜)

***********:

タリア・シャイアはフランシスの妹で、
終盤登場するベイビーはソフィア・コッポラというし、
エンドクレジットによると、補作曲と指揮をカーマイン・コッポラがやっているらしいので、
映画のテーマであるファミリーの結束のようなものを
作る側のコッポラファミリーもまた同時進行していたと思えなくもないのが面白いかも。

キャストもまた、アル・パチーノを始め移民の子孫が多くを占めるので、
それもまたテーマ裏でのテーマ展開という感じだし。

***********

ロバート・デュヴァルはなんかテイストがロバート・デ・ニーロに似ていると思った。
PartⅡに出演しているのを知っているせいか、最初は、お、でにーろ?と思ってしまった。

ジェームズ・カーンもイメージ通りの役柄で、、と思ったが、
知っている俳優と思っていたが出演作をほとんど観ていないので、
要するにこの映画でしか彼を知らないのかもしれない(笑)

ダイアン・キートンはなかなか最近では見ない雰囲気の女優さんかも。
そしてワタシにとっては、「ツイン・ピークス」のいくつかを監督した人!なんだけど。

さらに、フランコ・チッティ!
最初は気づかなかったんだが、気づいてしまうともう圧倒的にフランコ!
出てくるたびに、おお!となる。
パゾリーニ映画の常連かつ主要俳優ですね。
こういうところもヨーロッパ。

******

さて、と、
ここで「オッドファーザー

いわゆるパロディ小説で、著者はソル・ワインスタインとハワード・アルブレヒト。
日本語翻訳が大橋巨泉という変なノリで出版されたのだが、
当時は映画よりもこの本に親しんでいたワタシでありました。

ほとんど内容は記憶にないんだけれど、
映画のソニー(ジェームズ・カーン)に当たる、ロクデナシ兄フンギが暗殺される場面での
「フンギ、フンギ、ふんぎゃあ〜〜〜〜〜」というセリフ?だけを強烈に覚えている(笑)

あの設定のために名前が「フンギ」になっているんだろうというバカバカしさが最高である。
ちょっとまた読んでみたいかも。。。。



ちなみにこの著者、他に「にわとりのジョナサン」つーのも書いている。
こちらは青島幸男訳(笑)
そちらも愛読した。

いまや1円である。。。
にわとりのジョナサン (ケイブンシャノベルス)
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勁文社



「にわとりのジョナサン」はそこそこ話題になり、
なぜか日本ではイメージアルバム?的なものが制作された

これまた青島幸男ファミリーが歌を歌ったりする不思議なアルバムで、
神谷重徳氏がシンセサイザーをやってたりという、妙に先進的なところもある。

実家に音盤があるはずであるなあ。


脱線しまくり。
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「君よ憤怒の河を渉れ」佐藤純彌

2019-03-01 00:50:48 | cinema
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KADOKAWA / 角川書店


確か今年最初に観たのがこれ。
WOWWOWでなぜか放送。

大変面白かった。
硬派で社会派なものがベースでありながら、大変に奇想天外という、
なんだか太っ腹な印象の映画です。
原作の力であるのかもしれないが、
70年代はこういう太い勢いが日本映画全般にありましたねー。

導入からとても意気込みがある。
よくわからない。いったいなにが起きているのか?
こいつは何者なんだ?
こいつらと関係がありそうだがなんなんだ?
というような疑問がどんどん吹き出すような流れで始まる。

素敵だわ。

それで原田芳雄がこの上なく原田芳雄である(笑)
正義の奴がとても感じの悪い奴で、権威に対してすげー反抗的で、
きたないこともするし、
なんども間違った方向に暴走しまくるみたいな。

これですよ。これ。


中野良子も、もう妄想の世界にのみ存在するようなじゃじゃ馬設定。
高倉健との出会いの場面の設定からしてもうすごい。
その設定というかネタがのちに原田芳雄の重症につながるところもすごいし、
じゃじゃ馬設定のまま新宿駅西口に出現しちゃうところなんぞは、
もうリアルに開いた口が塞がらない。

東日本を大胆に移動する逃亡ロードムーヴィーの面もある。
東京への帰還方法がまたエキサイティングだし。


と、思い出すだけでかなり楽しめる。
こんなにエンタメ性のあるものだとは知りませんでした。
エンディングもそうとうにマズいだろうこれは的なもので、感動的。


ネタバレ回避話法ではほんとよくわからんですねww





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