Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

猫沢エミLIVE-ルソン・アン・ア・ボワズリー-

2007-10-28 00:50:45 | 猫沢エミ
またまた猫沢エミさんのライブに行ってきました。

「ボワズリー」というアンティークな家具&雑貨屋さんでのライブでした。
内装や置いてあるものは、昔のパリのバレエスクールというコンセプトで選ばれたものということで、なかなか他にはないライブ空間だったのでは。
(キャンドルのランプがスゴイでしょ?↑)

おりからの台風・・というか、前日に突如発生した台風が接近するなかライブ会場に向かいました。

会場に着くと、すでにお店のなかは結構な人でした。
チャージを払い中に入ると、恒例となりつつある久保田さんのお菓子と、ボワズリープレゼンツのお土産、ローズティーのカップ、ボンズールジャポンを差し出され、「もう持てませ~~ん」(笑)

****

最初にトークショーがありました。
今回はメール予約の際に、「トークショーで猫沢さんに訊いてみたいこと」を送ることになっていたので、そこからチョイスして猫沢さんが回答するという形式。

パリの匂いというと、塩ハムと、香水と、おしっこの匂いですね~とか
フランス人の男性は、女性と二人きりになった瞬間に口説きにかかるというのは本当か?(本当です!)とか。
60歳でも75歳でも80歳でも男はとにかく女を口説くそうで。

う~ん
ワタシ、フランスにいったら結構楽しいかも。
口説いていいんでしょ?(笑)

ちなみにワタシが予約のときに書いたのは「ガストロンの感染経路と潜伏期間について」
案の定、トークショーでは取り上げられませんでしたね(笑)
こういうとき気の利いた質問が思いつくような脳が欲しいよ。

****

馬がお客さんを見ていた。


さて、ライブですけど、今回は台風的低気圧と、場のアンティークな雰囲気で、すっかりレポーター気分は抜け、ゆったりと音に身を委ねたい!欲求が支配したので、写真とかメモはやめました。

今回はいつもの円山さんのアコギと猫沢さんのパーカッションに加えて岩見さんのウッドベース入り。
ガットギターとウッドベースは、音的になんだか「同じチーム」
ちょっと音バランス的には厳しかったかも。
円山さんだけでルートとコードは鳴るので、そこにベースをいかにはめ込むかという問題はなかなか難しい。

音楽はときどき難しいね。

猫沢さんの歌はいつものようにリラックスモード。
パーカッションはまた充実。
一人で二人分働いている。
これが猫沢バンドの強みになっているね。


☆やった曲(順不同)☆
Filiti can-can
c'est vous sur le pont
Les cafes
Mon petit chat
夏の模様
私の世界
ムッシュ・ダンダン
JANE
レントゲン
The Rabbit Was Me
The Return of Alan Bean
Marshmallow-Waltz
T'en va pas
Mandarin World

こんなもんだったかなあ??

The Rabbit Was Meはmashcatのアルバムに入っていた曲ですが、
ワタシは不覚にも思い当たらず、あれはゲンズブールとかですか?とか訊いてしまった。
歌詞の日本語訳を朗読してからフランス語で歌った。
帰ってからmashcat聴いたら、やっぱり
ゲンズブール的猥雑さとメロディの名曲でした。
(「フルートを吹く」とか、ゲンズブールよりわかりやすいかもね)



****

ライブの後、円山さんと会話。
アンプの上に小さい機械がおいてあるので、なんですかこれ?ときいたら、
猫沢さんの声にかけていたリバーブマシンだそうです。
いや~昔はデジタルリバーブマシンて10万円以上して、それでも安い!とかいっていたのに、いまやあんなに小さくてしかも1万円だと!

おどろきついでに円山さんがガットギターをいじらせてくれました。
スペイン製でちょっと小振りのボディ。
以外とコンパクトな響きだった。っつーかテクニックの違いかもしれないが。。。




猫沢さんには、ファンとしての初心に返り(笑)CDにサインをもらった↑

猫沢さん、今度「大和寿司」につれてってください。
(無理だろう)

*******

ライブ中に台風は去ってしまったらしく、
終わったらほとんど雨はあがっていました。
たまたま会場近くにフレンチ雑貨屋さんがあったのでちょっとのぞいて、
それから閉店間際のドトールでカフェラテを飲んで帰りました。

無理な姿勢で座り込んでいたので筋肉をつかったのか、結構ぽかぽかして汗をかきました。汗臭かったかもな~
周りの人々よ、すみません。

すみませんといえば、やはり今回も会場の女子率高し!!
男子(というかおじさん)で猫沢ファンは実はマズイのかも??
すみません!と思わず口にせずにはいられない女子率。


まあ比率自体はうれしいんですけどね。。。





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台風?

2007-10-27 12:52:31 | diary
突如台風が近くにいてびっくり
低気圧に超弱い病持ちのワタシには酷な朝となりました

あ、もう昼か

今週は5日間無遅刻無欠席を達成したので、昨夜は個人的に祝杯をあげようと仕事帰りにスタバへ。
奮発してシナモンロールも食っちゃえ(太る)
と思いいそいそとレジへ向かうと、なんと、
昔のおなじみ店員さん(彼女もバリスタさんと呼ぶべきなのか?)がいるではないですか。
いまは違う店勤務だけれど、時々この店にもヘルプで入るのだそうです。

話をしているとどうやら学生さんらしく。
非常に魅力的な人なんだけれど、犯罪的に年が離れていると思われるので、仲良くなろう作戦は自粛し、よいおじさん止まりで行くことにする。
(なに言ってんだ?)

いや~シナモンロールと再会で、ラテがうまいぞっ

********

スタバでしばし読書をして過ごした。
が、
最近午後4時以降は小さい文字が見えん^^;

眼鏡をはずすとなんとか見える、というのはどういうこと?
老眼進行中。

しかし左目は元々遠視で、右目は最近近視になってきていて、両眼ともに乱視がはいっていて、このうえ老眼になると、どういうことになるのかさっぱりわからず。

このところ近くも遠くもよく見えない生活なのですわ。

ヨン様が宣伝している眼○市場に行ってみようと妻と言っているんだけれど、
遠視+近視+乱視+老眼についてちゃんとしたコンサルが受けられるのか不安。

やっぱり懇切丁寧メガネのパリ○キかなあ・・高いけど・・

****

そうこうするうちに今日はいきなり台風にまきこまれつつあるmanimani地方ですが、
ワタシは週の疲れを癒すべく強力に朝寝。

で、夢で猫沢エミさんのライブに行った。
そこはなぜか夏の海の家で、会場の狭さと席の少なさにくらべ、異様にお客さんが多く、汗だくかつ地獄的環境だった。

でも自分は最前列に陣取って、なんだかしらないが曲によっては急にパーカッションを客席でたたいたりなんかして、なんつーかエンジョイしてた。
お気楽だった。

目が覚めたけど、また寝た。
そしたら、こんどは「海の家ライブの夢を見たことを猫沢さんに話している夢」をみた。

夢のなかの猫沢さん:あ~、海の家ライブ、まえにやったことあるんだけど、さむかったんですよ~
ワタシ:そうなんですか~

夢のなかでもたいした切り返しができない自分が情けない。


朝飯食ってまた寝たら、さらに「猫沢エミライブに行くはずのお友達に、今日がライブだって連絡をしたかどうか忘れている」というシチュエーションでまた夢がはじまり。
ケータイでメールの送信履歴を見ようとするけれど、なぜか操作方法がぜんぜんわからず。
こうだったけ?とかボタンを押しまくるも、記録は全く見れず。
それも、なんかしらんけど汚い川のほとりのベンチに座りながら。
川では子供が水遊びをしつつ、ワタシはケータイと苦闘する。

目が覚めたらものすごく疲れている。
これ以上寝たら疲れが増していくのではないかという恐怖に襲われ、むりやり起きてパソコンいじる。

*****

で、今日はほんとに猫沢さんのライブの日なんだよね~(笑)
猫沢さんづくしの一日だ。

台風はまさにライブ開始時刻を狙って接近してくるではないですか。
ライブやる方も大変だけどお客さんも大変だ。
夢疲れと低気圧疲れでへろへろですが、
なんとかがんばって行ってくるですよ。




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「ウェブ進化論」梅田望夫「フューチャリスト宣言」梅田望夫・茂木健一郎

2007-10-24 21:50:08 | book
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)
梅田 望夫
筑摩書房

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フューチャリスト宣言 (ちくま新書 656)
梅田 望夫,茂木 健一郎
筑摩書房

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結局Web2.0とはなんなのかというと、この三つかしら。
・ロングテールビジネスの現実化
・オープンソースによる資源の共有化と、それによる有効な資源の発展
・スピードと網の拡大に伴う地域格差の解消と、検索機能の充実による情報の平坦化

これまでの世界モデルは、webのこちら側の資源を囲い込み権利を独占したものが儲けるというものだったが、今後はwebの向こう側にあるタダの資源を活用して、こちら側での持たざる者もそれなりのチャンスを得る。

う~ん。
そうなのか。

ロングテールという観点では、amazonでの例が引き合いに出されている。
書店での販売は売り場面積や在庫管理の面で、自ずとロングテールではなく、全出版物のほんの一握りであるトップ商品の販売という形態になる。
それに対して、ネット販売であるamazonでは、その検索機能により、ほとんど部数の出ない本についても、興味のある者にはトップ商品と同様に販路が開かれている。
実際amazonの売り上げの50%はロングテール部分であるという発表があったらしい。(後に1/3と修正されたらしいが^^;)
このような販売形態であれば、ロングテール部分の弱小商品にもしかるべき読者に届くチャンスがある。検索機能の充実により、弱小商品の情報もトップ商品の情報も等価に扱われる。トップ独創の時代ではなく、百家鳴動の時代なのだ。

・・・ということらしいんだけど、実際どうなんでしょうね。

現在は、実際にweb2.0的うごめきが芽生えつつある一方で、従来のweb1.0的商業モデルにweb進化のメリットを取り込んで、あくまで囲い込みで利益を得ようとするトップランナーが派手に動いている、という状況なんだろう。

音楽配信だって、どうなんだろう、たとえばiTunes storeやmoraにしても、結局は大手流通の新たな販路に過ぎない。店舗売りよりは品揃えははるかにロングテール的だが、そこで扱われるのは大手のふるいに残ったロングテールであって、自主制作花盛りの音楽シーンにおける本当のロングテールではない。メジャーにとりこまれる努力をまったく払うつもりもないワタシのような存在は、音楽配信の仲間入りをするルートがないのだ。

web進化も、いまはまだメジャーにいいように使われている1.0段階なのだろう。

話が音楽になったところで、本当の意味でのロングテールの最左部に属するワタシとしては、なんとかweb進化のうまみを本来の意味で吸い上げてなんとかそこそこ息をしていけないものだろうか??と個人的に試行錯誤する地味な日々なわけです。



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「変身/掟の前で 他2編」フランツ・カフカ

2007-10-21 16:21:15 | book
変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1)
カフカ,丘沢 静也
光文社

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カフカは10代の後半に「変身」「審判」「アメリカ」を読んだきり。
「審判」の異常な閉塞感が好きで、全体像がさっぱりわからんままところどころつまみ読んだ。

で、読み返すのもだんだんおっくうになり、もう二度とカフカを読まんかもしれんんなあ・・などとぼんやりと思っていたら、豈図らんや、ふと書店で見かけたらなんとなく買ってしまっていた。

それでも買って2週間くらい?は床に積んでおいたのだが、とうとう手に取って読んでしまった。

ああ、読んじゃった。

***

今回興味をひかれたのも、本書の解説に、この本がカフカの「史的批判版カフカ全集」を底本としたものだと書かれていたから。

若かりし頃に読んでいたカフカがいわゆる「ブロート版」だということは当時から知っていた。「審判」や「アメリカ」がマックス・ブロートによる編集によって成立しているものだということは、作中に突如現れる欠落部分で明白だった。

でも、その後、ブロートの多分に主観的な解釈に対して、文献調査による新編集版「批判版カフカ全集」が出ていたことは知らなかった。これが最初にでたのが82年というから、もう20年前(というかワタシにはついこの間な感じだけど^^;)。

いや~知らんかったな~・・と思っていたら、実はその後さらに、「史的批判版全集」というのすら出ていたという。これは95年から刊行されたもので(これでも10年前だ)、もはや編集すら極力排して、生前出版されたものは復刻スタイルで、生前刊行されなかったものは手稿のファクシミリと印刷ページが対になっているスタイルで刊行されているのだとか。

で、光文社からでた文庫はこの最新の「史的批判版」に基づくものだという。

クラシック音楽でもオーセンティックというか、ピリオド奏法かぶれなワタシとしては、この、原典に忠実に、という香りはなんとも魅力的なのでありまする。

****

で、「史的批判版」に基づく邦訳はたぶんまだこれ1冊しかないのだろうけれど、「批判版」を底本とした邦訳が白水社のカフカコレクションなのだという。
いや、知らなかった。これは白水社揃えちゃうぞ!!

・・・・と息巻いてみたが、光文社文庫版の訳者あとがきによると、この白水社版、ずいぶんと邦訳編集にあたって、ブロート的な配慮をしてしまっているそうな。
原文では2パラグラフで成り立っている章を、会話文のはいるところで律儀に段落分けしてしまって120くらいのパラグラフにしてしまっている、とか、
ちょっと複雑ないいまわしをばっさりカットして訳してしまっているとか・・・

う~ん、あまり「批評版」を底本とした意味がないのでは??


・・・・ということで、いま邦訳で読めるのは、ブロート版の新潮社版と、「批判的全集」からの無批判的翻訳(笑)である白水社版しかなく、ほんとうに批評的といえるテキストは日本語にはなっていない、ということになるんですね~
う~~む、残念。

光文社にひきつづき「審判」や「城」などを「史的批判版」の批判的翻訳でお願いしたいところだけれど、う~ん、この古典新訳文庫はやっぱり「古典」の翻訳だろうからな~「変身」は古典でも「審判」は古典とはいいがたいかもな~
(むしろマニア向け?)

**********

とまあぐだぐだ長くなったけれど。

肝心の中身のほうは、昔読んだ古式豊かな日本語に比べ、非常に軽くなったというか、ユーモラスな面が浮き彫りになったかな。

「変身」なんかでは、虫になっても妙に気を使って努力するグレーゴル(昔の訳ではグレゴールだったな)がけなげだけれど、それが常に裏目裏目にでてしまって、これはなんだかマルクスブラザーズ的な意地の悪い笑いを感じさせるよ。

一家の大黒柱を失ったことで、かえって家族がたくましくなっていって、最後は急に晴れ晴れとした解放感まで得てしまうのも、ナンセンスでおかしい。

他の収録作でもそうだけれど、だから何?的ナンセンスを笑う、というのが実はカフカの持ち味なんかもしれない。とくに「アカデミーで報告する」なんかはすごいことになってる。

サル?(笑)


だから、もしかすると、現代口語訳よりも、ちょっと昔ちっくな大仰な日本語の方がより可笑しいかもしれんな。大仰なナンセンス。
「審判」だって、「ヨーゼフ・K!」よりも「ヨオゼフ・K!」のほうがいいよ。


やっぱりこれは白水社版はやめて新潮社版を読み返してみるかなあ・・・



「変身」の家族の物語は、今読んだ感じだと、まさに「息子」をめぐる今の日本の物語という気がしたな。

息子って小さいうちはかわいいけど、あるときから急に人が変わったようになっちゃうやつもいるでしょ?昔はかわいかったのに、いまじゃ悪くなっちゃって厄介者。家族に心労ばかりかけてどうしようもない。

で、悶々としているうちに、なんかほかの家族は結束しちゃったりして、どうなんの?とか思っていたら、あっさり息子は結婚かなんかして、社会人になっちゃって普通の奴になったりして、あらら?拍子抜け・・でも家族は急にすっきり・・・
みたいな。。

そんなどこにでもありそうな家族の風景にみえたな。
息子の変質がたまたま虫だっただけで。

まあ虫の期間にほんとにろくでもないことをしでかしちゃう奴もいるわけだけどね。人殺しとか。

やだやだ。息子ってやっかいだよな~~^^;
(うちは娘なのでよかった(?))



読み比べるとどうかな?

変身 (新潮文庫)
カフカ,高橋 義孝
新潮社

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変身―カフカ・コレクション (白水uブックス)
フランツ カフカ,Franz Kafka,池内 紀
白水社

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「サクリファイス」アンドレイ・タルコフスキー(再観)

2007-10-16 22:10:23 | cinema
サクリファイス [DVD]

紀伊國屋書店

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OFFRET
1986スウェーデン/フランス
監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー
撮影:スヴェン・ニクヴィスト
出演:エルランド・ヨセフソン、スーザン・フリートウッド、アラン・エドワール


何度目かわからないけれど再観す。

この映画はタルコフスキーの作品のなかでは評価が微妙らしく、端的にいうと「メッセージを映像表現に優先させた」という、なんだか映画的敗北のような評価を受け勝ちのようである。

けどワタシはなんか好きなんである。
時には冒頭のタイトルロールを観ただけで胸がいっぱいになり観るのをやめてしまったりする。

タイトルロールからして実はロールではなく、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画「東方の三賢人」の部分のクローズアップが延々映るなか、バッハのマタイ受難曲からのアリアが冒頭から終わり近くまで流される。

絵的に退屈極まりないことは、パゾリーニのタイトルに匹敵するだろう。

で、基本的には全編がこの単調さに支配されている。他のタルコフスキー作品での、渋いながらもよく観ると色彩豊かな映像表現とは異なり、グレーを基調とした起伏のないゴトランド島海岸風景、暗いブラウンを基調とした室内、暗いグレーに塗りつぶされた夜の景色、陰影を欠いた色調が延々と続く。

唯一画面に色彩があふれるのは、アレクサンドルがアンドレイ・ルブリョフの画集を繰るシーンであるが、光が紙面に反射して絵そのものは淡くかすんでしまう。
レオナルドの「東方の三賢人」にしてもガラス越しの反射光で絵はほとんど見ることができない。

タルコフスキー得意の4大元素の饗宴もしっかり健在なのだが、その色彩がいつもと違うのだ。

この色彩から遠く隔たろうとする意思はなんだろう。

***

気のきいた答えはないだろうけれど、ワタシの感じるところで言うなら、一本の枯れ木を立てるシーンに始まり、その枯れ木に水を運ぶシーンで終わるこの映画の、絶え絶えな、しかし細く強くつながっていこうとする希望は、この枯れ木に象徴される、枯れた、乾いた、世界の果てに行き着きそこから再生していこうという類いの希望、なのだと思う。
それは世代を超えて受け継がれたいと望む希望のあり方であって、忘我でもなく自己愛でもない、外的でも内的でもない、その中間にたたずもうとするもの。

それは我々になじみの深いはずの わび・さび なのだ。

むしろこの映画ではじめてテーマは訴えることをやめ、佇み、次の時代へと息をつないでいこうとしている。
タイムカプセル、あるいは繭のようなもの。
そんなものとして映画を構想したのではないだろうか。


世界の終末を前に、救済をもたらす儀式は内的で精神的なものになるのだ、という物語はすでに「ノスタルジア」でもあるいは「ソラリス」にもさかのぼれる。

しかし「サクリファイス」でも繰り返されるその物語は、今度は精神的な深みの表現を欠き、違う種類の、古代の壁画のような、東欧のイコンのような、二次元に描かれた遠い出来事のように思える。
この遠い昔の出来事を遥かな未来に託している。
そんな「達観した」映画なのだと思う。

****

達観など映画に求めないぞっ
という気持ちを持ちつつも、
時折この東欧水墨画の前で正座をしてみたくなる。
そんな感じなのであります。



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健康なんだか不健康なんだか

2007-10-13 03:56:40 | diary
へろへろなmanimaniです。

仕事復帰してもうすぐ一ヶ月ですが、すでに結構へろへろでござる。
主治医も最初は大変ですよ~とおっしゃっておられた。
日中仕事場にいるときはわりと平気なのでござるが、夕方帰路につくころにはへろへろ度が急上昇。帰り道がたるい~でござる。
家の近所のスタバで一服して帰るのを楽しみに、なんとか帰路をがんばるのでござる。

夜は早寝。10時には寝てしまう。寝る前にリサ・ランドールの本を再読しているが、1ページ読むか読まないかで寝てしまう。

まあ早寝はいいが、問題は2時とか3時に起きてしまうこと。
眠剤飲んで寝ても同じ。
目が覚めてもそのまま寝てりゃいいようなものだが、それもつらいので起きてしまう。と、1時間くらいは寝れないので、ついついこうやってiMacちゃんをいじる。

早寝早起き?

結局4時ころにまた寝るので、早寝、早起き、朝寝?
で、ちょうど出勤時刻あたりが一番眠いというですね、、タチの悪い睡眠の奴なんですわ。

なんとか一晩通して寝たいもんだ。
日中に運動をするとか?(性にあわね~す)



****

Apple iPod nano 8GB シルバー MA980J/A

アップルコンピュータ

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iPod nano 8GB
誕生日プレゼントに買ってもらいました。
奥様に。

ほんとは色はREDなんですけど。
REDは「アップルは購入金額の一部を「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」に寄付します。」ってやつなので、すこしは世のためになっているかもしれない気分を満たしてくれるし。

ごきげんなmanimaniです。
へろへろですけど。


さっそくスピッツをヘビロテしています。
(「僕のギター」「群青」いいなあ。)
さざなみCD
スピッツ,亀田誠治,草野正宗
ユニバーサルJ

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****

関係ないけど勝手に「manimani」って名乗っているけれど、ブログのIDとった後に考えた名前なので、IDとは全然違うんだよね。。なんか間抜け。

そのせいかmanimaniで検索してもこのブログにはたどり着けませんのだ。
それはページビューが少ないというだけかもしれませんけどね^^;

****

今気にしていること。

猫沢エミさんのライブ:10月27日(土)

mayulucaさんのライブ:10月21日(日)

芝田文乃さんの写真展:10月29日(月)~11月4日(日)

某氏企画の飲み会(昼食会?):11月4日(日)


飲み会はどうしようか迷っておりまする。
前述のとおりへろへろなので、ライブにも行けるかどうか状態ですのじゃ。
返事が遅くなってかたじけない。近日中に必ず返答しますゆえ、しばし待たれい。>某氏


浅野信二氏の個展にはうっかり行きそびれてしまい。
せっかく自転車圏内だったのに残念。


*****


支離滅裂でござる。




Now Reading
ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く
リサ・ランドール,塩原 通緒
日本放送出版協会

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カフカ,丘沢 静也
光文社

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ポールのPVアンソロジーが出ますね~

2007-10-11 05:36:41 | music
ポール・マッカートニー・アンソロジー 1970-2005 (初回生産限定特別価格)

WARNER MUSIC JAPAN(WP)(D)

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このようなものが出るようです。
DVD3枚組のPV集。
早速予約しました。
血があつくたぎりそうです
めらめら






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買いましたよぉ

2007-10-10 22:05:54 | music
スピッツNEWアルバム!出た!

さざなみCD
スピッツ,亀田誠治,草野正宗
ユニバーサルJ

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で、基本的にはとてもいいんだけど、ちょっと音の作りが飽きてきたかなあ・・
亀田さんプロデュースの音作り。
多分スピッツのメンバーでのギグの音にかなり近い音なんだろうけど、前作、前々作と同じ感じなんだよな。野太いベースにシャリのきいた派手なドラム、壁のようなギター。
昔のへなちょこな音作りのスピッツもそれなりに味があったなあという気もしないでもない。

あと、歌詞がちょっと普通になってきたかも。魔法のような言葉は消えつつあるのかも。
ワタシのなかでは歌詞が100点のアーティストはスピッツだけなので、惜しい。

結局いまだにスピッツのベストは「ハチミツ」であり続けるのでした~

でも「魔法のコトバ」はいいねえ。





five-star(初回生産限定盤)(DVD付)
YUKI
ERJ(SME)(M)

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YUKIのシングルコレクション+DVD
YUKIのアルバム「WAVE」は聞き込むほどにエヴァーグリーンな存在になってきているので近々なにか書こうと思っているのだが(って今頃レヴューかい^^;)
このシングルコレクションも、別の切り口でのYUKIのエヴァーグリーンな面を切り出していて、聴いていて心地いい^^

しばらくはスピッツといっしょにヘビロテですな。




FLYING SAUCER 1947
ハリー細野&ザ・ワールド・シャイネス,細野晴臣
ビクターエンタテインメント

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これもね~
ついつい気になるんで買ってしまうんだけど細野さん。
思い切りルーツに走ったのは「HOSONO HOUSE」以来かとも思うが、コピーというか人の歌やセルフリメイクも多いので、ホソノハウスのようなフェイクな独自性というのが感じられない。
今時これができるのも、これでCDを出せるのも、そこそこ売れるのも細野さんだからだろう。

「ポンポン蒸気」はよほどお気に入りらしく、二度目のリメイクだ。





RESCUE/RYDEEN 79/07
SHIHO SHIBAOKA,HASYMO/Yellow Magic Orchestra,HARUOMI HOSONO,YUKIHIRO TAKAHASHI,HASYMO,YELLOW MAGIC ORCHESTRA
エイベックス・エンタテインメント

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といいながら、スケッチショウなんかはまったく聴いたことがないのです。
これなんかはどういうもんなんでしょうね~
かっこいいけどなんだか余興のような余裕が漂っている。
細野さんはああ見えて結構常にぎりぎりの状態で音楽を作り続けていた人だと思うが、ここに来てようやく余興ができるようになったということだろうか。

ライディーンはそれこそYMO名義なんだけど、これまた余興だなあ・・・



金がないのにな~





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「僕の村は戦場だった」アンドレイ・タルコフスキー(再観)

2007-10-09 11:45:51 | cinema
僕の村は戦場だった

アイ・ヴィ・シー

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IVANOVO DETSTVO
1962ソビエト
監督:アンドレイ・タルコフスキー
原作・脚本:ウラジミール・ボゴモーロフ、ミハイル・パパワ
出演: コーリャ・ブルリャーエフ、ワレンティン・ズブコフ、E・ジャリコフ、ニコライ・ブルリャーエフ


観るのは二度目なんだけど、こんなんだったっけ?(笑)
原題は「イワンの子供時代」でしょうか。こちらのほうが内容にはあっている。



タルコフスキー初期の本格長編第1作。後の作品群からするといまだ習作という感もないことはないが、それでも十分タルコフスキーらしいモチーフに貫かれているし、むしろ後の作品ではやや影を薄める、闇と光のコントラストのような初期の手法を堪能できる。

光が充溢した夢想シーンから一転して銃声と闇の世界へ展開する冒頭は、お約束とはいえみごとなギャップを構成する。以降この闇と光のコントラストが作品を彩る。というか、実はそれこそがこの寂しく悲しい作品の感情面を演出する要素なのかもしれない。

冒頭すぐに、夜の闇に潜み川を渡る少年の周りに、細い木が高々と伸び、その上を砲弾の火の玉がスーッと飛んでゆく。灰色の闇だ。画面に満ちる水を掻き分けて少年はある小部隊の司令部にたどり着く。
部隊の司令部は、小さなランプだけの光と影の世界だ。画面は光を補うことなく、室内に大きく写る人物の影を、ゆれるままにとらえている。ぼおっと浮かぶ司令官の顔、厳しい少年の顔。

これが戦場だろうか。

この冒頭、夢のダイナミックさから戦場の静謐さへのシークエンスは、この映画の主題が、戦場の悲惨にあるのではなく、少年の心の隠された悲しみにあることを示していると思えてならない。

光と影による内面描写への強い志向は、最初期の、フィルモグラフィにも載らない習作「殺し屋」の段階からすでに見られるものだと思われる。
タルコフスキーの精神的内面志向は、モノクロ時代には主にこの光と影の配分を手法としたのだろう。

↓「殺し屋」から


******

そして音も。

川を渡る音、どこかで水の滴る音、砲弾が静かに飛んで着水する音、時折はさまれる銃声、壊れた蓄音機の奏でるロシア民謡、戦場のシーンはほとんど音楽もなく静謐。
それに対してイワンの夢の世界では、みなの笑い声、音楽、雷鳴、雨の音など、音にあふれている。

音の一つ一つに泣ける、タルコフスキーの音響センスは初期長編から健在。

****

泣けるといえば、主にイワンの夢を織り成すなにげないエピソードも切ない。
決してそれ自体悲しいドラマを演出したりはしない。
たとえば、井戸のそこからは昼間でも星が見える、とか(これ村上春樹にも出てくるね)、トラックの荷台で雷鳴の中雨にぬれながら妹とリンゴを食べる、とか、そういうなんでもない情景にこそ感情と内面の本質が横たわる、といわんばかりの監督の強い思いが感じられる。

あるいは、看護大尉(女)を大佐だかなんだかがしつこく口説くシーンとか、丸焼けになって扉だけ残った家に住み着いているやや危ない老人とか、本筋に関係ないシーンにもなんとも味がある。

この一件脈絡のないエピソードをさしはさむという構成は、特に「鏡」に顕著であるが後のタルコフスキー作品でも重要なものとなる。
それはおそらくは監督自身の記憶にも関連していて、それでいて観るものをもふと過去へ、異世界へいざなうようなエピソードのつくりかたであり、「ノスタルジア」というテーマに密接に関係する要素なのである。
そしてこれこそタルコフスキーが故郷を捨ててまで追った(あるいは捨てることでより強固になった)最重要テーマなのだ。

(この映画の場合、それは脚本によるものか、監督の演出によるものか微妙であるが・・)

*********

さて、タルコフスキーといえば、「寝る」。(笑)
ワタシも劇場で観たタルコフスキーのほとんどを寝て過ごしてしまった口であるが、繰り返し繰り返し観るうちに、ようやくそれぞれの起伏のようなものをだんだん理解するようになり、ものによってはスペクタクル感すら覚えるようになってきた(笑)

関東平野の立体地図をみて、最初はなんだか退屈な平坦な地図だが、詳しく見ていくうちに池之端と本郷の高低差に気がついて興奮するような感じ?

なので、寝てしまった人も、めげずに繰り返し挑戦してみるのも一興かと思われまするよ。


****************************************

さあて、今回、おにゅーのiMacでの初DVD鑑賞だったんだけど、う~~~~ん、やっぱり液晶は反応とコントラストがいまいち鈍いなあ・・・
この作品のように、モノクロで諧調レンジが広いようなのは向いてないかもしれない。
作動音はほとんどしないので、音的には快適なんだけどね。

ウチにはないけど巷の大画面液晶TVなんかはどんなもんなんでしょうね?



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不気味なものを見てしまった

2007-10-04 11:18:02 | music
Fantasia Live in Tokyo (Ws)



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これがタ○レコでデモディスプレイされていたので、足を止めたら、
たまたま「Roundaboud」をやっていた。



ジョン・ウェットンの歌うラウンドアバウト??

うげえ

すごい不気味だった。
切れも味もないし、
テンポたるいし、
声太いし。


スティーヴ・ハウは本家だからまだいいとして、
ジェフ・ダウンズがあの早弾きをコピーしている姿はまた不思議~

思わずDVDパッケージを手にとってセットリストを見ると、さらに、
Video killed the radio star」の文字が・・・・

聴きたくない~~~っす
・・いや、聞いてみたいかも^^;

ここまで入り組んでくるとわけわからんねプログレ界。
まあ余興なんでしょうけどねえ


スティーヴさん今昔






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「ワープする宇宙」ほか リサ・ランドール

2007-10-03 13:18:58 | book
ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く
クリエーター情報なし
日本放送出版協会


面白かった!対称性の話のところまでは!!
そこから先はどうがんばってもわかった気がしない(笑)
笑うしかない(笑)

ニュートン力学から説き起こして、2003年ころまでの最新の理論物理学の潮流を、平易に、ユーモア満点で紹介してくれる。でも概説ではなくて、理屈の肝を理解していただきたい!という情熱と表現力に満ちている。こういう本はありそうでないので、その意味では今まで見た中では一番いい本かも。

でもな~~平易なんでしょうけど、わからん!!

***

とりあえず、読んで頭に入った内容をフリーハンドで書いてみることにする。


素粒子物理学の当面の目標は、世の中の基本的な構成要素を明らかにするとともに、4つの力(重力、電磁力、弱い力、強い力)を統合する理論を模索すること。

現在その試みには大体二つの潮流があって、
ひとつは「標準モデル」に基づくボトムアップ的理論を模索する流れ。
もうひとつは「ひも理論」に代表されるトップダウン的理論の流れ。
著者は前者に属する学者である。
両者は、ひも理論登場時には、未来の道はこちらだと互いに主張し反目しあう流れだったが、近年、余剰次元理論などを契機に、互いに影響し合うものになっている。

「標準モデル」アプローチはモデル構築と実験実証をくりかえし、おおむねいい線をいっているが、解決すべき課題もいくつかあってそのひとつは「階層性問題」なのだと。

・大体の粒子はウイークスケール質量(=比較的低エネルギー)で発見され、重力を除く3つの力の相互作用のうちに観測されるが、重力が強い相互作用をするのはプランクスケール質量(=高エネルギー・いまだ観測不可能な領域)と推測される。
・なぜ力の間にこのようなダブルスタンダードがあるのか、をエレガントに説明する理論がない。

ってのが「階層性問題」らしい。これはいいかえると重力は他の力にくらべてなぜこんなに弱いのか?ということでもある(らしい)。

標準モデルアプローチではこれを解決する説明として「超対称性」もしくは「超対称性の破れ」による理論を検討中であった。
しかし、「ひも理論」の10次元・11次元のような余剰次元、及び「ブレーン」(メンブレーン)あるいは「ブレーンワールド」の考え方を導入することで、「階層性問題」を始めとする諸問題に答えるモデルを構築し、いまや最注目株となったのが著者である。




著者のモデルは4つの空間と1つの時間からなる5次元モデルである。
【RS1モデル】
われわれ(つまり素粒子)はウィークブレーン(3+1次元)に張り付いている。われわれはブレーンの外(5つ目の次元)に出ることはできないが、重力を伝えるグラビトンだけは5次元目に動いていける。
ここで、5つ目の次元空間は大きくゆがんでいるとすると、グラビトンの存在する確率が5次元の位置によって大きく異なる。
重力ブレーンでは重力は他の力と同じく強い力であるが、5番目の次元は大きくゆがんでいるため、重力ブレーンから離れた5次元の終点であるわれわれのウィークブレーンではグラビトンはほとんど存在しなくなる=すなわちウィークブレーンでは重力は小さくなる。かつ5番目の次元にはほとんど出ることができないので5番目の次元をわれわれが知覚することはできない。

図1:RS1

というのが「RS1」と呼ばれるモデル。1999年に発表された。

【RS2】
それを発展させたのがRS2モデル。
よく考えると、重力ブレーンから十分離れると重力はほぼ一定に小さくなるので、ウィークブレーンを5番目の次元の終点に設定する必要がない。つまり、5番目の次元は無限に続いている(かつわれわれは知覚できない)ことも考えられる。

図2:RS2

さらに著者は、RS1やRS2で、各ブレーンが平坦でないモデルも提示する。
そうするとブレーンは微妙に負の重力エネルギーを帯びることになるという。

****

第3のモデルの意味することはよくわからない。。
っつーか、RS2も、無限の大きさで知覚できない!というのはすごいが、よくわからん。われわれの住んでるブレーンはどこにあるの?重力ブレーンは違うですよねえ。5番目の次元のどこにでもありうるということなんですかね?

****

さて、この5次元モデル、近々実験で検証ができそうな見込みだとのこと。スイスにあるCERNという研究機関に建設中のばかでかい(全貌は航空写真でないと観られないという)粒子加速器がもう完成するらしく、期待大。

でも、何が5次元の証拠か?というのがまたさっぱりわからない。
粒子の衝突によってエネルギーが消失する?だか質量が消失する?だかなんだか??全然わからん。


ともかくもう一度読み直してみる所存です


****

ちなみにリサ・ランドールさん、ワタシと同じ年齢でした。




↓この本はリサさんへのインタビューを中心とした啓発的な本。
リサさんの人柄がみえてほほえましい。
上の本と併せて読むとより楽しめるという感じ。

リサ・ランドール―異次元は存在する (NHK未来への提言)
リサ ランドール,若田 光一
日本放送出版協会





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リンチだらけ

2007-10-01 15:07:16 | cinema
夏の終わりにしばらく密かにリンチがマイブームでした。
その間に買ってしまった本とかを。


デイヴィッド・リンチ 改訂増補版 (映画作家が自身を語る)
クリス・ロドリー,廣木 明子,菊池 淳子
フィルムアート社

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以前出ていたものに、いまのところの最新作「インランド・エンパイア」までの事情を加味したもの。
リンチへのインタビューにより構成されているので、どの記事よりも面白い。と思う。
なにしろ映画や作品については説明をひたすら避ける一方で、むしろ創作の源泉となったフィラデルフィア時代の殺伐とした環境のなかでの閉鎖的濃縮コミュニティでの裏話なんかをこそっと語る。
また、どうやって霊感を得て即興的にアイディアを積み重ねて完成に至るかといったことについて吐露する。面白い。

でもなあ、ページがいきなり入れ替わっているところがあってびっくりしたよ。
ページ番号はシリアルなのに、内容が一ページ飛び越している。こんな編集ミスの本は始めてだわ(笑)

**********

美術手帖 2007年 10月号 [雑誌]

美術出版社

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店頭で見かけて勢いで買ってしまった。パリのカルティエ現代美術財団での回顧展を中心にした特集。だけど、いくつか載っている論評はなんだかどれも煮え切らなくつまらない。よく読み返すと違うのかもしれないが、リンチのカテゴライズ不可ワールドの前には文章はひたすら影が薄い。

***************

コーヒーブレイク、デイヴィッド・リンチをいかが
滝本 誠
洋泉社

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これもタイトルからしてなんとなく売れなさそうな感じだが、意外に面白かった。リンチとコーヒーをキーワードに、脅威の博学(雑学?トリビア?)を炸裂させる滝本氏。なかなか面白い人物に違いない。つながりをどこまでも広く長くのばしていくという能力で食べているんだもんな。
滝本氏が問題の「ストレイトストーリー」を、「奥さんにたのまれてしぶしぶ撮ったやっつけ」と軽く通り過ぎちゃうのが笑える。

************

デイヴィッド・リンチの映画空間―Lynch
遠山純生
エスクアイア マガジン ジャパン

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これはちょっと古い本だが、リンチの出世期、特に「エレファントマン」撮影秘話が詳しくて面白い。無名の監督がアンソニーホプキンス始め並み居るスターを相手に、よく自分の世界(工場・霧・ノイズ)を追及したもんだと感心する。
しかし、この本、年寄りにはつらいつくりだ。(字がすごく小さい上に、紙の地も白じゃない)

***********

David Lynch: The Air Is on Fire

Thames & Hudson

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本命、カルティエ財団での回顧展カタログ。大判のミクストメディア作品からレストランのナプキンへの殴り書きまで。リンチのアートワークを概観するには一番いいかもしれない。
外装がまた毛羽立ちやすい紙質で、リンチらしい。触っているうちにどんどん磨耗していく。
物の割には安く入手できる。

*************


DISTORTED NUDES

カルティエ財団回顧展の図録を見た感じだと、↑この作品集がワタシ的には一番くるかも。
どうもリンチのサイトからしか入手できない??↓

davidlynch.com

*************

幻想のアメリカ
カイエデュシネマジャポン編集委員会
勁草書房

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こいつはまだ買ってない。アメリカの作家、はいまやリンチ、バートン、クローネンバーグなのか~(クローネンバーグはカナダ人だよね。彼のアメリカへの接近の仕方は、ザ・バンドの連中のことを少し思い出させるよ。)

****************

あとは~

Inland Empire - Original Soundtracks
David Lynch
Absurda/David Lynch

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これと

マルホランド・ドライブ
サントラ,アンジェロ・バタラメンティ,プラハ市フィルハーモニー管弦楽団,デヴィッド・リンチ,ジョン・ネフ,ミルト・バックナー
ビクターエンタテインメント

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これを買った。
まだ聴いてないっす。



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小さな惑星
Son*ima
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