Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

ベルナルド・ベルトルッチ「暗殺の森」

2005-09-13 13:36:50 | cinema

 

1970
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
原作:アルベルト・モラヴィア
脚本:ベルナルド・ベルトルッチ
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、ドミニク・サンダ
   ステファニア・サンドレッリ、ピエール・クレマンティ


ぷちベルトルッチ映画祭・・・

ファシズムの興亡のなか、殺人のトラウマを抱え、体制に順応して生きる男マルチェロ。
秘密警察の任務についた彼は、元恩師の教授の殺害を命令される。
ハネムーンの形を取り教授と接触するマルチェロと妻。
教授夫妻との放埒な生活の中で芽生える奇妙な人間関係。
教授と夫人は結局殺害される。
その後ファシズム政権は崩壊。混沌とする市街で、マルチェロは
トラウマの元となった人物に偶然出会い、感情をあらわにする・・・

で、二度目なんだけど、やっぱりわからなかったことがある。

●なぜ教授はマルチェロが秘密警察の手先と知りながら、危険な別荘行きを計画したんだろう。

●教授とアンナを実際に殺害した3人組(4人かな?)は何者?

●あそこではマルチェロは実際には手を下すことなく、暗殺が行われるのを見ていたという立場になるわけだけど、(使われなかった拳銃がアップになるのがそれを強調している)、運転手兼護衛がその後に言うセリフ「卑怯者の手伝いだけはごめんだ云々」は誰に向かって発せられているのか?マルチェロ?

ふえー
この映画、どうしてもどこかでウトウトしてしまうせいか、またわからなかった。
くそおもう一回見るぞっ

・森の中ドミニク・サンダの走る姿が木の陰できれぎれに見えるのが美しい。
・青い色を使った風景と、原色に近い色彩を使い分けていて、温度差感のある画面だった。
・ラスト、感情の爆発が体制への順応で抑圧された自我の爆発とないまぜになっているあたり、なかなか奥深いなあ。

【追記】
もう一度観た。
ようやく全体が繋がって見えてきた。
教授を殺害した4人組もやはりマルチェロが手配した連中らしい。

物語だけでなく、ディテールも非常に手が込んでいることに感心する。
ムッソリーニの退陣を告げるラジオの声のシーンとか細かいところがいい。

コメント (8)
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ベルナルド・ベルトルッチ「シャンドライの恋」

2005-09-13 12:56:43 | cinema

 

1998
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
原作:ジェームズ・ラスダン
脚本:ベルナルド・ベルトルッチ、クレア・ペプロー
出演:デヴィッド・シューリス、サンディ・ニュートン


う~ん素敵な映画だった。

アフリカから亡命?したとおぼしきシャンドライ
ローマでピアニスト、キンスキーの身の回りの世話をする仕事をし、
傍ら医学を学ぶ。
キンスキー、シャンドライに恋をする。
「君のためならなんでもする。」
「それじゃ投獄されている夫を解放してよ!」

うまくいえないが、あらゆるモノがはっきり明示されないで、
片鱗からすべてを想像させたり、状況から真実を想起させたりする映画だ。
とってもいいセンスだな。

舞台がローマだということも、言葉や手紙の宛先などでかろうじてわかるくらい。

シューリス演じるキンスキー(ピアニスト、いやピアノ教師か)がどうやらシャンドライの夫の解放に尽力したらしいが、その具体的な姿は画面には出てこない。
代わりに、次々と部屋から美術品や壁掛けがなくなってゆく、最後にはピアノまでがクレーンでつられる。そういうシーンのつらなりで暗示される。

シャンドライは美術品がなくなっていくのにつれ、投獄されている夫の動勢を記す手紙を受け取るようになり、その関連性に何となく気づく。

夫が解放される知らせをもらい、喜びの一方で、感謝の念とないまぜになったキンスキーへの思慕が、描き損じ続ける手紙や、夢、とまどいのしぐさなどで伝わってくる。

そしてまさに夫が解放され、シャンドライの元にやってくるとき、ピアノが運び出される。
シャンドライはキンスキー宛に手紙をしたため、そして・・・・

う~ん絶妙に上手い。
螺旋階段とダムウェイターで繋がる二人の間の空間もなんとも映画的だ。


これだけじゃさっぱり??だろうけど、
今回、しっかり語る言葉がみつからない。

それだけ映画らしい映画なのだ。

コメント (2)
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