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ちょっと言葉にするのは困難だなあと途方に暮れているのでありますが、
言葉にする必要は特にはないんであって、
言葉にできたらそれはそれで楽しいのですが、
そうでない段階のこの感じ、これ、この楽しみというのも
映画にはよくあることじゃないですか。
とぐたぐたと言って、実に楽しい、この楽しみがもう2ヶ月くらい尾を引いている。
なんか最初のカット、最初の最初の、
ほとんど意味のないようなドア?のアップ(だったよね?)から
いい感じで、
この無条件に降伏を迫るというか、許しを得てしまうというか
そんな感じがあるよねえ。だいたいいつも。
前田敦子さんの無条件な存在感というのももちろんあるし。
染谷将太さんのあのいるだけで無条件に胡散臭いというか、いい奴とも悪い奴とも言えない判然としない存在感とか、
いい具合に無条件にやさぐれ大人感を醸し出すようになった加瀬亮さんといい、
これまた永遠に見習いが続くような下っ端感を強烈に無表情に放つ柄本時生くんといい、
無条件に満ち溢れてしまっている。
葉子のとにかく心を開かない感とか、
仕事モードと素の間のギャップとシームレスの中間みたいな(なんじゃそれ)雰囲気とか、
ディレクター吉岡の、情熱があるんだか無いんだか、あってもなくてもどちらも吉岡みたいな感じとか
もうそういう絶妙かつ微妙なところ。
終盤に至りもちろんそれぞれの変化があるのだけれど、
それを簡単にクライマックスとか「売り」にしに行かないところ。
あるいは、ミュージカル的なマジックリアリズムというか、
あるいは、ややSF風なカタストロフ状況の感じとか、
日本文化に敬意を持って勉強もしている彼の話す日本語の響きとか
料理とか、ヤギとか、偏屈な漁師?とか
そういうものが絡まりあって、
ここにしかない時空を生み出している。
過剰なものを持っているのに、ぎちぎちに折りたたまれていて、
表面を飾ったりはしないのに、今にも吹き出してくるのでは?
という恐ろしい印象がありましたですねー。
いやーいいわ素敵だわ。
@テアトル新宿