泉飛鳥塾

「古(いにしえ)の都・飛鳥」の原風景と共に、小さな旅で出会った風景等を紹介したいと思います!

福岡平野で最大級の円墳がある「善一田(ぜんいちだ)古墳群」

2019年07月03日 08時18分41秒 | 歴史

福岡県大野城市乙金にある「善一田古墳群」の整備工事が完了し、2019年4月27日に「善一田古墳公園」としてオープンしました。「善一田(ぜんいちだ)古墳群」は、乙金山(おとがなやま)から西に派生する丘陵上にあり、総数30基ほどからなる群集墳です。古墳時代後期から終末期(6世紀後半~7世紀)の時代に、王城山(おおぎやま)古墳群や古野(ふるの)古墳群などとともに「乙金古墳群」の一つにあたります。周辺には同時代の集落遺跡として、薬師の森遺跡や、須恵器窯跡として乙金窯跡・雉子ヶ尾(きじがお)窯跡があります。

今回は、福岡平野で最大級の円墳がある「善一田(ぜんいちだ)古墳群」を紹介したいと思います。

「善一田古墳群」は、古代山城の「大野城跡」にも近接しているので、大野城築造との関わりでも注目されている古代スポットです。古墳群を調査した結果、8つのグループ(支群)があり、3~4世代にわたって継続的に古墳がつくられてきたことが分かりました。多くは直径10mほどの小さな古墳ですが、最初期に造られた18号墳は乙金古墳群の中でも最大規模(直径約25m)で、6世紀後半代の福岡平野の中でも最大級の円墳の一つであるといわれています。内部には高さ3.5mほどの巨大な石室があり、鉄鉗(かなはし)・盛矢具(せいしぐ)・馬具(ばぐ)など豊富な副葬品が出土しました。古墳の副葬品の分析から、被葬者は鉄器生産などの手工業に携わった渡来系集団とみられています。おそらく、卓越した技術をもって地域開発だけでなく、大野城や水城の築城にも関わったことが考えられています。

また、大野城市にある「大野城心のふるさと館」にて、善一田古墳公園オープン記念特別展「古墳・王の輝き」が開催されていましたので見学してきました。古代山城の大野城跡に隣接する「善一田古墳群」の出土品や、古墳時代の列島各地の荘厳な装飾品が展示されていました。特に、「善一田古墳群」26号墳出土の装飾太刀三累環頭柄頭(全国で40例ほど出土していて、福岡県では10例目。)・玉類(朝鮮半島や西アジアで作られたと考えられる玉類)や2号墳出土の「象嵌鉄刀」・各種馬具類等に興味をひかれました。

この地域には、このような古墳公園が殆どありません。整備された「善一田古墳公園」を、古代の「大宰府」の歴史散策の一環として行かれることをお勧めします!

                                      


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