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レオパレス21に対する業務改善勧告等の要請書

2019-04-10 22:31:28 | Weblog

           レオパレス21に対する業務改善勧告等の要請書

レオパレス21に対する業務改善勧告等の要請書 

2019年4月10日

国土交通大臣 石井啓一 殿

 

レオパレス21に対する業務改善勧告等の要請書

 

                 賃貸住宅トラブル全国ネットワーク

                       代表幹事 弁 護 士 増田 尚

                 賃貸住宅トラブル阪神ネットワーク

                       共同代表 司法書士 浦井裕樹

                       共同代表 弁 護 士 増田 尚

                 生活弱者の住み続ける権利対策会議

                            代表幹事 田中祥晃

                 大阪クレサラ貧困被害をなくす会

                       代表幹事 司法書士 堀 泰夫

 

要請の趣旨

 

 貴職において、賃貸住宅管理業者登録規程第12条に基づき、賃貸住宅管理業者である株式会社レオパレス21(登録番号(01)第0004726号)に対して、同条1項2号、4号、5号に該当する事由につき、報告徴収や資料提出を求めて、事実関係を的確に把握し、賃借人等に損害を与えることのないよう、法令を遵守し、適正な業務をさせるべく、必要な指導、助言、勧告をするなど、適正に権限を行使するよう求めます。


要請の理由

 

第1 要請団体について

   賃貸住宅トラブル全国ネットワークは、賃貸住宅トラブル埼玉ネットワーク、京都敷金・保証金弁護団、賃貸住宅トラブル阪神ネットワーク、福岡敷金問題研究会の4団体で構成されている団体であり、敷金返還・原状回復トラブルや、敷引・更新料などの不当な一時金など、賃貸住宅契約をめぐる様々な紛争について、賃借人の権利を救済する活動に取り組んできました。

   賃貸住宅トラブル阪神ネットワークは、敷金返還・原状回復トラブルや、敷引・更新料などの不当な一時金、いわゆる「追い出し屋」による滞納家賃等の不当な取立てや明渡の実力行使などの賃貸住宅契約をめぐって、賃借人の被害回復について相談を受け、賃借人の権利が守られるような法制度の整備を求めてきました。

   生活弱者の住み続ける権利対策会議は、賃貸人が、正当事由もなく、相当な立退料等の提供の申し出等もしないまま、解約を申し入れて立退を迫ることにより、賃借人の住み続ける権利が侵害されている状況を是正するため、賃借人からの相談を受け、賃借人の権利が守られるような法制度の整備を求めてきました。

   大阪クレサラ貧困被害をなくす会(大阪いちょうの会)は、多重債務等により生活に困窮した市民の生活再建を支援する活動などに取り組んできました。

 

第2 レオパレス21による不当な立退要求

   賃貸住宅トラブル阪神ネットワークと、大阪いちょうの会は、レオパレス21が、施工した共同住宅(賃貸住宅)において、界壁、外壁及び天井が法定仕様に適合しない仕様となっていること(以下、「本件建築基準法違反」といいます。)について、国土交通省から、改修等の迅速な実施などの対応を行うよう指示を受けたことから、これらの物件に居住する賃借人に対し、立退を求めていること(以下、「本件立退要求」といいます。)に関して、賃借人からの電話相談を実施しました。その結果の概要は、別添のとおりですが、本件立退要求において、レオパレス21は、以下のとおり、著しく不当に、賃借人の権利を侵害する行為をしていると思われる行為が散見されました。

   レオパレスによる本件立退要求は、本件建築基準法違反により、当該賃貸住宅が賃借人の居住の安全や平穏な生活を保障できないものであるために、解約を申し入れるものですから、もっぱら、賃貸人側の都合によるものです。したがって、「正当の事由」が原則として認められるとはいえず、相当の立退料の提示など財産上の給付を申し出ることが必要です(借地借家法28条)。ところで、レオパレス21は、2月14日付ニュースリリースにて、同社が負担を申し出ている「お住み替えに係る費用」とは、①同社管理物件に転居する場合には、「敷金、礼金、住み替え手数料、鍵交換費、当月日割家賃、翌月家賃」、②他社管理物件に転居する場合には、「お住み替え先の契約金(敷金、礼金、仲介手数料、当月日割家賃、翌月家賃、保証会社の保証契約料等)」であると説明し、また、引越代については、提携引越会社にて対応し、費用は同社が負担すると申し出ています。しかし、これだけでは、およそ「正当の事由」を補完するものとは評価できません。レオパレス21は、転居先との差額家賃や、家具や電化製品等の購入費用・処分費用、仕事を休んだ分の賃金補償など、転居にともない余儀なくされる支出については、負担するかどうかを明確にしていません。退室時清掃料が必要なのかどうか(賃貸物件を改修等をするために立退を求めているのであるから、不要とすべきである。)や、入居時等に支払った礼金・更新料・鍵の交換費などの諸費用は賃借人に返還されるのかどうかも、不明です。引越代も、どの範囲まで必要性を認めるのか、いつの時点で支払うのかが明らかでなく、これでは、賃借人の不安も解消されません。

   また、賃貸人側からの解約申入れは、申入れがあってから6か月が経過して、賃貸借契約の終了の効力が生じます(借地借家法27条1項)。しかるに、レオパレス21は、速やかな退去を求めている天井部施工不備の物件(641棟)の賃借人に対しては、本年3月末までの立退を求めたと報じられています。年度末・年度初めは引越シーズンでもあり、折からのドライバー不足もあって、引越業者が確保できるかどうか賃借人の不安を煽る結果となり、混乱に拍車をかけています。同社は、2月26日付プレスリリースにおいて、あくまでも賃借人の都合に添ったスケジュールを個別にうかがって立退を求めていると弁明していますが、そもそも、「正当の事由」が存するかどうか疑わしく、賃貸借契約の終了の効力が発生しているとはいい難い上に、仮に「正当の事由」があるとしても、解約申入れから6か月までは、賃貸借契約が存続しているのですから、3月末までに退去するよう申し出ることは、賃借人の権利を損なうものというべきです。

   そもそも、レオパレス21からの本件立退要求(同社のいう「お住み替えのお願い」)は、賃借人の側に何らの落ち度もないのに、賃貸借契約を終了させようとする行為ですから、賃借人の住み続ける権利を補償するのが当然です。また、安全性が確保されない居住環境にしたのはレオパレス21の側に責任があるのですから、そのような物件に居住させたことに対する損害の賠償(あるいは損なわれた居住利益に相当する家賃を不当利得として返還)をしなければならないといえます。レオパレス21の「お住み替えに係る費用」の負担の申し出は、こうした責任を果たしたとは到底いえません。

   以上のとおり、本件立退要求には、借地借家法によって保障されている賃借人の権利を侵害する様々な違法があるといわざるを得ません。

 

第3 賃貸住宅管理業者登録規程第12条に基づく権限行使の要求

 1 賃貸住宅管理業者登録規程第12条1項2号、4号、5号に該当すること

   前記第2で述べた不当な本件立退要求は、以下のとおり、賃貸住宅管理業者登録規程第12条1項2号(業務に関し賃借人等に損害を与えたとき、又は損害を与えるおそれが大であるとき)、4号(業務に関し他の法令に違反し、賃貸住宅管理業者として不適当であると認められるとき)、5号(業務に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき)に該当するものと思料します。

   本件立退要求は、賃貸人側から解約を申し入れて賃貸借契約を終了させるものですから、「賃貸借契約の終了に係る事務」(登録規程第2条2項)に該当するものとも理解できますが、登録規程第12条1項各号にいう「業務」は、管理事務(登録規程第2条1項)や基幹事務(同2項)に限られず、登録賃貸住宅管理業者が行う業務全般を指すものであり、本件立退要求にかかる諸業務も含まれます。また、本件建築基準法違反も、レオパレス21が施工した共同住宅(賃貸物件)において生じたものですから、登録賃貸住宅管理業者が業務に関してなした法令違反(登録規程第12条1項4号)に該当するといえます。

 2 業務改善に関する勧告等の要請

   したがって、貴職においては、登録規程第12条に基づき、レオパレス21に対して、本件立退要求(及び本件建築基準法違反事案)につき、報告徴収や資料提出を求めて、事実関係を的確に把握し、賃借人等に損害を与えることのないよう、法令を遵守し、適正な業務をさせるべく、必要な指導、助言、勧告をするなど、適正に権限を行使するよう求めます。

以上




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