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質屋装いヤミ金容疑 2人逮捕~「偽装質屋」・警察庁が実態把握を指示

2013-05-23 22:09:16 | Weblog

              「偽装質屋」経営者ら逮捕へ  

                 貸金業法違反疑い  

「偽装質屋」経営者ら逮捕へ・貸金業法違反疑い
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20130530-OYS1T00283.htm

 法定金利が高い質屋を装って無登録の貸金業を営んだ疑いが強まったとして、福岡県警は30日にも、「ダイギンエステート」(福岡市博多区住吉5)や「恵比寿」(同)の経営者らを貸金業法違反(無登録営業)、出資法違反(高金利の受領)容疑で逮捕する方針を固めた。県警は、両社の営業実態から、ほとんど価値のない品を“質入れ”させて高利で金を貸す「偽装質屋」と判断。県内を中心に数千人に数億円を貸し付けたとみており、全容解明を進める。

  捜査関係者によると、両社は、質屋を偽装して実態は貸金業を営み、1000円の腕時計など安価な物ばかりを質入れ品として扱いながら、それに見合わない数万円~十数万円を貸し付けていた疑いが持たれている。県警は、主導的立場だった経営者ら3~4人を逮捕する方針。

 (2013年5月30日 読売新聞)

                  質屋装いヤミ金容疑  2人逮捕  

                ~「偽装質屋」・警察庁が実態把握を指示~  

 質屋を装い、無登録で貸金業を営んだとして、県警生活環境課などは22日、前橋市古市町、質店経営岡崎光正容疑者(60)と富岡市富岡、質店従業員金井栄志容疑者(42)を貸金業法違反(無登録営業)容疑で逮捕した。

 発表によると、岡崎容疑者らは2012年1月から13年3月までの間、高崎市八島町の「だるま質店」で、県内の60~70歳代の男女3人に21回にわたり、計約198万円を貸し付け、無登録で貸金業を営んだ疑い。調べに対し、金井容疑者は「間違いない」と供述、岡崎容疑者は「質屋営業法に基づき貸し付けた」と容疑を否認しているという。

 岡崎容疑者は、11年10月に質屋営業の許可(13年3月に廃業届を提出し、同月に法人名義で許可を再取得)を取得したが、顧客が担保として持ち込んだ品物を査定せず、壊れた時計など価値のない物を担保に金を貸していた。また、顧客の年金支給額や収入に応じて貸付額を決めており、県警は、これらの事実から岡崎容疑者らが貸金業を営んでいたと判断した。

 岡崎容疑者らはチラシを配布するなどして顧客を募集。チラシには貸し付け利率が月6~8%で、1万~50万円まで貸し付けるとしたが、実際には一度に110万円を借りた顧客もいた。

 今回の顧客3人は年金受給者で、貸付金と利息が回収できるよう年金の振込日に口座から自動的に引き落とす契約を結ばせていた。現時点で顧客は約300人、貸付金は計約1億8000万円に上るという。

 質屋営業法によると、質屋の法定金利は年109・5%まで認められているが、貸金業者は上限金利が年20%。このため岡崎容疑者らは質屋を装い、貸金業者には認められていない高金利での貸し付けを行ったとみられ、県警は今後、出資法違反容疑でも調べるという。

 県警は22日、岡崎容疑者の自宅や高崎市内の質店、法人役員を務める横浜市内の男性宅などを捜索し、帳簿などを押収した。

 警察庁によると、昨年2月以降、愛知、大分、鹿児島の3県で、各県警が「偽装質屋」3業者を摘発。被害額は約23億円に上るという。群馬県警は、これらの事件との関連も調べる。

2013年5月23日 読売新聞)
 
「偽装質屋」・警察庁が実態把握を指示
 
 質屋を装った新手のヤミ金業者による被害が目立ち始めているとして、警察庁は23日、実態把握を全国の警察に指示した。
 

 ほとんど価値のない質入れ品で金を貸す行為は「質屋営業」に該当せず、貸金業法などの摘発対象になると指摘。こうした「偽装質屋」が暴力団の資金源になる可能性もあるとして、情報収集や取り締まりの強化を求めた。

 同庁はまた、〈1〉元本や金利を自動引き落としで返済させる〈2〉質入れ品は何でも良いと勧誘する〈3〉年金手帳などを確認する――など、業者の代表的な手口を列挙したチラシを作成。年金など公的給付を受ける高齢者の被害が多いとして、このチラシを使って高齢者に注意を呼びかけるよう求めた。

2013年5月23日20時49分 読売新聞)
 
              カード預かり金引き出す   
 
               福岡の「偽装質屋」事件 
 
カード預かり金引き出す 福岡の「偽装質屋」事件
http://www.nikkei.com/article/DGXNASJC3101L_R30C13A5ACY000/
2013/6/1 2:45

 質屋を装った年金受給者への違法貸し付け事件で、大山晟徳(せいとく)容疑者(61)らが経営する2業者が一部の債務者からキャッシュカードや預金通帳を預かり、返済金を口座から出金していたことが31日、福岡県警などへの取材で分かった。県警は2業者が担保価値のない質草で貸し付けをしていたため、確実に返済金を得る目的でカードなどを預かったとみている。

 県警などによると、大山容疑者が経営する「ダイギンエステート」と次男の貴博容疑者(31)が経営する「恵比寿」は主に、年金受給日に口座から返済金を自動引き落としにする契約を債務者と結んでいた。

 一方、貸付日と受給日が近く、自動引き落としの手続きが間に合わない場合は、暗証番号を聞き出した上でカードや通帳を預かり、受給日に返済金を出金したケースもあった。

 貸金業法は返済目的で年金口座のカードや通帳を預かる行為を禁じているが、質屋は同法の対象外。しかし、県警は2業者が時価500円以下の腕時計などを質草にして、貸し付けをしていたことから、実態は同法の対象になるヤミ金融だったとみている。

 大山容疑者ら逮捕された4人は「貸金業ではなく、質店を営んでいた」としている。
 
              質屋を装い高利貸し  
 
              9000人に70億円超 
 
               容疑者4人逮捕  
 
質屋を装い高利貸し、9000人に70億円超 容疑者4人逮捕
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130530&ng=DGKDASDG3001D_Q3A530C1CC0000

 質屋を偽装し、年金受給者らに違法な高金利で金を貸し付けていたとして、福岡県警は30日、業者の「ダイギンエステート」(福岡市博多区)と「恵比寿」(同)の社長ら4人を貸金業法違反(無登録など)と出資法違反(高金利)の疑いで逮捕した。県内を中心に70億円超を9千人以上に貸し付けていたとみられ、県警は全容解明を急ぐ。

 逮捕されたのはダイギン社長の大山晟徳(せいとく)容疑者(61)=福岡市東区舞松原5=と、専務の大山貴博容疑者(30)=同=ら。

 県警によると、大山晟徳、貴博両容疑者は親子関係。貴博容疑者は恵比寿の社長も務めており、両社は実質的に一体営業していた。4人とも「貸金業ではなく、質店を営んでいた」などと容疑を否認しているという。
 
           「年金担保の融資はない」  
 
             全質連が注意呼び掛け 

「年金担保の融資はない」 全質連が注意呼び掛け
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2806L_Z20C13A5CR0000/
2013/5/29 12:15

 ヤミ金業者が高齢者から価値のない質草を受け取り、実際は年金を担保に違法な高金利で金を貸し付ける「偽装質屋」事件が相次いでいる問題で、全国質屋組合連合会(全質連)は質屋が年金を担保にすることはないとして、あらためて注意を呼び掛けた。

 質屋営業法では、質屋は物品を担保に金銭を貸し付けることが定められている。しかし偽装質屋事件が表面化して以降、質屋に「年金を担保に融資してほしい」との問い合わせがあるという。

 全質連の菊池章二会長は「偽装質屋の撲滅に向けて警察とも協力しています。質屋が年金通帳などで融資することは一切ないので注意してほしい」と話している。〔共同〕

          

 

偽装質屋 被害広げた「収納代行」 「規制緩和」で法規制せず

2013-05-19 17:17:31 | Weblog

                 偽装質屋  

             被害広げた「収納代行」  

             「規制緩和」で法規制せず  

偽装質屋 被害広げた「収納代行」 「規制緩和」で法規制せず
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-19/2013051915_01_1.html

 質屋をかたったヤミ金融「偽装質屋」問題では、銀行などの年金受給口座から自動引き落としで年金が巻き上げられる被害が広がっています。そのさい使われている「収納代行サービス」が、金融庁の金融審議会部会の議論で「不適切な資金移動」に使われる懸念が示されていたにもかかわらず、規制緩和の流れのなかで、法的規制が見送られていたことが18日、本紙の調べでわかりました。
 (竹腰将弘)

08年 金融審で懸念指摘

 議論が行われたのは内閣総理大臣の諮問機関である金融審議会金融分科会第2部会「決済に関するワーキング・グループ」。2008年5月から12月にかけ、学者やITコンサルタント、電子マネー、通信販売などの関係業界代表らが、情報通信技術の革新やインターネットの普及にともない、主として個人が利用する少額決済の分野でうまれている新しいサービスについて制度的な枠組みのあり方を審議したものです。

 収納代行サービスについて、同年10月に示された「論点の整理」は、不適切な資金移動の防止について「不適切な利用者を排除できることが担保されれば…十分と考えられるか」とのべ、このサービスについての懸念を表明。議論のまとめで座長は「将来問題が起きて世間の騒ぎになってから規制をかけることになると、『後追い行政』だと批判を受ける」とのべていました。

 しかし、ワーキング・グループの全体の議論は規制緩和と「金融市場競争力の強化」を目的とするもので、関係業界代表らが「すでに確立したビジネスモデルの成長を阻害する」と強く主張し、新たな法的規制は行わない方向でまとめられました。
 金融庁は、「金融審の議論は安全性と利便性の両面から検討し、収納代行サービスを規制下におかないことを決めた」といいます。

 この結果、収納代行サービスは現在、いずれの官庁の監督下にもなく、法律上、許認可や登録などをする制度もありません。不正利用についての公的チェックもありません。

 ある金融機関の関係者は「ヤミ金の悪用で問題があることが明らかになったのだから、社会的に是正の方策をとるべきだ。金融機関だけでどうにかできることではない」と話しています。

 収納代行サービス コンビニエンスストア店頭での公共料金収納や宅配業者の代金引換サービスなど、商品の販売者とは別の事業者が代金を回収するサービスの総称。事業が先行して社会に広まったため、法的な位置づけが明確でありません。偽装質屋は、代金回収を他の事業者が行う「回収代行サービス」を悪用しています。


年金を食い物 「偽装質屋」被害 銀行の責任を問う声も 口座から引き落とし 野放し

2013-05-15 20:21:19 | Weblog

                 年金を食い物 「偽装質屋」被害 

                    銀行の責任を問う声も  

                  口座から引き落とし 野放し 

年金を食い物 「偽装質屋」被害 銀行の責任問う声も 口座から引き落とし 野放し
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-15/2013051515_01_1.html

 質屋を仮装する新手口のヤミ金融「偽装質屋」問題では、高齢者の年金受給口座が実質的な借金の「カタ」とされ、支給された年金の大半を引き落としてしまうことが被害を深刻にしています。こうした違法行為をたやすく許している銀行の責任を問う声があがっています。(竹腰将弘)

 埼玉県内で偽装質屋から金を借りた被害者の女性(74)は、初めて利用した際に1枚の書類に署名、捺印(なついん)させられました。

収納代行を悪用

 「預金口座振替依頼書・自動払込利用申込書」。偽装質屋が契約する集金代行業者にあてた書類です。集金代行業者は、被害者の年金受給口座から年金支給日に引き落としを行い、偽装質屋の口座に入金します。こうした口座振替サービス業者は、インターネットが普及した2000年代初めから急激に増加した「収納代行サービス」の一種です。

 問題なのは、申込書をいったん提出させれば、偽装質屋側は本人の同意なしに指定した金額を、自由に引き出すことができることです。偽装質屋は通帳や印鑑まで預かる場合があり、被害者は自分の口座を、完全におさえられてしまいます。

 貸金業法は、借金の返済のために、年金の振込口座からの自動引き落としを金融機関に委託することを禁じています。
 偽装質屋問題の相談にあたっている司法書士の仲道宗弘さんは「銀行はこういう犯罪に利用される危険性があることを知った上で、少なくとも本人に確認すれば、こうした取り立てを防げるはずだ」と憤ります。

厳正化要請に…

 警察庁は昨年10月に九州地方で摘発した偽装質屋事件を受け、今年1月31日、全国銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会にたいして、高齢者の口座から自動引き落とし設定の申し込みがあったさいの審査の厳正化を要請しました。引き落とし先が貸金業者や質屋でないこと、返済目的の引き落としではないことを確認することを求めたのです。

 しかし、金融機関側は「対処のしようがない」と、警察庁の要請を事実上拒んでいます。

 収納代行サービス業者が、口座名義人の署名、捺印のある正規の書類を提出している以上、それを改めて審査するようなシステムがないというのです。

 収納代行サービスは、当初は公共料金の収受など限られた分野だけで行われてきましたが、いまではあらゆる分野の代金決済を担う巨大な規模になっています。なかには、悪質商法の集金に悪用される事例もあります。

 銀行と同じく為替や資金移動にかかわる業務を行っているのに、法的規制の対象にはなっておらず、許認可や登録などの制度もありません。

制度の見直しも

 偽装質屋が使った集金代行業者は、申し込みがあった際はその相手の審査を行っているといいますが、「貸金業や質屋という業種であるということが理由で審査を通らないということはない」といいます。反社会的な業者が不正利得を得るためにこのサービスを使うことはたやすいことなのです。

 全国銀行協会は警察庁の要請後、「(偽装質屋の利用を)阻止するために何ができるか、関係当局と検討している」といいます。
 ある金融機関関係者は「偽装質屋によって金融インフラ(基盤)が悪用されている。制度そのものを見直す必要があるのかもしれない」と語っています。


偽装質屋 貸金拡大・回収の手口 公的融資悪用 各地で被害広がる

2013-05-14 16:52:18 | Weblog

                   偽 装 質 屋 

                 貸金拡大・回収の手口  

              公的融資悪用 各地で被害広がる  

偽装質屋 貸金拡大・回収の手口 公的融資悪用 各地で被害広がる
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-08/2013050801_04_1.html

 各地に被害を広げている新ヤミ金融「偽装質屋」。ほかからは借金ができないほど困窮した高齢者を主なターゲットに、借金依存の生活状態に陥れて、年金から法外な高利を吸い上げる仕組みをつくっています。そこでは、公的融資まで悪用し、被害をさらに大きくする手口が使われています。(竹腰将弘)

 年金で一人暮らしをしているAさん(72)が群馬県高崎市内の「偽装質屋」から金を借りるようになったのは2011年の暮れでした。

 質草となる高価な品物もないのに、その店ではほとんど無価値の時計で数万円を簡単に貸してくれ、年金が支給される偶数月の15日に返済する約束をさせられました。

 その後もAさんは、しだいに借り入れを増やし、2回目の返済日の12年2月15日にがくぜんとします。2カ月分で30万円に満たない年金の大半が、返済金として自動的に引き落とされ、口座が空になっていたのです。
 年金支給日には「質屋」に一括返済、生活のためにまた「質屋」通いという“借金依存”。Aさんがそんな生活状態におちいるまでわずかな期間しかかかりませんでした。

 Aさんは1年足らずで25回、この「質屋」から借金を重ねます。利息は、年率換算で平均340%。なかには利率1464%という貸金業の上限金利を73倍も上回る貸し付けもありました。

借金指示

 2月の返済で生活が立ち行かなくなったAさんに、「質屋」はこう持ちかけます。「年金を担保に融資してくれる公的機関がある。利用してはどうか」

 年金担保融資を行っている独立行政法人福祉医療機構からの借金を指示されたのです。

 Aさんは同機構に80万円の融資を申し込み、3月に口座に振り込まれました。同機構の融資は、年金から天引きの形で返済がされるので、支給額が減額されます。「質屋」への返済は引き続きかさみ、7月には再び、Aさんの生活は逼迫(ひっぱく)します。

 「質屋」は再び持ちかけました。「いま機構から受けている融資をいったん返済して、もっと多い金額を借り直せばいい。返済資金は肩代わりしてあげる」

 Aさんは、「質屋」から借りた金で機構の融資をいったん完済し、あらためて150万円の融資を申し込みました。融資は8月中旬に実行。しかし、Aさんはその日のうちに「質屋」に143万円余の返済をさせられます。150万円というまとまった金が入ったはずなのに、Aさんの手元にはわずか数万円しか残りませんでした。

 「質屋」は、公的な年金担保融資に借金をつけかえたうえ、Aさんが通常受け取る年金の範囲をはるかに超える多額の金を巻き上げたのです。

 これは、この「質屋」の常とう手段で、同県伊勢崎市でも、女性の客が公的年金担保融資の利用を持ちかけられたことが確認されています。

 Aさんの相談にあたった司法書士の西川正さんは「『生かさぬように殺さぬように』というが、偽装質屋は短期間に、客を確実に『殺し』にかける恐ろしいシステムだ」といいます。

損害賠償

 Aさんは、家賃を払えなくなり家を失いました。手元には150万円の借金が残っています。どうしてこういうことになったのかよくのみこめません。

 Aさんの被害=“盗(と)られた年金”の額は270万円。いま、弁護士の助言を受けながら、「質屋」への損害賠償請求を準備しています。

 公的年金担保融資 厚生年金保険、国民年金などの年金を担保に融資することはそれぞれの年金保険法で禁止されています。この例外として厚生労働省所管の独立行政法人「福祉医療機構」が唯一、公的年金の受給権を担保にした融資を行うことが認められています。


年金担保融資;「禁断の実」天引き、借金、負の連鎖 苦境高齢者、路上生活も

2013-05-10 22:41:46 | Weblog

                  年金担保融資 

            「禁断の実」天引き、借金、負の連鎖  

              苦境高齢者、路上生活も 

年金担保融資:「禁断の実」 天引き、借金、負の連鎖 苦境高齢者、路上生活も
http://mainichi.jp/area/news/20130509ddp041040033000c.html

 公的年金を担保とする唯一の公的融資「年金担保融資」(年担)を受け、生活が追い詰められるお年寄りが絶えない実態が浮上した。2010年4月に民主党政権が年担の廃止方針を決定した後も制度が続いている結果、生活保護を受けるようになった高齢者が相次いでいることが国や自治体への取材で判明。わずかな年金収入だけの高齢者にとって「最後の頼みの綱」であり、「禁断の実」になることもあるこの制度はどうすべきか。高齢者にとっても、自治体にとっても頭の痛い問題が続いている。【野倉恵】

 年担の返済に追われた経験がある那覇市の女性(76)は今も、か細い声でかつての苦境を語る。

 清掃員として働いていたが、転倒による足のけがで入院、仕事ができなくなった。70代となり、頼りは月2万6000円の年金収入だけに。生活費を得るためアルミ缶を拾っても2カ月で1000円にしかならず、光熱費も滞納。一時はスーパーや公設市場の前で寝る路上生活に陥った。やむなく年担で35万円借りたが月の返済額は約2万円で、年金収入は月約6000円しか残らなかった。支援者らの協力で生活保護を受けられるようになったが、「どうなることかと思った」と振り返る。

 生活保護に至らなくても、年金担保融資で行き詰まった高齢者もいる。北海道・夕張炭鉱などで30年余り働き、閉山後に東海地方でタクシー運転手をしていた男性(73)。仕事で眠れず、妻子と別れた心の傷から睡眠薬依存となって、金融業者から借金を重ね、業者に年金担保で清算するよう迫られた。

 返済中、足が自由に動かなくなる症状が出て、夜逃げ同然で北海道に戻った。それでも年金からの天引きは続いた。「借りてみてがくぜんとした。借りる時はまだ働ける、動けると思っていたが……」

 自治体側には、違う苦悩もある。年担の返済者に生活保護費を支給するのは、「公費による借金の穴埋めになってしまうのでは」(東京都の担当者)。このため国は06年から、借り入れて生活保護に至るのを2度以上繰り返す「リピーター」は原則認めないとしたが、生活保護を認めなければ、極限まで困窮する高齢者を生み出す危険性もある。

 貧困問題に詳しい前日本弁護士連合会会長の宇都宮健児弁護士は「年金だけで暮らせない高齢者が増え、その変形として年担による生活保護の問題が生じた。困窮し働けない高齢者をどう支えるのかが問われている」と社会システム上の問題点を指摘した。

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 ■ 解 説

 ◇公的制度の限界、象徴

 年金担保融資で生活保護に至る人が絶えない現実は、低所得の高齢者を巡る公的制度の行き詰まりを象徴している。最後の手段として年担を頼る人も多く、代替制度の拡充を急務とする声は多い。

 厚生労働省のまとめでは、年金受給者の4割は年収100万円以下。生活保護受給者が増え続ける背景には、働けない現役世代だけでなく、収入の乏しい高齢者の増加がある。65歳以上の生活保護受給者は2010年までの10年間で37万人増え全体の38・2%に達した。

 年金担保融資は返せる資力のある人には低利で有利だが、債務消滅は完済か本人死亡の場合などのみ。破産しても年金から天引きされ、借り手には過酷になりがちだ。だが、借り入れ時の審査は、形式的で緩く、「生活相談とセットでなければ生活破綻は明白」と指摘されてきた。

 代替的な融資として拡充が検討される社会福祉協議会の生活福祉資金は、09年から連帯保証人なしでも借りられるようになったが、スタッフの不足や焦げつきなどの課題が挙げられている。年金か生活保護か別の仕組みか。貧困のリスクにさらされる膨大なお年寄りをどう支えるかをこの問題は突きつけている。【野倉恵】