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高齢者マンションで拘束介護 虐待と認定

2015-02-18 19:37:01 | Weblog

                          高齢者マンションで拘束介護  

               虐待と認定 

高齢者マンションで拘束介護 虐待と認定
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150217/t10015529571000.html

東京・北区の高齢者向けマンションで、介護ヘルパーたちが高齢者をベルトでベッドに固定するなどの身体拘束を日常的に行っていたとして、北区は「高齢者虐待に当たる」と認定し、東京都に報告するとともに、介護ヘルパーなどを派遣している事業所を運営する医療法人に対し改善するよう指導しました。

虐待に当たる行為があったとされたのは、東京・北区の赤羽西と西が丘にある合わせて3つの高齢者向けマンションです。

去年11月に、「居住者に対し身体拘束が行われている」という外部からの指摘を受け、北区が当該のマンションを訪問したり、介護ヘルパーなどを派遣している事業所に聞き取り調査などを行ったりしていました。

その結果について北区は17日に記者会見し、介護ヘルパーたちがこのマンションで生活する高齢者20人に対して、ベルトでベッドに固定したり、おむつなどを脱がないようにつなぎ服を着用させたりするなどの身体拘束を日常的に行っていたことが確認されたとしました。

そのうえで、区はこうした行為が「高齢者虐待に当たる」と認定し、東京都に報告するとともに、介護ヘルパーなどを派遣している事業所を運営する北区の医療法人、「岩江クリニック」に改善するよう指導しました。

また区によりますと、ほかに76人の高齢者が虐待を受けていた可能性があるとしています。

一方、医療法人側は、区の調査に対し「医師の指示による拘束なので正当だ」と説明したということです。
北区介護保険課の道給昌子課長は「高齢者の人権を脅かしていることが分かったので、一日も早い解決に向けて、都とも連携しながら今後も引き続き調査を進めるとともに、適切な指導を行っていきたい」と話しています。

医療法人「コメントできない」

虐待が行われていたと認定された高齢者向けマンションを展開する東京・北区の医療法人「岩江クリニック」は、「担当者が不在のためコメントできない」としています。

先月には、高齢者に対して身体拘束が日常的に行われているのではないかというNHKの取材に対し、医療法人は「医学的必要性から医師が判断し家族などに指示して行っているもので、施設の職員などが行う拘束とは性格が異なる」などと文書で回答しています。

“高齢者の拘束”日常的と証言

虐待に当たる行為があったとされたマンションは、有料老人ホームとしての届け出は行っておらず、行政の指導や検査の対象にはなっていません。

関係者は「外部の目が届きにくい中で高齢者の拘束が日常的に行われていた」と証言しています。

NHKが入手したマンション内部の写真では、入居している高齢者が腹部にベルトを着けられベッドに固定されたり、ミトン型の手袋をはめられて腕をベッドの柵につながれたりしている様子が確認できます。

このマンションには合わせて3棟におよそ160人の高齢者が入居していますが、関係者によりますと、認知症がある人や自分で体を動かすことができる人にも拘束が日常的に行われていたということです。

さらに、認知症ではいかいする一部の高齢者の部屋には、外側から鍵をかけ自由に外出ができないようにしていたということです。

マンションで高齢者の部屋を回って介護サービスを提供している訪問介護事業所のヘルパーのマニュアルには、こうした拘束の手順が写真と共に示され、「高齢者の安全を守るためにほかに手段がないことを医師が定期的に診察して判断していれば問題ない」とする独自の見解が記されています。

このマンションは有料老人ホームとしての届け出は行っておらず、行政の指導や検査の対象にはなっていません。

マンションで高齢者に介護を行っていた元ヘルパーの男性は「虐待になるかもしれないという意識はあったが、医師の指示のもとで行えば合法だと言われて従ってしまった。感覚がまひしていたと思う。行政が入らない閉鎖された空間で何でもやりたい放題だと思うと恐ろしい」と話しています。

背景に“介護施設の不足”

東京・北区が改善指導を行った医療法人が展開するマンションには、介護が必要になり自宅で生活するのが難しくなった高齢者が入居しています。

背景には、特別養護老人ホームなどの介護施設が不足している現状があります。

こうしたなか、法律で義務づけられた届け出を行わないまま、空き家などで高齢者に介護サービスを提供する有料老人ホーム=「無届け介護ハウス」が急増し、NHKの取材では、先月の時点で東京都内だけでも86か所と、行政が把握している3倍以上に上っています。

一方で、「無届け介護ハウス」は、行政の指導や検査が行われないため、虐待や事故などの発見が遅れるおそれも指摘されています。

NHKが全国の自治体に行ったアンケート調査では、こうした無届けの施設で、入居者に対する虐待や事故などが、去年までの6年間に合わせて52件起きていたことが明らかになっています。

「身体拘束」原則は禁止の方針

高齢者をベッドや車いすに縛り付けるなど身体の自由を奪う「身体拘束」は、虐待行為に当たるとして「高齢者虐待防止法」で禁止されています。

身体拘束を巡っては、医療や介護の現場で、高齢者の安全を確保するための技術の1つとして、やむをえず行われていたこともありましたが、本人に不安や怒りなどの精神的な苦痛を与えるだけでなく、筋力の低下など身体的な機能を損なう危険性もあるとして、厚生労働省は15年前の介護保険制度の導入をきっかけに、身体拘束は虐待に当たるとして、原則として禁止の方針を明確に打ち出し、介護事業者への指導を強化しています。

ただし、「緊急やむをえない場合」に限って認めるとしていて、その際は、本人や他の利用者の生命、または身体が危険にさらされる可能性が著しく高い「切迫性」、身体拘束以外に介護の方法がない「非代替性」、さらには身体拘束が一時的なものであるとする「一時性」の3つの要件をすべて満たすことを条件としています。

これらの要件を満たしているかどうかの判断は、施設全体で検討すること、身体拘束を実施する際は、本人や家族に対して十分に説明し理解を求めることとし、拘束する際は記録の作成が義務づけられています。