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勝手に届く風俗嬢、鳴り止まぬ電話・・・再び大阪で活発化「ヤミ金」の激烈手口

2012-12-16 17:13:24 | Weblog

             勝手に届く風俗嬢・鳴り止まぬ電話  

                  再び大阪で活発化   

                 「ヤミ金」の激烈手口    

勝手に届く風俗嬢、鳴り止まぬ電話…再び大阪で活発化「ヤミ金」の激烈手口

http://news.livedoor.com/article/detail/7236212/
産経新聞
2012年12月15日13時41分

 呼び鈴を鳴らしたのは、頼んだ覚えもないすしやピザの宅配、そして派遣型の風俗嬢だった。返済の滞った多重債務者の自宅に次々と嫌がらせを仕掛け、過酷な取り立てを行っていたヤミ金グループのメンバーが大阪府警に摘発された。大阪・八尾で主婦ら3人が命を絶ったヤミ金心中事件から9年半。グループのやり口は八尾の事件と似通い、骨までしゃぶろうとするヤミ金の変わらぬ習性を見せつけた。最近は規制が強化され、悪質取り立ての被害は沈静化していたが、このグループに限らず各地で再燃の兆しが現れている。

 ■ 葬儀業者まで

 「お前のとこの店、つぶすぞ」

 債務者の勤務先にかかってきた電話。経営者が取ると、通話相手の男がこうすごんだ。職場への取り立ては序の口。自宅には出前・宅配の類いだけでなく、デリバリーヘルス、葬儀業者、消防車など、あらゆるものが勝手に呼びつけられていた。

 大阪府警が11月7日、出資法違反などの容疑で摘発した、さいたま市に拠点を置くヤミ金グループの手口だ。逮捕されたのは無職の駒込忠臣被告(33)=同法違反罪などで起訴、同市北区。駒込被告は勧誘役を務めていたとみられる。府警は関係先から債務者リストなどを押収、貸付先は全国で数百人に上るとみている。

 グループは携帯電話のみで営業する従来型の「090金融」だが、そうと気づかれぬよう装いを変えていた。通話先には固定電話の番号が表示されるレンタル電話のサービスを利用していたのだ。

 「きちんとした事務所を持つ、信頼できる金融業者と思い込ませるため」(府警幹部)とみられ、従来型から一歩進んだ“ヤミ090金融”だった。

 その上で、過去にヤミ金を利用したことがある大阪や東京の債務者らに電話をかけ、口座振り込みで貸し付け。滞納者のもとに直接取り立てに向かうことはなかったが、電話でできる嫌がらせはすべて行っていた。金を借りた人の中には遺書らしきメモを残して自殺した人もいたという。

 府警幹部はグループの悪質性を指摘しつつも、こうした恫喝(どうかつ)的ヤミ金は他にも多数存在すると話し、こう続けた。「金を借りたい人がいる限り、ヤミ金は決してなくならない」。

 ■ 再燃の兆候

 職場への取り立てや、頼んでいない宅配・弔電などを送りつける手口は10年前なら日常茶飯事だった。「こうした古典的なやり口が最近復活してきている」と分析するのは、多重債務者の支援団体「大阪クレジット・サラ金被害者の会」(大阪いちょうの会)の堀泰夫代表幹事だ。

 「返す気がないなら、とことん追い詰める」

 「あなたの指を10本、家族の指を40本送れば借金は帳消しにする」

 かつてのヤミ金の常套(じょうとう)句はここ数年、めっきり減って「過去のもの」となりつつあった。だが、ここ数カ月は、こうした取り立てへの恐怖を訴える相談が急速に目立つようになってきた。

 嫌がらせを続ける業者に同会が「これ以上やると警察に捕まるぞ」と警告しても、まったくひるむそぶりを見せず、先鋭化する傾向すらあるという。

 ■ 「身の危険感じた」

 大阪市内の男性会社員も昨年暮れから、強引な取り立てに悩まされた。

 「おまえのところの社員が借りた金を返さない。どうなってるんだ」

 会社事務所に電話をかけては一方的にまくし立て、全回線が埋まることも。電話攻勢は1週間も続いた。実家やその近所の家も標的にされ、男性は「身の危険を感じた」と振り返る。

 きっかけは2年前、携帯電話に突然かかってきたヤミ金業者からの電話だった。「お金に困っていませんか、貸しますよ」

 以前も別のヤミ金を使ったことがあり、リストが出回っていたようだ。金に困っていたわけではないが、遊興費ほしさから、つい5万円を借りた。利息は「トニ」(10日で2割)と呼ばれる超高金利。きっちり返していたが、次第に「振り込んでもらう口座が準備できていない」と返済を拒まれるようになった。

 利息を膨らませて逃さないための手口。別の業者からも強引に貸し付けられ、気付けば約10社から100万円以上の借金を背負うことに。待っていたのは、執拗(しつよう)な取り立てだった。

 何かの犯罪に悪用するためだろう、返済方法としてこんな取引も持ちかけられた。「銀行口座を100万円で引き取るぞ」。

 ■ 八尾の心中事件が契機

 ヤミ金被害をめぐっては平成15年、大阪府八尾市で債務者の主婦ら3人が、苛烈な取り立てを苦に心中する事件が発生した。

 心中する直前の深夜、主婦の自宅周辺の家の電話が一斉に鳴り響いた。近隣住民宅に駆けつけた主婦が電話口に出ると、受話器から「殺すぞ、殺すぞ!」とヤミ金業者の怒鳴り声が聞こえてきたという。

 「毎晩、毎晩、デンワにおびえています」

 「悪徳業者に負けてしまった」

 主婦は苦悩がにじむ遺書を残し、電車が迫ってきた線路に、夫と兄とともにしゃがみ込んだ。

 このヤミ金組織は大阪など6府県警の合同捜査本部に摘発されたが、異常な取り立ては社会を震撼(しんかん)させた。

 この事件を機に、勤務先への嫌がらせや第三者への弁済要求などを禁じた「ヤミ金融対策法」が成立。警察も集中的な取り締まりを行い、ピーク時に32万人に上った被害者数も昨年は5万人まで減少し、収束に向かっていたはずだった。

 ■ はがれた仮面

 ヤミ金の動向に詳しい東京情報大の堂下浩教授(金融論)は「被害が水面下に潜っただけ」とし、ソフトヤミ金の台頭を指摘する。

 違法金利を取りながら、乱暴な言動を取らないことからこの名で呼ばれ、摘発逃れの生き残り策として増加している。18年にグレーゾーン金利を無効とする司法判断が示され、多重債務者たちが過払い金の返還を受けて当座の現金を確保できたことで、しばらくはソフトヤミ金と債務者との“穏やかな関係”が保たれていたとみられる。

 だが、返済が滞れば仮面はたちまちはがれ落ちる。堂下教授は「出現から数年がたち、返済困難者が増えてきたのだろう」とソフトヤミ金のハード化に言及した。

 上限金利の引き下げや、年収の3分の1までしか借りられない「総量規制」導入の影響で、最近は貸し手の審査も厳しくなった。いずれも多重債務者を解消するためのアプローチだったが、皮肉にも零細事業主や主婦らは正規の金融業者から融資を得られにくい状況に陥ってしまった。

このため「借りられない債務者」がヤミ金に走る傾向が強まっており、堂下教授は過酷取り立ての被害が今後、再び増加に転じるとみている。