いっちょー会

被害者の、被害者による、被害者のための交流会

多重債務や貧困、対策探る 被害者ら700人、札幌で全国集会

2012-10-28 10:54:39 | Weblog

           多重債務や貧困、対策探る  

               被害者ら700人  

               札幌で全国集会 

多重債務や貧困、対策探る 被害者ら700人、札幌で全国集会(10/28 07:20)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/415101.html

多重債務の解決策などについて討議した分科会

 第32回全国クレジット・サラ金・ヤミ金被害者交流集会in北海道(実行委など主催)が27日、札幌市内で始まり、全国から集まった約700人が多重債務や貧困問題などについて意見交換し、深刻化する子供の貧困などの解決策を探った。

 20の分科会で討議を行った。子供の貧困をテーマにした分科会では、札幌市内の小学校養護教諭らが現状を報告。経済的に苦しい家庭の子が高熱を出しても、「お母さんが仕事を辞めさせられたらいやだから」と母親に連絡しないよう求めるなど、「貧困が子供に深刻な影を落としている」と指摘した。

 28日は午前9時半から、札幌パークホテル(札幌市中央区南10西3)で講演会などが開かれる。参加無料。<北海道新聞10月28日朝刊掲載>

 


最低賃金発効 千円への道筋を確かに(10月18日)

2012-10-21 19:43:01 | Weblog

              最低賃金発効  

            千円への道筋を確かに  

【北海道新聞】ニュース > オピニオントップ > 社説 - 2012.10.18
最低賃金発効 千円への道筋を確かに(10月18日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/412511.html

 本年度の最低賃金がきょう道内でも発効した。
 時給は昨年度より14円引き上げられ、719円となった。全国平均は749円で12円増だ。
 最低賃金は、これより低い賃金で雇用してはならない限度額だ。

労使が中心の審議会で答申し、労働局長が決定する。スーパーや清掃のパートなどの
 賃金体系も、この数字に基づくことが多い。
 引き上げられたとはいえ、この基準でフルタイムで働いても年収は140万円程度である。

かつて最低賃金による労働者は主婦や学生など家計の補助的な立場の人だった。
 しかし、いまや一家の大黒柱を担う人が増えている。

最低賃金の果たす役割は大きい。さらなる改善努力が急務と言える。
 政府は2010年、労使とともに全国平均を20年度までに千円に引き上げる目標を立てた。

いまのペースでいけば目標達成は困難だ。審議会には一層の努力を求めたい。

 最低賃金をめぐっては生活保護の給付水準より低い「逆転現象」が指摘されてきた。
  道内は本年度での解消を目指したが、昨年度より1円縮まっただけで16円の差が残った。

 新たな解消年度も決まっていない。このまま逆転状態を放置すれば、働く人たちの意欲も
  そがれる。審議会は早急に目標を設定すべきだ。

 政府は年内に生活保護費の給付水準を見直す。逆転現象の解消を目的にした見直しなら
  本末転倒と言わざるを得ない。不満が和らいだとしても収入増にはつながらないからだ。

 経済協力開発機構(OECD)の09年の調査によれば、日本の最低賃金は国内の標準的な
  賃金の36%にすぎない。フランスや英国など先進諸国の中では最も割合が低い。

 にもかかわらず、経営側からは最低賃金を引き上げれば雇用に影響するとの声が強まっている。

 英国は1999年に全国最低賃金制度を導入し、その後も引き上げたが、失業率を改善した
  実績を持つ。

 従業員への職業訓練に力を入れた結果、生産性が向上し、収益が増えて解雇が減ったためだ。
  こうした実態を詳しく分析する必要がある。

 労働運動総合研究所(東京)の試算では、最低賃金を千円としても企業全体の内部留保の
   1・49%を放出するだけで財源が賄えるという。

 もちろん中小企業などでは賃上げが経営に響く場合はあるだろう。

 そのためにも国や自治体の後押しが欠かせない。設備投資助成の拡充や公共事業の下請け
   受注価格の適正化などを検討する必要がある。

 賃金上昇による購買力の強化が、冷え込む内需への刺激になることを忘れてはならない。


記者の目:生活保護バッシング=遠藤拓(東京社会部)

2012-10-07 19:47:36 | Weblog

              記者の目  

           生活保護バッシング   

記者の目:生活保護バッシング=遠藤拓(東京社会部)

http://mainichi.jp/opinion/news/20121005k0000e070001000c.html

毎日新聞 2012年10月04日 17時06分
 もしかして、日本社会は生活保護を受給者ごと切り捨てようとしているのか。春先から続くバッシングはそんな危うささえも漂わせている。

 ◇寛容な視点で考えよう

 生活保護は6月時点の受給者が211万人超と過去最多を更新し、今年度は3.7兆円の税金が投入される見通しだ。減らせ、との大合唱はあちこちから聞こえてくる。蔑称の意味を込め「ナマポ(生保)」という言葉を使ったひぼうや中傷がネットの世界でもあふれている。だが、まん延する貧困問題への処方箋なしに当事者を締め付けたら、社会はどうなるのか。生活保護を受けられるのに、受けていない「漏給」の問題も根が深い。ムードに流されて「最後のセーフティーネット」を無残に切り刻むのではなく、寛容な視点で考えてほしい。

 ざっとおさらいをしよう。バッシングのきっかけは、お笑い芸人が生活保護を受ける母親に扶養義務を果たしていないと批判された問題だ。独立した子から親への仕送りの有無は、個々の人間関係など多分に道義的責任に関わる問題だが、あたかも犯罪行為に当たるかのように非難する声が相次いだ。

 こうした中、政府は8月、13年度予算は生活保護費「削減」方針で当たるとした概算要求基準を閣議決定。次期衆院選では、自民党や日本維新の会が給付の大幅カットや現物給付を掲げる見込みだ。

 ◇病人や失業者切り捨ては酷

「酒やパチンコに明け暮れる」「働けるのに働かない」。生活保護にこんなイメージがつきまとっていないだろうか。今春から厚生労働省を担当して取材を重ねてきたが、これまで出会った当事者の大半は、ひっそりとつましく日々を過ごし、いわれのない中傷に胸を痛めていた。

 「仲間を一人でも多く救いたい」。こう話すのは、東京都内に住む元路上生活者の40代男性だ。幼少期から精神疾患の治療を受け、仕事を転々としているうちに無一文となり、7年ほど前、福祉団体の助けで生活保護にこぎ着けた。今はアパート暮らしで、かつての自分と同じ境遇にある路上生活者を支援する。

 首都圏で子供と2人暮らししている50代女性は、体調を崩して失業し、15年前に生活保護を受け始めた。就職活動をしているが、面接で暮らし向きを聞かれると口ごもる。「血税で食べているので、バッシングのさなか、堂々と振る舞うことはできません」と話す姿が痛々しい。

 確かに、昼間から酒を飲んで過ごすなど、働く意欲がみられない当事者もいる。だから、日々の生活を切り詰め、身を粉にして働く人々が「楽して金をもらうのはけしからん」「不公平だ」と憤るのも分からないではない。

だが、厚労省によると、6月時点の受給世帯は、高齢者4割、傷病者と障害者を合わせて3割。稼働年齢層を含む「その他世帯」は、2割に満たない。大病や失業など人生の節目を乗り越えられず、その後も立ち直りのきっかけをつかみ損なった人たちを切り捨てて良いのだろうか。

 今年1月以降、札幌市で40代姉妹の死亡が発覚したのを皮切りに、餓死や孤立死が各地で相次いだのを思い出してほしい。私たちはその度に驚き、世の無情を嘆いたのではなかったか。社会との接点が薄れ、生活保護の申請すらしていない人たちも多い。

 生活保護の受給資格があるのに受けていない漏給者の数は不明だが、一説には800万人以上ともいわれる。「211万人」の陰に、恥の意識に邪魔されて申請を控えたり、自治体側の「水際作戦」で窓口を体よく追い返されたりした人々が大勢いることは確かだ。

 ◇水準下げなら社会全体に報い

貧困問題の根は深く広い。「転落」は誰にでも起こりうる。想像してみよう。ふとしたきっかけで、今の住まいが、財産が、家族が失われ、ぼうぜんと立ち尽くす自分を。命からがら、生活保護にたどり着いた自分を。何が起こるか分からない人生、平穏な暮らしがずっと続くと言い切れる人が、果たしてどれだけいるのか。生活保護水準の切り下げは、最低賃金の引き下げや就学援助制度の対象世帯縮減にもつながりかねない。安全網を傷めれば、報いは社会全体にはね返るのではないか。

 厚労省は年内にも、生活に困窮する人々の自立を促す「生活支援戦略」を策定する。9月28日に公表した素案は働こうとする人に手厚く、そうでない人に厳しい内容だ。5年に1度の保護水準の見直しも並行して進めている。求められているのは、必要とする人が受けやすく、少しでも立ち直りやすい制度の再構築だろう。バッシングに惑わされず、当事者に資する結論を出してほしい。