いっちょー会

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74歳、家失う不安再び…復興住宅、迫る退去

2018-01-19 14:33:32 | Weblog

                                              74歳、家失う不安再び… 

                                                  復興住宅、迫る退去   

74歳、家失う不安再び…復興住宅、迫る退去
https://mainichi.jp/articles/20180116/ddf/041/040/008000c

 阪神大震災時に被災者向けに提供した借り上げ復興住宅を巡り、20年間の借り上げ契約が満了したとして、神戸市などは入居者に明け渡し請求を続けている。2016年2月以降、16世帯が提訴され、うち1世帯について神戸地裁は昨年10月、立ち退きを認める判決を言い渡した。「被告」となった入居者の中には心身の不調を訴える人もいるといい、支援者は「今も23年前の震災の被害を受けている」と指摘する。

 神戸市は、キャナルタウンウエスト(同市兵庫区)の計7世帯とシティコート住吉本町(同市東灘区)の2世帯の計9世帯を相手取り、住宅明け渡しを求める訴訟を神戸地裁に起こしている。最初の判決となったキャナルタウンの女性入居者の裁判で、神戸地裁は「入居許可時点で退去期限は通知されている」として明け渡しを命じた。女性は大阪高裁に控訴した。兵庫県西宮市も7世帯に対し訴訟を起こしている。

 キャナルタウンに住む丹戸(たんど)郁江さん(74)は16年2月に神戸市から提訴された。1996年3月の入居時、市から借り上げ期間の通知はなく、知らされたのは、入居して15年近く後と語る。

 震災で神戸市兵庫区の自宅マンションが全壊。自治会の世話人だったため、割れた窓をベニヤ板で塞ぐなどして住み続けた。1年ほど後に復興住宅に入居が決まり、「とにかく、ほっとした」。09年以降、乳がんや難病の後縦靱帯(じんたい)骨化症が相次いで発覚し、治療生活が続いた。それでも、近所に顔見知りが多く、行きつけのスーパーでは店員が重い買い物カゴを運んでくれ、地域にもなじんでいた。

 だが、提訴後はあまり眠れない夜が続いた。昨年1月にはストレスが原因とみられる皮膚疾患にかかった。最近は足も悪く、外出にはつえや手押し車が必要になった。「私には、ここじゃないとダメなんです」と訴える。

 入居者側の弁護団事務局長、吉田維一弁護士は「提訴されて不安を抱え、不眠やうつを訴える入居者もいる。被災自治体が被災者に、目に見えない被害を日々もたらしている」と市の対応を非難する。

 契約満了になった入居者への対応は自治体によって分かれている。神戸市は、85歳以上や重度障害がある場合などは転居請求の対象から外しているが、西宮市には除外規定がない。一方、宝塚、伊丹市などは復興住宅扱いのまま入居を認めている。

 借り上げ復興住宅の数が多い自治体の財政負担の重さが背景にあるとみられ、吉田弁護士は「たまたま入居した地域によって、被災者が居住の可否を左右される。本来は、国が住居確保に関して統一的な法制度をつくるべきだ」と主張する。【待鳥航志】

高齢者「転居もう無理」 阪神大震災23年、復興住宅明け渡し要求
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018011702000067.html

 阪神大震災の被災者に提供した借り上げ復興住宅の入居期限が過ぎたとして、神戸市と兵庫県西宮市が相次いで、住民に住宅明け渡しを求める訴えを起こしている。被告の住民の多くは高齢者で「この年齢になって、住み慣れた所を出ていくのは難しい」と嘆く。

借り上げ期間は原則二十年で、震災から二十三年の二〇一八年には、多くの住宅で期限が来る。

 「出て行けと言われても…」
 神戸市兵庫区の借り上げ復興住宅で、一人暮らしの女性(79)はため息をついた。昨年十月の神戸地裁判決で部屋の明け渡しを命じられた。これを不服とし、控訴している。

 震災で住んでいたマンションが半壊。避難所生活を経て、〇二年に復興住宅に入居した。一三年には腰を骨折し、室内移動にも歩行器が必要になった。部屋は段差がなく、浴室やトイレには手すりがついており、暮らしやすいという。

 この復興住宅は一六年十月が入居期限だったが、入居時に市から口頭での説明はなかった。入居許可書に記載があったが、女性は気付かなかった。一四年ごろに転居を求められ、初めて期限を知った。

 市は「要介護3」以上の住民には、期限が過ぎても住むことを認めている。女性も一時期、「要介護3」の認定を受けていた。体の不自由さは今もほとんど変わらないが、ヘルパーの支援を受けたくない意向を示したこともあり、現在は「要介護1」という。

 女性側は一審で、契約期限についての市の説明は不十分で、明け渡し要請は不当と訴えたが、認められなかった。弁護士によると、二審では、高齢者には引っ越しの負担は重すぎ、生活環境を変えることはストレスにつながることも訴える。
 女性は「今は、近所のスーパーに行く途中にも段差がない。ここでなら、他人に迷惑をかけずに生活できる」と話す。一方の神戸市の担当者は「転居先の市営住宅を優先的に紹介している」などと理解を求める。

 兵庫県内では、他に同様の訴えを神戸市が八世帯、西宮市が七世帯を相手に起こしている。いずれも、一審で係争中だ。

 借り上げ復興住宅の世帯数が少ない兵庫県宝塚市は、すべての居住者に期限後の継続入居を認めている。市は「高齢者が多く、転居の負担を考慮した」と説明する。

 一連の訴訟に参加する吉田維一弁護士は「生活再建の速度が人により異なる。時間で一律に、被災者の救済を止めてはならない」と話している。
 (大阪報道部・豊田直也)

 <借り上げ復興住宅> 1995年1月17日に発生した阪神大震災で、公営住宅の不足を補うため、自治体が民間オーナーからマンションを20年間の期限付きで借り上げ、被災者に提供した。通常の公営住宅と同程度の家賃とするため、国と自治体が家賃の一部を負担している。本紙のまとめでは、借り上げ復興住宅は昨年末時点で計3654戸あり、うち2221戸に入居している。


「無料低額宿泊所」規制へ法案 貧困ビジネス止められるか 劣悪環境・生活保護費をピンハネ

2018-01-06 17:31:58 | Weblog

                                            「無料低額宿泊所」規制へ法案 

                                                  貧困ビジネス止められるか 

                                           劣悪環境・生活保護費をピンハネ      

「無料低額宿泊所」規制へ法案 貧困ビジネス止められるか 劣悪環境・生活保護費をピンハネ
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2018-01-06/2018010615_01_1.html

 生活困窮者が利用する「無料低額宿泊所」(無低)への規制を盛り込んだ社会福祉法改正法案が、今年の通常国会に提出される予定です。劣悪な環境に住まわせ、生活保護費をピンハネする「貧困ビジネス」業者の横行に歯止めをかけられるのか、注目されています。(芦川章子)

 南さん(67歳男性、仮名)は「路上生活を抜け出したい」と相談に訪れた市役所で生活保護の申請とともに無低を紹介されまし。 部屋は3畳ほどの「個室」。しかしベニヤ板で仕切っただけで「隣の音はつつぬけ。冷暖房もなく、冬は寒い、夏は暑い」。 食事は「3食弁当。冷えた揚げ物が多かった。あとは漬物や野菜がほんの少し」。質は「最低レベル」。 入浴は週2回のみで、曜日と時間も決められていました。外出なども「管理人にチェックされていた」。

手元の残金3万円

 利用料は月9万5000円。生活保護費から引かれ、南さんの手元に残るのは3万円ほどでした。生活必需品を買うと財布はほとんど空に。「生活の自由も、精神的な自由もまったくなかった」 劣悪な環境に耐えきれず、再び路上生活へ戻る人も多いといいます。病気を悪化させた入居者もいます。

 南さんは「生活と健康を守る会」の支援を経てアパートに転居。今の生活について「施設とはぜんぜん違う」。無低には「絶対に戻りたくない」。

 無低は、無料または低額な料金で簡易住宅を貸し付け、利用させる社会福祉法に基づいた施設です。設置者にはNPO、企業、個人もいます。自治体への届け出だけで開設できます。

厚生労働省調べ(2015年6月)で、全国に537施設あり、1万5600人が利用し、うち1万4143人が生活保護を受給しています。

 一つの部屋を簡素な仕切りで二つ、三つに区切っただけといった施設も少なくありません。水光熱費や食費などとして、不当に高い料金を生活保護費から天引きする横領事件、職員による入居者への暴行事件なども後をたちません。

自治体動いた例も

 現在、無低を規制する法律がないなか、独自規制に動いた自治体もあります。大阪府はサービス内容を届け出させ、行政監視を強化するための条例を施行。埼玉県、さいたま市も条例を制定。相模原市も指導指針を出しています。

 厚労省が昨年12月にまとめた報告書によると、「貧困ビジネスを排除するため」として、居室面積などについて法律で最低基準を設けることや、事後の届け出から、事前の届け出制に変更することなどを検討しています。

「良質」な無低の恒久化には疑問

 「一般社団法人つくろい東京ファンド」代表理事の稲葉剛さんの話 無低事業者による「貧困ビジネス」は2000年ごろから大きな社会問題になり、私たちも規制を求めてきました。遅きに失したとはいえ、国が規制に動いたことは評価できます。実効性のある中身にすることが重要です。

 一方で疑問も残ります。厚労省は「良質」な無低を恒久的な施設にすることも検討しています。無低はあくまで一時的な施設です。生活保護法30条は「居宅保護の原則」を定めており、アパート生活を基本としています。行政は地域で生活できるような支援策を充実させるべきです。