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相次ぐ大手企業の施工不備 大和ハウス 内部告発から1年以上放置

2019-04-25 11:27:00 | Weblog

           相次ぐ大手企業の施工不備 

         大和ハウス 内部告発から1年以上放置 

相次ぐ大手企業の施工不備 大和ハウス 内部告発から1年以上放置
http://www.zenchin.com/news/post-4277.php

 レオパレス21(東京都中野区)に続き、大和ハウス工業(大阪市)でも賃貸住宅の施工不備が発覚し
た。同社が設計、建築した戸建てと賃貸住宅2078棟が、国土交通省の型式適合認定を受けた仕様に適合し
ていなかった。そのうち半数以上の1990棟が賃貸住宅だ。2016年12月に社内通報制度によって事態を把握
していたにもかかわらず、調査開始まで1年以上放置していた実態が明らかになった。相次ぐ大手建築会
社の不祥事に、オーナーや入居者に不安が広がっている。

 今回発覚した不備は大きく2つある。1つ目は賃貸住宅200棟で見つかった防火性能に関する不備だ。01
年1月31日から10年6月30日までに6都県で引き渡した建物だ。2階外部の廊下を支えるL字形の受柱が、標
準仕様と異なる施工だった。うち73棟は防火安全性が不十分な状況だ。建築基準法・消防法および関係条
例の防火基準を満たしていない可能性がある。

 2つ目は独立基礎の仕様の不適合だ。建物の基礎構造の一部に用いている独立基礎が型式適合認定を受
けた仕様に適合していなかった。対象は00年10月5日から13年2月28日までに引き渡した戸建て888棟と賃
貸住宅990棟の合計1878棟だ。

 型式適合認定を受けて建物を建てる場合は、建築確認時の審査が簡略化される。ただ建築する建物の設
計内容は認定を受けた内容に合致しなければならない。今回の不備は、認定を受けた仕様ではなかったこ
とに問題がある。

 原因について同社は、設計者が型式適合認定を受けた仕様を十分確認していなかったと説明している。
6月末までに第三者機関を通じて対象となるすべての建物の構造を確認した上で、7月までに詳しい原因や
再発防止策を公表する予定だ。今後、オーナーや入居者には個別に連絡、訪問し説明をしていくという。
早急に改修が必要なのは、防火安全性が不十分と思われる73棟だ。4月末までに特定行政庁の指導を受け
改修工事完了を目指す。総額費用は1億円を見込んでいる。工事のために入居者が退去する必要などはな
い。残りの建物は認定を受けた仕様ではないものの、同社によると現段階の調査では、建築基準法は満た
しているようだ。所有者が要望すれば改修に応じる。

 内部告発から本格調査まで1年以上かかった。その理由に対して同社は、「対象棟数が多いことと、ガ
バナンスが十分でなかったこと」と述べた。

 同社は過去にも戸建てや賃貸住宅において施工不備が発覚している。14年12月、15年10月には戸建て賃
貸住宅で防火シャッター雨戸と防火ドアなどで不適合施工があった。16年10月には賃貸住宅などで小屋裏
界壁パネルが国の認定仕様に不適合だった。その際に講じた再発防止策は、社長直轄の『仕様監理部』の
新設だ。安全性能に直結する技術情報の伝達を監理する部署で、関連部門の管制を図り、不適合を未然に
防止してきたというが、その役割は十分ではなかったようだ。

 国交省は家主への説明や相談窓口の設置を同社に指示した。また3月末から年間1000戸以上を供給する
大手アパート建築会社に対して、建築プロセスや工事監理の実態調査を行っている。

 一般社団法人埼玉県資産経営協会(さいたま市)の高木富夫事務局長は「レオパレスのようなオーナー
企業だけでなく、国内トップクラスの建設会社である大和ハウス工業の施工不備に驚きを隠せない。会員
のオーナーも他の大手ハウスメーカーに不信感を抱いてしまっている」と語った。2階外部の廊下を支え
る受柱が標準仕様と異なっていた件について、「目視で不適合だと容易に分かる。強度が低く同時に複数
人が廊下に出ると危険なことは一目瞭然だ」と指摘する。

レオパレス、全棟調査進むも1万4000棟超で不備発覚

 建築したアパートに施工不備が見つかったレオパレス21(東京都中野区)は全棟3万9085棟の調査を進
めている。3月末時点で調査済み2万285棟のうち、1万4599棟で施工不良が見つかったと11日に公表した。
 同社によると施工不備を理由とする退去予約は3月だけで2076件あり、うち1098件が管理外物件に住み
替えるという。 西日本エリアの同社取引会社によると「物件の入居率は2割ぐらい減った。マンスリー
契約での割合が増えている」と語った。

 東京都内の所有物件に施工不備が見つかったオーナーは、改修工事のめどが立っておらず不安を募らせ
ている。界壁に不備があり、防火性能が建築基準法を満たしていない。「自治体に問い合わせたところ、
火災が起こった際の責任は家主にあるという。レオパレスが入居者にどのような通知をしているかも分か
らない」と語る。

 15日には、NPO法人日本住宅性能検査協会(東京都中央区)が、レオパレスオーナーの相談業務を充実
させるため、『レオパレス21オーナー被害者の会 設立準備委員会』を『不動産ADRレオパレス21オー
ナーサポートセンター』に改称した。一級建築士による建物検査や、サブリース家賃減額トラブルに関す
る相談にも対応する。

 今後、こうした動きが広がっていきそうだ。


会社への批判は迷惑だ」レオパレスオーナーたちのジレンマ

2019-04-18 22:26:41 | Weblog

              会社への批判は迷惑だ」

          レオパレスオーナーたちのジレンマ 

会社への批判は迷惑だ」レオパレスオーナーたちのジレンマ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190418/k10011888101000.html

「レオパレス21への批判に、大半のオーナーは迷惑している」レオパレス21のアパートを所有するオー
ナーの男性から寄せられた手紙の内容の一部です。記者が書いた記事(詳しくは3月20日公開「レオパレ
ス住民の憂鬱」など)に対するご意見でした。入居者たちの不満の声を取材してきた私にとっては、正
直、意外ともいえる内容でした。そこで直接、話を聞いてみると、オーナーたちのジレンマと根底の課題
が見えてきました。(社会部記者 藤島新也)

オーナーたちの本音は?

3月下旬。私に届いた手紙には、レオパレス21に批判が集まる現状に対する、オーナーの憤りの気持ちが
込められていました。私は、本音を聞きたいと、差し出し人の西野(仮名)さんの元を訪問しました。
西野さんに聞いてみると…。

「私の所有している物件は、しっかりと管理され、賃料も滞ることはありませんので、会社を信頼してい
ます。会社はミスを認め、徹底的な調査と修理、入居者への対応を約束しています。それにもかかわら
ず、会社への批判が続いていることに憤りを感じています。メディアが取り上げている、会社を批判して
いるオーナーはあくまで一部で、オーナー全体の代表ではありません。むしろ、大半のオーナーは迷惑し
ています。不満があるなら個人で賃貸管理や運営をすべきだと思います。他のオーナーに迷惑をかけない
でほしい」

実は、こうした考えを持つオーナーは、少なくないようです。3月9日、東京・中野区のレオパレス21本
社で開かれたオーナー説明会でも、参加者からは…。
記者:会社の説明を聞いてどう感じましたか?
男性:納得しました。これで安心して寝られます。
記者:説明会はどんな雰囲気でしたか?
女性:ほとんどが「ともに頑張りましょう」という方で、社長のあいさつ後は拍手が上がっていました。
記者:会社に対して不信感や怒りなどは感じないのでしょうか?
女性:怒り?無いです、無いです。人間は神様じゃないので失敗することはあるんじゃないですか?「問
題だ」と騒いでいるのは、一部の方だけではないでしょうか。
会社が実施した、各地の説明会に参加したオーナーへのアンケートでも、実に85%が、会社の説明を「理
解できた」「おおむね理解できた」と回答していて、「理解できなかった」と回答したのは、わずか
0.5%だけだったといいます。
私は、施工不備の今回の問題では、物件を所有するオーナーも、退去を求められた入居者と同じ被害者だ
と思っていたので、会社に好意的なオーナーたちが多いことに驚きました。一体、どうしてなのでしょう
か?

固定資産税対策で多額のローン

背景の1つと考えられるのが、オーナーの抱える金銭的な問題です。
レオパレス21のアパートを複数所有する岡田さん(仮名)が、最初に契約を結んだのは20年ほど前。きっ
かけは「固定資産税」でした。父親から相続する土地の固定資産税が年間150万円を超えたのが理由でし
た。

「驚きましたし、とてもじゃないが払えないと思いました。単に土地を持っているだけではお金は出てい
くばかり。使わずに雑草が生えれば、消防から『火事になると困るのでしっかり管理をして』と指導もさ
れます。定期的な草取りも負担が大きいので、何とかならないかと考えていました」

こうした時に出会ったのがレオパレス21でした。レオパレス21は「サブリース」という手法で成長した企
業です。土地を持つオーナーにアパートの建設を提案。完成後は、建物を一括で借り上げ、入居者に「ま
た貸し」します。オーナーには集めた家賃から「賃料」を支払う仕組みです。レオパレスは、空室の有る
無しにかかわらず、事前に決めた賃料を支払う家賃保証を売りにしていました。これならオーナーは安定
した収入を得るメリットがあるのです。ただ、オーナーの中には、アパートを建設する費用を、金融機関
からの融資で賄った人もいて、賃料をローンの返済に充てるケースも少なくありません。

実は、岡田さんもこのケースでした。営業担当から「税金対策になる」「安定した賃料が得られる」とい
う勧誘があり、興味を持ったといいます。子どもに資産を残してあげたいという気持ちもありました。
レオパレス21の社員とともに銀行を訪問すると、その場でおよそ1億円の融資が決まり、トントン拍子で
アパートの建設に進みました。

その後も契約を増やし、結局、銀行から借りた総額は3億円に達しました。今もローンの返済は終わって
いません。岡田さんのアパートでも施工不備が見つかりましたが、こうした状況では、会社に対する批判
の声を上げたくても、ためらってしまうと話します。

「問題発覚後の会社の対応は遅く、不信感を持っています。入居者のことを考えれば、会社を追求したい
気持ちはあります。ただ、騒ぎが大きくなって、会社が倒産でもしようものなら、ローンの返済はできま
せんし、破産してしまうかもしれません。複雑な気持ちで、正直、今はどうしたらよいのかわかりませ
ん」

「住宅」ではなく「金融商品」?

ほかにも、不動産賃貸を行っているという意識が低いケースもあるようです。中部地方にアパートを所有
するオーナーの男性に話を聞くと、アパートの建設を資産運用の一環で行っている場合には、その後の不
動産賃貸管理には興味が無いオーナーも多いのではないかということでした。

「私も含めてオーナーの中には、アパートを『住宅』ではなく、もはや『金融商品』に近い感覚で見てい
る人がいると思います。投資をする人からすると、株を購入しようと思っても、銀行はお金を貸してくれ
ませんが、アパートを建てるとなれば、簡単に貸してくれる。これは非常に魅力的な金融商品です。こう
したオーナーからすると、管理に興味が無いので、突然、建物の安全性を問われてもピンと来ないと思い
ます」

住宅政策は時代遅れ?

こうした状況を不動産のプロはどう見ているのでしょうか。不動産コンサルタントの長嶋修さんは、オー
ナーの自己責任で片づけるのではなく、根本にある日本の住宅政策の課題についても、真剣に議論すべき
だと話してくれました。

記者:オーナーの事情をどう分析していますか?
長嶋:オーナーは本来、入居者にサービスを提供する立場で、いわばレオパレスと同じ事業者です。た
だ、アパート購入の経緯を見ると、不動産賃貸業の経験が無いうえ、事業者としての意識も薄い人がいる
のだと思います。さらに、多額のローンを抱えているオーナーは会社が倒れては困るので、会社に対して
批判的なだけではいられないのだと思います。

記者:問題はどこにあると考えていますか?
長嶋:今回の問題の根底には、日本の住宅政策の問題点があると思います。現在、建物を建てたほうが固
定資産税が安くなるので、オーナーはアパートを建てたくなるのは当然です。住宅が不足している時代で
あればよいですが、各地では空き家が問題になるなど、住宅が足りている現代には合っていない制度で
す。また、建設できる住宅の上限はなく、簡単に、どんどんアパートを建設できるという点も問題です。
海外では、住宅の数を決めているところも多いのが現状です。今回の問題をきっかけに、こうした日本の
住宅政策についても考えていく必要があると思います。

被害者なのに運命共同体?

レオパレス21の施工不備の問題では、入居者もオーナーも、会社に裏切られたという意味で同じ被害者だ
と考えていました。ところが、オーナーは多額の出資をしている、いわば運命共同体で、会社が倒れれ
ば、自分も倒れてしまうリスクがあります。その点が入居者との最も大きな違いで、会社に対する好意的
な姿勢の一因だと感じました。

アパートを建てた理由は、税金を支払うため、子どもに資産を残すため…とさまざまですが、どのオー
ナーもレオパレス21を信頼していたのは事実です。じくじたる思いを持ちながらも、現状では「会社を信
頼するしか選択肢が無い」オーナーがいることもわかりました。会社はこのことを重く受け止める必要が
あります。また、こうした状況を生み出す住宅政策についても、しっかりと議論しなければいけないと感
じます


レオパレスに夏までの全棟調査指示 国交省

2019-04-14 11:22:21 | Weblog

           レオパレスに夏までの全棟調査指示 

                国 交 省 

レオパレスに夏までの全棟調査指示 国交省
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43654450S9A410C1CC0000/

レオパレス21の施工不良のアパートを巡る問題で、同社の調査で新たに約3700棟で不備が確認されたこと
を受け、石井啓一国土交通相は12日の閣議後の記者会見で、同社に対し今夏前までに全棟の調査を行うよ
う指示したと明らかにした。不備が見つかった物件については10月までに改修工事を完了させるよう求め
た。

国交省は同社から新たに提出された資料を自治体に提供し、建築基準法違反に該当するかどうかの調査を
依頼した。石井国交相は「既に不備が明らかになっている(アパート)シリーズ以外でも多くの不備が
あったことは極めて遺憾」と話した。

同社は10日、不備が確認された物件が約3700棟増えて計約1万4千棟に拡大したと発表した。これまでは
2014年までに施工した物件が中心だったが、18年までに手掛けた物件でも不備が見つかった。

レオパレス問題を語る~賃貸住宅トラブル全国ネットワーク
https://www.data-max.co.jp/article/28833

 全国の有志の法律家で結成される賃貸住宅トラブル全国ネットワーク(以下、同会)。2004年11月の結
成以降、賃貸住宅契約における不明瞭・不当な一時金条項など、賃貸人に不利益となる条項の是正などに
取り組んでいる。

 同会の定時総会が4月6日(土)、福岡市中央区の「福岡県司法書士会館」で開催された。活動報告の発
表ではアパートの施工不良が話題となっている「レオパレス問題」に多くの時間が割かれた。

 同会代表幹事の増田尚弁護士(きづがわ共同法律事務所、TEL:06-6633-7621)は「建築基準法違反が
あったからと言って、賃貸契約が終了するわけではない」として、レオパレス物件のオーナーの利益保全
の重要性や、万が一(株)レオパレス21が清算手続に入った場合の保証家賃の問題や物件管理について話
した。

 同会に所属する弁護士らは、それぞれレオパレス物件のオーナーや住民らの声を集めており、今後も関
係各所と連携して、レオパレス21に対してさまざまな要請を行っていくとしている。
【代 源太朗】


レオパレス21に対する業務改善勧告等の要請書

2019-04-10 22:31:28 | Weblog

           レオパレス21に対する業務改善勧告等の要請書

レオパレス21に対する業務改善勧告等の要請書 

2019年4月10日

国土交通大臣 石井啓一 殿

 

レオパレス21に対する業務改善勧告等の要請書

 

                 賃貸住宅トラブル全国ネットワーク

                       代表幹事 弁 護 士 増田 尚

                 賃貸住宅トラブル阪神ネットワーク

                       共同代表 司法書士 浦井裕樹

                       共同代表 弁 護 士 増田 尚

                 生活弱者の住み続ける権利対策会議

                            代表幹事 田中祥晃

                 大阪クレサラ貧困被害をなくす会

                       代表幹事 司法書士 堀 泰夫

 

要請の趣旨

 

 貴職において、賃貸住宅管理業者登録規程第12条に基づき、賃貸住宅管理業者である株式会社レオパレス21(登録番号(01)第0004726号)に対して、同条1項2号、4号、5号に該当する事由につき、報告徴収や資料提出を求めて、事実関係を的確に把握し、賃借人等に損害を与えることのないよう、法令を遵守し、適正な業務をさせるべく、必要な指導、助言、勧告をするなど、適正に権限を行使するよう求めます。


要請の理由

 

第1 要請団体について

   賃貸住宅トラブル全国ネットワークは、賃貸住宅トラブル埼玉ネットワーク、京都敷金・保証金弁護団、賃貸住宅トラブル阪神ネットワーク、福岡敷金問題研究会の4団体で構成されている団体であり、敷金返還・原状回復トラブルや、敷引・更新料などの不当な一時金など、賃貸住宅契約をめぐる様々な紛争について、賃借人の権利を救済する活動に取り組んできました。

   賃貸住宅トラブル阪神ネットワークは、敷金返還・原状回復トラブルや、敷引・更新料などの不当な一時金、いわゆる「追い出し屋」による滞納家賃等の不当な取立てや明渡の実力行使などの賃貸住宅契約をめぐって、賃借人の被害回復について相談を受け、賃借人の権利が守られるような法制度の整備を求めてきました。

   生活弱者の住み続ける権利対策会議は、賃貸人が、正当事由もなく、相当な立退料等の提供の申し出等もしないまま、解約を申し入れて立退を迫ることにより、賃借人の住み続ける権利が侵害されている状況を是正するため、賃借人からの相談を受け、賃借人の権利が守られるような法制度の整備を求めてきました。

   大阪クレサラ貧困被害をなくす会(大阪いちょうの会)は、多重債務等により生活に困窮した市民の生活再建を支援する活動などに取り組んできました。

 

第2 レオパレス21による不当な立退要求

   賃貸住宅トラブル阪神ネットワークと、大阪いちょうの会は、レオパレス21が、施工した共同住宅(賃貸住宅)において、界壁、外壁及び天井が法定仕様に適合しない仕様となっていること(以下、「本件建築基準法違反」といいます。)について、国土交通省から、改修等の迅速な実施などの対応を行うよう指示を受けたことから、これらの物件に居住する賃借人に対し、立退を求めていること(以下、「本件立退要求」といいます。)に関して、賃借人からの電話相談を実施しました。その結果の概要は、別添のとおりですが、本件立退要求において、レオパレス21は、以下のとおり、著しく不当に、賃借人の権利を侵害する行為をしていると思われる行為が散見されました。

   レオパレスによる本件立退要求は、本件建築基準法違反により、当該賃貸住宅が賃借人の居住の安全や平穏な生活を保障できないものであるために、解約を申し入れるものですから、もっぱら、賃貸人側の都合によるものです。したがって、「正当の事由」が原則として認められるとはいえず、相当の立退料の提示など財産上の給付を申し出ることが必要です(借地借家法28条)。ところで、レオパレス21は、2月14日付ニュースリリースにて、同社が負担を申し出ている「お住み替えに係る費用」とは、①同社管理物件に転居する場合には、「敷金、礼金、住み替え手数料、鍵交換費、当月日割家賃、翌月家賃」、②他社管理物件に転居する場合には、「お住み替え先の契約金(敷金、礼金、仲介手数料、当月日割家賃、翌月家賃、保証会社の保証契約料等)」であると説明し、また、引越代については、提携引越会社にて対応し、費用は同社が負担すると申し出ています。しかし、これだけでは、およそ「正当の事由」を補完するものとは評価できません。レオパレス21は、転居先との差額家賃や、家具や電化製品等の購入費用・処分費用、仕事を休んだ分の賃金補償など、転居にともない余儀なくされる支出については、負担するかどうかを明確にしていません。退室時清掃料が必要なのかどうか(賃貸物件を改修等をするために立退を求めているのであるから、不要とすべきである。)や、入居時等に支払った礼金・更新料・鍵の交換費などの諸費用は賃借人に返還されるのかどうかも、不明です。引越代も、どの範囲まで必要性を認めるのか、いつの時点で支払うのかが明らかでなく、これでは、賃借人の不安も解消されません。

   また、賃貸人側からの解約申入れは、申入れがあってから6か月が経過して、賃貸借契約の終了の効力が生じます(借地借家法27条1項)。しかるに、レオパレス21は、速やかな退去を求めている天井部施工不備の物件(641棟)の賃借人に対しては、本年3月末までの立退を求めたと報じられています。年度末・年度初めは引越シーズンでもあり、折からのドライバー不足もあって、引越業者が確保できるかどうか賃借人の不安を煽る結果となり、混乱に拍車をかけています。同社は、2月26日付プレスリリースにおいて、あくまでも賃借人の都合に添ったスケジュールを個別にうかがって立退を求めていると弁明していますが、そもそも、「正当の事由」が存するかどうか疑わしく、賃貸借契約の終了の効力が発生しているとはいい難い上に、仮に「正当の事由」があるとしても、解約申入れから6か月までは、賃貸借契約が存続しているのですから、3月末までに退去するよう申し出ることは、賃借人の権利を損なうものというべきです。

   そもそも、レオパレス21からの本件立退要求(同社のいう「お住み替えのお願い」)は、賃借人の側に何らの落ち度もないのに、賃貸借契約を終了させようとする行為ですから、賃借人の住み続ける権利を補償するのが当然です。また、安全性が確保されない居住環境にしたのはレオパレス21の側に責任があるのですから、そのような物件に居住させたことに対する損害の賠償(あるいは損なわれた居住利益に相当する家賃を不当利得として返還)をしなければならないといえます。レオパレス21の「お住み替えに係る費用」の負担の申し出は、こうした責任を果たしたとは到底いえません。

   以上のとおり、本件立退要求には、借地借家法によって保障されている賃借人の権利を侵害する様々な違法があるといわざるを得ません。

 

第3 賃貸住宅管理業者登録規程第12条に基づく権限行使の要求

 1 賃貸住宅管理業者登録規程第12条1項2号、4号、5号に該当すること

   前記第2で述べた不当な本件立退要求は、以下のとおり、賃貸住宅管理業者登録規程第12条1項2号(業務に関し賃借人等に損害を与えたとき、又は損害を与えるおそれが大であるとき)、4号(業務に関し他の法令に違反し、賃貸住宅管理業者として不適当であると認められるとき)、5号(業務に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき)に該当するものと思料します。

   本件立退要求は、賃貸人側から解約を申し入れて賃貸借契約を終了させるものですから、「賃貸借契約の終了に係る事務」(登録規程第2条2項)に該当するものとも理解できますが、登録規程第12条1項各号にいう「業務」は、管理事務(登録規程第2条1項)や基幹事務(同2項)に限られず、登録賃貸住宅管理業者が行う業務全般を指すものであり、本件立退要求にかかる諸業務も含まれます。また、本件建築基準法違反も、レオパレス21が施工した共同住宅(賃貸物件)において生じたものですから、登録賃貸住宅管理業者が業務に関してなした法令違反(登録規程第12条1項4号)に該当するといえます。

 2 業務改善に関する勧告等の要請

   したがって、貴職においては、登録規程第12条に基づき、レオパレス21に対して、本件立退要求(及び本件建築基準法違反事案)につき、報告徴収や資料提出を求めて、事実関係を的確に把握し、賃借人等に損害を与えることのないよう、法令を遵守し、適正な業務をさせるべく、必要な指導、助言、勧告をするなど、適正に権限を行使するよう求めます。

以上