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高齢者、家借りやすく 遺品処理など孤独死リスク対応

2021-11-27 21:49:28 | Weblog

      高齢者、家借りやすく 遺品処理など孤独死リスク対応 

高齢者、家借りやすく 遺品処理など孤独死リスク対応
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD15A6M0V11C21A1000000

高齢者が賃貸住宅に入居しやすくする取り組みが不動産業者で広がっている。高齢者が物件を借りようとする場合、孤独死などのリス
クからオーナーに敬遠されやすい。亡くなった後の持ち物の処理を引き受けたり、こうした物件の情報を開示し納得してもらったうえ
で転貸したりすることでオーナーや高齢者の負担を軽くする。
高齢者の持ち家率は全体的には高いが、単身世帯に限ると、賃貸住宅などに暮らす割合は約3割にのぼる。総数は2018年時点で200万世
帯を超える。賃貸で長く暮らし続ける人がいる一方、持ち家があっても子どもの独立や配偶者の死亡などを機に、コンパクトで交通の
便が良い賃貸へ移ることを考える人も一定数いるとみられる。
ただ、思うように入居できない高齢者が少なくない。入居中に亡くなって「事故物件」になることなどへの警戒感がオーナーに根強い
からだ。

持ち物の処理、引き受け

不動産会社のフラット・エージェンシー(京都市)は昨年、高齢者の専用店「下鴨ひろば」(同)を開いた。平均年齢70歳のベテラン
従業員のみを配置した。「同年代の視点から、高齢者の住まい探しを支援する」(同社)ことが狙いだ。
同社はオーナーから家を借り、高齢者に転貸するのと並行し、入居後の見守りサービスも手掛けてきた。今後は専用店舗の開設を機に
事業の範囲を広げる。例えば、高齢の入居者が亡くなったとき、部屋に残された持ち物処理の事務作業を引き受ける。持ち物の扱いに
苦慮するオーナーは多く、処理を受託することで入居の拡大につなげる。
下鴨ひろばで今年末にも、この事業の相談会を始める。将来は複数の高齢者が同居するシェアハウスも転貸方式で展開する方針だ。候
補の物件は、地域の空き家などの活用を視野に入れる

事故物件、情報開示して転貸
通常は入居をためらう事故物件を逆に活用するのが不動産会社のMARKS(横浜市)だ。オーナーから借りた事故物件を高齢者へ転貸す
る事業を昨年、始めた。入居を予定する高齢者には、自殺なども含め物件の事故情報を開示し、納得してもらったうえで、見守りサー
ビスなども加えて契約する。
「立地や部屋の広さなどの条件が良く、通常より賃料が割安な物件もある」(同社)。老後資金の節約のため事故物件を積極的に選ぶ
高齢者も増えているといい、すでに複数の契約を結んだ。

受け取れなかった家賃、保険で補償

東京海上日動火災保険は今年10月、入居者の孤独死などが原因でオーナーが受け取れなかった家賃を補償する保険を拡充する検討を始
めた。要望に応じ、従来より1年長い最大3年の損失を補償する方針だ。
15年の発売以来、保険の契約は伸び続けており、同社は「リスクヘッジをさらに厚くすれば、もう一段の高齢者の入居促進につなが
る」とみる。
単身の高齢入居者が亡くなったときの賃貸借契約の解除などを円滑にする契約のひな型を、国土交通省が今年6月に公表するなど、国
も流通促進に動き出した。入居者の死後、契約を解除できる代理権を持つ第三者「受任者」を入居時に定めるのが柱だ。受任者には部
屋に残った持ち物の処理を任せることもできる。
不動産コンサルティングのさくら事務所(東京・渋谷)の長嶋修会長は「孤独死などのリスクに対応する制度は整いつつあるが、高齢
者を積極的に受け入れる動機づけがまだ乏しい」と指摘。「物件によっては国がオーナーから借り上げ、高齢の入居者に転貸するな
ど、さらなる流通促進策も検討すべきだ」と話す。
(堀大介)

あなたの家は大丈夫??事故物件の真相に迫る

2021-10-10 23:26:57 | Weblog

                              あなたの家は大丈夫??事故物件の真相に迫る   

あなたの家は大丈夫??事故物件の真相に迫る?
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4591/index.html

「事故物件」が新型コロナの中で増えているという。殺人や孤独死が放置された物件は特殊清掃に多額の費用がかかる上、物件価値も
大きく下がる。 そうしたリスクから一人暮らしの高齢者が賃貸を断られるケースや、離れた親族の死で突然巻き込まれるトラブルが
発生しているのだ。
なぜ今、事故物件が増えているのか?その真相を探るため、実際の事故物件や専門の不動産業者、さらには有名サイトを運営する「大
島てる」にも直撃取材。 誰しも身近に起きる可能性がある事故物件を徹底調査する。

出演者
玉置妙憂さん (僧侶・看護師)
保里 小百合 (アナウンサー)

#事故物件の真相に迫る

保里:自分が住んでいる家が「事故物件」だと言われたら、あなたはどう感じるでしょうか。コロナ禍の今、孤独死や自死が増えてい
ます。現状では、そうした物件の多くが「事故物件」として扱われます。
今、増加傾向にあると見られる事故物件の情報は、以下のリンクからもお伝えしています。

事故物件をわかりやすく記事で解説
・“事故物件” とは?賃貸で「告知義務は3年」のルール化も
https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/WV5PLY8R43/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/pk7D56Dqml/

調査によれば、事故物件に住みたくないという人は7割以上(AlbaLink調べ)。しかし高齢化が進む今、事故物件は今後さらに増えて
いくと見込まれています。誰しも無関係ではありません。なぜ、事故物件が増えているのか。そしてその結果、私たちにどんな事態が
降りかかるのでしょうか。

#事故物件の真相に迫る あなたの家は大丈夫?

「警察から電話があった。伊勢佐木署管内ですね」
まず取材したのは、事故物件を中心に取り扱う不動産会社。買い手のつかない事故物件を購入し、リフォーム。おはらいを行ったあと
販売しています。
「亡くなられた原因はどういった形になりますか?においが発生してきているとなると、ご遺体の腐敗がちょっと激しいのかなと」
事故物件には、どんな事情があるのでしょうか。
成仏不動産 社長 花原浩二さん
「殺人事件が起きた物件になります。自殺、他殺、孤独死、孤独死、孤独死、これも孤独死。やっぱり孤独死のほうが多い」
コロナ禍のことし、問い合わせが倍増。月に100件寄せられることもあるといいます。
花原浩二さん
「(他の不動産会社で)すごい安い提示を受けて、本当に困って困って、どこも相手にしてもらえなくて、駆け込み寺のように来られ
る方が多い」
今回、事故物件となった家を取材することができました。ことし1月に人が亡くなった、長野県の一軒家です。
不動産会社 あきんど 鎌田美智生さん
「この家ですね。靴のまま入っていただいて」
この一軒家に住んでいたのは、年金暮らしの72歳の男性。
鎌田美智生さん
「ちょっとここに人型の、ちょうど人1人が寝ていたのかなというくぼみがありましたので」
荷物に埋もれるように亡くなっていた男性を、警察が発見しました。
取材班
「ここにたくさんメモ紙がある。集金とかですかね」
亡くなって9か月。家の処分はなかなか進まず、放置されたままでした。
鎌田美智生さん
「これ全部ビートルズですね。ジャズも好きだったんですね、絶対に」
取材班
「通帳とか、マイナンバーカード。大事なものを親族が持っていかない」
男性は生涯独身で、近所づきあいもなく、ひとりこの家にひきこもっていました。
鎌田美智生さん
「孤独死される方は生活の変調があったりして、体が悪くなられたり、そういうので荷物の量が増えていったりもする」
相続した親族も扱いに困り、事故物件専門の不動産会社が買い取ることになりました。
今、孤独死は年間2万6,000件以上起きているといわれています。
さらに、コロナ禍で11年ぶりに自死の数も増加。年間2万人を超えました。
事故物件は、現代の孤独とつながっている。業者はそう言います。
鎌田美智生さん
「今、日本は核家族というか、兄弟どうしの関係も疎遠になってきている。人とのつながりを自ら切っていく方は多い。特別なもので
はなく、今の皆さんの生活の延長線上の縮図」
自死や孤独死で事故物件になると、その処分は残された家族に重くのしかかります。
ある日突然、事故物件を相続することになった女性が取材に応じてくれました。1人暮らしの兄を亡くした、千葉県の60代。処分の手
続きに追われ、悲しむ間もなかったといいます。
相続した女性
「薄情だって言われちゃうかもしれないけど、正直に言うと、面倒くさい」
7歳違いの兄は持ち家で30年間、1人暮らし。ここ数年は家族や親戚とも疎遠で、顔を合わせることはほとんどありませんでした。コロ
ナ禍になると感染を恐れ、さらに家に閉じこもるようになった兄。去年の夏、トイレで遺体が発見されました。死後2か月が経過して
いました。
相続した女性
「もうちょっと頻繁に連絡しておけばよかったと思う。コロナだからって理由にしちゃったところはあるかもしれない」
血痕やにおいを取る特殊清掃などにかかった費用は、およそ60万。家を不動産業者に買い取ってもらったものの、清掃費用にすら届き
ませんでした。
相続した女性
「煩わしいって言ったら怒られちゃいますけど、あれしなきゃこれしなきゃがたくさんあったので、悲しいって思うより、大変だなっ
て思う方が多い。やっと終わったって感じです」
事故物件になると下がる、資産価値。その下がり幅は、死因によって大きく異なっていました。孤独死で1割、自死で3割、殺人事件で
5割下がるというのです。
資産価値が下がるうえに、誰からも引き取り手のない事故物件。そのあおりを受けているのが、1人暮らしの高齢者です。
高齢者専門に物件を紹介する不動産会社に、80歳の女性が部屋探しにやってきました。
女性
「ことしいっぱいで、今いるところを出ていかなければならない。今80歳になって預金もないし、もう(寿命が)あと何年もないの
に、なんでこんな思いしなきゃならないのか」
住んでいる部屋の家賃が上がり、年金では払えなくなったというのです。この日、紹介されたのは、家賃4万6000円の六畳一間の風呂
なしアパート。これが払えるぎりぎりの額だといいます。
夫と死別して40年。ついの住みかを探していますが、年齢を理由に断られ続けています。
女性
「断られたのは3回です。(大家から)『ダメです。高齢者は貸してません』って」
住宅が見つからない、1人暮らしの高齢者。
事故物件を所有する、ある大家が貸す側の本音を明かしてくれました。所有していたアパートで、孤独死と自死が連続して発生。150
万円の特殊清掃代がかかりました。二度と経験をしたくない。その思いから、高齢者には部屋を貸したくないといいます。
事故物件を所有している大家
「孤独死だったり事故だったりとか、中で転んで打ちどころが悪くてという可能性も考えちゃうので、お断りするようにしている。本
当に『敷地から一歩出て死んでくれれば』というのがオーナーとしては正直なところ。部屋で死んでほしくないというのが本音です」
この不動産会社の最新の調査によると、家探しをする65歳以上の4人に1人が入居を断られていました。
R65不動産 代表取締役 山本遼さん
「4人に1人というのは衝撃的ですし、多分もっといらっしゃる。見つからない方はずっとお探しされていて、いちばん長い方は4年5年
ぐらいは部屋を探していますと言っていました」
高齢者の1人暮らしは、離婚や生涯未婚率の増加で700万人を超えました。高齢者全体の2割を占めています。
事故物件で生じる問題の解決に、国も乗り出しました。国土交通省はことし5月、事故物件の取り扱いについて初めてガイドライン案
を提示。その中で、おおむね3年間は借り主に告知すべきだとしました。(放送後、2021年10月8日に正式に策定)
しかし、ガイドラインの作成に携わった専門家でも、問題解決にはほど遠いといいます。
明海大学 不動産学部 教授 中城康彦さん
「今はネット等々でそういった(事故物件の)情報がいつまでも残り続けると、希釈されない。むしろ増幅される。次から次にその情
報がさらに拡散する。事故物件だというレッテルを貼る。大きな社会問題になってます」
専門家が問題視するのは、ネット上に残る「痕跡」です。動画サイトやSNSには、人々の関心を引く投稿が大量に残されています。
先駆けとなったのが、この事故物件のサイト。どの物件でどんな事件が起きたのか、6万件以上の情報が掲載されています。誰もが自
由に書き込むことができるため、情報の真偽は不確かです。
サイトの運営者は、元不動産業者。なぜこのサイトを作ったのか尋ねました。
事故物件サイト運営者 大島てるさん
「(事故物件を)怖いと思うのが、人間として自然な感情だと思う。『住みたくないんだ、人が亡くなったところに』と言っているの
であれば、その思いは尊重されてしかるべき。少しでも消費者の取捨選択に資するサービスを提供したい」
事故物件の詳細な場所や背景となった事件を調べることができ、アクセスが絶えないこのサイト。一方で、物件の情報がネット上から
消せない「デジタルタトゥー」という問題も指摘されています。しかし…。
大島てるさん
「私はデジタルタトゥーでいえば、彫り師の立場になる。(私が考える)ジャーナリズムの神髄は、誰かにとって困ることをさらすと
いうことに尽きる。むしろネガティブなことでなければ、載せる意義はないくらいに考えています」
日々増殖する、事故物件の情報の渦。負のイメージは拡大し続けています。
街頭インタビュー
「事故物件イコール、怖いというイメージしかない。幽霊とか出そう。なんか嫌だなって思います」
専門業者の元にはきょうも問い合わせが絶えません。
成仏不動産 社長 花原浩二さん
「事故物件のイメージが悪すぎる。人が亡くなることって普通のことなので、そんなに悪いイメージを持つ必要があるのか。正直、メ
ディアを含めて作られたものだと感じる。なので変えていく必要がある」

僧侶・看護師の玉置妙憂さんに聞く

保里:今夜は僧侶として、そして緩和ケアに携わる看護師としても活動されている、玉置妙憂(たまおきみょうゆう)さんにお越しいた
だいています。よろしくお願いいたします。
玉置さん:よろしくお願いいたします。
保里:たくさんの人の死を見つめてこられた玉置さんは、この事故物件の現状をどうご覧になりますか。
玉置さん:今VTRを拝見して2つ思ったんです。1つは、死というものに対する想像力がとっても貧困だなと。小さいなと思ったんで
す。なのに死後の、特にマイナスの感情ですよね、怨念とか恨むとか、そういうようなことに関しては非常に何か大きな怖いものを抱
えている。そのアンバランスさを感じました。
保里:昔よりも、その想像力が乏しくなってしまっている?
玉置さん:そうですね。昔はたぶん死というのは地続きにあったんですね。里があって、里山があって、山があって、山の辺があっ
て、そして山のかなたに亡くなった方がいた。ところが、今はそんなことはないですからね。そして家で亡くなる状態を私たち、見な
くなりましたから。やはり「知らない」ということが怖さを生むんだと思います。
保里:この事故物件の問題を見ていますと、人と人とのつながりの希薄化ですとか、あるいはみずから命を絶つことを考えてしまう人
が多くいるという、さまざまな現実が浮き彫りになってくるように感じます。事故物件と忌み嫌うだけでは、状況は悪化するばかりな
のではないか。安心して住まいを確保できないという問題、これは誰にとっても関係のない問題ではないと感じます。超高齢社会にも
う突入している今、孤独死と呼ばれる死とどう向き合っていけばいいでしょうか。
玉置さん:私はまず「孤独死」という言い方が、少しひっかかるんですね。人間というのはもともとひとりなもので、ひとりで生まれ
てきて、ひとりで死んでいくというのが普通のことだと思うんです。でも、その方がひとりで命をしまったからといって、それを孤独
死だったというふうに何か決めつけてよくないような言い方、イメージを持たせるというのはちょっといかがなものかなと思います。
むしろ、ひとりできちんと命をしまっていった「孤高死(ここうし)」というふうに考えてもいいんじゃないかと思います。そういうふ
うに、その方の人生を大切に「ああ立派だった」というふうに考えられれば、決して事故物件というような概念は生まれてこないよう
な気がするんです。
保里:ひとりで亡くなるということが当たり前でもあり、そして尊いことでもあるはずなのだということですよね。
玉置さん:そうですね。本来それが私たちの姿だという考え方ですね。
保里:ただ、さまざま孤独死と呼ばれる形で亡くなって、そして誰にも気付かれずに時間がたってしまうということを減らしていくた
めに、対策というのも始まっています。高齢者も相談可能な物件サイトですとか、空き屋を利用した住宅セーフティネット制度など、
対策も広がっています。以下のリンクからも、情報をお伝えしています。

高齢者の住宅問題 支援窓口
・支援窓口まとめ “65歳以上は入居拒否” 高齢者の賃貸住宅問題
https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/WV5PLY8R43/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/pE6LJ8p7yP/

ひとりで亡くなる人を放置しないというために、玉置さん、私たちができることというのはあるのでしょうか。
玉置さん:あると思います。それを考えるときに、「じゃあ、あとは家族でやってください」というふうに、ご家族だけにその役割を
担わせるというのは私は違うと思うんです。これからの時代は管理ではなくて、「緩くつながる」。同じ時代を生きているものと、人
間どうしのつながりが必要だと思うんです。もうすでにいろいろな試みがされていると思いますが、私も「訪問スピリチュアルケア」
という形でそういった緩いつながりができていかないものかなと思ってやっているところです。
保里:第三者が介入する。その取り組みをされていて、届いたなと感じたことはありますか。
玉置さん:だんだんと表情が変わっていったり、それから少し生きる気力を取り戻していただいたり、そんな手応えを感じるときはあ
ります。でも一番大事なのは、話を聞く人間がそばにいるということではないかなと思います。
保里:さまざまな形で、家で亡くなる人が増えていく。これは避けられないことだと思いますが、玉置さん、どう私たちは向き合って
いくべきでしょうか。
玉置さん:やはり、人間はいつか死ぬものなんだと。今、ひと事のように考えて「怖い」とか、「事故物件だ」なんて言ってしまいま
すが、いずれ自分にもそのことが訪れるんだと。そういうことをやはりいちばん最初にもう一度腹に落としておくというのが、最初の
一歩なのではないかなと思います。
保里:事故物件の問題を通して、人が当たり前に死ぬということ。このことをとても改めて考えさせられ、認識させられました。私た
ちの生活の基盤である住宅の問題。あなたはどう向き合いますか。

・看護師僧侶・玉置妙憂さん 未公開トーク「家で死ぬことを再考しよう」
https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/WV5PLY8R43/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/pbyV8QO39N/?cid=gendaihk-hp-211006-gendai-02

「鬼門のトイレ」を欠陥とみなす司法 非合理な嫌悪感が支える自死差別 国交省案は国の大綱にも背く

2021-09-25 22:17:38 | Weblog
 「鬼門のトイレ」を欠陥とみなす司法 非合理な嫌悪感が支える自死差別 国交省案は国の大綱にも背く 「鬼門のトイレ」を欠陥とみなす司法 非合理な嫌悪感が支える自死差別 国交省案は国の大綱にも背く
https://nordot.app/811199887471656960

 殺人や自死のあったいわゆる「事故物件」の取引について、国土交通省がガイドライン案を公表し、策定の最終段階に入っている。
それによれば、殺人や自死、火災などによる死亡の場合、3年間は取引の相手方に告知する必要があるとされる。その妥当性について
調べていて、過去に「鬼門のトイレ」に関わる訴訟があったことを知った。(共同通信編集委員、47ニュース編集部=佐々木央)

 2階建て住宅の建築を頼んだら、業者が1階のトイレを鬼門の方角に設置してしまった。それが目的物の瑕疵(かし、傷や欠陥の
意)に当たるのかどうかが争点となった訴訟である。
 ここでいう鬼門とは、例えば「私にとって数学は鬼門だ」というときのそれではない。文字通り「鬼の出入りする門」という意味
で、忌むべき方位とされる。艮(うしとら)、北東の方向がそれである。
 判決は「鬼門のトイレ」を欠陥であると肯定した。次のように理由を述べる。
 「入居者に不幸、難病が起こるかもしれないとの不安、懸念を与え、心理的な圧迫感をもたらすものであることを否定し難く、(中
略)建築関係者においても家屋建築上この習俗的嫌忌を避止すべきものとして認識されている」
 北東にトイレを設置すれば、不幸が起き、難病にかかる。そういう不安、懸念は否定できないと、判決は言う。明治や大正時代では
ない。20世紀も後半、1979年6月22日の名古屋地裁の判決である。
 鬼門のトイレを欠陥とすることは、どう考えても非科学的であり、不合理であろう。現在、部屋を借りたり、家を買ったりする人
で、鬼門を意識し問題にする人はほとんどいないはずだ。

 ▽法的価値判断というに値しない

 であるならば、自死の事実はどうか。物理的な毀損(きそん)や汚損が修復された後も、見えない傷が残るのか。
 この見えない傷を、不動産取引では「心理的瑕疵」と呼ぶ。自死などがあった物件は、心理的瑕疵ゆえに価値が低落するとされる。
国交省がまとめたガイドライン案は、自死や殺人を「嫌悪すべき歴史的背景」とする判例を引用し、取引の相手方にその事実を告知す
る義務を定めた。現状を追認した内容だが、それは違法状態を肯定し、野放しにすることを意味している。
 どのような意味で「違法」と評価されるのか。民法は、こうした私人間の取引や家族関係などを規律する法律だが、その第2条は民
法全体の解釈原理についての宣言である。
 「第2条 この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない」
 こうした不動産取引において「個人の尊厳を旨とする」とは、どういう意味を持つのか。多くの裁判例が安易に心理的瑕疵を肯定す
る中で、自死と個人の尊厳との関係に踏みこんだ裁判例を見たい。90年10月2日の福岡地裁決定がそれだ。
 「およそ個人の尊厳は死においても尊ばれなければならず、その意味における死に対する厳粛さは自殺かそれ以外の態様の死かに
よって差等を設けられるいわれはなく、それゆえ自殺という事実自体が本来忌むべき犯罪行為などと同類視できるものではなく、また
自殺という事実に対する評価は心情など人の主観的なものによって左右されるところが大であって、自殺があったそのことが当該物件
にとって一般的に嫌悪すべき歴史的背景であるとか、自殺によって交換価値が損なわれるものであるとかいうことは、とうてい客観的
な法的価値判断というに値するものではない」
 福岡地裁決定は、自死と他の死の態様を区別し、自死によって心理的瑕疵が生じるという考え方を、個人の尊厳に照らして「とうて
い客観的な法的価値判断というに値するものではない」と退けた。

 ▽生の終着点である死は等価

 学問の世界はどう見ているのか。
 横山美夏・京都大教授は「個人の尊厳と社会通念―事故物件に関する売主の瑕疵担保責任を素材として」(『法律時報』85巻5
号、2013年5月)と題する論文で次のように述べる。
 「民法2条により、民法の解釈にあたっては、生の終着点である死はその態様いかんに関わらず等価値に扱われるべきであり、ま
た、不必要な死は極力回避されなければならないが、生じてしまった死それ自体を否定的に評価すべきではないといえる」
 「自殺の事実に対する消極的評価を前提として、通常一般人が『住み心地の良さ』を欠くと感じるときは自殺の事実が瑕疵となると
する裁判例は、民法2条の趣旨に反する。同条の趣旨からすれば、たとえ通常一般人がそのように感じるとしても、まさに規範的な意
味でその合理性が否定されるべきではないか」
 最後の「規範的な意味で」は説明が必要かもしれない。状況をそのまま受け入れるのでなく、一定の価値判断に基づいて、何が正し
く、何が正しくないかを考察する姿勢のことだ。裁判所は迷信や俗説、非科学的な忌避感や嫌悪感に依拠せず、個人の尊厳に基づいて
法を解釈・適用するべきだという主張だろう。
 横山教授は告知義務についても、同じ論文できっぱりと否定する。
 「民法2条により、売主は、相手方がその意思決定に際して個人の尊厳に反する事項を勘案できるよう助力する義務は負わない。し
たがって、売主は事故の事実につき告知義務を負わないというべきである」

 ▽追い込まれた側をさらに追い込む

 自死に心理的瑕疵を認める考え方は、国自身の基本姿勢にも背いている。
 すなわち自殺対策基本法第1条は「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して」と目標を明記する。逆に言えば、今
の日本社会では「追い込まれた末の自死」があることを認めているのだ。
 国の自殺総合対策大綱はもっと明確だ。基本理念として「自殺は、その多くが追い込まれた末の死である」と言い切り、さらに「自
殺の背景には、精神保健上の問題だけでなく、過労、生活困窮、育児や介護疲れ、いじめや孤立などのさまざまな社会的要因があるこ
とが知られている」との認識を示す。
 心理的瑕疵を認めるということは、自死という態様の死をおとしめることを意味する。賃貸住宅で亡くなった場合なら、個人の自発
的選択であるとみなすことで、その損失を遺族の側だけに負担させる結果を招く。多くが「追い込まれた末の死」であるのに、追い込
まれた側をさらに追い込むのだ。
 自殺総合対策大綱の基本方針は「経済・生活問題、健康問題、家庭問題等自殺の背景・原因となるさまざまな要因のうち、失業、倒
産、多重債務、長時間労働等の社会的要因については、制度、慣行の見直しや相談・支援体制の整備という社会的な取組により解決が
可能である」と述べる。立法や行政を含む社会の側がもっと動きなさい。そう促している。
 そもそも、欧米の多くの地域では、建物内での自死を心理的瑕疵とみなさない。日本社会での偏見・差別がにわかに是正できないな
ら、せめて自死が起きた場合に備えた保険制度によって、公平な負担を図るといった現実的な対応も進める必要がある。
 大綱の基本方針は、関係機関に社会的要因を解決するための「制度、慣行の見直し」を求めている。国交省は自死差別の根本に切り
込み、制度・慣行の変革を目指すべきだ。

家賃申請期限11月末に延長 再支給分、コロナ拡大で

2021-09-16 16:50:07 | Weblog
             家賃申請期限11月末に延長                   再支給分、コロナ拡大で 生活困窮者自立支援法に基づく住居確保給付金の再支給の申請期間の延長及び職業訓練受講給付金との併給について[696KB]
https://www.mhlw.go.jp/content/000830525.pdf
住居確保給付金に関するQA(vol9)[169KB]
https://www.mhlw.go.jp/content/000830526.pdf

家賃申請期限11月末に延長 再支給分、コロナ拡大で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA09CUD0Z00C21A9000000/

厚生労働省は9日、勤務先の休業などで収入が減った人の家賃を公費で補助する住居確保給付金に関し、これまでに利用を終了した人
の再支給の申請期限を9月末から11月末に延長すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大で、生活に苦しむ人が増えている実態に
対応した。
厚労省は従来、再就職で制度利用を終えた後の再支給を、解雇された場合などに限っていた。だが新型コロナの影響で、再就職した勤
め先が休業や廃業に陥る恐れが高まっているとして、2月以降、解雇以外でも1回に限り再支給(3カ月間)を可能とした。
また、失業手当をもらえない人が月10万円の給付金をもらいながら無料で職業訓練を受けられる「求職者支援制度」の特例措置の期限
を9月末から来年3月末に延長することも決定。シフト制労働者が給付金を受けられる収入要件について、本来の月8万円以下から、新
型コロナによる特例として12万円以下に引き上げていた。〔共同〕

高齢者施設からの望まぬ退去 対抗手段は?

2021-07-25 22:22:54 | Weblog
             高齢者施設からの望まぬ退去 対抗手段は? 高齢者施設からの望まぬ退去 対抗手段は?
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/550873

 終(つい)の住まいだと思っていたグループホームや有料老人ホームなどの施設から、介護度の重度化や不穏な症状で面倒を見切れ
ないなどの理由で退去を求められる例が珍しくありません。別な施設を探す当事者能力を本人に求めるのも無理な話。そうなると家族
が泣き落としでしばらく置いてもらいながら、八方手を尽くして探すという理不尽な目に遭うのが普通です。法律的な対抗手段はない
のでしょうか? 高齢者問題に詳しい札幌弁護士会の高橋智美弁護士に聞きました。(聞き手 石原宏治)

■契約前に退去条件の確認を

――高齢者施設から望まぬ退去を求められた時の基本的な考え方を教えてください。

 入居契約には、事業者からの解除条項で介護度の重度化や医療依存度が高くなった場合、入居者に問題行動があった場合などの規定
が置かれていることも多いです。それを根拠に、退去を求められることがあるので、契約締結前に、契約書や重要事項説明書で、退去
条件を確認しておくことが重要です。
 ただし、厚生労働省の「有料老人ホームガイドライン」では、契約解除の条件は「信頼関係を著しく害する場合に限るなど入居者の
権利を不当に狭めるものとなっていないこと」が求められています。解除条項があるとしても、介護度の重度化や問題行動が「契約解
除を正当化するほどのやむを得ない事情」かどうかがポイントになるでしょう。
 グループホームや有料老人ホームに入居する方に、認知症の症状やそれに基づく行動があることは、ある程度、織り込み済みです。
グループホームについても、解除が認められるかは、問題行動等の程度によると言えるでしょう。仮に事業者から、明渡請求訴訟を起
こされても、裁判所が強制退去を認めるとは限りません。
 退去勧告に納得がいかない場合は、高齢者問題に詳しい弁護士や、市町村の高齢者相談窓口、国民健康保険団体連合会の介護保険に
ついての苦情窓口、全国有料老人ホーム協会の苦情窓口などに相談することが考えられます。社会福祉協議会の福祉サービス運営適正
化委員会に苦情を申し立てる方法もあります。札幌弁護士会の相談窓口は高齢者・障害者支援センター「ホッと」です。予約電話は0
11・242・4165へ。

■契約解除は問題行動の程度で決まる

――グループホームは在宅介護扱いで共同生活を送る場という名目もあるためか、入居時の重要事項説明で、介護度の重度化や徘徊
(はいかい)で共同生活が難しいという理由にされることもあるようですが、認知症の人を受け入れる前提の施設でそのような方便が
まかり通るものなのでしょうか。

 認知症高齢者向けグループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、老人福祉法、介護保険法上の制度です。介護が必要な認知症に
ついて、共同生活を営む住居で介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うという介護サービスです。施設ではなく、地域にあ
る在宅サービスの位置づけです。少人数制で、5?9人程度の人数構成でスタッフからサポートを受けながら、共同生活を営みます。
 グループホームについても、介護度の重度化や医療依存度が高くなった場合、入居者に問題行動があった場合など、契約で退去条件
が定められていることがあります。グループホームは共同生活を目的としていることや、スタッフの数が少ないこと、看護師配置の義
務もないことから、症状によっては対応が困難で退去がやむを得ないケースもあると思われます。しかし、グループホームの入居者に
認知症の症状があるのは当然の前提ですので、契約解除が認められるかは、問題行動等の程度によると言えるでしょう。

■入居一時金の返還 どう求める

――有料老人ホームでは施設側からの要請で、本人や家族の希望ではない退去なのに高額の入居一時金がわずかしか戻ってこないこと
もあるようですが、自己理由でもないのに、敷金的な位置づけの一時金が全額戻らないのは法的な対抗ができないのでしょうか。

 敷金と、入居一時金は、性質は異なります。2011年の「高齢者住まい法」改正で、入居一時金は、将来の家賃とサービス対価
(介護や食事など)の前払いとし、権利金等は認めないことになりました。この改正以前は、退去時の入居一時金の精算方法が不明確
なケースがありました。しかし法改正により、有料老人ホームが入居一時金を受け取る場合は、前払い金の算定方法を書面で明示しな
ければならず、平均余命までに退去する場合、入居一時金に残額がある場合は返還しなければならないことになりました。
 入居一時金がいつまでの分のどのような費用の前払いなのかを、入居前にしっかり確認しておくことが重要です。入居した期間に応
じて、ルールに従って精算されることは、法律上許されています。

――病院も急性期から回復期、慢性期と転院はケアワーカーが担当しますが、私が父親を介護していたときは、「あなたの父親のせい
で迷惑を被っている。すぐに来て家族が面倒を見て」「自宅に引き取って」などと何度も看護師から電話が来て、結局、自分で探し出
した老人ホームに移すことになりました。そのときは目の前の現実に対応するだけでしたが、後で考えると憤りを感じました。

 このようなケースは実際には多くあります。退院勧告については、医師法第19条1項の、「診療に従事する医師は、診察治療の求
があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」、いわゆる応召義務との関係が問題になります。
 厚労省の見解では、?「医学的に入院の継続が必要ない場合には、通院治療等で対応すれば足りるため、退院させることは正当化さ
れる」?「診療・療養等において生じた又は生じている迷惑行為の態様に照らし、診療の基礎となる信頼関係が喪失している場合に
は、新たな治療を行わないことが正当化される」とされています。?入院継続の必要性の判断については、医師の裁量が大きいのが現
状です。?の迷惑行為による信頼関係喪失については、故意の迷惑行為ではなく、認知症の症状の場合は、慎重に考えるべきでしょ
う。
 本来は、医学的に入院継続の必要がある間は入院させ、転院や退院先を探す際は病院の医療ソーシャルワーカーがサポートすべきで
す。
 患者が病院からの退院要請に応じずに入院を続け、最終的に、病院から訴訟を起こされたという事例はあります。その場合は、裁判
所が正当事由の有無を判断します。

 <高橋智美(たかはし・ともみ)弁護士>1981年生まれ。札幌市出身。札幌南高を経て京都大学法学部卒業。2006年に弁護
士登録。諏訪・高橋法律事務所所属で、父、夫、弟も弁護士。札幌弁護士会では高齢者・障害者支援委員会の副委員長を務める。趣味
はストリートピアノを弾くことで、男の子を2人育てる母親でもある。