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規制大国:遊べないニッポン/中 カジノ誘致へ民間先行始動 超党派、解禁法案も 経済波及効果1.1兆円

2013-07-19 18:47:17 | Weblog

                              規制大国:遊べないニッポン/中 

                                 カジノ誘致へ民間先行始動 

                        超党派、解禁法案も 経済波及効果1.1兆円   

規制大国:遊べないニッポン/中 カジノ誘致へ民間先行始動 超党派、解禁法案も 経済波及効果1.1兆円
http://mainichi.jp/select/news/20130718ddm008010088000c.html

 「日本にとって新しいビジネスを創設する絶好のチャンスだ」。6月8日、東大阪市内で開かれた、カジノをテーマにしたシンポジウムで電通の岡部智(さとし)カジノ・観光プロジェクト部長が訴えた。ポーカーやルーレットなどの賭け事を楽しむカジノ。経済波及効果は遊技メーカーだけでなく、ゼネコンやデベロッパー、観光、外食などにも及ぶとみられ、会場にはビジネスマンやカジノ誘致を検討する自治体関係者ら約200人が詰めかけた。

 カジノでの賭け事は、刑法(賭博罪)で禁じられている。それでも東京都の猪瀬直樹知事や大阪市の橋下(はしもと)徹市長は繰り返しカジノ誘致を目指す方針を表明、全国20カ所近くが誘致を検討している。

 経営難に陥ったハウステンボス(長崎県佐世保市)を3年前に買収した旅行会社エイチ・アイ・エス(HIS)の沢田秀雄会長は「長崎の人たちからカジノ誘致の熱い声が届いている」と明かす。地元商工関係者らの構想では、ハウステンボス内に10階建てのカジノホテルを新設。地下1階から地上2階まで1万3000平方メートルのカジノフロアを設ける。中国や韓国からの旅行客を含め、年500万人の集客と2544億円の経済効果を見込む。

 レジャー施設「シーガイア」(宮崎市)を運営するセガサミーホールディングスは昨年7月、韓国のカジノ運営会社と合弁会社を設立した。仁川市内にカジノを含む複合リゾート施設を開発・運営する事業に乗り出しており、宮崎県の商工団体関係者は「カジノ経営のノウハウを蓄積してシーガイアにもカジノを誘致してほしい」と期待する。

 カジノ誘致の機運が高まっている背景には、政府や国会の中でカジノ解禁に向けた議論が動き出したことがある。2013年度にはカジノの社会的コストなどを研究している日本大の佐々木一彰講師に文部科学省が科学研究費195万円を配分。カジノ研究に対する科研費の助成は初めてで、佐々木さんは「国として正式にカジノを研究テーマと認めたのは画期的」と語る。

 超党派の国会議員で作る「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議連、細田博之会長)も秋の臨時国会にカジノ解禁に向けた法案を提出する準備を進めている。毎日新聞が入手した試案によると、首相を本部長とする推進本部と衆参国会議員や学識者らで作る推進会議をそれぞれ設置。内閣府には「管理委員会」を設けてカジノの運営を監視する仕組みを整える。法律の施行から2年以内をめどに、解禁のための法整備をするとしている。指定地域だけカジノの営業を認める特区方式が有力とみられている。

 政府や自治体にとってのカジノの魅力は「経済成長の起爆剤としての効果」(カジノ議連幹部)だ。カジノは現在、120以上の国や地域で合法化されており、主要8カ国(G8)でカジノを全面的に禁じているのは日本のみ。米国やマカオではカジノ税収を活用して医療施設の整備や教育費の無料化に取り組んだ例があり、厳しい財政状況の下で財務省内からもカジノ税収に期待する声が浮上している。

 シンガポールでは海外観光客の落ち込みから新たな観光資源として10年に2カ所のカジノ施設を開業したところ、2年間で観光収入が7割以上増えた。シンガポールにならおうと、アジアでは韓国やベトナム、フィリピンなどでカジノ建設の計画が進んでいる。

 ゴールドマン・サックスの調査によると、カジノ解禁に伴う日本での経済波及効果は1・1兆円。議連幹事長の岩屋毅衆院議員(自民党)は「カジノには国内外から投資を呼び込む力があり、日本の成長につながる」と語る。

 ◇過去、幾度も頓挫 「リゾート」二の舞いの可能性

 カジノ解禁を巡っては、国会や経済界で過去に何度も法制化に向けた検討が進んだが、いずれも成立には至らず「頓挫の歴史」をたどってきた。自民党の有志議員は2004年、解禁に向けた基本構想を作り、06年には党観光特別委員会がカジノ導入に向けた基本方針を決めた。民主党政権下でも国土交通省の成長戦略会議が10年に提案し、超党派の議員連盟が会長私案としてカジノ法案をまとめた。議連の幹部は法制化に至らない原因について「社会的な悪いイメージを一掃できないため」と話す。

 カジノの問題としては、ゲームに熱中し借金を重ねる依存症や、犯罪資金の流入、暴力団の関与、青少年への悪影響などが挙げられる。多重債務問題に取り組む弁護士らでつくる「大阪いちょうの会」の川内泰雄事務局長は「日本には560万人のパチンコ依存症患者が存在すると言われ、カジノを解禁すればさらに増える。勤労意欲を失って経済的にもマイナスだ」と訴える。同会はカジノの問題を考える大規模集会を計画している。

 「地域おこしの切り札」として自治体が安易に誘致に乗り出すリスクもある。リゾート開発を進めるテコとして1987年に総合保養地域整備法(リゾート法)が施行され、山林の開発にかかわる規制を大幅緩和。リゾート施設が乱立したが、甘い計画とバブル崩壊で運営会社が相次ぎ破綻。シーガイアもその一つ。カジノがリゾートの二の舞いになる可能性は否定できない。

 立地場所の制限、依存症への対応、経営健全性--。カジノ規制撤廃には経済効果を追う熱気だけでなく、弊害を防ぐ新たな規制についての冷静な議論も不可欠だ。【三沢耕平、永井大介】

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 ■KeyWord

 ◇世界のカジノ産業

 カジノの発祥は欧州。イタリア語の「casa」(家)と「ino」(小さい)を組み合わせてできた言葉とされ、もともとは貴族がゲームを楽しむ小さな館を意味していた。近年はカジノにホテルや国際会議場、スポーツ施設などを備えた統合型リゾート(Integrated Resort=IR)と呼ばれる「大きな館」でのカジノが主流となっている。

 米ラスベガスはカジノを中心にミュージカルやスポーツイベント、国際会議などの受け皿となるIRで年3800万人を集客。ドイツのバーデンバーデンも温泉や美術館などとカジノを楽しむ文化が浸透している。業界関係者の推計では、世界のカジノ市場は15兆〓20兆円規模という。