イリスの色いろのお話

イリスのエレガンス★コミュニケーション blog
色彩・着物・ファッション・アート

「描かれた小袖展」~ 千總ギャラリー(CHISOGALLERY)

2012-08-13 11:05:17 | 着物

京都市内でのお気に入りのひとつ、千總ギャラリー(CHISOGALLERY)。

おなじみの伊右衛門カフェを入り、2階に上がると、
色鮮やかな友禅染めのストール等の小物売り場に併設された、
ギャラリーがあります。
 
くるっと見渡せてしまう、さほど広くはない空間ながら、
毎度内容が濃いなぁと思います。

今は「描かれた小袖展」。(~9月18日)
http://www.chiso.co.jp/blog/cat19/-nb-2.html

小袖は着るだけでなく、絵画のように鑑賞の対象でもありました。
タペストリーのように衣桁にかけて眺めたり、または、
木の枝に紐を張り、小袖を掛けて幕のように使ったりもしたのです。

そこに描かれた風俗、景色や美人などを愛でる美意識。

明治38~40年くらいに流行ったという、
元禄の復古文様が楽しい。

印象に残ったのは、まず、納戸色(*なんどいろ)の、
【御所解殿舎文様帷子(*かたびら)】。

帯の下になって見えないところまでも刺繍や染めのある総模様で、
武家の上級階級の女子しか着られない贅沢なものです。

御所解き模様とは、能や物語にちなんだ模様をあしらうもので、
教養のあるところを楽しむもの。

例えば、こちらの小袖には、板折れ戸、垣、夕顔 が描かれており、
おそらく源氏物語の「夕顔」の帖を意味していますし、
また、琵琶、殿舎からは、能「玄上」や「蝉丸」が伺えます。

教養がなければ見ても「?」で終わっちゃいますね^^);

もう一つ、夏にふさわしいクールの逸品を。
【雪持菊と芦に桐葉文様単衣】
浅葱(*あさぎ)色の絽に雪景色が描かれた夏小袖、
しびれました~。

雪持ち、つまり雪をかぶった菊と芦。
氷が張った水辺。

雪を白糸、氷を金糸で刺繍。

一瞬で涼しい気分になりましたよ。

クーラーなんて無かった時代、
、、、にくいですね!



*納戸色(なんどいろ)ー 藍染めのひとつで、緑みの青。
納戸とは、一言で言うと家の中の倉庫。
納戸にしまわれた藍染めの色であるとか、納戸の垂れ幕の用いられたとか、諸説あります。

*帷子(かたびら)ー 絹や麻の単衣仕立ての夏着物
*浅葱(あさぎ)ー薄いネギの葉の色。

最新の画像もっと見る