イリスの色いろのお話

イリスのエレガンス★コミュニケーション blog
色彩・着物・ファッション・アート

龍村平蔵「時」を織る。展へ

2013-05-05 21:58:07 | 観劇・アート
5月5日 端午の節供は、立夏にふさわしい気候となりました。

私は、日本橋高島屋で行われている、
<創業120年記念・龍村平蔵「時」を織る。>展
へ参りました。

龍村といえば、
名物裂、正倉院裂の復元で有名な美術織物の老舗。

最近では、5代目歌舞伎座の緞帳・「春秋の譜」(画:中島千波)
の作成が話題になりました。
私も先日、歌舞伎座で直に観ましたが、
桜と紅葉の景色が織り込まれ、とても美しかったです。

さて、高島屋さんでの展示は、
まさに【美術織物】の粋を集めた内容で、素晴らしかった!
脳内ホルモンがたくさん放出された感じです!!

展示室に入ってすぐ、
丸帯が何本も、タペストリーのように架けられており、
それはそれは圧巻でした。

未仕立てですので、
幅がおよそ70センチ、丈は4mくらい。

帯にするにはこれを二つに折り、芯を入れて仕立てるわけですが、
何とも贅沢なお品ですよね。
平面で全通しの総柄を眺めると、ものすごい重厚感です。

私は着付け師ですから、どうしても、
帯として身体に巻くことを思い浮かべてしまいますが、
実際に着付けすることは考えない方が良いでしょうか・・・。

また、すばらしい打掛の数々も、龍村ならではの織の技術で、
やはりどれも刺繍と見まがうほどに精巧です。

私は、
纐纈織(こうけちおり)
の打掛にことのほか惹かれました。

ほかに、螺鈿、蒔絵、緞子、金襴、繻珍(しゅちん)、綴錦・・・
手にはとれなくとも間近で鑑賞することができ、
足を運んだ甲斐がありました。


伝統的な織物の世界に革新をもたらし、
「美術織物」としての価値を創られた龍村平蔵氏。
その美の精神と高い技術を、
いつまでも受け継いでいかれてほしいと思わずにはいられません。



<龍村平蔵「時」を織る。>展 は、日本橋高島屋は5/6まで
その後、横浜高島屋でも開催されます。


龍村美術織物 http://www.tatsumura.co.jp/

「創業120年記念-龍村平藏「時」を織る-」展
http://www.tatsumura.co.jp/shop/show-information/120kinenten20130123.html

纐纈織大政所裂文
こうけちおりおおまんどころぎれもん
http://www.tatsumura.co.jp/shop/museum/no_14.html


大手町座第11回 亀井広忠プロデュース「舞歌(かぶ)の至芸」

2012-12-02 19:27:25 | 観劇・アート
久しぶりの能楽鑑賞。

大手町座第11回 亀井広忠プロデュース「舞歌(かぶ)の至芸」
~東大観世宗家・観世清和、梅若六郎玄祥、観世銕之丞 最高峰のシテ方三師競演による能楽観世流の神髄~
http://www.nikkei-events.jp/concert/con121129.html

観世清和、梅若六郎玄祥、観世銕之丞という、
贅沢なお顔ぶれに惹かれて席をとりました。

私が最初に能の舞台を鑑賞したのは、今から10年以上前、
梅若六郎先生の「土蜘蛛」でした。

きっかけは、日本文化の精神は見えないものを感じる心だということで、
「新月の会」なるものがあり、
そのお手伝いをしたことからでした。

講演と対談に梅若六郎氏をお迎えすることとなり、
何も知らない私は、
慌てて舞台を拝見しに行ったというわけです。

そのときまでは、能がこんなに面白いものだとは思ってもみませんでした。
日本人でありながら、能楽を何も知らないことを恥じたのでした。

当時、六郎先生は能楽師として50代の華とうたわれており、
直接お話をすることができたのは貴重でした。

そんなことがきっかけで、着物を着る機会が増えました。
私は20代に着付け学院で学び、着物は自分で着られましたが、
見渡せば着物を自分で着られない人ばかり。
もっと着物を着てほしい!!それも奇麗に!
と思いました。

そこで他人に着せるための着付けを学び直し、
プロ着付師としてお仕事をするに至っています。

その頃のことがぼ~っと頭に浮かびながら、
能の舞台に魅入っていました。
(能を鑑賞すると、いつも瞑想しているような感じになるのです)

大手町座では、能装束も面もない略式の演目です。
袴姿の能楽師たちが、
きりりとした居住まいで、演じているのはこれまた素敵でした。

今回の発見は、人間国宝の大鼓方 亀井忠雄氏。
なんてすごい方なのか、音が違う!
ひと手打つたび、山の、天に伸びる杉の木を思わせました。
そして場を引っ張って行く存在感に圧倒されました。

忠雄氏と、笛方の藤田六郎兵衛氏との「獅子」は、
まさに気迫のぶつかり合いでした。

舞台を拝見して、こうした重鎮が尊敬されつつ、
若手を盛り上げて行こうとされている心意気を感じました。
それは、関わる者が皆、伝統芸能である能の重みを受け継ぎ、残したい、と心底思われているからでしょう。

立ち、座り、全ての所作が一部の隙もなく美しく、
鍛錬の賜物ですね。

いろんな意味で、能楽から学ぶことは多いです。









「竹内栖鳳-京都画壇の画家たちー」へ

2012-10-25 18:29:57 | 観劇・アート
秋ですね~。
街路樹もきれいな紅葉を見せてくれるようになりました。


本日は代官山のスタジオで、七歳のお嬢様の着付けの後、

山種美術館の「竹内栖鳳-京都画壇の画家たちー」へ。



私の好きな、上村松園の師匠である竹内栖鳳(没後70年)と、

そのお弟子さんたちの明治から大正期の作品の数々が展示されています。

展示室に入ると、有名な猫の絵にお出迎えされ、

猫好きな私は最初からウキウキ♡

大きな「黒熊」と「白熊」、「象」の作品があったかと思えば、、、
猿、うさぎ、鳥、虫などの小動物まで・・・。


海外で見聞を広めた円山応挙の「虎」も有名ですが、

応挙は実際には虎を見ていなくて想像で描いたそうですよね。



また栖鳳は、その頃はめずらしい象を描くため、

動物園に通い詰めたとか。

その京都市動物園て、古くから歴史があるのですね。



動物の描き方は、皆、どこか優しい。
これは京都のはんなり文化だからでしょうか?

画家たちの、注意深くも愛情深い目を感じました。



山種美術館のカフェでは、青山<菊家>さんの和菓子がいただけますが、

展示内容の絵にちなんだオリジナル和菓子が数種あり、

こちらも楽しみのひとつです!

http://www.yamatane-museum.jp/doc/cafe_120929a.pdf



どれも美味しそうで迷いましたが、

菊池芳文の「花鳥十二ヶ月 九月」の

菊をモチーフにした「菊がさね」をいただき、




上品なユズ餡とお抹茶で、まったりして帰りました。

芸術の秋、のつもりが、やはり食欲の秋のようです?!

小村雪岱 展

2012-10-21 14:39:24 | 観劇・アート
ホテル・ニューオータニ美術館の
「大正・昭和のグラフィックデザイン 小村雪岱(こむらせったい)展」
(~11/25)
に立ち寄りました。

かの泉鏡花も絶賛する、モダンセンス。

本の装幀が多く残されていますが、
雪岱デザインの着物と帯が一対、展示してありました。

これが、おしゃれ~^^

身頃から後ろ裾までと袖は、墨ぼかしの黒。
両裾の褄にかけては明るい緑色。
その緑色の上にはっきりとした赤で梅を散らして。

帯は、白地に墨で梅の枝が描かれ、そこに鏡花直筆の句も。


その頃の着物姿って、裾引きだから、
この着物の構図は余計に引き立つわけです。

それに、裾引き姿ですと、どうしたって大股に駆け出すわけに行かないし、
だからでしょうか、雪岱の描くどの女性も、色っぽい。

ハイヒールをカツカツ鳴らして歩く現代女性を見たら、
雪岱はどう思われたかしら?
と思いをめぐらしつつ、鑑賞しておりました。

天使のキャンドルホルダー

2011-12-18 18:13:12 | 観劇・アート


銀座にお買い物に行って、
たまたま目にとまったガラスのキャンドルホルダー。


薄いガラスの中に、松ぼっくりや、オーナメントなどが、
透明ジェルのようなもので閉じ込められています。

神秘的で、なんて奇麗なんでしょう!

Dreamlight というドイツの会社のハンドメイド。

ゴールドとシルバーのふたつを求めましたが、

とくにゴールドのは、
天使のお顔が、もの憂げで愛らしくて、
なんだか癒されます。

もうすぐクリスマス。

天使が一足早く舞い降りてくれたようです。

わが心の歌舞伎座展

2011-08-06 23:36:51 | 観劇・アート
目黒雅叙園の「わが心の歌舞伎座展」(~8/7)へ。

旧歌舞伎座の映像や資料など、
興味深い展示を楽しませてもらいました。

「昭和の竜宮城」・目黒雅叙園のお部屋になぜかとても合っていて、
不思議な空間になっていました。

花道を再現したコーナー、ちゃんと客席まで用意されてます。

勧進帳や藤娘の衣装もありましたし、
実際に舞台の効果音として使われる、
風や波を出す小道具なども手に触れることができました。


それにしても、、、
この暑さでも、ちゃんとお着物でいらっしゃるお客様たちが多いこと。
夏の薄物で外出されるのはかなり上級者。
思わず見とれてしまいます。
皆様涼やかな笑顔でいらっしゃいました。

新しい歌舞伎座ができたら、私もさっそく着物で行きたいな!

花の画家「ルドゥーテ 美花選 展」へ

2011-06-04 23:34:44 | 観劇・アート
渋谷のbunkamura ザ・ミュージアムにて開催中の、
「ルドゥーテ 美花選 展」へ立ち寄りました。

http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/11_redoute/index.html

ルドゥーテの花の絵、
とくに薔薇はため息が出るくらい精密で、
とっても魅力的。

いわゆるボタニカルアートですが、
優美さは一番ではないでしょうか?

個人的にはブーケやリースの絵が好きです。

女性なら、こんな絵に囲まれていたいですよね。

輪郭線を細かな点で打つことにより、
よりリアルな表現になっています。
ルーペで見ると、本当に細かくて、
気の遠くなるような大変な技術です。

ルドゥーテの絵は、ジョセフィーヌ妃など宮廷婦人の為に描かれており、
今は紛失したり散逸してもうないと思われていたものが、
どこかの王侯貴族が、
思わぬ時にオークションに出したりするのだとか。
人気ゆえ、プロでも入手は大変らしい。

以前、ルドゥーテの本物と複製画を並べて展示してあるのを見たときに、
あまりに複製画が見劣りしたのを覚えています。
(もちろん、お値段も全然違うのですが)

年月が経ち、退色したことを考えると、
複製画の方が、かえって作成当時の色なのかもしれませんから、
あとはお好み?

トラベルジュエリーのように、
本物はしまっておいて、複製画を飾る、のが王道なようです。

でもそれより、ルドゥーテの薔薇が似合うようなお部屋にすることと、
薔薇が似合う女性になるのが先でしょうね^^);

会場は、香りの演出もされており、
要所要所に異なる花の香りがしていました。

本日は夏の予告みたいな1日でしたが、
ほっと優雅に過ごせました。

白洲正子展

2011-05-04 23:28:03 | 観劇・アート

世田谷美術館の「白洲正子展」へ。

白洲正子さんの目を通して、
巡礼、仏教及び仏教美術にふれる展覧会。

GWさなかということもあり、
さすがに混んでましたが、
新緑眩しい砧公園も清々しく、
足をのばして良かったです。

さて展示品には、
白洲さんの数々の遺作から抜粋した文章が添えられてました。

かいつまんで読みつつも、
率直なものの見方、感じ方についはっとさせられます。

展示のひとつの女神座像は、
すっかり彩色は落ちて木肌でしたが、
解説によると、
「厄を払う赤」に塗られていたとのこと。


私はそのような、今は見えない色を観じたい、
と強烈に思います。
時空を超えて、そのときその色に込めた思いを感じたい。


日本には宗教はないともいうが、
自然と切り離した宗教観は絶対ありえない。

木や石から仏像や神像を彫り、
手を胸の前で合わせて拝む。
何事かおわすかは知らねども、
何事かを感ずる心。


白洲さんは人が見落としてしまいそうな、
例えば小さな仏像などを好まれたそうですが、
手のひらサイズの仏像をみると、
そっと手にとりたくなりますよね。

名もなき人々の
「祈り」
の本質を、そこに観る思いがしました。

没後120年ゴッホ展

2010-12-22 19:39:31 | 観劇・アート
「没後120年ゴッホ展」(19日終了)を観ました。

ゴッホがゴッホになった系譜がわかる展覧会でした。
ゴーギャンと一緒に暮らした当時の部屋が、
原寸で再現されていたのが興味深かったです。
(とっても狭くて簡素でびっくり)

ゴッホはたくさんの習作を残していて、
先人から学びとろうとする意欲を多いに感じました。

そして、点描画法で有名なスーラの絵画も展示されていました。
点描は、色の混色の原理を応用した手法です。

ゴッホは、スーラを尊敬していたとのことですが、
さらにオリジナリティを加えているところがすごいです。
スーラの静謐な画面と違い、
ゴッホはもっと生命を感じるような、
躍動感のある仕上げになっています。

また、ゴッホは独自に色彩を学んだそうで、
実際に読んだという色彩論の書物が陳列されていました。
ガラスケースの中にあり、
めくって見られなかったのが残念でした。

ゴッホの色使いといえば、補色使いのものが多くあります。

例えば、「アイリス」もそのひとつ。
黄色を背景に、アイリスの花の色は、本来は青紫だった。
今は青っぽく見えますが、
実際はもっと紫に近かったのが退色して今の色になっているとか。

そうやって、本来描いた色を想像しつつ鑑賞し、
自画像の前では、ゴッホの生涯に思いをはせてみたり・・・
美術館て、大人になるほどおもしろいですね!!


ブルーノートにてkeiko Matsui

2010-12-21 18:38:06 | 観劇・アート
先日、久しぶりにブルーノート東京へ行って参りました。

出演はコンテンポラリー・ジャズピアニストの
Keiko Matsuiこと、松居慶子さん。

http://www.bluenote.co.jp/jp/artist/keiko-matsui/

彼女の音楽はスピリチュアルで、宇宙を感じさせてくれます。
アメリカをベースに世界中で活動されていて、
その才能と行動力、女性としても魅力的な方ですね。

ステージは、クリスマスソングも交えて構成され、
お客との一体感もまた格別で、楽しかった!

さて、近くの席のお客様の中で目を引いたのは、
裕福オーラのマダムグループ。

おそらく、keikoさんのお母様と、
そのお友達とお見受けしました。

黒とくすんだ金のコンテンポラリーな図柄の着物や、
真っ赤なジャケットをお召しの方もいらっしゃいました。

この年代のお洒落なマダムの貫禄にはかなわないですね。

お食事も美味しかったし、ライブっていいな~。
Keikoさん、素敵な夜をありがとう!
3日間お疲れさまでした!

大人が楽しめるブルーノート、また行きたい!