ノンストップの凸凹地獄～BRM705宇都宮400＜その４＞

※＜その３＞より続く

◆＜その４＞飯野・青木平～宇都宮

　ＰＣ４から先はナイトラン。そしてＴ字ビターン地獄に加え、信号なしのノンストップ凸凹地獄の始まりだった。宇都宮400のメーンディッシュは、土湯峠ではなかったのだ。

　lorisさんと一緒にスタートし、やがて後ろに埼玉から来られた２人組のライダーが付いて４人のトレインとなり、４台の自転車に搭載したライトで暗闇を照らしながら進む。

　最初は私が先頭にいたが、233km地点の左折で迷ったところで黄色いジャージの方が先頭に押し出され、以降はずっと２番手を走った。

　実はブルベのナイトランで複数で走るというのは初めてだったが、楽ッスね(^^:　車もほとんど来ないので、少し並走気味に走れば前方も明るい。迷っても４人いるので心強い。238km地点の左折ポイント（三春まで11km地点）を通り過ぎてしまったのだが、誰かが声を挙げてくれたので大けがをしないで済んだ。

　ただ、私のペースよりは少し速く、きつい上りではちぎれそうになってしまった。ＰＣ間が36kmと短かったので大きく遅れることはなかったが、心拍がかなり上がってしまったようだ。

　ついて行くことだけを考え、必死で漕いでいたので、ＰＣ５にはあっという間に到着した。


21:20　ＰＣ５到着。yoko99さんが先着していた

　◆ＰＣ５まで（三春＝５日午後９時23分）
　　　　距離　　　252.61km
　　　　平均時速　23.3km／h
　　　　走行時間　10時間48分25秒
　　　　最高速度　57.8km／h
　　　　グロス平均時速　18.9km／h

　この先も４人でという雰囲気だったが、どうもこの先のアップダウンの方がキツイらしいし、次のＰＣまでは70kmある。あのスピードについて行ける自信はまったくないし、上りで迷惑を掛けるのは確実なので、他の３人の方には先に行って貰った。

　ということで、単独走の始まりッス(>_<)


22:13:　三春の桜

　少し走ると、三春の桜の看板が暗闇に浮き上がっていた。右手にはさくら湖。何となく湖がある雰囲気だが、知っていないとこの暗闇では分からない。

　自作のキューシートには、曲がるポイントの前後にある学校や商店などを記入していたが、用をなさなかった。小学校が何カ所か出てくるのだが、見慣れた大きな校舎などではなく、田舎とあってこじんまりとした建物なのだ。会社？　でかい民家？　判別できないッスよ。さらに夜になると、もう訳が分からない。商店の看板も真っ暗だから見えやしない。こうなるとサイコンに表示される距離だけが頼りだ。でも、それもだんだんとズレ始めるので、区間距離を足して曲がるポイントを探すのだが、もうろうとした頭では計算もできない。曲がったときに総距離を見るのを忘れて、「しまった」なんてこともたびたびあった。

　道は所々に街灯があって真っ暗ではなかった。見上げれば星も見えた。

　栃本ＳのＴ字を左折したところから上りが始まった。最初は緩やかだが、むじな屋ラーメンの看板の先を右に曲がってＲ49からＫ40に入ると、徐々に勾配はきつくなってくる。

　東山までの６kmは辛い辛い上りだった。時速は６～８km/hぐらい。峠でもないのに一体どこまで続くんだよ、まったく。周囲には民家はなく木々が生い茂っているだけなので、ヘタに止まることもできない(T_T)

　ピークには何もなかった。単に上っている道が、その先から下っているだけだ。でも嬉しかったなぁ(^o^)/

　ウインドブレーカーは脱いでいたのだが、こういうアップダウンが続く道では着るタイミングが難しい。また上りが始まるのではという不安がつきまとう。だが、下っているとさすがに寒さを感じてきた。

　７kmぐらい下った先のＴ字路に商店が見え（もちろん閉まっているが）ベンチもあったので、そこでストップしてウインドブレーカーとニーウオーマーを着込んだ。ついでに自販機で飲料補給。

　ところが、出発して左折した途端、放し飼いの犬がわんわん吠えながら突進してきた。「うわっ、なんだこいつ！」。下りだったので逃げ切れたが、上りだとどうなっていただろう(￣◇￣;)　いや、それよりさっき休んでいるところを、こいつに見つからなくて良かったよ。

　山の中だし民家も密集しているわけではないので、番犬が必要なんだろう。遠くで犬の鳴き声が聞こえると、「あ、誰か走っているな」と分かるのが面白かったッスね(^^:

　走っていると足がやっぱり寒いので、「母畑レークサイドセンター」で再びストップしてレッグウオーマーに替える。着替えている間に、ここの自販機で補給していたライダーを含め２～３人にパスされたようだ。

　少し上った後は、川沿いの道を走り温泉街を抜けて賑やかな（山の中と比べると、という意味ですよ(^^:）石川の町へと出る。

　◆（石川＝６日午前０時28分）

　三春を出てからここまで40km。ＰＣ５からＰＣ６までは70kmあることから、予定通り石川のセブンイレブンで休憩する。

　レジで店員のおばさんにいきなり「頑張って下さい」と言われた。「宇都宮まで行くんでしょ。着くのは明け方らしいわね」。すでにブルベライダーが来ていたんだね。「４号線を行かないで裏道を行くのよね」。よく知っているなぁ(^^:　私の前にここに来た人は丁寧に説明していたようだ。

　サンドイッチとコーラを補給し、塙へ向けて出発。

　学法石川（ってここにあったんだと、初めて知った）をぐるりと回り、Ｋ274から市道へ入る。ここは思い切り不安だった。市道へ入ったところから激坂というのは分かっていたのだが、他にも激坂の道があったのだ。

　目印は山形小学校。これがあれば正解。そして上りもそこで終わり。でも、分かるかなぁ。

　激坂と闘い、もうそろそろという所で、「山形小学校」と刻まれた１メートルほどの細長い石が道ばたに見えたv(^o^)v　小学校なんてどこにあるか見えないが、この道で間違いない！

　次の目標は山白石小学校。見上げると標識は「山白石」。200％正しい道を走っているぞ。

　磐城浅川からはＲ118に入る。最初は上っていたがやがて下り始める。だが、道の感じはどう見ても上り。感覚がおかしくなったか。でも、こんなにスピードが出るから下りに違いないんだけど・・・。

　このあたりから眠気が襲ってきた。今日のもうひとつのテーマは「眠気に勝つこと」。沼津600のときは完敗だった。これに勝たなければ400km以上のブルベは走れない。トライバックに忍ばせていたクロレッツを口に放り込み、眠気を散らす。あとは・・・そうだな、歌いましょうか、大声で。といってもレパートリーがないッスからねぇ。仕方ない。マリノスのサポソンをひと通りいってみるか＼(＾▽＾)／

　下りから上りにさしかかった所で、一度チェーンが落ちた以外は何のトラブルもなく、国道なのにまったく車の通らない暗闇のＲ118を疾走する。

　ＰＣ６のミニストップは「道の駅はなわ」の中にあった。地図をいくら見ても見つからないはずだ。
　
　◆ＰＣ６まで（塙＝６日午前２時15分）
　　　　距離　　　322.98km
　　　　平均時速　22.4km／h
　　　　走行時間　14時間21分43秒
　　　　最高速度　57.8km／h
　　　　グロス平均時速　17.7km／h

　このコンビニでは若い女の子に「頑張って下さい」と言われ、あめ玉を貰った。きっと、ほとんどのブルベライダーが貰ったことでしょうね。真剣なまなざしで「凄いですね」なんて言われると元気が出てくる。

　この道の駅は休憩所が深夜でも開放されていた。といっても、イスやテーブルはあるが、寝るとしたら床にそのまま寝そべるしかない。すでにlorisさんはぐっすり(^^:　ほかに数人の方が仮眠していた。その人たちを起こさないように静かにカップヌードルを食べる。コンビニの軒下だと虫が多いので、休憩所に入れることは有り難かった。

　sakakazeさんとはＰＣ１で、nanさんとはＰＣ２で別れた切りになってしまったが、yoko99さん、se7enさん、chicorynさん、eiryさん、kazuさん、lorisさん、埼玉の２人組さん、八溝グリーンラインの炎天下の信号で大の字で寝ていた方とはここまでほぼ同じペースできていた。ブルベも後半になれば、ＰＣで会うメンバーも決まってくる。

　ところが、ここで思わぬ再会。スタート地点以来となるママチャリのへばなさん、そしてＰＣ１以来となるweathermanさんが、私の出発直前に到着した。おふたかたとも頑張ってる！


2:49　ＰＣ６出発直前

　今回は寝ないと決めていたので、絶好の仮眠ポイントだったが補給のみでスタート。さあ、あと90kmだ。


3:27　茨城県大子町突入


4:04　夜が明け始めた。Ｔ字右で馬頭へ

　大子広域公園への坂をひと上りし、下ってＲ461との分岐へ。ここから上りがまた始まる。


4:18　霧が立ちこめてきた


4:20　幻想的な雰囲気となってきた

　このあたりで眠くて仕方なくなってきたので、ストップ。５分ほど道ばたで目を閉じた。もし寝心地のいいベンチがあったら、もっと寝ていたかもしれない。幸い、何もないところだったので、すぐに走り出すことができた。もう少しだ。頑張ろう！


4:36　栃木に帰ってきたぞ。ここは境明神峠

　緩やかな坂を上り、あっけないほど楽に境明神峠を越える。懐かしき栃木に帰って来たよ(^^:


5:05　ＰＣ７到着（左手のセブン）。次に進むのは右

　◆ＰＣ７まで（那珂川・馬頭＝６日午前５時９分）
　　　　距離　　　366.66km
　　　　平均時速　22.4km／h
　　　　走行時間　16時間21分９秒
　　　　最高速度　57.8km／h
　　　　グロス平均時速　17.3km／h

　ここでブルベでは初めてとなる眠眠打破を一気飲み。その後は眠くならなかったので、もしかしたら効いたかもしれない。

　のんびり休んでいたら、なんとへばなさんが到着した。私がＰＣ６を出発するときに、へばなさんはＰＣ６に到着したんですよねぇ。速いッス(◎_◎;) 　感心していたら、へばなさんはあっという間に買い物を済ませ、レジ袋を後ろカゴにぽんと入れ（ママチャリはこれができる！）、すぐに走り出して行った。「もう、行かれるんですか？」。思わず聞いちゃったよ。

　「我々の乗っているロードバイクって何でしょう？」と、埼玉の２人組さんと思わず顔を見合わせた。


5:40　八溝（やみぞ）グリーンライン突入

　昨日並みに強く照りつけ始めた日差しを一身に浴びて、八溝グリーンラインに向かう。


5:40　八溝大橋で那珂川を渡る


5:46　いきなり９％


5:49　続いて８％


6:07　この道もまっすぐ(T_T)

　半端じゃないキツさだった。まさにビーフライン。農耕車が走るんだから、もっと緩やかにしてやれよ。なんでこんなに急なんだ？

　下り切った所に信号があるのもビーフラインと一緒だった。ビーフラインのときはことごとく赤だったが、今回はすべて青(^o^)/　信号無視する車などここにはいないと信じて、ノーブレーキで突っ込む。だって、信号の先は上りッスからねぇ。

　へばなさんの後ろ姿が見えてきた。立ち漕ぎッスよ、立ち漕ぎ。それも上り全編に渡って休みなくグイッグイッと全身の力を使って・・・。凄い脚力に圧倒された。

　追いつこうと私も頑張るのだが、ジリジリとは近づくのだが追いつくことはできない。


6:18　このトンネルの先は下り

　苦しかったグリーンラインも２つのトンネルを抜けると下りとなる。この下りでようやくへばなさんをパスできた。何のことはない。ロードバイクの力を借りただけだ。

　途中、炎天下の交差点で大の字になっているブルベライダーがいた。塙から最終ＰＣまで一緒だった人だ。ここで寝るとは、相当眠かったんだろうね。気持ちは分かる。

　下りきってからは田んぼのなかの平坦な道が続く。もう残りも少ないし、ここは下ハン握って目一杯回す。だって、へばなさんが後ろに迫ってますから(^^:

　グリーンラインはまだ続いているようだったが、コースはそれを左手に見ながらの直進。おー、やっと凸凹地獄から開放されたぞ。さらば！　グリーンライン＼(＾▽＾)／


6:51　阿久津大橋で鬼怒川を渡る

　後はゴール前の激坂だけ・・・のハズなのに、また上りが現れたよ。地図を見ると、わざわざ上らせているとしか思えないんだけどねぇ。峠道みたいなゴルフ場のなかの細い道を上り、下って高速をくぐると懐かしきＲ293。そして徳次郎さん！

　ここで400kmをすでに越えている。でも、コースはあと９kmある。できれば、距離は限りなく400kmに近づけて欲しかった。残り距離を考えるとき、「400ー走行距離、たす９km」っていうのは心が折れるよ(T_T)


7:38　ゴールは近い。けど最後の坂が・・・

　森林公園手前まで帰ってきたぞ！　でも、最後の激坂は、美ヶ原の激坂を思い出させる強烈なヤツだった。もう、蛇行しまくり。真っ直ぐなんてとてもじゃないが進めない。

　ヘロヘロで駐車場前へ。でも、まだゴールじゃない。車止めの先の坂をもうひと上りしてようやくゴールv(^o^)v
　

7:43　ゴール＼（＾▽＾）／

　◆ゴール（宇都宮＝６日午前７時43分）
　　　　距離　　　414.71km（キューシート上は409.0km）
　　　　平均時速　22.3km／h
　　　　走行時間　18時間29分51秒
　　　　最高速度　57.8km／h
　　　　グロス平均時速　17.5km／h
　　　　グロス走行時間　23時間43分

　今回のテーマである「がっつり食べること」は、ルート上に吉牛もすき家もなかったし、暑さのせいもあって結局コンビニの麺類だけに終わった。でも、いつもよりは食べた方かな。

　もうひとつのテーマ「寝ないこと」はなんとかできた。未明に車で来られた方と違って前泊しているから当然だろうが、睡魔との闘い方だだんだんと分かってきたような気がする。

　ヘロヘロでゴールした青葉300、寒さと睡魔に負けて気持ちが切れてしまった沼津600ＤＮＦと、ブルベに対して自信を失いかけ「400はもう走れないかも」と弱気になっていたのだが、この完走で少しは自信を取り戻した気がする。

　終盤、夜風が右肩に染みたのが気になるが、次を目指そうという気持ちが沸いてきたぞ～(^_^)

　先着していたnanさんと健闘をたたえ合っていると、ばっちゃんの姿が。あれ？　もしかして塙で寝てました？

　帰りの車は辛かった。ブルベで寝なかった反動か、高速へ入った途端に睡魔が・・・。単調な道だとヤバイので、栃木で降りてＲ４～Ｒ16と下道で帰宅。日差しが強く、エンジンを止めて寝るところもないので、この区間はブルベより辛い睡魔との闘いとなった。まさに「家に帰るまでがブルベ」だった(￣◇￣;)

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