「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

森と湖を裾野に雄阿寒岳

2011-08-13 23:19:57 | 道東の山々

 国道脇から望む雄阿寒岳

 

20111年8月9日(火) 雄阿寒岳(1371m)の登山記録

屈斜路湖の藻琴山、摩周湖の摩周岳(カムイヌプリ)と登って、阿寒湖畔で一日休養する。

目指すは雄阿寒岳。阿寒湖を挟んで向き合う雌阿寒岳と合わせて深田久弥が選んだ日本百名山。

山の広い裾に針広混交の深い森と、大小いくつかの湖沼を抱える。

円錐の独立峰は、温泉街から仰ぐその立ち姿に力強い存在感がある。

阿寒湖温泉アイヌコタンから

阿寒湖畔の夕景

日の出

 

片道6.2キロ、標高差951mなので、それなりに登り応えがありそう。

しかも暑くなりそうなので水も2.3リットル用意した。

登山口は阿寒湖畔の滝口と呼ばれる深い森だ。

クマの出没が多いことから、「登らないことも選択のひとつです」という注意書きも。

ここまで来て登らないわけにもいかず、耳が痛くなるほど笛を鳴らす。

いかにもクマが出そうな太郎湖、次郎湖と小さな沼が続く。

行けども行けども、暗い森の急傾斜。ひたすら登ると、やがて、針葉樹の密度が減る・・・

森に光が差し込んだ瞬間、爽快な気が体幹を貫いた。

日々の生活で積もった毒気が見事に抜けていく。

阿寒湖畔の混交林を登る

 雌阿寒岳を望む

 

四合目を過ぎると、対岸の雌阿寒岳がよく見える。しかし、この先の五合目までがあまりに遠い。

合目の取り方がまちがっているらしい。

「八割は登りました」と五合目の標識に書かれていたので、実際は八合目だよなぁと思う。

ここから緩やかな灌木のトンネルを行くと、人の口笛のような鳥の鳴き声。

探したらウソが赤い喉を震わせていた。つがいのホシガラスもギャー、ギャーと鳴き交わす。

足元にはイチヤクソウがスボットライトを浴びていた。

ウソが鳴く

イチヤクソウ

 

七合目を過ぎて振り返ると、阿寒湖の全景が目に飛び込んでくる。辛かった登りを忘れる瞬間だ。

ハイマツ帯には矮小化したアカエゾマツがぽつり、ぽりと浮かぶ。

その向こうに丸い山頂が見える。

戦中に建てられた気象観測所の土台が八合目に残っていた。

刻まれた人の歴史も垣間見ながら、山頂に。

 

七合目を過ぎて振り返ると阿寒湖の全景

ハイマツ帯に矮小化したアカエゾマツ  右端のポコが山頂

 

八合目 気象観測施設の跡地

 

山頂の地形は複雑で、すり鉢状の噴火口の向こうに雌阿寒岳とフップシ岳が立つ。

阿寒湖は見えない。

そのかわりに、山頂標識の背後を見下ろすとパンケトーとペンケトーが森をくり抜いている。

この沼は特別な許可がないと立ち入れないという。

絶景を独占するも、暑くて風もないせいか、飛ぶ虫があまりに多い。

誰かに記念写真を撮ってほしかったが、待ち人現れず。

うるさい虫に追われるように下山を決めた。

帰路、七合目で川崎から来たという女性ふたりと出会う。

阿寒湖全景をバックにした記念写真が土産となった。

山頂から見た噴火口と雌阿寒岳、フップシ岳(右)

連なる阿寒富士と雌阿寒岳(右)にズームイン

山頂標識の背後にふたつの沼

パンケトーとペンケトー(右)

 

■登山記録

06時00分:滝口から入山

06時20分:次郎湖

06時30分:一合目

06時55分:二合目

07時25分:三合目

07時45分:四合目 「ここから我慢のしどころ」の表示

08時15分:雌阿寒岳の全容が見えて、ほっとする

08時35分:五合目(1194m)…実際は八合目か?

08時50分:六合目

09時05分:七合目 阿寒湖畔の全景を見下ろす 

09時15分:八合目 気象観測所跡

09時25分:九合目 噴火口を横目に・・・

09時35分:山頂(上り3時間35分)

10時05分:下山開始

13時10分:登山口に戻る(下り3時間5分)

 

下山時に立ち寄った次郎湖  湧水なので見事な透明度

 

まりも湯 500円 (8日の前泊時に入浴)

温泉街にある石鹸・シャンプー完備の公衆浴場。源泉かけ流しの熱いお湯が刺激的。

エンジュの樹で作った球をマリモに見立てて浮かべるユーモアも。

 鶴雅 1400円 (9日の下山後に入浴) 

温泉街の老舗大型ホテルの日帰り入浴。ワンドリンクつきなのでラウンジでくつろげる。

贅を尽くした内風呂も快適だが、雄阿寒岳を仰ぐ湖畔の露天風呂がいい。

中国で大ヒットした映画にも登場した。

 阿寒湖畔野営場 630円×2泊

森の中だが、すぐ横に国道が走る。深夜に走るトラックの音が気になった。

が、疲れが良薬なのか、よく眠れた。

明治大学のワンゲルの青年たちがテントを張っていた。

去年は羅臼岳で慶応ワンゲルと出会ったが、今年も若者の清々し笑顔に癒された。

キャンプ場の駐車場からも雄阿寒岳が


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2 コメント

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なつかしくなりました (mori)
2011-08-21 09:48:29
いつものすてきな紀行文を読み、雄阿寒岳に私も若い頃に単独で登ったのを
懐かしく思い出しました。
パンケトーとペンケトー、同じアングルで撮った記憶があります。
確か、この2つは雄阿寒岳頂上からしか見られないのではなかったでしょうか。
登った者だけの「絶景の独占」ですね。
あの頃の写真はどこへいったかしら。あとで探して見たくなりました。
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歩きがい (ikuni)
2011-08-21 22:57:56
moriさんへ
雲海の小清水峠で、出会った年配のカメラマンは雄阿寒岳の登りは退屈で二度と行きたくないと言われて、凹みました。でもどんな山でも、がっかりしたことはないので・・・
確かに暗い森の急登は、しんどいものでしたが、得られた展望は最高でした。
阿寒湖から切り離された二湖の展望も、ここからでしか見られないそうです。
歩いたかいがありました。
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