ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

嬬恋の丘 (カラマツの丘)

2024-01-17 19:54:51 | 風景写真/冬

 嬬恋の丘 (カラマツの丘) は、群馬県嬬恋村にある。キャベツ畑が見渡すかぎり続き、その丘の上にポツンとカラマツ林が佇むロケーションで、まるで北海道の美瑛のような場所である。

 まずは、阪神淡路大震災から29年。5時47分に会社の駐車場から黙とうを捧げた。能登半島地震の被災者の方々にも、一日も早い復興をお祈りした。

 さて、今回の群馬遠征は、この嬬恋の丘 (カラマツの丘) がメインであった。浅間山と星空は、月明かりがない快晴ならば撮影のチャンスは多いが、カラマツの丘では、広大な雪原の丘とカラマツ林、その星空とマジックアワー(魔法の時間)の光景を撮りたかった。嬬恋村は、13日の午後から夕方まで雪で深夜から晴れの予報。星は二の次で、とにかく雪が積もった光景であって欲しかったため、この週末は絶好のチャンスとばかり遠征を決めたのである。
 現地には14日の午前2時半前に到着。風は弱いが、気温マイナス9℃で寒い。同行した写友S氏と二人だけで、他には誰もいない。思ったより雪が少なく真っ白な丘ではなかったが、素晴らしい景色である。さて、どう撮るか・・・事前の調査でも東方向にカメラを向けるしかなく、狭い範囲ではあるが、どの位置がベストであるか、細かくロケハンを行う。それは単なる構図をきめるものではなく、自然と自分との対峙である。今何を感じ、これから起こる変化をどう表現するのか?手足の指の感覚が失われていく中で思慮する。まずは、タイムラプス動画を作成するために1時間ほど撮影。勿論、その間は車内で待機である。その後、3時半から5時まで再び車内で待機。前日の起床から不眠で24時間近く経っていたが、目を閉じただけで出動。今度は夜明けまでのタイムラプス動画作成のための撮影をセットし、三度車内で待機。その間に撮影した写真140枚を現像後に確認すると、人工衛星の軌跡が多く写っている中、流れ星が3枚に写っていた。
 この日の日の出時刻は午前6時58分。6時からカメラの前で待機するとカラマツの背後から金星が昇っていた。夜半の強風と乾燥で空気が澄んでいたため波長の短い青い光が広範囲に散乱し、約10分間だけ青い光で包まれた。ブルーモーメントである。その後、少しだけピンク色やオレンジ色に染まりだし、7時20分。ようやく標高およそ1,170mの丘に太陽が顔を出した。

 朝日を撮影後に現地を引き上げ、県道94号線で湯ノ丸の地蔵峠経由で東御へ降りた。小諸ICから上信越道に乗り、佐久小諸ジャンクションから中部横断自動車道の八千穂高原ICまで走り、その後は国道141号線で北杜市へ、そして須玉ICから中央道の府中国立ICまで走り、13時頃に帰宅した。前日の4時過ぎに起床してから33時間。久しぶりの強行軍であった。
 平日は出勤のため、まだ真っ暗な4時過ぎに目覚ましが鳴る。能登半島地震の被災者の方々には申し訳ないが、週末こそ暖かい布団の中でゆっくりと明るい朝を迎えたいと毎日思う。しかしながら、 これまで氷点下23度の上高地、氷点下16度の霧ヶ峰、氷点下15度の開田高原等に出掛け、そして今回の嬬恋の丘 (カラマツの丘) においても、凍てつく冬の朝のマジックアワー(魔法の時間)の美しさを体感してしまうと、寝る間も惜しんで、また極寒の地に出掛けていくのが私の性。そこでいつも思う。「明けない夜はない」と。過去の経験から最低でも3回は通わないと自己満足の絵は撮れていないので、ここも通うことになるだろう。ちなみに嬬恋の丘 (カラマツの丘) では、3月になると夏の天の川も撮ることができるので、タイミングを見計らって挑戦したいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。 また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

カラマツの丘と冬の星空の写真
カラマツの丘と冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F3.5 20秒 ISO 3200 ×63カット合成(撮影地:群馬県嬬恋村 2024.1.14 2.39~3;05)
カラマツの丘と冬の星空の写真(金星と流星)
カラマツの丘と冬の星空(金星と流星)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F3.5 20秒 ISO 3200(撮影地:群馬県嬬恋村 2024.1.14 5:27)
カラマツの丘と冬の星空の写真(金星と流星)
カラマツの丘と冬の星空(金星と流星)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F3.5 20秒 ISO 3200(撮影地:群馬県嬬恋村 2024.1.14 5:46)
カラマツの丘のブルーモーメントの写真
カラマツの丘のブルーモーメント
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F6.3 20秒 ISO 400 -1EV(撮影地:群馬県嬬恋村 2024.1.14 6:05)
カラマツの丘のマジックアワーの写真
カラマツの丘の夜明け前(マジックアワー)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F6.3 1/5秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:群馬県嬬恋村 2024.1.14 6:36)
カラマツの丘の日の出の写真
カラマツの丘の夜明け(日の出)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 6.3 1/800秒 ISO 100(撮影地:群馬県嬬恋村 2024.1.14 7:22)
冬の星空~浅間山とカラマツの丘より~
(動画の再生ボタンをクリックした後、設定の画質から1080p60 HDをお選び頂きフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます)
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ブルーモーメント -青の瞬間-

2022-02-13 15:37:36 | 風景写真/冬

 ブルーモーメント blue moment は、夜明け前と日没後のわずかな隙に訪れる、辺り一面が青い光に照らされてみえる現象である。
 以前の記事で「マジックアワー」について記したことがあるが、マジックアワーは、太陽高度(太陽の中心位置と水平線・地平線との角度)が6度~-6度にある状態のこと。具体的には、日の出・日の入り前後30分ほどの時間帯を指し、空がピンク色、オレンジ色、金色、紫色、紺色、青色など徐々に染まり方が変わり、風景が最も美しく撮影できることからそう呼ばれている。太陽高度が0度~-6度で太陽が見えていない時間は「ブルーアワー」と呼ばれ、具体的には、日の出前30分、日の入り後30分ほどの時間帯を指し、空が濃い青色に染まるが、天気が良く空気が澄んでいると波長の短い青い光が広範囲に散乱し、日の出の40分前頃から約10分間と、日の入り30分後からの約10分間は青い光で包まれて幻想的な光景が広がる。このわずかな時間がブルーモーメントである。

 今年は、まだ1月4日の「しぶんぎざ流星群と冬の大三角」と1月8日の「寄せ氷」しか撮っておらず、一カ月以上何も撮っていない。理由は幾つかある。1つは、気象条件が合わず撮りたいと思う光景に出会えないのである。野山に出掛ければ、渓流の氷の造形等この時期ならではの芸術的な光景には出会えるし、他の被写体も多くあるにはあるが、今一つ踏み出せないのは、やはり依然猛威を振るう新型コロナウイルスへの感染防止の観点からである。
 私が住む東京都内の新規感染者数は、2月6日~12日の一週間で合計11万4453人。前週(1月30日~2月5日)の合計12万5266人より減ってはいるものの、最も多い日では、1万8000人を超えている。家族4人ともに十分に感染対策を行って毎日仕事で外出しているが、この現状では感染への危険度が極めて高いと言える。一人が感染すれば家庭内感染は免れない。まずは自分が感染源で家族に広げないよう、休日は出来る限り自宅内で過ごすようにするべきという思いから、趣味である写真撮影は控えるようにしている。写真撮影は単独で誰にも会わずに行うので全く問題ないのとは思うが、万が一感染した時に「趣味=遊び」を原因にしたくない。
 3月31日から二泊三日でヤエヤマヒメボタルをメインに、様々な昆虫の観察と撮影をするために、一人で石垣島と西表島へ出掛けることに決定しているので、感染後の後遺症を考えればそれまでは元気で過ごしたいという事もある。また、一ヶ月以上も休日を自宅で過ごしていると、出無精になったことも理由に挙げられる。平日は毎朝4時半に家を出るが、起きるのが辛い。休みの日くらいは、せめて6時半までは寝ていたい。前日から車中泊で出掛けてしまえば良いが、心にブレーキをかけてしまう今日この頃なのである。

 そんな理由から新作を掲載することができないため、今回も蔵出しを含む過去撮影の写真を集めてまとめた。前記事では「夜明け」と題してマジックアワーの時間帯に写した2枚を掲載したが、今回は、冬の夜明け前ならではブルーモーメントばかりを掲載した。
 塵一つない澄んだ空気と快晴の空。夜明けが近づき星の瞬きが見えなくなると、全てが青い光で包まれる。わずか10分ほどの光景である。そこに暖かな色彩はない。数分もすれば、空はピンクやオレンジ色に染まりだし、地上は生を受けたかのように様々な色彩が蘇るが、このブルーモーメント-青の瞬間-は「静」の世界。誤魔化しは通用せず、愚かな自分が映る。自然の言葉を心で素直に聞き、自己と対峙し内観できる貴重な時間である。(とは言え、今はそれも叶わず飼い猫5匹と戯れる休日である。)

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

ブルーモーメントの忍野富士の写真
ブルーモーメントの富士(忍野富士)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1.3秒 ISO 100 -1EV (撮影地:山梨県富士河口湖町 2011.1.03 6:42)
ブルーモーメントの富士の写真
ブルーモーメントの富士と田貫湖
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F9.0 30秒 ISO 100 -1EV (撮影地:静岡県富士宮市 2020.1.04 6:10)
ブルーモーメントの富士の写真
ブルーモーメントの富士
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F10 30秒 ISO 100 (撮影地:神奈川県箱根町 2020.1.19 6:27)
ブルーモーメントの海の写真
ブルーモーメントの海
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F11 30秒 ISO 100 (撮影地:千葉県銚子市 2011.1.09 6:18)
ブルーモーメントの御射鹿池の写真
ブルーモーメントの池(御射鹿池)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.2 30秒 ISO 100 (撮影地:長野県茅野市 2014.12.06 6:10)
ブルーモーメントの白樺湖の写真
ブルーモーメントの湖(白樺湖)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/15秒 ISO 100 +1EV (撮影地:長野県茅野市 2015.1.24 6:56)
ブルーモーメントの蒲生の棚田の写真
ブルーモーメントの棚田(蒲生の棚田)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F4.5 30秒 ISO 100 -2/3EV (撮影地:新潟県十日町市 2015.4.25 4:23)

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夜明け

2022-01-23 14:00:23 | 風景写真/冬

 真冬の午前6時過ぎ。東を見れば富士の彼方はゆっくりと東雲色に変化し、美しいグラデーションを成している。西を向けば紫がかった黎明の空に浮かぶ有明の月が北アルプスに沈もうとしている。「夜明け」である。
 「夜明け」とは、気象庁の天気予報などで使用される場合は、日の出前の空が薄明るくなるころのことを言う。1798年より1843年まで施行された暦法である寛政暦では、日の出前の太陽の中心が地平線下の7度21分40秒に来た時刻としている。また、比喩として「新しい時代や文化、芸術などの始まり、希望のもてる状況の始まり」等の表現に用いられる。
 夜明けは、闇から光りの世界へと移り変わる時と言える。旧約聖書冒頭の書である「創世記」では、始めに闇があり、神は闇を夜と名付け、天地創造の一日目の仕事は光をつくることだったとある。「光」は全ての源になっている。

 私は夜明け時刻に撮影することが多い。美しい光景であることは勿論、何か神聖な気持ちになる特別な時間だと感じる。ただし、これは写真を撮ろうと計画し、徹夜で移動、または前日から車中泊して臨んだ時の事であり、平日は、連日朝4時過ぎに目覚ましが鳴ると「あと5分・・・」一瞬で過ぎ去る時間を恨みながら、夜明けを待たずして仕事に出掛ける。仕事中に夜明けを迎えるが、そこに清々しさはなく、感謝も感動もない。
 現代社会においては、心を病んでいると闇に引きこもり、夜が明けないことを望む方もいる。夜勤の場合は、夜明けに眠りにつく方々も多いだろう。夜明けがすべての始まりではない。

 東京では、1月22日(土)ついに新型コロナウイルス(オミクロン株)の新規感染者が1万人を超え11,227人となった。まもなく10人に1人が濃厚接触者になるとも言われており、社会活動の停滞が危惧されている。それだけではない。地震に噴火、そして温暖化・・・様々なシミュレーションがされ対策が検討されてはいるが、実際の所、どのような未来が待っているのかは誰にも分からない。今を闇の世界とするならば、人類にはどのような「夜明け」が訪れるのだろうか。
 ももいろクローバーZの楽曲「白金の夜明け」(作詞 前田たかひろ)に「夜明けに生まれかわろう」という一節がある。希望のある一文ではあるが、「今、生まれ変わらなければ、夜明けは来ない」かもしれない。そんな風に思えてならない。

 こんな状況であるから、この週末も自宅で自粛。春のあけぼのを期待しつつ「冬はつとめて 雪の降りたるもをかし」季節の流れとともにうつりゆく光景に思いを馳せながら。

関連記事:夜と朝の間

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富士山と雲海の写真

富士山と雲海
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F16 4秒 ISO 100 (撮影地:長野県諏訪市 2011.2.19 6:08)

有明の月の写真

有明の月
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 0.4秒 ISO 100 -2/3EV (撮影地:長野県諏訪市 2011.2.19 6:25)

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寄せ氷

2022-01-10 13:19:46 | 風景写真/冬

 寄せ氷とは、湖などの水面で凍った氷が割れて、風によって湖岸に打ち寄せられるガラスのような氷のこと。昨年の1月10日は、山梨県の精進湖にて「寄せ氷と逆さ富士」を撮影し記事「冬の精進湖と子抱き逆さ富士」に掲載しているが、今年は寄せ氷のアーティスティックな光景を求めて信州・諏訪湖を訪れた。

 諏訪湖は「全面結氷」した後に、氷が厚みを増すと亀裂が入って大音響と共に山脈のように筋状にせり上がる「御神渡り」が有名である。諏訪大社上社の男神が下社の女神のもとへと渡る恋の道であると言う。また、八剣神社の神官が、氷の割れ目の状態を見て、その年の天候や農作物の出来、世の中の吉凶までも占うことが今でも行われている。「御神渡り」が本州で本格的に見られるのは諏訪湖だけであるが、ここ数年、暖冬の影響であろう全面結氷する 日が減り、御神渡りも2018年以降は確認されていないという。
 私が撮りたい寄せ氷は、全面結氷が続くと見ることができない。湖の凍り始めがチャンスである。6年前から、毎年1月上旬になると寄せ氷を見ようと諏訪湖を訪れているが、まったく見ることができていなかった。今年は、1月5日に諏訪湖の広い範囲が、5mmから1cm程度の薄い氷に覆われ、7日には全面結氷という情報を得た。気温が高ければすぐに溶けてしまう可能性もあるが、週末に期待をかけて行って見ることにした。
 8日(土)会社の仕事を終えて、そのまま都心から長野県の諏訪へ。首都高も中央道も渋滞はなし。15時半には湖岸の駐車場に止めることができた。早速、ロケハン。下諏訪付近の湖岸は、1km弱に渡って氷が打ち寄せられており、ゆっくりと歩きながら形の良いものを探す。
 これが寄せ氷かと思いながら歩くが、水際まで行ける所には寄せ氷が少なく、多い場所は「危険のため進入禁止」のロープは張られ近寄ることができない。また、訪れた日が少し遅かったのか、薄く透明な氷の板が重なり合う様子はほとんど見られない。氷によっては「ジュエリーアイス」に似たものもあるが、厚く白い氷の板が目立った。
 今回は、いつもより自分自身の感性や技術が試される。そう感じた。美しいとは思うのだが、とても手強い被写体である。「どこをどう撮れば良いのか」かなり迷い悩んだ。単純と複雑、そして無造作。その1つ1つの色彩と造形の重なりのどこに芸術性を見出せばよいか・・・手ごたえを感じないまま日が暮れて行った。結果的に、単なるスナップ写真になってしまったが、諏訪湖での出会いに感謝し、この日この時の造形を切り取った。

参考:ジュエリーアイス / 北海道十勝・豊頃町の大津海岸で、厳冬期だけ見られる。太平洋に流れ出た十勝川の氷が、波にもまれるうちに角が取れて透き通ったクリスタルのような氷となって海岸に打ち上げられたもの。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

寄せ氷の写真

寄せ氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F13 1/13秒 ISO 100 +2/3EV (撮影地:長野県諏訪市 2022.1.08 16:05)

寄せ氷の写真

寄せ氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F13 1/13秒 ISO 100 +2/3EV (撮影地:長野県諏訪市 2022.1.08 16:13)

寄せ氷の写真

寄せ氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.5 1秒 ISO 100 +1EV (撮影地:長野県諏訪市 2022.1.08 17:04)

寄せ氷の写真

寄せ氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/20秒 ISO 100 +1 1/3EV (撮影地:長野県諏訪市 2022.1.08 15:50)

寄せ氷の写真

寄せ氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 0.4秒 ISO 100 +1EV (撮影地:長野県諏訪市 2022.1.08 16:28)

寄せ氷の写真

寄せ氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 0.4秒 ISO 100 +1EV(撮影地:長野県諏訪市 2022.1.08 16:37)

結氷した諏訪湖の夕暮れの写真

結氷した諏訪湖の夕暮れ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 0.3秒 ISO 100 +1EV (撮影地:長野県諏訪市 2022.1.08 17:05)

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初冬の星峠と儀明の棚田

2021-12-06 21:45:41 | 風景写真/冬

 初冬の星峠と儀明の棚田の光景を撮るべく、新潟県十日町市へ。成果のあった撮影遠征は1か月ぶりである。

 私が撮りたい棚田の初冬らしい光景には、雪が欠かせない。ただし、棚田一面が雪で埋もれてしまっているのではなく、畔だけが白く田んぼは水鏡の状態である。2019年12月29日には、十日町市松代地区の蒲生の棚田を訪れ、3回目の挑戦で何とか目的に近い光景「蒲生の棚田(冬の朝景)」を撮っているが、今回のメインは「星峠」である。
 星峠は過去に何度も訪れ、5月の時は「朝霧と光芒」という目的を達成しているが、初冬の光景は運に恵まれていない。そもそもタイミングが難しい。連日降雪ならば、棚田が雪で埋もれてしまうし、積雪が少なければ溶けてしまう。そして私の休日とも合致しなければ撮影は叶わないのである。
 今年は、12月2日に降雪があり積雪は2cm。以後の天気は雨で夜間は雪。5日は午後から晴れマークが出ていた。少し前から土曜日は午前中だけ出勤で、日曜日と月曜日が休日となったため、6日(月)の朝は、またとないチャンスである。次の記事で掲載するが、レナード彗星の撮影も兼ねて、迷わず出陣である。
 5日(日)の午前10時半に自宅を出発。天気の良い関越道を進み、関越トンネルを抜けると湯沢は一面の銀世界。期待に胸が躍る。六日町ICから十日町市の松代に入ると、路面には雪はないが田んぼの畔は雪が積もっている。まずはロケハンで星峠へ。入り口付近には雪はなかかったが、展望スペース近くからは路面にも積雪があり、凍って固まっている部分もあった。車を止め、あちこち見て回るとまずまずの光景。続いて儀明の棚田へ向かった。
 儀明の棚田は、田んぼの水鏡に映る桜の光景が有名で、過去に撮影し「儀明の棚田」として掲載しているが、この時期の光景も見ておきたかった。当然、誰もいない。ここでは、夕暮れに染まる光景を撮影し、再度「星峠」へ移動。
 星峠での目的は3つ。昨年の11月に撮っているが、再度「星景」を残すこと。次に「レナード彗星」。そして朝方の棚田の光景である。星景は19時に撮影し、レナード彗星は翌朝4時から撮影。朝の棚田は6時から撮影を開始した。かつて5月に「朝霧と光芒」を撮った時は100人近くのカメラマンで賑わっていたが、平日の朝とあって撮影者は5名ほど。朝霧は出ず条件は完璧ではないが、白い畔と田んぼの水鏡という光景はこの時期でなくては見られない光景である。今回は、特に「棚田の白い縁取り」に注目してシャッターを切った。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

初冬の星峠の写真
初冬の星峠
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F8.0 8秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:新潟県 2021.12.06 6:12)
初冬の星峠の写真
初冬の星峠
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 0.8秒 ISO 100 1 1/3EV(撮影地:新潟県 2021.12.06 6:56)
初冬の星峠の写真
初冬の星峠
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/5秒 ISO 100 1 1/3EV(撮影地:新潟県 2021.12.06 7:04)
儀明の棚田の写真
初冬の儀明の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/10秒 ISO 100 1/3EV(撮影地:新潟県 2021.12.05 15:32)
儀明の棚田の写真
初冬の儀明の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/20秒 ISO 100 1/3EV(撮影地:新潟県 2021.12.05 15:37)

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マジックアワー

2021-01-20 14:30:16 | 風景写真/冬

 マジックアワー(魔法の時間)とは、時間帯を指す一般用語ではなく撮影用語である。厳密な定義はないが、時間帯では太陽が地平線に対して+6度から-6度の角度にある頃、すなわち日の出や日の入り前後の数十分間と言われている。空が濃い青色に染まる「ブルーアワー」、昼と夜の間の極わずかな時間において辺り一面が青い光に照らされてみえる「ブルーモーメント」、日の出前に太陽とは反対側に見えるピンク色の帯「ビーナスベルト」など、空がピンク色、オレンジ色、金色、紫色、紺色、青色など徐々に染まり方が変わり、風景が最も美しく撮影できることからマジックアワーと呼ばれている。

 私は、様々な場所において自然風景を撮っているが、撮りたいと思う光景によってはマジックアワーの色彩を期待して出掛けている。空一面が燃えるように赤く染まった朝焼けや夕焼けは、残念ながらまだ一度も撮ったことがないが、真冬における空が澄み渡った雲一つない日没時の色彩とグラデーション、そしてその変化には心が奪われ、癒しや活力などを得て幸福感で満たされる。将に魔法であり、自然のパワーを感じる一時でもある。
 この記事では、過去に撮影した写真の中からマジックアワーの魅力が分かる光景を集めてみた。新型コロナウイルスの影響で様々な不幸がもたらされている今の世の中において、私の写真に魔力はなく手品に近いが、これからも魔法の時間に感謝しながら、大自然からパワーを頂いてコロナ渦を生き抜いていきたいと思う。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixelsで掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。

マジックアワーの写真

山中湖から富士の日暮れ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F16 1/4秒 ISO 100(撮影地:山梨県山中湖村 2018.1.13)

マジックアワーの写真

三つ峠から富士の夜明け
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F11 1/25秒 ISO 100(撮影地:山梨県富士河口湖 2012.12.31)

マジックアワーの写真

大山千枚田の夜明け
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F11 30秒 ISO 100(撮影地:千葉県鴨川市 2018.3.25)

ビーナスベルトの写真

北アルプスの夜明け(ビーナスベルト)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 0.5秒 ISO 100(撮影地:長野県松本市 2012.11.25)

マジックアワーの写真

柳沢峠の夜明け
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F9.0 30秒 ISO 100 -1EV(撮影地:山梨県甲州市/柳沢峠 2011.1.07)

マジックアワーの写真

戦場ヶ原の夜明け
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.6秒 ISO 100(撮影地:栃木県日光市/戦場ヶ原 2016.1.02)

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夜と朝の間

2020-02-11 19:49:05 | 風景写真/冬

 夜と朝の間と言えば、1969年10月1日に発売されたピーターのデビューシングル「夜と朝のあいだに」のメロディーが浮かんでくるのは同年代以上。若い方々は、エレファントカシマシや音大出身のメンバーで結成されたポップスロックバンドの「マカロニえんぴつ」が浮かぶかも知れないが、歌手や楽曲の話題ではない。
 私の風景写真は、朝の光景が多い。チョウやトンボの昆虫撮影でも、朝一の活動時間から観察や撮影をするので、当然、夜から現地に入り車中泊などして待機している。その時に目にし、体験するのが 「夜と朝の間」である。時間的には朝日が顔を出す前になるのだろうが、調べてみると日本語には多くの言葉がある。上の3つは、時間的な表現であり、下の4つは状況的な表現になろう。

  • 未明:まだ夜が明けきらない時分(気象庁/午前0時から午前3時頃まで)
  • 明け方:夜の明けようとするころ(気象庁/午前3時頃から午前6時頃まで)
  • 夜明け:日の出前(太陽の中心が地平線下の7度21分40秒に来た時刻)
  • 黎明:夜明け。明け方。
  • 暁:太陽の昇る前のほの暗いころ。(あかつき)
  • 東雲:夜が明けようとして東の空が明るくなってきたころ。(しののめ)
  • 曙:ほのぼのと夜が明けはじめるころ。(あけぼの)

 これだけの言葉がありながら、作詞家はなぜ「夜と朝の間」という言葉を選んだのだろうか?それは「心境」や「心情」を表現したいからだ。眠りにつく夜ではなく、目覚めた朝でもない時間。人は何を感じ、何を思うのか・・・
 気象庁は「明け方」を3時間としているが、詞によれば「夜と朝の間」はいつまでも続いたり、探しても見つからないことさえある。「夜と朝の間」は心の中にあるのかもしれない。ただし、相対性理論等の理論物理学では「心境」や「心情」の変化で時間の進む速度は変化すると言われているし、気持ちの持ちようで別の時間軸に乗り換えてしまうこともあると言うから、詞だけの世界ではなさそうだ。
 「夜と朝の間」は「闇と光の間」という意味で捉えることもできる。旧約聖書冒頭の書である「創世記」では、始めに闇があり、神は闇を夜と名付け、天地創造の一日目の仕事は光をつくることだったとある。「光」は全ての源になっているが、昨今では、必ずしも闇が悪で光が善とも限らない。光が怖く、光が差さないこともある。やはり、気持ちの持ちようで別の時間軸に乗り換えてしまうのだろうか。

 以下に3枚の写真を載せた。何れも空気の澄んだ寒い冬にカラマツと空を撮影したものである。時間的には「明け方」であるから、表題は「黎明」や「東雲」などを付けたくなるが、単に夜から朝へのグラデーションに心惹かれただけではなく、3枚とも「夜と朝の間」と題した。
 不確実性の現代を生きる私たちにとって、期待と不安と葛藤で眠ることができない「夜と朝の間」が永遠に続くことがないよう祈りたい。また、未来に起こることが悪い方へ変化しないよう、今の時間軸のレールを進むために、ぶれない気持ちを持ちたい。さて、あなたは「夜と朝の間」に何を思うだろう・・・ちなみに“夜と朝”は、ギリシア語で“女と男”という意味を兼ねている。

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夜と朝の間の写真

夜と朝の間
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F9.0 30秒 ISO 100 -1EV(撮影地:山梨県甲州市/柳沢峠 2011.1.07)

夜と朝の間の写真

夜と朝の間
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.6秒 ISO 100(撮影地:栃木県日光市/戦場ヶ原 2016.1.02)

夜と朝の間の写真

夜と朝の間
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 0.6秒 ISO 50 +1 2/3EV(撮影地:長野県松本市/上高地 2013.1.05)

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蒲生の棚田(冬の朝景)

2020-01-07 16:10:43 | 風景写真/冬

 蒲生の棚田は、新潟県十日町市松代地区の蒲生(かもう)にある棚田。松代地区には、この他に桜の棚田として知られている「儀明の棚田」や大小様々な棚田およそ200枚が斜面に広がる「星峠の棚田」など風光明媚な棚田が多くあり、2013年から四季を通じて通い始めた。これまでに、春には桜、雲海と水鏡、夏には天の川、秋には紅葉、そして冬は雪景色を撮影したが、冬景色に関しては、どうしても納得がいく写真が撮れていなかった。そこで、昨年の12月29日に十日町市を訪れたのであった。
 撮影場所に選んだ棚田は、朝霧が発生しやすく、小さな山間いに広がる日本の原風景とも言える蒲生の棚田である。星峠も良いが、車が転落して死亡事故も起きているほど一部農道が狭く、雪が降ると車で上がるのは危険であり、また人気のあるスポットであるから、車が多ければ駐車場所に困ることは過去の経験から予測できた。更には、昨今マナーの悪いカメラマンが多いので、計画からは外した。

 私が撮りたい棚田の冬の朝景は、以下に記した幾つもの条件が揃った光景である。しかも、私の休日と重ならないと撮れない。

  • 雪が積もっていること
  • 田んぼには、雪が積もっていないこと(できれば水鏡)
  • 木々も雪で白いこと
  • 朝霧が出ていること
  • 朝日で朝霧が染まること

 蒲生の棚田への挑戦は今回が初めてではない。2016年の12月には2回訪れているが、2回とも条件の幾つかが欠けており惨敗。そもそも、この時期の新潟は、天候が一旦崩れると晴れることは滅多になく、それが私の休日と重なること自体、奇跡に近い。それに加え、田んぼには雪が積もっておらず、更には朝日で染まる朝霧の出現という条件が揃うには、現地に住んで毎朝訪れる他はないと思っていた。

 今回の正月休みは、運良く9連休。天気予報をチェックすると、新潟県十日町市は28日に雪マーク。そして翌29日は朝から晴れとなっていた。暖冬なのだろうか。新潟は、このところ雪が降っておらず、27日にライブカメラで確認するとまったく雪が積もっていなかったが、28日午前中のライブカメラでは、雪!雪!雪!願ってもない大チャンスである。
 自宅を14時に出発。圏央道の入間ICから関越自動車へ。赤城高原SAで「ブー次郎みそらぁめん」を食べて先に進むと、沼田IC辺りからは雪。関越トンネルを出た土樽PAからは、チェーン規制であった。六日町ICで降り十日町方面に進むと、雪は止んでいて霧が出ていた。18時半に現地の駐車場に一番乗り。見上げると雲間から星が見えた。「これなら大丈夫。」いつものように好きな音楽ビデオを見ながらワインを1本空けて気を失う。
 朝6時。何と快晴である。雪の積もった棚田には朝霧も出ており、田んぼの形も分かる。カメラマンは私を含めて5人で思ったより少ない。じっくりと集中して撮影開始である。何枚か撮って朝日を待っていると、日の出時刻になって朝霧が消えてしまった。ガッカリしたのか、3人は撮影を止めて引き上げていった。もう1人も30分ほどしたら諦めて帰ってしまった。残ったのは、私1人。
 私には、予感があった。朝日が当たる斜面の一部から湯気が立ち上っていたからである。「きっと、何かが起きる・・・」冷たさで感覚がなくなる足先に耐えながら、棚田の向こうの谷間を見ていると、徐々に霧が集まり濃くなっていくのが分かった。霧は、まるで生き物であるかの様に成長しながら、ゆっくりと棚田の方へ移動して来る。1時間後、再び奇跡は起こった。
 今回の光景は、先に挙げた条件の1つ(木々も雪で白いこと)と一部(田んぼが水鏡)が欠け、また雪が少々少なく地面の土が若干見えるので自己満足度70%ではあるが「冷静に自然と対峙し、自分の心を見つめ、自分が感動し、人々にも感動していただけるオンリーワンの写心」に少しだけ近づけた結果であるように思う。
 最後に載せた映像は、1枚目の写真と同じように彩度を極力落として「冬の原風景」を表してみた。写真とは違った「蒲生の棚田」の光景をご覧いただきたい。

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蒲生の棚田の写真

蒲生の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F14 0.8秒 ISO 100 -1EV(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29 6:47)

蒲生の棚田の写真

蒲生の棚田(夜明け前)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.2 30秒 ISO 100 -1EV(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29 6:11)

蒲生の棚田の写真

蒲生の棚田(夜明け前)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F14 2秒 ISO 100 -1EV(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29 6:37)

蒲生の棚田の写真

蒲生の棚田(夜明け前)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F14 2秒 ISO 100 -1EV(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29 6:45)

蒲生の棚田の写真

蒲生の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F14 0.8秒 ISO 100 -1EV(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29 6:46)

蒲生の棚田の写真

蒲生の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F22 1/50秒 ISO 100(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29 8:54)

蒲生の棚田の写真

蒲生の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F22 1/20秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29 7:46)

蒲生の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29)

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クリスマス気分

2019-12-15 14:28:11 | 風景写真/冬

 クリスマスは、今や日本でも冬を代表するイベントである。勤め先の東京渋谷では、イルミネーションやクリスマスデコレーションに包まれ、忙しく人々が行き交う雑踏とは別に華やかな演出でクリスマスムードの高まりを感じる。自宅近くの国立でも、並木や建物などがライトアップされ、いつもの街の風景もロマンティックな雰囲気になっている。
 子供の頃はワクワクし、結婚の前後は二人で夜景を見ながらムード満点の大人のクリスマスを楽しんだものだが、いつしかそれもなくなり、今ではイベント感すらなくなってきている。そもそも無宗教であるから、そのことを悲しく思うことはないが、年末の仕事の忙しさに紛れて「雰囲気」に対する感受性が鈍くなっていることを嘆きたい。

 この記事では、一足早く、私なりにクリスマスに向けての雰囲気を盛り上げ気分を高めるため写真と動画を掲載した。街のイルミネーションに負けない自然からの贈り物だと思う。24日~25日は平日なので、いつものように忙しく仕事をしていると思うが、合間に心を落ち着かせて、様々なことに思いを馳せてみようと思う。

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霧氷の写真

霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F16 5秒 ISO 400 +1EV(撮影地:長野県諏訪市/霧ケ峰 2013.1.27 6:39)

ダイヤモンドダストの写真

ダイヤモンドダスト
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/1250秒 ISO 400 -1EV(撮影地:長野県諏訪市/霧ケ峰 2013.1.27 7:10)

霧氷の写真

霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/5秒 ISO 100 +23EV(撮影地:長野県塩尻市/高ボッチ 2012.12.02 7:12)

霧氷の写真

霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/5秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県塩尻市/高ボッチ 2012.12.02 7:13)

霧氷の写真

霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/8秒 ISO 100 +1EV(撮影地:長野県塩尻市/高ボッチ 2012.12.02 8:01)

霧氷の写真

霧氷
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/6秒 ISO 100 +1 1/3EV(撮影地:長野県塩尻市/高ボッチ 2012.12.02 8:02)

Timelapse Video of the starry sky(BGM付)

Diamond Dust and Sun Pillar(BGM付)

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冬の上高地を撮る

2018-01-04 17:50:25 | 風景写真/冬

 冬の上高地を撮るためには・・・

 冬の上高地では、雪の穂高連峰や、霧氷の大正池、田代池など、厳冬の時期ならではの美しい光景を見ることができる。今後、冬の上高地を撮りたいとお考えの方々からのリクエストにお応えし、2013年1月に撮影した写真を再現像し記事内容を編纂したので、参考にして頂ければ幸いである。

 上高地は、長野県松本市を流れる梓川上流の標高約1,500mにある風光明媚な観光名所である。中ノ湯から上高地へ向かう県道24号上高地公園線は、通年でマイカー規制が行われているため、観光シーズン中は、長野県側の沢渡駐車場、または岐阜県側の平湯温泉に近いアカンダナ駐車場に車を止め、シャトルバスかタクシーを利用して上高地バスターミナルへ向かうが、11月中旬の「上高地閉山式」が終わると、「上高地開山式」の4月下旬までバスやタクシーで行くことも出来なくなる。沢渡の冬期指定駐車場に駐車し、予め予約したタクシーで中ノ湯まで行き、そこからは徒歩になる。
 まずは、照明の消えた真っ暗な「釜トンネル」を登る。長さ1.3km、傾斜約10度の急坂である。トンネルを抜けると気温は一段と低く、筆者の経験では、マイナス23℃。鼻もまつ毛も瞬間に凍りつく。また、大正池までの区間は降雪状態により至るところで雪崩が発生するので、細心の注意が必要である。トンネル出口から、およそ1.2kmで大正池、そこから約1.8kmで田代池に到着する。積雪量はその年によって異なるが、スノーシューを履けば万全だろう。帰りは、中ノ湯までタクシーに迎えに来てもらうことになる。
 冬山登山ではないが、氷点下23℃にもなる中で、片道4km以上も歩かなければならない。カメラのバッテリーの消耗も激しい。十分な装備が必要である。最終的には、自己責任で向かうことになる。冬の上高地へは、気軽な気持ちで行くことはできないと思って頂きたい。

 冬の上高地は、いつ行っても霧氷が付いているわけではない。筆者は、2012年の晩秋から4回通い、2013年の1月にようやく撮影することができた。上高地に荒れた天気が続き、その後西高東低の冬型の気圧配置が崩れ、夜半前から高気圧に広く覆われた翌朝、快晴無風で放射冷却によって厳しい冷え込みになれば、高確率で霧氷が見られる。
 運良く霧氷が付く光景に出会えたら、光が当たるまで待つことになる。霧氷は、逆光によって一番美しく見えるからである。田代池の場合、 朝日が当たるのは、東側の霞沢岳(標高2,646m)の稜線から太陽が顔を出す午前10時過ぎ。筆者は、7時45分に三脚を立て、2時間半の間、その場で待機した。「霧氷の田代池」は、一度は撮りたい光景である。それなりにカメラマンも集まる。おそらく10人も並べば三脚を立てる場所はなくなってしまうだろう。

 冬の上高地は、静寂の極み、神が降りたかのような光景だ。「上高地」は、本来「神垣内」と書いたそうである。穂高神社の祭神・「穂高見命」(ほたかみのみこと)が穂高岳に降臨し、この地で祀られていることに由来するという。観光客を寄せ付けない厳冬の季節になると、周りの峰から神々が降り立ち、「上高地」から「神河内」そして「神降地」になるのである。

以下の掲載写真は、1024*683 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で表示されます。

冬の穂高連峰と大正池の写真
冬の穂高連峰と大正池
Canon EOS 5D Mark2 / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 2秒 ISO 50 +1/3EV(撮影地:長野県松本市/上高地 2013.1.5 7:12)
冬の大正池の写真
冬の穂高連峰と大正池
Canon EOS 5D Mark2 / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 1.3秒 ISO 50(撮影地:長野県松本市/上高地 2013.1.5 7:25)
冬の大正池の写真
冬の大正池
Canon EOS 5D Mark2 / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 0.8秒 ISO 50 +1/3EV(撮影地:長野県松本市/上高地 2013.1.5 7:31)
霧氷が付いた田代池の写真
田代池の霧氷
Canon EOS 5D Mark2 / EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 1/6秒 ISO 50 +1EV(撮影地:長野県松本市/上高地 2013.1.5 10:19)

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秋元湖(冬の朝景)

2017-01-09 16:46:06 | 風景写真/冬

 秋元湖は、磐梯山、安達太良山、吾妻山に囲まれた裏磐梯にある湖(標高725m)。かつて裏磐梯に湖は存在していなかったが、1888年(明治21年)、南方にある磐梯山が突如噴火し、裏磐梯地域を流れる河川が堰き止められて大小様々な湖が形成され、秋元湖は、その1つである。
 裏磐梯には、他に桧原湖や小野川湖、曽原湖、五色沼といった湖沼が点在し美しい景観を見せる。チョウやトンボの撮影では何度も訪れているが、自然風景を撮るのは、今回が初めてである。新緑や紅葉の美しさは言うまでもないが、あえて冬の季節に訪れた。この時期は「小野川湖のお立ち台」と言われる場所からの撮影が有名で、20人ほどしか並べない高台に 朝5時から三脚が所狭しと列をなすというが、今回は秋元湖を選んだ。

 秋元湖は、「朝焼けと日の出写真」の撮影スポットとして知られているが、裏磐梯の冬はなかなか晴れない。 昨年12月では、1日で2時間以上陽が差したのは8日ほどしかない。他の日は曇りまたは雪なのである。毎日、天気予報をチェックしていると遠征を予定していた三連休(1/7~1/9)の初日だけに「晴れマーク」が付いた。気象庁と㈱ウェザーニューズの発表は異なることが多いが、今回はどちらも同じ晴れの予報を出したので、迷わず決行である。 (結果的には、翌日8日の午前中も晴れ。)
 前日の23時に東京を出発。磐越自動車道の猪苗代磐梯高原ICで降り、国道459線の途中から積雪。7日午前3時に現地着。駐車場所を確認してから、一旦、道の駅「裏磐梯」に移動して休憩。一時間ほどしてから秋元湖畔に戻り、空が明るくなってきた6時過ぎに準備開始。撮影ポイントの積雪はひざ下ほど。パウダースノーに足跡を付けながら良い位置を探す。撮影者は、私の他に2人。思ったより、全然少ない。(内一人は、ドローンを飛ばしての空撮。挨拶をすると、撮影中の画像をipadで拝見させてくれた。また、今年は雪が少ないと言っていた。)
 日の出時刻は6時55分。全体的に薄雲が広がれば、綺麗な朝焼けが期待できたが、今朝は無理のようだ。湿度が低いため朝霧もなし。気温はマイナス7℃までしか下がらず、放射冷却ではないため浮島の木々に霧氷はなく、黒色のシルエット。湖面の結氷は一部で、それ以外にはさざ波が立っており水鏡はほんの一部。それに日の出の方角が悪かった。
 最初の一枚は、初めて見る秋元湖の静寂さが印象的で、日の出前の全体像を撮ってみた。しかし、これでは単なる観光写真で終わってしまう。時間の経過とともに光に色が付いてきたので、凍て付く冬の基本色である白、黒、青に、朝日の反射光でオレンジ色に輝くさざ波と氷。その配色と造形を切り取った。

  秋元湖の朝を撮影するに当たって、今回は「晴れ」の日だけを基準にして撮影日を決定したが、「日の出方角」も大切な要素であることを忘れていた。どうやら早春頃が良さそうだ。春は湿度も高いので、朝焼けと霧も期待できる。今回はロケハンとし、天気が良ければ再チャレンジしたいと思う。また、気温がマイナス15℃を下回る厳冬期において、「小野川湖のお立ち台」から見る光景にも挑戦したい。

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秋元湖 冬の朝の写真

秋元湖/冬の朝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 20秒 ISO 100(撮影地:福島県北塩原村 2017.1.7 6:26)

秋元湖 冬の朝の写真

秋元湖/冬の朝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/20秒 ISO 100(撮影地:福島県北塩原村 2017.1.7 7:07)

秋元湖 冬の朝の写真

秋元湖/冬の朝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/25秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:福島県北塩原村 2017.1.7 7:17)

秋元湖 冬の朝の写真

秋元湖/冬の朝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/30秒 ISO 100 -1EV(撮影地:福島県北塩原村 2017.1.7 7:21)

秋元湖 冬の朝の写真

秋元湖/冬の朝
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/25秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:福島県北塩原村 2017.1.7 7:24)

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蒲生の棚田(雪景色)

2017-01-03 22:24:37 | 風景写真/冬

新年、明けましておめでとうございます。
本年もまた、ホタルの研究と保全活動はもとより、他の様々な昆虫の生態と姿、そして自然風景の「美」を撮影し、写真と動画で紹介したいと思っております。
3月頃までは風景写真が主となりますが、その後は10月まで昆虫撮影の予定で週末はすべて埋めております。
何卒、皆様方のご指導とご鞭撻をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます 。

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁

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 昨年末に「2016年の自己ベスト(風景編)」という記事にて、一年の反省から本年の抱負を述べておきながら、2017年の年頭に不満足な 写真を掲載することになった。しかしながら、この写真撮影においては、2つの重要な視点を得ることができた。

 この時期、例えば信州に霧氷の撮影に行く場合は、もともと期間が11月末から3月までと長いために、天気予報と現地のライブカメラで様子を確認しながら気長にタイミングを待って出かけているが、蒲生の棚田においては、天気予報のみを頼りにして、冠雪後の晴れを狙って出かけていた。昨年12月18日の撮影は「蒲生の棚田(冬霧)」として紹介したが、水田は雪で覆われていたため春の雪解けまで現れないと思い込み、撮影時期は終わりと決めて、記事では「また来年、挑戦である。」と締めくくっている。しかしながら、その後、雪が解けて水田が現れていたのである。

 年末が近くなる頃、ネット上で美しい蒲生の棚田の写真を見つけた。撮影日時を見ると12月25日とある。これまで確認することがなかった 気象庁が発表している気象データを見ると、十日町市内の積雪量が0になっている。そう言えば、東京ではクリスマス前だというのに、日中は半そででも過ごせたくらいに暖かかった。新潟方面も気温が高く、また降雪がなかったために雪解けが進んでいたのであった。その時は既に新潟方面は視野になく、信州の霧氷に感心が向いており、気温の高さから出かけることなく自宅にいたのである。
 以後、日々更新される気象データと天気予報をチェックし、自身の休日との兼ね合わせで昨年の大晦日に蒲生の棚田を再訪してみた。結果は、予想通りに幾分雪が解けて18日よりも水田の様子が分かる状況であった。この日は朝霧なし、朝日なしで単なる棚田の冬景色で終了したが、天気予報だけではなく、気象データを見ることの重要性と「ダメだろう」という安易な思い込みの危険性を認識することができた。これは、風景撮影だけでなく、昆虫の撮影時でも重要であると言える。
 参考までに、気象データから十日町市における2016年12月の積雪量と日照時間をグラフにしてみると(グラフ1)、12月12日、21日、29日に良い結果が得られただろうと想像できる。 週末写真家にはタイミング的に難しいこともあるが、今後は気象データも参考にして出かけて行き、「蒲生の棚田」の息をのむ光景を撮りたいと思う。

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蒲生棚田 冬の写真

蒲生の棚田/雪景色
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F13 3.2秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:新潟県十日町市 2016.12.31)

蒲生棚田 冬の写真

蒲生の棚田/雪景色
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1.6秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:新潟県十日町市 2016.12.31)

十日町市における2016年12月の積雪量と日照時間のグラフ

グラフ1.十日町市における2016年12月の積雪量と日照時間(気象庁のデータより作成)

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蒲生の棚田(冬霧)

2016-12-18 16:15:59 | 風景写真/冬

 蒲生の棚田は、新潟県十日町市松代地区の蒲生(かもう)にある棚田。松代地区の棚田は、稲刈りが終わると水を張って代掻きを行うので、いくつもの田んぼが水鏡となる。そして雪が降れば畦が白くなり、朝日に染まる朝霧とともに幻想的な光景が見られる。

 一か月半ぶりの写真撮影。今回は昆虫ではなく、カメラもCanon EOS 7D から35mmフルサイズのEOS 5D Mark Ⅱ に変えての風景撮影である。撮りたい風景はいくつもあるが、すべては天気次第で場所が決まる。18日の新潟は、12日以来の晴れの予報が出た。今週末は、迷わず「蒲生の棚田」に決定した。
 17日(土)15時半に自宅を出発し、関越自動車道の赤城高原で夕食。関越トンネルを抜けると降雪でチェーン規制。六日町ICで降りると、雪国である。久しぶりの雪道に、少しドキドキしながら松代を目指す。現地には20時に到着。雪ではなく雨が降っていたが、夜半には月が見えた。朝まで車中拍である。
 18日(日)6時。長靴に履き替えて棚田を見渡せる場所に立つ。気温は2℃。無風のため寒くはない。谷間には、運よく朝霧も出ている。しかしながら、棚田は、2枚を除いて雪で 覆われてしまっている。情報では、一週間前には、まだ水の張られた棚田のすべてが見られたようだが、連日降り続いた雪で、ただの白い斜面と化してしまった。更に、見上げれば空に浮かぶ雲には切れ間がない。朝の光も絶望的な雰囲気である。蒲生の棚田には昨年の12月にも訪れており、「白い斜面に光なし」で1枚も撮らずに帰っている。カメラマンは、自分を含めて8名ほど。日の出時刻を過ぎても、太陽が見える気配がない。一人、また一人と諦めて帰っていく。 今回は久しぶりの写真撮影なので、手ぶらでは帰りたくない。もうしばらく待ってみることにした。
 7時半を回った頃、上空をゆっくりと流れる雲に切れ間ができ、青空が覗くようになった。もしかしたらという微かな希望をもって、じっと待っていると、7時48分。朝日が顔を覗かせた。白い朝霧がオレンジ色に染まる。5分もすると、太陽は再び雲に隠れ、朝霧も消えていった。

 蒲生の棚田は、水が張られた棚田がすべて見えること。畦と周囲の木々が雪で白いこと。朝霧が朝日でオレンジ色に染まること。これらの条件が揃ってこそ、美しさの最上であると思っているが、休日写真家の自分にとって、新潟の気象状況に合わせることは非常に難しい。また来年、挑戦である。(この日の主役は、「棚田」ではなく「朝霧」になってしまった。)
 今回は、蒲生の棚田だけを撮って帰路に就いた。休憩することなく中央道の国立ICで降り、泥だらけの愛車を洗って正午に帰宅した。

参照

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蒲生棚田 冬の写真

蒲生の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 4秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:新潟県十日町市 2016.12.18 6:36)

蒲生棚田 冬の写真

蒲生の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/40秒 ISO 100(撮影地:新潟県十日町市 2016.12.18 7:50)

蒲生棚田 冬風景の写真

蒲生の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/60秒 ISO 100(撮影地:新潟県十日町市 2016.12.18 7:54)

蒲生棚田 朝霧の写真

蒲生の棚田/朝霧
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F13 1/80秒 ISO 100(撮影地:新潟県十日町市 2016.12.18 7:53)

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雪の花

2016-02-04 21:49:10 | 風景写真/冬

 白樺高原の霧氷、白樺湖の雨氷、そして御射鹿池の霧氷と見てきたが、どれも説明的な写真になってしまった。霧氷や雨氷という素晴らしい光景に出会いながら、何も考えず撮っているような写真ばかりに未熟さを痛感し、気持も滅入る後日である。
 今回、一枚だけ雰囲気の違う写真を撮っていた。木に積もった雪が溶けかかっており、それが白い花を咲かせたように見えたので撮影したものである。この周囲にはカラマツの霧氷林があったが、それよりも、掲載した木の方が美しく思えた。本日は、立春。春が待ち遠しい。
 1枚では寂しいので、過去に撮影した未公開の1枚と再現像した1枚も並べて掲載しておきたいと思う。

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雪の花

雪の花
Canon 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F3.2 1/500秒 ISO 100 +1 1/3EV(撮影地:長野県茅野市 2016.1.31)

上高地の冬景色

静寂
Canon 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F18 0.3秒 ISO 50 +2EV(撮影地:長野県松本市市/上高地 2013.1.5)

上高地の冬景色

静寂
Canon 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F18 0.8秒 ISO 50 +2EV(撮影地:長野県松本市市/上高地 2013.1.5)

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白樺湖の雨氷

2016-02-02 15:03:24 | 風景写真/冬

 雨氷とは、0℃以下でも凍らない過冷却状態の雨(着氷性の雨)が、地面や木などの物体に付着することをきっかけに凍って形成される硬く透明な氷のことだ。
 白樺湖では、昨年の1月24日にとても美しい霧氷の光景に出会い、写真に撮っているが、今回は、霧氷ではなく雨氷である。この日、白樺湖周辺の木々は、すべての枝が透き通った氷で覆われ、ガラス細工のようになっており、朝日に当たってキラキラとした輝きを放っていた。
 雨氷は発生頻度が低いため、珍しい気象現象とされている。参考までに、昨年に撮影した「白樺湖の霧氷」の写真(下2枚)も掲載したので、雨氷の違いを見ていただきたい。

 白樺湖の雨氷は、1月30日に白樺湖のライブカメラで確認していたが、長野県内の各地で見られたようである。松本市では、雨氷の影響で倒木が相次ぎ、道路が塞がれるなどして旅館の宿泊客が孤立したという報道があった。まさに自然の驚異である。

参照:白樺湖の霧氷

 

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白樺湖の雨氷

白樺湖の雨氷
Canon 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F11 1/50秒 ISO 100 +1 1/3EV(撮影地:長野県茅野市/白樺湖 2016.1.31)

白樺湖の雨氷

白樺湖の雨氷
Canon 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F11 1/125秒 ISO 100 +1EV(撮影地:長野県茅野市/白樺湖 2016.1.31)

白樺湖の霧氷

白樺湖の霧氷
Canon 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/320秒 ISO 100 +1 1/3EV(撮影地:長野県茅野市/白樺湖 2015.1.24)

白樺湖の霧氷

白樺湖の霧氷
Canon 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F18 1/40秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県茅野市/白樺湖 2015.1.24)

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