ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

桜隠し

2021-04-29 18:19:15 | 風景写真/桜

 桜隠しとは、桜の花に降り積もり、その姿を覆い隠してしまう雪の事。

 桜前線も北の大地へ北上し、桜色から新緑に変わる季節になった。今年は色々と計画をしていたものの「鹿沼市板荷の観音桜」を撮影しただけで終わってしまった。満開のタイミングと私の休日がずれたこともあるが、やはり、新型コロナウイルスの感染防止対策として、人が集まる場所を避けたことが大きな理由である。年に一度の美しい姿と瞬間を雪で覆い隠すようにして我慢したのである。
 桜隠しは、春の季語の一つである。昔から詩歌に詠まれてきた三大モチーフに「雪月花」、その雪と花の両方が入っているという雅やかで美しい季語ではあるが、やはりマイナスのイメージが強い。
 桜隠しは、もともと新潟県東蒲原郡東川村(現在の阿賀町)の方言であることが、『越後方言考』復刻版(小林存著 1975 国書刊行会)に出ており、桜の季節にも雪が降ることが多い地域ならではの言葉なのだろう。ちなみに、東京においても昨年3月29日に満開の桜に雪が積もると言う光景が見られた。東京などにおいては珍しい光景として受け止められてしまうが、「桜隠し」は桜の開花中に降ってその姿を隠してしまうという事象だけではなく、本来は、桜の蕾のほころびを阻止し、人々が待ち望む桜の開花を遠ざけてしまうという意味を持っているのだと思う。

 東京は、今年もこのゴールデンウイークに緊急事態宣言が発令されている。新型コロナウイルスの終息は分からず、7月23日の東京オリンピック開会式も不透明である。これらの「桜隠し」の雪解けは、 いつ来るのだろうか・・・早く、晴天の下で咲き誇りたいものである。

 写真は、過去に撮影して未掲載(北小倉のしだれ桜を除く)ものをイメージとして掲載した。

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桜隠しの写真

桜隠し(北小倉のしだれ桜)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/4秒 ISO 100 +1 2/3EV(撮影地:長野県安曇野市 2013.4.21 5:47)

桜隠しの写真

雪とヤマザクラ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.3秒 ISO 100 +1 1/3EV(撮影地:新潟県湯沢町 2013.5.03)

桜隠しの写真

雪とヤマザクラ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.4秒 ISO 100 +1 1/3EV(撮影地:新潟県湯沢町 2013.5.03)

ヤマザクラの写真

ヤマザクラ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F48.0 1/200秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:長野県白馬村 2013.4.29)

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クジャクチョウ

2021-04-27 18:28:05 | チョウ/タテハチョウ科

 クジャクチョウ Inachis io (Linnaeus, 1758)は、タテハチョウ科(Family Nymphalidae)クジャクチョウ属(Genus Inachis)で、和名通り孔雀の飾り羽のような模様、そして翅表4枚前縁それぞれの大きな目玉模様が特徴的である。英名でも「peacock」(孔雀)と呼ばれている。ヨーロッパから中央アジア、中国、朝鮮半島、日本、樺太、シベリアまで分布している。日本を含む東アジアに分布するものは亜種 Inachis io geisha (Stichel, 1908) とされる。
 学名“io”は、ギリシャ神話に登場する女性神官のイオで、亜種名“geisha”は、芸者の事である。イオは、ゼウスの妻ヘラに仕えた美女で、芸者は鮮やかな和服姿で着飾った美女であるから、どちらも由来に相応しいが、個人的には派手過ぎるチョウだと思っている。ちなみに学名の“Inachis”もギリシャ神話に登場するイーナコス河の川の神「イナコス」に由来している。

 ここで少しばかりギリシャ神話を引用したい。
 イナコスにはイオというとても美しい娘がいた。イオはゼウスの妻であるヘラの神殿に仕えていたが、ゼウスの目に留まり愛される。このことに気がついたヘラは、イオを牛の姿に変えてしまう。牛の姿となったイオは、ゼウスと会わないようにと牛舎の中に閉じ込められ、体中に100の目を持つアルゴスという怪物に見張られていた。
 困ったゼウスは、イオの父親のイナコスを呼び、イオを救い出すように命じる。牛舎に行ってみたイナコスだが、アルゴスの見張りによってどうすることもできない。そこでゼウスは、今度はヘルメスにイオを救い出すように命じる。ヘルメスは、どんなものでも眠らせる力を持つ笛を吹き、眠ったアルゴスを殺してイオを救い出す。
 ヘラは、アルゴスの死後、彼を悼んでその目を取って自身の飼っているクジャクの尾羽根に飾ったので、クジャクの羽には目のような模様がたくさん付いたと言う。
 クジャクチョウの名前に、ギリシャ神話も潜ませた命名者のセンスが素晴らしいと思う。

 クジャクチョウは、ヨーロッパでは低地から標高2,500mの高山まで広く生息しているが、日本では滋賀県以北に分布し、本州中部では標高の高い山地でしか見られないが、東北地方や北海道では平地でも見られる。森林の周辺部や高原に生息し、成虫の出現期は4~9月で、寒冷地では1回、暖地では2回発生し、成虫で越冬する。幼虫はクワ科のホップ、カラハナソウ、イラクサ科のホソバイラクサ、エゾイラクサ、ニレ科のハルニレなどを食草としている。
 クジャクチョウは、環境省カテゴリにはないが、植生遷移による森林化が要因で、神奈川県RDBで絶滅危惧Ⅱ類に、埼玉県RDBでは準絶滅危惧種として記載している。また、2016年頃から一時期、キベリタテハとともに極端に少なく、場所によってはほとんど見かけない状態があったが、現在では回復している。

 今回、長野県にギフチョウを探索に行ったが、さすがに時期が早く未発生であった。その代わりに越冬明けのクジャクチョウが慰めてくれた。さすがに翅は擦れて色も褪せている。最低気温がマイナス15℃にもなるこの地の厳しい冬を越えたのである。命の輝きと逞しさ、尊さを感じた。
 クジャクチョウは、ブログ「ホタルの独り言 PartⅠ」では何度も掲載しているが、今回の越冬明け個体は初撮影であり、また本ブログではクジャクチョウの写真を掲載していなかったので、夏に撮影していたものも併せて掲載した。

参考:アポロドーロス著、高津春繁訳註『ギリシア神話』岩波文庫、1978年改版。

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クジャクチョウの写真

クジャクチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/640秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県 2021.4.24)

クジャクチョウの写真

クジャクチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/640秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県 2021.4.24)

クジャクチョウの写真

クジャクチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/640秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:岩手県 2010.7.17)

クジャクチョウの写真

クジャクチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/640秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県 2011.7.23)

クジャクチョウの写真

クジャクチョウとイブキスズメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/640秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県 2011.7.23)

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春愁

2021-04-25 09:40:42 | 風景写真/春

 冬の寒さから解放され、色とりどりの花が咲きほころび、木々も芽吹く春。すべてが明るく輝き、将に春風駘蕩たる穏やかな日々もあれば、春愁と言って、心細くなったり気持ちが沈んだりもする。冬から春にかけて急激な気温の変化があったり、卒業・入学、異動、転勤などの環境の大きな変化に伴う緊張感や不安感が自律神経に影響を及ぼし、心身に不調となって表れるからである。

 そんな季節でありながら、私たちを更に不安にさせているのが「新型コロナウイルス」である。昨年の4月は、緊急事態宣言が発令され国民は自粛生活を余儀なくされたが、今年も東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に対し、4月25日から5月11日まで緊急事態宣言が出された。緊急事態宣言の第一の狙いは医療崩壊の防止にあるが、現状は既に医療崩壊にあり、「医療が緊急事態である」と理解するべきであろう。コロナに感染しても入院できず、治療してもらえない。自宅で苦しみながら我慢の日々を送るしかないのである。場合によっては、自宅で急に重症化して亡くなるかもしれない。従って、自分が感染しないことが一番求められる。
 今回の緊急事態宣言でも、個人に対しては不要不急の外出自粛や都外への移動の自粛などが要請されている。私も昨年の4月は自宅で自粛生活をしたが、それ以降は普通に出勤し、今日まで写真撮影の遠征も行ってきた。それでも感染したことはない。個人的には「会食」が一番の感染原因であるように思う。数人が集まって酒を飲みながら会話することは絶対に控えるべきだろう。感染者に近づかないことがポイントだが、どこに無症状の感染者がいるか分からない。3密(密閉・密集・密接)の場所にはいかないことである。密閉でない屋外であっても密集・密接は感染リスクが高い。昨今「路上飲み」が指摘されているが、これを防止するには、公園などを閉鎖するのではなく、コンビニでの酒類販売時間を短縮したほうが良いと思う。
 緊急事態宣言中であろうとなかろうと、私のスタンスは変わらない。今後も絶対に感染しないよう基本的感染対策を万全に行って「会食しない」「3密の場所へはいかない」を厳守し、自身の予定は計画通りに実行するつもりである。

春愁のかぎりを躑躅燃えにけり/水原秋桜子

 春愁の限りを尽くして燃えるように咲く赤いツツジを見ながら、しっかりと前を向いて歩いていきたいと思う。

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春野の花々の写真

春野の花々(ツクシ、カキドオシ)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/25秒 ISO 100 +1EV(撮影地:栃木県 2021.4.03)

春野の花々の写真

春野の花々(タンポポ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/320秒 ISO 100 +1 1/3EV(撮影地:栃木県 2021.4.03)

春野の花々の写真

春野の花々(ホトケノザ)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/500秒 ISO 100 +1 1/3EV(撮影地:栃木県 2021.4.03)

新緑の写真

新緑の林
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/640秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県 2021.4.24)

新緑の林
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/640秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県 2021.4.24)

新緑としだれ桜の写真

新緑としだれ桜
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/640秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県 2021.4.24)

花桃の写真

花桃
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/640秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県 2021.4.24)

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ホームページ開設20周年

2021-04-20 16:58:46 | ホタルに関する話題

 ホタルと出会って49年が経ちました。千葉県松戸市の水田でヘイケボタルを見たのが最初です。子供心にも感動し、その時の光景は今でもはっきりと覚えています。その後、仙台ゲンジボタル研究所の故浅田義邦先生をはじめ矢島稔先生(現ぐんま昆虫の森名誉園長)にご指導をいただき、ゲンジボタルを中心に彼らの生態や生息環境の研究に取り組んで参りました。
 そして2001年にホームページ「東京にそだつホタル」を開設致し、本年で20年となりました。このブログ「ホタルの独り言」もコンテンツの1であります。ホームページ「東京にそだつホタル」は、私のホタルに関する観察や研究をまとめた「自分史」のようなものですが、今後のホタルや自然の保護に役立つのであれば、私にとってこの上ない幸せでありやり甲斐でもございます。
 必要な情報がインターネットを通じていつでも取り出せるこの時代。「東京にそだつホタル」は、ホタルを見るため見せるためといった人々のためではなく、「ホタルのため」にその保護に役立つよう、今後とも常に正しい情報を発信して参ります。

 来年は、ホタル研究50周年になります。まだまだ謎が多いホタルの生態。興味が尽きることはありません。更なる探求心と愛情をもってホタルたちと向き合っていきたいと思います。
どうぞ、ご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

東京ゲンジボタル研究所 代表 古河義仁

ホームページ東京にそだつホタルの写真

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ゲンジボタルの幼虫上陸(山梨)

2021-04-18 17:23:56 | ゲンジボタル

 ゲンジボタルの幼虫上陸を観察するため山梨県の自生地を訪れた。この場所は、2011年から幼虫の上陸を観察しており、その内3回は写真に撮影しているが、私の休日と当地の上陸時期と降雨が一致したので、定点観察として訪れた。

 ゲンジボタルの幼虫は、9か月~3年9か月もの水中生活に別れを告げ、上陸して蛹になるが、日長時間等の条件がクリアされて上陸時期になっても、初日は雨が降らなければ上陸をしない。一度、上陸が開始されれば、その後は岸が湿っている状態ならば上陸をするが、水中から陸地に上がる幼虫には、雨が一番必要なのである。
 当地は、富士外輪山と南アルプスに挟まれているためだろう、雨が少ない。天気予報で雨マークが出ていても、河口湖が雨でも当地へ移動すると一滴も降っていないことが多い。何度も足を運び、何度も天気に裏切られ、上陸観察を諦めて帰ったことがしばしばである。13日(火)にも訪れているが、まさに前述の状況であった。気象庁の過去データをみると、当地において、4月になってからの降雨はほとんどなく、降っても短時間にわずかな量である。今回は、13時から降り続き、18時頃からは本降りである。このまとまった降雨は、当地におけるゲンジボタルの幼虫上陸の初日になると思われる。

 ゲンジボタルの幼虫上陸が開始される時刻は、地域によって違いがあり、千葉県では18時半頃から水際で発光を始めて開始されるが、当地では19時を過ぎてからである。千葉県に比べて日の入り時刻が10分ほど遅いことが関係しているかも知れない。今回は、気温13℃。18時より川岸に降りて待機していると、19時14分に1頭の幼虫が発光を始め、しばらくすると上陸を開始した。
 当地は、東西に流れる川のおよそ1.5kmにわたってゲンジボタルが発生するが、上流部と下流部では、周囲の物理的環境が異なっている。上流部は、農村地帯に見られる「農業用水路」であり、一方は県道、一方は水田となっている。下流部は、渓流的な様相を呈し、水田の代わりに木々が生い茂った林が川まで迫っている。上流部では、決まった上陸場所はなく、両岸に上陸しているが、下流部においては、かなり限定的な場所に上陸をしている。なだらかな岸を上陸するのではなく、水中からいきなり巨岩を登る個体がとても多いのである。これは、過去に2度撮影した時も同様であった。この部分は、水深が浅い急流部を示す瀬ではなく、流水が緩やかで深みのある淵であり、淵が幼虫の生活場所であると言える。
 ちなみに、上陸する方向は、両岸の場所もあれば、片方の場所もある。どちらかと言えば、一方の岸に上陸する場所の方が多い。東西南北は決まっておらず、生息地域によってバラバラである。幼虫が、どのように上陸方向を決定しているのかは、未だに謎である。上陸方向が潜土に適した環境もあれば、そうでない場所もある。写真の上陸場所と方向は、決して蛹になるのに適しているとは思えないが、静岡県内の生息地では、潜土せずに岩の隙間で蛹化する地区もあるので、この場所もその可能性はあるだろう。
 写真には12頭の上陸幼虫が写っているが、この日の上陸数は、50mの範囲でおよそ20頭。流域全体を観察してはいないが、単純計算では約600頭の幼虫が上陸したと思われる。明け方近くまで観察する予定でいたが、途中から豪雨となり、川の水位が上がってきたため危険と判断し、こちらも上陸して引き上げることにした。

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ゲンジボタルの幼虫上陸の写真

ゲンジボタルの幼虫上陸
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.8 60秒 ISO 800 ×90カット多重(撮影地:山梨県 2021.4.17)

ゲンジボタルの生息環境の写真

ゲンジボタルの生息環境
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F4.5 30秒 ISO 200 +2/3EV(撮影地:山梨県 2021.4.17)

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鹿沼市板荷の観音桜

2021-04-04 09:56:42 | 風景写真/桜

 観音桜は、鹿沼市板荷地区を流れる黒川沿いにあるエドヒガンの1本桜である。現地の案内板によれば、この桜は、色もよく、花の寿命も長く、花の数も多く、4月の第1日曜日の観音様の縁日に合せて咲くので「観音桜」と名付けられたとのことである。

 今年は、1月初めよりずっと夕方~夜間において星空ばかりを撮ってきたが、新型コロナウイルス感染拡大防止の緊急事態宣言が解除されたので、私的に日中の撮影を解禁し、桜の写真を撮ってきた。
 これまで、家族全員ともに新型コロナウイルスには感染しておらず、自主的なPCR検査でも結果は陰性であるから、「感染者から移されない」ように徹底した予防策を施して、日々、通常通りに通勤して仕事をしているが、休日も同様に気を付けての外出である。何をしようと、批判的なコメントを書き込む方もいるが、COVID-19に感染していないことが確実に判明しているならば、人に感染させることはないので、夜間のみならず日中の撮影も「密閉・密集・密接」を避けて行うようにした。
 さて、桜の撮影は、2018年4月21日に新潟県十日町市の「儀明の棚田」、同日に新潟県津南町の「中子の桜」を撮って以来、実に3年ぶりである。昨年の4月は自宅で自粛していたので、今年は、これまでに撮ったことがない桜を写したいと思い鹿沼市板荷の観音桜を選んだ。尚、ブログで撮影場所を記載すると、その情報を頼りに大勢のカメラマンが集まり「密」になることが懸念されるが、本桜の見頃は過ぎ4日夜の風雨で花もほとんど散ってしまうと予想されるため場所を明記して掲載した。
 遠方での撮影は前日夜から現地入りし車中泊が定番となっているが、今回の場所は自宅からおよそ150km。久しぶりに早起き(と言っても毎日会社に出勤するために4時半起床)で2時起床、2時半出発。現地に4時半に到着した。誰もいない。ロケハンを済ませ5時からセッティング。
 情報では、先週末に既に満開を迎えており、近寄ってみるとかなりの花びらが散っているが、遠目にはまだまだ見ごたえ十分である。桜は川の斜面途中から生えているため、カメラをセットした位置からは根本より2mくらい上の部分しか見えない。樹齢も不明だが、長野県阿智村の「駒つなぎの桜」に匹敵するくらい実に素晴らしい眺めである。手前の田んぼに水が張られたら、映り込んでより美しいだろう。
 目指す光景は、対岸の山の稜線から朝日が顔を出した瞬間、その逆光(透過光)で輝く桜!日の出時刻は5時半。そのために日の出前から待機していたのだが、天気予報に騙され、残念ながら上空には厚い雲。晴れ間が広がり、太陽が顔を出したのは8時半過ぎであった。この日、桜の前に4時間ほどいたが、私以外に来た方はカメラマンが1名だけ。それも数カット撮ってすぐに帰ってしまった。観光客はゼロ。満開から一週間過ぎたためか、天候が曇りの影響なのか・・・独り占めの桜とじっくり対峙しながらシャッターを切った。
 しかしながら、今回の鹿沼市板荷の観音桜は、観光のための紹介写真にはなるだろうが「単に撮っただけ」の結果。よく「一期一会の光景・・・」と言うが、これは自身の失敗を慰める言い訳でしかない。来年以降は「満開で雨上がり、快晴で放射冷却の朝靄、日の出の逆光」という光景を撮るために再挑戦したいと思う。

 現地入りいた時間は真っ暗であっため気が付かなかったが、周囲が明るくなると鹿沼市板荷地区には桜が多いことに気づく。なかなか絵にすることは難しいが、いくつかの光景を撮ったので観音桜とともに掲載したいと思う。
 ちなみに、しだれ桜は個人のお宅に植わっており、了解を得て撮影した。背後に朱木蓮を配置し、しだれ桜の何とも言えぬ淡いピンク色の花と対比させた。

 昨今、撮影者のマナーが大きな問題となっている。有名な景勝地においては、大勢のカメラマンが集まり、場所取り合戦で喧嘩があったり、私有地や自然保護のための立ち入り禁止区域に入り込んだり、所かまわず用を足したり、 夜中から騒いだり、邪魔な所に車を止めたり、畑に三脚の足を刺したり・・・悪行にきりがない。過去に何度も桜を撮りに訪れていた東京都あきる野市にある通称花の寺「龍珠院」は、とうとう三脚禁止になったという。 桜に限らず、どんな風景の撮影でもマナーを守らなければ撮影する資格はない。

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鹿沼市板荷の観音桜の写真

鹿沼市板荷の観音桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.5 0.3秒 ISO 100 +1EV(撮影地:鹿沼市板荷 2021.4.03 5:41)

鹿沼市板荷の観音桜の写真

鹿沼市板荷の観音桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F4.5 1/640秒 ISO 100(撮影地:鹿沼市板荷 2021.4.03 8:26)

しだれ桜の写真

しだれ桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.5 1/25秒 ISO 100 +1EV(撮影地:鹿沼市板荷 2021.4.03 6:48)

しだれ桜の写真

しだれ桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/50秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:鹿沼市板荷 2021.4.03 6:55)

しだれ桜の写真

しだれ桜
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/40秒 ISO 100 +1 2/3EV(撮影地:鹿沼市板荷 2021.4.03 6:53)

桜の写真


Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.5 1/250秒 ISO 100 +1EV(撮影地:鹿沼市板荷 2021.4.03 8:07)

桜の写真


Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/250秒 ISO 100 +1EV(撮影地:鹿沼市板荷 2021.4.03 8:10)

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