ハラアカマドボタルはサキシママドボタルとも呼ばれている。学名については国際命名規約があり世界共通であるが、和名についての規定はない。ホタル科の場合では、分類学者の対立により同一種に異なった和名が使わてれいるのが現状であり、本種の場合は、過去にハラアカオバボタルとサキシママドボタルの和名があてがわれていた。大場信義氏は、ハラアカオバボタルに関するいくつかの論文を過去に発表しており、「原色日本甲虫図鑑」や「九州大学農学部の日本産昆虫目録」ではサキシママドボタルと記載されている。サキシママドボタルという和名は、インターネットで検索しても多くがヒットする。 和名に規定がないとは言え、マドボタル属でありながらオバボタルという名が付くのは変であるし、分布からもサキシマでは正しくない。先島諸島は八重山諸島と宮古諸島を合わせた地名であるが、本種は宮古諸島には生息していないのである。こうした日本産ホタルの分類学上の問題点の洗い出しと和名の混乱の解消を川島逸郎 氏と鈴木浩文 氏が行った A check-list of Japanese fireflies では、和名の安定性を考慮しハラアカマドボタルという新称があてがわれている。したがって、本ブログでは、ハラアカマドボタルという和名に統一したいが、和名の現状を知っていただくために括弧付でサキシママドボタルも表記した。
参考文献:Kawashima, Itsuro, Hirobumi Suzuki & Masataka Satô, 2003. A check-list of Japanese fireflies (Coleoptera, Lampyridae and Rhagophthalmidae). Japanese Journal of Systematic Entomology 9 (2): 241-261.
リュウキュウアサギマダラIdeopsis similis similis (Linnaeus, 1758) は、タテハチョウ科(Family Nymphalidae)マダラチョウ亜科(Subfamily Danainae) リュウキュウアサギマダラ属(Genus Ideopsis)に属する石垣島では最も普通に見られるチョウ。アサギマダラと名が付くが、アサギマダラ Parantica sita niphonica (Moore, 1883)とは別属である。 国外ではインド、スリランカ、ミャンマー、マレーシア、中華人民共和国南部、台湾、国内では沖縄本島・宮古島・石垣島・西表島・与那国島・奄美諸島・トカラ列島に分布する。アサギマダラのような移動性はなく、奄美大島より北では迷蝶である。 越冬態は成虫で、しばしば林内で枝などに集団でぶら下がって越冬する様子が観察されている。幼虫はツルモウリンカを始めとする旧ガガイモ科植物を食草とする。これら植物は毒性の強いアルカロイドを含んでいるため、それを食べる本種は、成虫になっても体内に毒を持ち続け、鳥などから襲われることはない。
リュウキュウアサギマダラは、2022年の遠征時は、まったく見ることがなかったが、今回は於茂登岳の山麓で見ることができた。草原の上をゆったりと飛翔し、時折、センダングサ類やヒヨリバナ類の花で吸蜜していた。リュウキュウアサギマダラは英名では「Ceylon Blue Glassy Tiger」と呼ばれているそうだが、翅脈が細かく、ガラスのような青色をした翅がとても印象的であった。オオゴマダラをはじめ、石垣島に生息するチョウは東京の多摩動物公園「昆虫生態園」の大温室でも見ることができるが、やはり、こうした自然の中で舞っている姿が見られることに感動する。 本種は初撮影の種で鱗翅目150種目となる。