9月の4連休3日目。21日にルリボシヤンマの青色型メスを引き続き探索するため信州の高層湿原に4回目の訪問。撮影日誌になってしまうが、貴重な観察記録を含んでいることから掲載することにした。写真については、ルリボシヤンマのホバリング等これまで掲載したものと同じシーンもあるが、雰囲気が違う画像を選択し掲載した。
午前3時半に曇り空の東京(自宅)を出発し、現地に7時到着。天候は快晴で気温は10℃。かなり肌寒い。Go To キャンペーンの影響もあるのだろう、途中の大きな駐車場は満車。現地近くの駐車スペースには、これまで3回の訪問時にほとんど車はなかったが、今回は5台ほどがすでに止まっていた。
この日は、各地で大勢の人出。東京都内の高尾山では、ケーブルカー乗り場は新宿より混んでいたらしく、山頂も数百人の人で溢れていたらしい。こちらは、湿地までは誰一人と来ることはなく、心配は無用。帰りは渋滞を考慮して現地を11時半に引き上げたが、それでも中央道上りは談合坂SA付近から小仏トンネルまで11kmの渋滞であった。報道では、同日20時頃には勝沼ICから国立府中ICまで72kmの大渋滞であったというから、早めに引き上げて良かった。
エゾミドリシジミのメス
さて、現地では7時半よりいつもの湿地脇で待機した。最初に現れたのは、何と「エゾミドリシジミ」のメスであった。前回12日の時も確認していたが、今回も生存を確認した。当地では7月20日前後が発生のピークであり、午後の時間にミズナラの梢でテリトリーを見張るオスが多く観察できる。オスは8月上旬には早々と姿を消してしまうが、メスの中にはこうして9月半ばを過ぎても生きている個体が存在する。翅は擦れて色も褪せているが、気温13℃ちょっとの中、元気に飛び回っていた。発生時期後の目撃としては、2013年8月17日に群馬県にてメスを撮影し「エゾミドリシジミ(メス)」として掲載しているが、この時期に本種を撮影するのは初めてである。毎年確認しているわけではないので何とも言えないが、長梅雨と梅雨明け後の猛暑が関係しているのかも知れない。 お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。 エゾミドリシジミのメス(2020年9月21日撮影) ルリボシヤンマのオス
今回は、前回と違ってトンボ類の姿がなかなか見えなかったが、10時になってようやくルリボシヤンマのオスが出現し、2頭が探雌行動を開始。初秋らしい色彩を背景としてホバリングの写真を1枚だけ撮影し、メスの飛来を待ったが、結局、この日メスは1頭も飛んでこなかった。 ルリボシヤンマのオス ムツアカネとヒメアカネ
11時を過ぎるとムツアカネとヒメアカネが産卵を始めた。直射日光はまだかなり強いが、気温は19℃。湿地内で草があまり茂っていない部分で連結飛翔し、場所を選んで産卵するが、ムツアカネにおいては基本的に連結打泥産卵である。今年は水量が多く泥が露呈しておらず、連結したまま別の場所に飛んでいく多くのペアが見られた。ムツアカネは、2016年8月20日に撮影した未発表の写真2枚、および2020年9月12日に撮影した1枚も掲載した。 ムツアカネ(交尾態) ムツアカネ(連結飛翔) ムツアカネ(連結飛翔) ムツアカネ(連結飛翔) ヒメアカネ(交尾態) ヒメアカネ(連結飛翔) 当地には、この一か月で4回訪問し、とりあえず目的であったルリボシヤンマの青色型メス(オス型メス)メスは8月29日に撮影できているが、時期を変えた老熟個体の体色変化等については、確認することができなった。また、当地での探索には別の目的もあったが、今年は発生時期が異なるのか、出会うことができなかった。こちらは、是非来年に期待したいと思う。今回は、不完全燃焼の1日であったが、すべての探索を通じて様々な知見を得ることができ、多くの課題もあがったので、今後も目的達成のため挑戦していきたいと思う。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) 2020 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.
ゼフィルスの仲間では、メスが秋まで生き残る種として他にジョウザンミドリシジミやヒサマツミドリシジミ等が知られている。2015年9月23日には、北陸にて渓流で吸水するヒサマツミドリシジミのメスを撮影し「ヒサマツミドリシジミ(メスの吸水行動) 」として掲載してる。ヒサマツミドリシジミのメスは、夏眠をしたのち秋に産卵をするが、エゾミドリシジミのメスに関しては不明である。
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/1250秒 ISO 1250(撮影地:長野県 2020.9.21 9:09)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F8.0 1/1250秒 ISO 1250 -2/3EV(撮影地:長野県 2020.9.21 10:17)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F8.0 1/1200秒 ISO 1250 -2/3EV(撮影地:長野県 2020.9.21 10:35)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/1600秒 ISO 1250(撮影地:長野県 2020.9.12 11:14)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/640秒 ISO 200(撮影地:長野県 2016.8.20 11:03)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 200 +2/3EV(撮影地:長野県 2016.8.20 10:17)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F8.0 1/1250秒 ISO 1250 -2/3EV(撮影地:長野県 2020.9.21 10:44)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F8.0 1/1200秒 ISO 1250 -2/3EV(撮影地:長野県 2020.9.21 10:42)
まもなく10月。本年の昆虫撮影の予定は、残すところ10月にサツマシジミの開翅写真とスナアカネの産卵シーンである。どちらも時期が近いため、天候によってはサツマシジミの開翅を優先したいと思う。これ以外は、自然風景の撮影を組み込んでいきたい。