ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態や生息環境を研究し保全活動をしていますが、様々な昆虫や美しい日本の四季
自然風景の写真も撮っています。

ヒメボタルの動画

2018-07-24 20:03:13 | ホタル

 ヒメボタルは、今年、岩手県二戸市の折爪岳において撮影してきた。写真は、「ヒメボタル(岩手県折爪岳)」をご覧頂きたいが、この記事では、動画を公開した。動画は、2012年に某所にて撮影したものも今回一緒に公開した。

 ヒメボタルの写真は、インスタ映えするフォトジェニックな点で、昨今、大勢のカメラマンに人気があり、多くの写真が投稿されている。筆者の最近の写真もそうであるが、これらはヒメボタルの生態学的価値よりも写真の見栄えを重視したもので、数十分間の露光に相当するカットを合成したものである。写真は、作り上げた創作作品であり、実際の見え方とは全く違う。こうした写真は、ヒメボタルの魅力を現したものではなく、単に「いいね!」や「コメント」を増やす目的としか思えない。中には、ヒメボタルが飛翔する場所に和傘を置いて撮影した写真すら存在する。和傘を置くために立ち入り、地面にいるメスを踏みつぶしているかも知れない。世に溢れるヒメボタルの創作写真を見ていると、悲しささえ感じてくる。
 SNSに投稿される多くのヒメボタルの写真はインパクトがあるが、合成枚数を増やした撮影者による「創作作品」である。海外を含め多くの人々を魅了する写真であっても、それは撮影者の立場だけで撮ったもので、写真の美しさを感じるだけでしかない。
 我々ホタル研究者は、ホタルの生態とその生息環境を研究しているが、その保全についても啓蒙していかなければならない。その一端としての「ホタル写真」は、写真芸術的にも、ホタルの生態学的にも認められる写実でなければならない。この光景を作る「ホタルと自然環境」を守ろうと思いを馳せて頂くものでなければならないと思っている。

 ヒメボタルの生息環境は様々で、原生林の他、雑木林、竹林、河川敷の林などに生息している。かつては「森のホタル」と言われ、林や森の中だけで発光すると思われていたが、発光時間になると森や林から出てきて、開けた畑の上や道路まで出てきて乱舞する様子を観察している。活動時間も地域性があり、ゲンジボタルと同じ時間帯、19:30~21:00頃(動画1)や深夜22:00~02:00頃(動画2)に活発に発光しながら飛翔する。
 動画は写真のようなインパクトはないが、見た目にほぼ近い光景で、ヒメボタルの発光の仕方や飛翔の様子も分かる。今後は、写真とともに動画を撮影し、ヒメボタルやゲンジボタルの真の魅力を伝えていこうと思う。動画を通じて、自然の豊かさや大切さに思いを馳せて頂ければ幸甚である。

お願い:HD設定にしますとクオリティの高い動画を、また全画面でも綺麗にご覧頂けます。画面サイズを大きくしてご覧ください。

ヒメボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE(撮影地:岩手県二戸市/折爪岳 2018.7.14)

ヒメボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE(撮影日: 2012.6.08)

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ヒメボタル生息地

2018-07-22 15:37:55 | ホタル

 ヒメボタルの写真は、本年は二か所の生息地で撮影を予定し、一ケ所は「ヒメボタル(岩手県折爪岳)」で紹介した。そしてこの週末、次の目的の場所で撮影を行ったが、ブログタイトルを「ヒメボタル生息地」とした。現地に17時に到着し、18時半に生息環境を撮影。濃霧と雨のためにカメラにカバーを被せて、深夜型ヒメボタルが発光を開始するまで車内で待機。天候も良くなり、22時半から翌午前0時まで撮影したのだが、レンズキャップを付けたまま撮影し、結局、撮影した数百枚は真っ黒で何も写っていないと言う痛恨のミスを犯してしまった。三日連続で深夜まで撮影する気力がなく、仕方なく今年は生息環境の写真のみの掲載で終了。この原生林に舞う様子を想像して欲しいと思う。
 2枚目は、同生息地において2011年に撮影したものである。昨今、過度な合成でヒメボタルの光が溢れる写真が多いが、こちらは合成なしの長時間露光である。今回の失敗は反省しなければならないが、この失敗のお陰で「ホタル研究者が写すホタルの写真」のあるべき表現に気が付いた。ホタルの光跡を溢れるばかりに合成枚数を増やせば、インパクトのある「創作作品」にはなるが、 あくまでも撮影者による「創作作品」だ。海外を含め多くの人々を魅了する写真であっても、それは撮影者の立場だけで撮ったもので、写真の美しさを感じるだけである。
 我々ホタル研究者は、ホタルの生態とその生息環境を研究しているが、その保全についても啓蒙していかなければならない。その一端としての「ホタル写真」は、写真芸術的にも、ホタルの生態学的にも認められる写実でなければならない。この光景を作る「ホタルと自然環境」を守ろうと思いを馳せて頂くものでなければならない。今回は、痛恨のミスにより光景を目の前にして撮影することができなかったが、重要な生態学的な様々な観察ができたので、知識は残すことができた。

 このヒメボタル生息地は、2010年から通っているが、当時は誰一人と来ることのない生息地であった。しかしながら、年々、撮影者や観賞者が増え始め、そのマナーが気になるところである。車のライト、懐中電灯といった光害である。(懐中電灯は、赤いセロファンを巻いてもホタルに影響を与えるのでダメである。)撮影者や観賞者の増加に半比例するかのように、毎年、ヒメボタルの数が少なくなっているように思う。

 3枚目の写真は、本記事と関係はないが、同日の深夜に長野県の乗鞍高原で撮影した天の川である。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ヒメボタル生息地の写真

ヒメボタル生息地
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F18 15秒 ISO 100 -2EV(撮影日:2018.07.21 18:21)

ヒメボタルの写真

ヒメボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 300秒 ISO 1600(撮影日:2011.07.23 23:00)

天の川の写真

天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 28秒 ISO 2000(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.07.21 1:31)

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ヒメボタル(岩手県折爪岳)

2018-07-17 19:58:31 | ホタル

 ヒメボタル Luciola parvula Kiesenwetter, 1874 は、ホタル科(Family Lampyridae)ホタル属(Genus Luciola Laporte, 1833)でゲンジボタルやヘイケボタルと同属であるが、幼虫が陸地で生活する陸生ホタルである。青森県から九州まで分布し、平地から高い山地の雑木林、竹林、ブナ林、畑、河川敷など様々な環境に生息している。体長は6mm~9mmほどで、メスは下翅がなく飛ぶことができない。そのため分布地の移動性は小さく、地域により遺伝的特性や体長の差などが著しい。発光は、黄金色のフラッシュ光の点滅が特徴である。

 ヒメボタルの観察と撮影に、岩手県二戸市にある折爪岳に行ってきた。折爪岳のヒメボタル生息地(山頂の3.5ヘクタール)は、2013年に二戸市、そして今年4月には岩手県の天然記念物に指定され、生息数100万匹とも言われる。いつも観察は十分にできたが、過去に大乱舞を目の前にしながら、フィルムでは上手く撮れていなかったり、天候不順で飛翔数が少なかったりと、これまで私的に満足できる撮影結果は得られていない。昨年は、ブナやミズナラの原生林で光る「折爪岳のヒメボタル」らしい写真は撮影したが、「これぞ!」という光景を残しておきたい。そこで、5度目の訪問となる今回は、二泊三日で二晩のチャンス。過去の経験から、ヒメボタルが多く飛ぶ場所は分かっているので、明るい時間に構図を決めて、それぞれの晩に違う場所で1カットずつ撮ることにした。
 初日は、気温が高く無風。前日に雨が降ったとのことで、たいへん蒸し暑く、まさにホタル日和。19時30分頃から光り始め、多くのヒメボタルが乱舞した。二日目は、気温が少し低めで風が強く、前日に比べて飛翔数は半分ほどであったが、それでも同期明滅も見られるほどの数は飛んでいた。ただし、いつも観察できる場所ではメスがほとんど見られなかった。発生のピークは数日後かも知れない。
 二日間ともに「ヒメボタル観察会」が催され、多くの観光客も訪れていたが、懐中電灯やスマホの明りによって、ヒメボタルが一斉に発光を止めることが多々あった。誰が言ったか知らないが、懐中電灯に赤いセロファンを巻いてもダメである。また、スマホで撮ろうとしても写らない。撮影者の立場では、写真は数秒露光のデジタル画像を何枚も重ね合わせる手法で創作するから、フレーム中に人工光が当たれば、そのカットは削除すれば良い。しかしながら、ヒメボタルは灯りに非常に敏感で、すぐに発光を止めてしまう。メスを探そうと飛び回るオスたちの行動を阻害するのである。懐中電灯やスマホは、ヒメボタルのために是非とも止めて頂きたい。足元だけを照らすこともダメである。

 掲載写真は、ヒメボタルの生態学的価値よりも写真の見栄えを重視したもので、10分~20分の露光に相当するカットを合成したものである。肉眼でも相当数のヒメボタルが発光する様子が見られるが、掲載写真のように見えるわけではないことを付け加えておきたい。

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ヒメボタル(折爪岳)の写真

ヒメボタル(折爪岳)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 1600 10分相当多重(撮影地:岩手県二戸市/折爪岳 2018.07.14)

ヒメボタル(折爪岳)の写真

ヒメボタル(折爪岳)
Canon EOS 7D / EF17-35mm f/2.8L USM(32mm相当) / バルブ撮影 F2.8 ISO 1600 20分相当多重(撮影地:岩手県二戸市/折爪岳 2018.07.15)

天の川(折爪岳)の写真

天の川(折爪岳より)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 30秒 ISO 1600(撮影地:岩手県二戸市/折爪岳 2018.07.14)

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ヘイケボタルの乱舞

2018-07-08 16:54:30 | ホタル

 ヘイケボタル Luciola lateralis Motschulsky, 1860 は、ホタル科(Family Lampyridae)ホタル亜科(Subfamily Luciolinae)ホタル属(Genus Luciola)で、南西諸島を除く日本、朝鮮半島、中国東北部、東シベリア、サハリン、千島列島に分布している。 里山の流れのひじょうに穏やかな小川や水田、湿地等に生息しており、地方によっては「コメボタル」「ヌカボタル」等とも呼ばれている。
 近年、ヘイケボタルは、ゲンジボタルよりも個体数と生息地が著しく減少しており、安定して発生する場所は局地的になっている。圃場整備事業、農薬汚染、水質汚濁、各種開発行為、人工的な光源等が減少要因である。環境省カテゴリーにはないが、東京及び群馬では絶滅危惧Ⅰ類に、千葉、長崎、宮崎では絶滅危惧Ⅱ類に、栃木、埼玉、神奈川、長野、静岡、大阪、香川、愛媛、福岡、熊本では準絶滅危惧種に選定している。

 梅雨が明けたと思ったら、天候不順の一週間。この週末も強風が心配されたが、GPV気象予報を信じてヘイケボタルの生息地へと向かった。
 この場所にはゲンジボタルも生息しており、ゲンジボタルの発生が終わりに近づくとヘイケボタルの発生が始まり、一ヶ月ほど続く。何度も訪れているが、ヘイケボタルの観察と撮影では2016年に続いて二回目。
 現地に18時に到着。気温25度、薄曇りで無風。蒸し暑く、まさにホタル日和である。谷戸の奥まで水田が続くが、ヘイケボタルが発生する水田は2枚ほど。その脇で待機すること1時間半。 稲の中で光り始めた。ゲンジボタルのように「一番ボタル」はいない。数頭があちこちで光り始める。
 20時をまわると水田も暗さを増し、光るヘイケボタルも多くなった。無風であるため、飛翔数も多い。ホタルに取り囲まれ、服やカメラの三脚にも止まって光るほどである。畦においても発光する多くのメスを確認できた。

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ヘイケボタルの乱舞写真

ヘイケボタルの乱舞
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 400 15分多重(撮影日:2018.07.07)

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ゲンジボタルの写真と動画

2018-06-23 20:14:56 | ホタル

 ゲンジボタルの写真と動画を撮影してきた。
 前の記事に記したように、6月16日は「ホタル大学」の第三回目で「里山とゲンジボタルの生息地での観察」を行ったが、ゲンジボタルの生息地では、気温が低かったことで飛翔せず葉上で数頭が発光するのみであった。そこで、一週間後に筆者一人で再度訪問したところ、気象条件が合致し多くのゲンジボタルが発光しながら飛翔する光景を観察し撮影することができた。

 ホタルの写真は、今年になってからブログに何枚か掲載しているが、飛翔風景は、いずれも過去にフィルムで撮影したものばかりなので、本記事の写真が今年初になる。当然フィルムではなく、一眼デジタル・カメラでの撮影であり、撮影方法も長時間一発露光ではなく、短時間の露光で撮影したコマを何枚も重ね合わせたものである。
 デジタル・カメラでの撮影は、フィルムの長時間一発露光と違って1秒毎のインターバルになるため、一枚の写真の中に時間の連続性がない。「写真は空間芸術であり、時間芸術である」という観点からは、このホタルの写真は「創作」に他ならない。また、ホタルの光跡も1秒という隙間が入ってしまうので、生態学的にも価値のない「創作」である。
 掲載した「ゲンジボタルの風景」は、それを弁別した上で撮影し現像したものである。一枚目は、見栄えだけを重視し、フィルムでは露出オーバーになるだろう24分間の光跡を重ね合わせた。(フィルムでも、場所によっては60分の長時間露光で適正露出になる)2枚目は、フィルムの露光時間であろう5分間の光跡を重ね合わせた。これらは、あくまで「創作」であり、これだけのホタルが一度に飛んでいる訳ではないので、誤解のないようお願いしたい。

 今回は、動画も撮影した。機材は、ビデオカメラではなく写真と同じ Canon EOS 5D Mark Ⅱと Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE の組み合わせ。デジタルカメラでも EOS 6D Mark Ⅱ や 5D Mark Ⅳ ならば、背景も綺麗に写るだろうが、筆者の機種ではこれが限界。ただし、ゲンジボタルの発光は美しく捉えていると思う。動画では集団同期明滅も分かり、生態学的にも価値がある。8分強の長い動画であるが、ご覧頂きたいと思う。

 実は、勤め先の健康診断で腫瘍マーカーの値が9.5という結果が出て、先月、専門の病院でMRI検査をすると、前立腺癌の疑い。日程をやりくりして、6月20日~21日に生検のため検査入院をしてきた。退院日は安静。翌日は血尿も止まり体調も回復傾向。また車の運転は大丈夫ということもあり、無理のない範囲で夕方から車にて小一時間で行けるゲンジボタルの生息地へと足を運んだ。
 病院での検査結果は7月9日。仮に癌が見つかっても、仕事は勿論、ホタルの研究をはじめ、様々な昆虫や自然風景の写真撮影は、変更なく行いたい。

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ゲンジボタルの飛翔風景写真

ゲンジボタルの風景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 640 24分多重(撮影地:東京都あきる野市 2018.6.22)

ゲンジボタルの飛翔風景写真

ゲンジボタルの風景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 640 5分多重(撮影地:東京都あきる野市 2018.6.22)

ゲンジボタルの風景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE(撮影地:東京都あきる野市 2018.6.22)

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ホタル大学(6月)

2018-06-17 21:06:14 | ホタル

 ホタル大学は、ホタル棲む自然環境の保全と再生を担うリーダー養成講座として、内閣府認証「NPOホタルの会」がホタルの生態や生息環境をはじめ、生態系の保全と維持管理、そして再生の手法等、ノウハウをすべて提供するものだが、私が主任講師を務めている。
 4月に開講し、第三回目になる6月16日は、野外実習として「里山とゲンジボタルの生息地での観察」を行った。里山では、モリアオガエルの卵塊等を観察。ゲンジボタルの生息地では、数頭の発光を観察したが、小雨で気温が14℃。雨は問題ないが、気温が低かったことで飛翔せず、葉上で発光するのみであった。目的は、ホタル観賞ではなく観察。「このような気象条件では、配偶行動ができない。」ということを肌で感じて頂けたと思う。来月は、「ヘイケボタルの観察」を予定している。

参照:ホタル大学一期生募集

 掲載写真は、いずれも過去に撮影したもので本記事とは関係がないが、すべて東京都内で自然発生しているゲンジボタルとヒメボタルの 飛翔する光景であることと、フィルムでの一発露光(長時間露光)であることから掲載した。昨今では、ホタルの写真はデジタルカメラで簡単に撮影できるようになり、私自身もフィルムでは撮影していない。また、デジタルでは何カットも重ねるという手法が用いられ、見栄え重視の写真が溢れているが、かつての一発露光(長時間露光)のフィルム写真を見直すことで、ホタル写真における写真芸術と生態学的価値を考え直したいと思う。ホタルの写真は、ホタルの光がたくさん写っていれば「綺麗」(インスタ映え)というものではない。
 ちなみに、4枚目のヒメボタルの飛翔風景の撮影には、6年を要した。しかも、すぐ背後で野生のツキノワグマがうろつく中での撮影であった。

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ゲンジボタルの飛翔風景写真

ゲンジボタルの飛翔風景
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8 / Ektachrome 320T Professional(撮影地:東京都青梅市)

ゲンジボタルの飛翔風景写真

ゲンジボタルの飛翔風景
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8 / Ektachrome 320T Professional(撮影地:東京都奥多摩町)

ゲンジボタルの飛翔風景写真

ゲンジボタルの飛翔風景
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8 / Ektachrome 320T Professional(撮影地:東京都奥多摩町)

ヒメボタルの飛翔風景写真

ヒメボタルの飛翔風景
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8 / FUJICOLOR NATURA 1600(撮影地:東京都奥多摩町)

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ホタルは灯りが大嫌い

2018-06-10 20:06:17 | ホタル

 ホタルは、なぜ光るのか?それは、オスとメスが、交尾のために自らの発光によってコミュニケーションを図るため。しかしながら、ホタルが目的を持って光っていることを多くの方々がご存知ない。

 現在、全国各地で「ホタルまつり」や「ホタル観賞会」が行われており、多くの方々がホタルを見に訪れている。「ホタル」という昆虫ではなく、ホタルが発する光と光景を見に訪れている。ホテルの庭園や公園施設などの安全対策が取られ、安心してホタルを見ることができる所も多い。そのような場所での「ホタル観賞」は、施設内のルールに従えば気軽に楽しめるだろう。
 一方、野山の川で自然発生しているホタルを観賞する場合には、絶対に行ってはならない事がある。それは、「ホタルに灯りを向けてはいけない」ということである。オスは光りながら飛び回ることで存在をアピールし、葉の上ではメスが光って応える。メスを見つけたオスは葉の上に降りて行き、光で会話をするのである。そのためには、お互いの「光」が見える暗がりがなければならない。月明りでさえ、そのコミュニケーションを阻害してしまうにも関わらず、観賞者がホタルやホタルが飛び交う方向にライトを向けたらどうなるだろう。

 その場のホタルの発生期間は、2週間くらいはあるだろう。ただし、メスが発生してくるのは少し後になるから、混在するのは10日ほどになる。ただし、月の光が明るい夜や、風の強い夜、気温が低くて寒い夜は、活動が鈍くなるから、交尾の機会は5日くらいかも知れない。しかも、オスとメスが出会える時間は、1日90分だけである。そのわずかなチャンスを人工的な「灯り」で邪魔をしてしまえば、交尾の機会は極端に少なくなり、将来的には発生数は少なくなるだろう。近くに民家や街灯があったり、側を車が通るところに生息している場所もあるが、ホタルは、そんな環境の中でも一番暗い場所を選んでコミュニケーションを図っている。ちなみに幼虫が蛹になるための上陸や成虫の産卵においても、0.1luxの明りで阻害されることが研究で分かっている。
 成虫を放っているだけのところは、その場で繁殖していないから「灯り」に対して気を配らなくても、毎年ホタルが見られるだろうが、本当に自然発生している生息地では、絶対に「ホタルに灯りは禁物」である。懐中電灯を向けたり、カメラのストロボを焚くのもダメである。
 これから、野山の川で自然発生しているホタルを観賞される方々は、是非ともホタルに灯りを向けないでいただきたい。生息地へは、車のヘッドライトも懐中電灯も必要のない明るい時間帯に到着し、岸辺で暗くなるのを待つようにしたい。帰るのは、ホタルが発光する時間帯が終わってからにしたい。もし、灯りを向けている方がいたら、「灯りを向けるとオスとメスが出会えなくなりますよ。」と伝えていただきたい。

 ただし、人々の考え方は様々で、気を悪くしたりするかも知れない。様々なメディアで訴え、SNS等で情報を発信しても「ホタルは灯りが大嫌い」ということは、なかなか浸透しないのが現実である。以下は、あるプロの写真家の意見。(原文そのまま。一部抜粋)

「ストロボを使用するホタル撮影は、ホタルの繁殖行動に悪影響を及ぼしてしまいます。」 などという記述も含めて、私には極論に感じられました。
 弱い懐中電灯の明かりやほんの数回のストロボの発光が、ホタルの繁殖行動に目くじらを立てるほどに悪影響を及ぼすのなら、なぜ、町の中の光がたくさん存在しホタルの活動時間帯に車が絶えず通るような場所にも、ホタルが多数生息する場所があるのでしょうか? また古河さんは、ホタルの観察に出かける際に、ヘッドライトをつけた車に乗ることはないのでしょうか?
 そもそもマナーは、人それぞれが自分なりに一生懸命に考えることであり、他人に押し付ける筋合いのものではないと考えます。
 ホタルを大切にしましょうという主張は、ホタルのためではなくて、突き詰めると、ホタルを好きな誰かのためなのです。 もしも人間が存在しないのなら、実はホタルはどうなってもいいのです。
 ホタルに関して言うと、まずは事実が大切です。本当に懐中電灯の光や数回の発光が、目くじらをたてるほどの悪影響があるのか? ホタル愛好家が自分たちが好きなホタルの見方を、自然保護の名目で押しつけようとしていないか?
 せいぜい自分のホームページ内で主張すべきことだと思うのです。

 次は、ある個人の方の意見。(抜粋)

「ホタルが光らなくなる=繁殖できない」と伝わると思い込んでいるのは知識がある人間のエゴ。光らなくて困るのは貴方自身に他ならない。 ホタルのためにと言いますが、それはその場のホタルを減らしたくないと言う貴方個人の利を守ろうとしているに過ぎない。
 声を代弁するなどと大それたことは、どんなにその動植物のために尽力したとしても人間風情が口にすべきことでは無い。独り言で済んでいるうちは何を言っても構わないと思いますが・・・

 掲載写真は、ホタルの生息地における典型的な「光害」の一枚と、灯りが一切ない生息地での飛翔風景の3枚である。いずれも、デジタルカメラがない時代にタングステンタイプのポジフィルムで撮影したものである。

参照サイト:博士に聞いた!ホタル観賞が10倍楽しくなる豆知識&観賞テク

参考文献

  1. 宮下 衛(2009)「ゲンジボタル・ヘイケボタル幼虫に対するLED照明の影響」,土木学会論文集G Vol.65 No.1,1-7
  2. 宮下 衛(2011)「ゲンジボタル・ヘイケボタルの産卵に対するLED照明の影響」,土木学会論文集G(環境) 67(1), 21-29
  3. 遊磨 正秀(2017)「動植物に対する「光害」、特にホタル類への影響」,全国ホタル研究会誌,5

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ゲンジボタルの飛翔風景写真

ゲンジボタルが飛ぶ小川を照らす車のライトと懐中電灯
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8 / Ektachrome 320T Professional(撮影地:山梨県)

ゲンジボタルの飛翔風景写真

ゲンジボタルの飛翔風景
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8 / Ektachrome 320T Professional(撮影地:東京都)

ゲンジボタルの飛翔風景写真

ゲンジボタルの飛翔風景
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8 / Ektachrome 320T Professional(撮影地:静岡県)

ゲンジボタルの飛翔風景写真

ゲンジボタルの飛翔風景
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO AUTO-S 50mm F1.8 / Ektachrome 320T Professional(撮影地:東京都)

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スジグロボタル

2018-06-09 13:58:27 | ホタル

 スジグロボタル Pristolycus sagulatus sagulatus Gorham, 1883 は、ホタル科(Family Lampyridae)スジグロボタル属(Genus Pristolycus)のホタルで、北海道、本州、九州に分布し、近畿亜種と奄美亜種がある。四国には、同属のシコクスジグロボタル Pristolycus shikokensis Ohbayashi et M. Sat , 1963 が分布している。
 体長は7mm~9mm。谷戸の最上部の樹林に囲まれた冷たい湧水が流れ込む薄暗い湿地等に生息し、幼虫はカワニナ等の巻貝や湿地に生息する多様な生物を食べる時だけ水中に入る半水生である。卵・幼虫・蛹・成虫ともに発光するが、成虫は昼行性なのでほとんど発光しない。写真から分かるように、朱色の上翅に3本の黒い筋があるのが特徴で、また触角が発達しており、オスはメスの発するフェロモンを感知して繁殖に至る。夜間に発光でのコミュニケーションは図っていない。
 スジグロボタルは、環境省カテゴリにはないが、神奈川県、埼玉県、宮城県のRDBでは、絶滅危惧Ⅱ類として記載している。

 スジグロボタルを撮影した湿地では、ミドリシジミやサラサヤンマも生息しており、毎年安定して発生している。今年は例年よりも10日以上も早い発生であった。

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スジグロボタルの写真

スジグロボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 3200 -1/3EV(撮影地:埼玉県入間市 2018.6.02)

スジグロボタルの写真

スジグロボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/60秒 ISO 3200 -1/3EV(撮影地:埼玉県入間市 2018.6.02)

スジグロボタルの写真

スジグロボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/200秒 ISO 3200(撮影地:埼玉県入間市 2011.6.18)

スジグロボタルの写真

スジグロボタル(交尾)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/250秒 ISO 3200(撮影地:埼玉県入間市 2011.6.18)

スジグロボタルの幼虫の写真

スジグロボタル(幼虫)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F10.0 1/60秒 ISO 400 ストロボ使用

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ホタルの季節

2018-05-24 22:01:42 | ホタル

ホタルの季節

 今年もホタルの季節がやって来た。とは言っても、私にとっては一年中がホタルの季節だが、やはり、成虫が乱舞する光景は、生態学的にも 大きなイベントであり、人々にとっても平安時代から安らぎを与えてきた文化でもる。
 ホタルは、里山環境の象徴だ。その美しい光は「豊かな自然環境があってこそ」ということをご理解頂き、どうぞ、ホタルの光だけではなく、自然背景と合わせてご覧頂きたい。

 今年は、今週末にYahooの取材、来週末は佐賀大学での講演会、その後は、ホタル大学での観察会や日本ホタルの会の観察会も予定。私的なホタル調査・観察もありますので、新聞・テレビ等の取材・出演の依頼は早めにご連絡頂きますようお願い申し上げます。

掲載写真は過去の撮影したものです。なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ホタルの写真

ゲンジボタル

ゲンジボタルの写真

ゲンジボタルの発光飛翔風景

ヒメボタルの写真

ヒメボタルの発光飛翔風景

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ゲンジボタルの幼虫上陸

2018-04-15 16:24:15 | ホタル

 ゲンジボタルの幼虫上陸の観察と撮影を山梨県の生息地で行った。

 ゲンジボタルの幼虫は、水中でおよそ9ヶ月、個体によっては4年近く水中で生活し、春になると陸地の土中で蛹になるために上陸を行う。上陸の時期は、日本各地の生息地によって異なり、関東地方では3月下旬頃から5月上旬頃に行われるが、時期になればいつでも上陸するわけではなく、次の条件が合致しなければ上陸しない。

  • 日長時間が12~13時間以上であること。
  • 当日の気温が水温と同等かそれ以上であること。
  • 初回は、降雨時であること。

 昆虫は体内時計を持っており、水中生活するゲンジボタルの幼虫の場合は日長時間によって季節を感じ取っており、上記条件を満たす時に上陸を開始する。幼虫は、数分間光り続けながら上陸するのが特徴である。

 今回訪れた場所の到着時(18時半)は、まったく雨が降っておらず、またそれ以前も降った形跡がなく、草も土も乾いていた。22時を過ぎる頃から小雨が降り出したが、発光する幼虫は無し。23時を過ぎると雨は本降りとなり、岸辺で微かに発光する幼虫が見られるようになるが、上陸は無し。午前0時を過ぎた頃から上陸する幼虫が数頭見られるようになった。
 ただし、この生息地におけるゲンジボタルの発生数からみて、今回の上陸数がとても少ない。気象データでは、今年は、3月21日、22日にまとまった降雨があった後は、4月6日が15時頃から深夜まで降雨。次が今回の4月14日~15日の深夜になる。前回、前々回の降雨時に上陸したかどうかは分からないが、関東の他の地域では上陸が行われたという報告があることから、この生息地においても上陸していた可能性はあり、今回は上陸の終盤であったのかも知れない。
 上陸したゲンジボタルの幼虫は、草の根元や石の下等から土中に潜り込み、毎日の平均温度から8.02度を差し引いた有効積算温度が408.4度日になると蛹化し、その後、約10日で羽化し成虫になる。ちなみに昨年の気象データで計算してみると、本年の発生(飛翔)時期は以下のように予想できる。

  1. 3月21日上陸の場合は、5月31日に羽化し、6月2日頃から飛翔。
  2. 4月06日上陸の場合は、6月03日に羽化し、6月05日頃から飛翔。
  3. 4月14日上陸の場合は、6月08日に羽化し、6月10日頃から飛翔。

 おそらく6月の第2週目頃が発生のピークになると思われる。また今回、新たな知見を得ることができたので以下に記しておきたい。

  1. ゲンジボタルの幼虫は、上陸時期の降雨時であれば周囲が暗くなる19時過ぎから上陸を開始するが、十分な雨が降らなければ、いつまで経っても上陸しない。
  2. 本降りの雨が少なくとも1時間以上続けば、深夜からでも上陸を開始し、雨は朝から降り続いていなくても良い。
  3. 上陸する川岸は、どちらか一方であることが多いが、両岸に上陸もする。比較的暗い岸方向を選んでいたように思うが、明確に区別はできない。
  4. 水際で発光するだけで上陸しない幼虫が多数存在した。

 掲載写真は、発光しながら上陸するゲンジボタル幼虫の光跡を写したものである。午前0時19分から午前1時23分のおよそ1時間の光跡を一枚に合成した。10個体ほどの発光する幼虫が写っているのだが、数個体が小川の岸近くの石を登り、また数個体が中州を越えて2mもある護岸を登っているのが分かる。私的には、当然写真の出来には不満が残るが、観察結果として生態的な新たな知見を得たことが嬉しく満足している。写真はピンボケで駄作であるが、ゲンジボタルの生態としてご覧頂きたい。また、過去に別の地域で撮影した「発光しながら上陸するゲンジボタルの幼虫」のマクロ写真も参考までに掲載した。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

発光しながら上陸するゲンジボタルの幼虫の写真

ゲンジボタルの幼虫上陸
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 30秒×120カット ISO 400(撮影地:山梨県 2018.4.15 0:19~1:23)

発光しながら上陸するゲンジボタルの幼虫の写真

発光しながら上陸するゲンジボタルの幼虫
Canon 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / バルブ撮影 F2.8 3秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:千葉県 2011.4.9)

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