ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

2022年の自己ベスト(自然風景編)

2022-12-29 21:25:37 | 自己ベスト/風景、昆虫

2022年の自己ベスト(自然風景編)

 一年のまとめもこれが最後である。まだまだ新型コロナウイルスの感染の不安が拭い切れない状況が続く中、撮影者が多い場所では感染対策を十分にして撮影したが、 全体的には、やはり撮影者がまったくいない場所での夜間の星景写真が多い一年であった。
 それはそれで、自分自身がこれまで見たり撮ったりしてこなかった光景であり、他の方たちと同じ絵、同じシーンではないオンリーワンのものをいくつかは残せたように思う。ただし、天候条件から撮影機会が 極端に少なくなってしまったり、モチベーションが下がり気合を入れての遠征ができず、結果として星空以外の風景を見る遠征を控えてしまったことも事実であり、四季折々の美しい風景との出会いを少なくしてしまった一年でもあった。 タイミングの良い時に合わせて、いつでも撮影に出掛けられたらどんなに良いか・・・いつも思うことだが、一般企業の会社員である間は仕方がない。

 以下には今年の自己ベスト10枚を選定して掲載した。乗鞍高原まいめの池は、これまで何度も訪れトンボをはじめ紅葉も撮っている場所であり、真夏に星空も撮っているが、関東甲信越地方で 一番星が綺麗なこの地において、月も雲も風もない夜に「夏の天の川」を池に映る星々とともに撮りたいと数年前から思っていた。そのタイミングがこの5月に叶い、収めることができたのでトップに掲げた。
 儀明の棚田は、2018年の早朝に棚田の水鏡に映る桜を撮っているが、今回は、一番美しく見える逆光の夕日を狙って撮ったものである。満開の桜にオレンジの夕日と無風、そして私の休日が重なったことから2番目に掲げた。当地は 有名な場所で撮影者が多く横並びで撮られた写真は、皆同じような写真であろう。それは、3番目の鏡池の紅葉も同じである。残念ながら紅葉の見ごろには少し早く、戸隠連峰もほとんど見えなかったが、無風での水鏡だけは満点だと思う。  鏡池は今年初めて訪れた場所であり、5番目の枝折峠も初訪問であった。運よく「滝雲」を見ることができたが、やはりロケハンなしの初訪では、良い結果が得られないのは当然であり、この二カ所においては来年も挑戦し、一番美しい 瞬間を残したいと思っている。

 自然風景写真は、自分自身を映した鏡であり心の成長も反映すると思っている。そう言った意味では、恥ずかしいばかりの10枚である。来年は、テーマをもってアイディアや想像力を膨らませ、 まずは自分自身が感動し、物語が想像できるような文学的要素があったり、シンフォニー等の音楽が響き聞こえるような光景を残したいと思っている。そして毎年同じことを記しているが、自然への感動と感謝、何より大切にする心を持ち 「美しいものを 一番美しい瞬間に 美しく残す」ことをモットーに、定番ならばその最上級の光景、そして定番から脱却したオンリーワンの光景を残すことを目標としたい。

本年の当ブログ更新は、これが最後となります。
これまでブログにご訪問下さった皆様、そしてお世話になりました皆様に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
来年も引き続き、よろしくお願い申し上げます。2023年が皆様にとってよい年でありますよう、お祈り致します。

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

乗鞍高原まいめの池より天の川の写真
乗鞍高原まいめの池より天の川
儀明の棚田の写真
儀明の棚田
鏡池の紅葉の写真
鏡池の紅葉
中子の桜の写真
月明かりに見る中子の桜
枝折峠の滝雲の写真
枝折峠の滝雲
しぶんぎざ流星群と冬の大三角の写真
しぶんぎざ流星群と冬の大三角
星峠より夏の天の川の写真
星峠より夏の天の川
沖縄の天の川の写真
沖縄の天の川
秋の星空と黄道光の写真
秋の星空と黄道光
赤富士と中秋の名月の写真
赤富士と中秋の名月

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2022年の自己ベスト(昆虫編)

2022-12-28 17:05:21 | 自己ベスト/風景、昆虫

2022年の自己ベスト(昆虫編)

 今年は、満足できる昆虫写真はほとんど撮ることができなかった。ある種の定点観察とその記録はとても有意義で貴重な財産になるのだが、毎年、これまでに撮っていない種や生態のシーンを追いかけることが多く、必然的に撮った写真が少なくなってしまった。昨年は、ヒサマツミドリシジミやヒロオビミドリシジミ、そしてサツマシジミなど長年追いかけてきた種を撮れた喜びがあったが、今年は写真10点を無理やり選定しなければならないほどである。
 そんな中一番目は「ムカシヤンマの産卵」を選んだ。これは挑戦2年目にして初見初撮影のシーンで動画も撮影しており、ムカシヤンマの特異な生態や行動について知識を深めることができたのでトップに掲げた。次のハネビロエゾトンボとオオルリボシヤンマの飛翔写真はこれまで何度も撮影しており、シーンとしては代り映えしないものではあるが、飛翔(ホバリング)中でありながら細部まで鮮明に撮影することができたことで選んだ。また、オオルリボシヤンマにおいては、翅がボロボロになっても懸命に飛翔する姿と自然の厳しさを伝えることができたと感じている。
 他の写真については、主として初めて訪問した石垣島と沖縄本島において撮影したトンボとチョウを選んだ。単に写しただけのスナップ写真の域を出ないものばかりであるが、自分自身の記念としての選定である。沖縄本島では、トビイロヤンマ、カラスヤンマ、コノハチョウなど姿を確認しながら撮影できなかった種が多い。また、フタオチョウ、イワカワシジミ等、まったく見ることができなかった種もある。来年は、再び沖縄本島を訪れ、これらの種を撮影したいと思う。(すでに航空券と宿泊先の予約を完了)

 来年も、種の特徴が鮮明にわかる図鑑写真、産卵や羽化、脱皮などの生態の1シーンを記録として残せるよう、更には、ホソミモリトンボ、クモマベニヒカゲなど、まだ一度も撮影できていない種も撮りたいと思っている。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

ムカシヤンマの産卵の写真
ムカシヤンマの産卵
ハネビロエゾトンボの写真
ハネビロエゾトンボの飛翔
オオルリボシヤンマの写真
オオルリボシヤンマの飛翔
オキナワチョウトンボの写真
オキナワチョウトンボ
リュウキュウハグロトンボの写真
リュウキュウハグロトンボ
リュウキュウルリモントンボの写真
リュウキュウルリモントンボ
ヤエヤマカラスアゲハの写真
ヤエヤマカラスアゲハ
オオゴマダラの写真
オオゴマダラ
ミヤマシジミの写真
ミヤマシジミ
クロマルハナバチの写真
クロマルハナバチ

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2022年の自己ベスト(ホタル編)

2022-12-25 20:33:11 | 自己ベスト/風景、昆虫

2022年の自己ベスト(ホタル編)

 年々、一年を短く感じており、2022年もあっという間に終わろうとしているのに、このところ、ずっと天候条件が悪く12月4日以来出掛けることができていない。しかも今年は31日大みそかの夜まで仕事なので、年初に予定している「しぶんぎざ流星群」まで足止めになりそうであるから、本年も、一年の反省と感謝の意味を込めてあくまでも自己満足のベスト作品を選んで締めくくりたいと思う。今年は、例年の昆虫編と自然風景編に、このホタル編を加えて3部門についてまとめてみようと思う。
 今年は、私の「ホタルの研究50年」の年でもあり、生息環境と生態に関してより一層知見を深めることができた年であった。ホタルに捧げた半世紀の集大成を記したいところではあるが、本記事では、この一年で撮影した写真の中から貴重な5点を選び、それらの話とともに、ホタルの保全に関して今感じていることを綴っておきたい。

 昨今では、珍しくはなくなったヒメボタルの写真。私も含めインターネット上で見られる写真のほとんどは、数秒のコマ撮りを数十分から数時間分も重ねた光溢れるものが目立つが、今回の私の一枚は、夏の天の川とともに30秒の一発露光で撮ったものを自己ベストとした。12年間通ったヒメボタルの生息地において、ようやく月も雲もない夜とヒメボタルの乱舞、そして私の休日が重なった結果であった。
 2枚目の「東京のヒメボタル」は、これまで観察と撮影をしてきた、東京都内のヒメボタル生息地の中では一番標高が高い1,200m付近のブナの天然林であり、とても広範囲な生息域での初撮影である。3枚目は、おそらく麓の生息地から上昇気流に乗って上がってきたと思われるゲンジボタルが1頭だけ飛翔しており、偶然にゲンジボタルとヒメボタルが同時に舞う様子も残すことができた。東京都内初の光景である。
 4枚目の「日本の滝100選とゲンジボタル」は、2019年の台風19号によって大きな被害を受け、2020年の夏にはゲンジボタルの発生は数頭だけという状況であったが、3年経過して復活してきたという記録でもある。ゲンジボタルは一年で成虫になるものは僅かで、二年から四年かかって成長する個体が多い。環境変化の大きい河川で暮らすための生存戦略の1つである。大規模かつ環境を激変させる護岸工事や、毎年、災害級の被害が続けば絶滅もあり得るが、そうでなければ数年をかけて必ず復活するのである。だだし、近年の異常気象による豪雨は、特に西日本のゲンジボタル生息地を壊滅状態へと変えてしまっている。地球規模の温暖化が原因であるならば、地域での保全対策も通用しないのが悲しい現実である。
 最後は、初訪問の石垣島におけるヤエヤマヒメボタルを選んだ。一晩30分だけというチャンスであり、成虫をマクロレンズで撮ることはできなかったが、熱帯のジャングルという生息環境、これまで見たこともない発光の仕方、そして発生期間の長さや生息地域の広大さなど、ヤエヤマヒメボタルの未知なる生態に感動した。

 今年は3年ぶりに日本各地でホタル祭りが復活した。日本ホタルの会でも、オンラインの観察会から対面のヒメボタル観察会を行ったが、ホタル祭りや観察会では、相も変わらず「人為的光害」が気になる。
 訪れるすべての人々は「ホタルの光」を見に来るわけだが、打ち上げ花火やイルミネーションを見る時と同じ感覚で来ていると思わざるを得ない。ホタルは、発光によって雌雄がコミュニケーションを図っており、相手の光が見えなければ交配ができない。月明かりでさえ、それを阻害していまうのだが、人々はヘッドライトを付けた車で生息地までやってくる。車を降りれば懐中電灯を照らす。写真を撮ろうとスマートフォンの明かりを向ける。これら「人為的光害」で繁殖ができなくなるのである。
 わずかな行為と思うかもしれないが、ホタルが交尾できる機会は、1日で1時間ほどしかない。ホタルは発生する期間は長くて3週間くらいあるが、メスはオスよりも1週間ほど遅れて発生してくる。その間に、月が照っていたり、気温が低かったり風が強い夜は、オスとメスの出会いの確率がかなり低くなる。多くのオスが発光しながら飛び回り、下草で発光するメスを見つけて交尾に至ることができる日数は、決して多くはない。そのわずかなチャンスを「人為的光害」で邪魔をしていることを知ってほしいのである。ホタル舞う風景は、命を繋ぐ光景であり、人工的な打ち上げ花火やイルミネーションの光景とは違うのである。
 今年は、高知県いの町へヒメボタルの保全指導と観察会で2回訪れた。自治体や地域住民の方々の意識も高く、素晴らしい自然環境とホタルの存続に期待できるが、全国に目を向ければ、ホタル保存会の高齢化が進んで保全活動が停滞し、環境の荒廃によりホタルが減少してしてしまっている地区も多い。若い人達への後継が急務であろうが、現実は難しい状況であり、今後の大きな課題である。
 本年最初に綴った「ホタル研究50年」の思いは、今もこれからも変わらない。来年のホタルが舞う時期には、多くの人々が正しい知識を持って観察し観賞して頂けるよう啓蒙活動をするとともに、生態と生息環境の調査研究を行いながら、日本各地に出向き保全指導の要望に応えていきたいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

ヒメボタルと天の川の写真
ヒメボタルと天の川
東京のヒメボタルの写真
東京のヒメボタル
ゲンジボタルとヒメボタルの写真
東京都内でゲンジボタルとヒメボタルが同時に舞う
滝とゲンジボタルの写真
日本の滝100選とゲンジボタル
ヤエヤマヒメボタルの写真
ヤエヤマヒメボタル

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霧ヶ峰より冬の星空

2022-12-05 16:34:37 | 風景写真/星

 霧ヶ峰より冬の星空を撮ってみたが、あいにく雲が広がってしまい澄んだ快晴の夜空を写すことはできなかった。

 この週末は、南房総で紅葉やチョウを撮ろうと計画していたが、できればこれまでに自分自身で撮ったことがない絵を撮りたい。更には他の人も撮っていないオンリーワンの絵を撮りたい。前記事でお分かりのように、先週の鏡池での大失敗が悔しくてたまらないこともあり、信州方面の天候条件が良ければ、既に撮ったことのあるチョウや誰もが撮っている紅葉よりも再度星空撮影を行おうと毎日天気予報をチェックしていた。
 すると3日の深夜から4日の未明までは何とか良さそうな天気予報。3日の夕方までGPV気象予報を見ていると、残念ながら鏡池や北アルプスには雲が広がってしまうが、諏訪辺りは朝まで快晴のようである。そこで、この冬に撮りたいと思っている星景写真の練習も兼ねて約2年ぶりに霧ヶ峰高原に行ってみることにした。霧ヶ峰では、一度だけ5月に夏の天の川を撮影したことがある。(参照:霧ヶ峰より天の川)諏訪や塩尻等の街明かりの影響を少し受けるが、それでも美しい星空を眺めることができる。
 3日の19時に都内の勤め先から直接現地へ向かった。中央道の談合坂SAで夕食をとり、そこで今一度GPV気象予報をチェック。大丈夫である。諏訪ICで降りて、まだ雪のないビーナスラインを走って霧ヶ峰に23時に到着。気温は3℃。見上げれば、ほぼ快晴である。しかしながら、すぐに撮影するわけにはいかない。月齢9.6の半月より大きい月が輝いているのである。この月が沈む4日午前2時まで車内で待機である。
 ここで、またもや失敗。寝てしまい起きたら3時。しかも薄雲が広がり始めており、急いで三脚にカメラをセットし撮影を開始した。連日4時半に自宅を出発して出勤。3日も同じように6時前に出勤し、退勤は19時でそのまま霧ヶ峰。徹夜で待機するのは無理であった。
 4時までの小一時間の撮影。プレアデス星団(和名すばる)やオリオン座、そして12月1日に約2年2カ月ぶりに地球に最接近した火星(すばるの左斜め上)などは画角に収めたが、寝坊と雲によって、全体的に美しい星景写真を撮ることはできなかった。こうなると先週の痛恨の大失敗が余計に悔やまれるが、今回は、この冬に撮りたいと構想を練っている星景写真の練習になり、課題と対策も分かったので無駄な遠征ではなかった。
 撮りたい星景写真の撮影場所は霧ヶ峰ではないが、霧ヶ峰も素晴らしい場所である。霧氷やダイヤモンドダストの撮影で訪れた時にチャンスがあれば、今度は綺麗な冬の星空を残しておきたいと思う。この日は、霧ヶ峰を4時過ぎに出発し、中央道諏訪ICから乗って、7時に帰宅した。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

霧ヶ峰より冬の星空の写真
霧ヶ峰より冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 2000(撮影地:長野県諏訪市 2022.12.04 3:13)
霧ヶ峰より冬の星空の写真
霧ヶ峰より冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 2000(撮影地:長野県諏訪市 2022.12.04 3:46)
霧ヶ峰より冬の星空の写真
霧ヶ峰より冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 2000(撮影地:長野県諏訪市 2022.12.04 3:48)
霧ヶ峰より冬の星空の写真
霧ヶ峰より冬の星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 2000(撮影地:長野県諏訪市 2022.12.04 4:03)
霧ヶ峰より冬の星空の写真
霧ヶ峰より冬の星空(10カットをパノラマ合成)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / PRO1D プロソフトン[A](W)使用 / マニュアル露出 F2.8 30秒 ISO 2000(撮影地:長野県諏訪市 2022.12.04 3:56)

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