ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

紅葉は難しい

2015-10-30 21:52:22 | 風景写真/紅葉

「まとめシリーズ第三弾」~紅葉は難しい~

 今年の秋は、仕事や講演会等で「まいめに池」以外は紅葉を見に行けそうもないので、過去に撮影した写真を現像し直しての 「まとめシリーズ第三弾」である。
 撮影した写真を見直してみると、「新緑」に比べて「紅葉」を美しく撮るのは難しいと気付かされる。その時々では、美しさに感動して撮るが、どれもその感動が表現出来ていない。色彩に惑わされて、人間が五感で感じたものを整理せずに、直感でただ撮ってしまったというものばかりで、何を伝えたいのかが見えない紅葉の写真ばかりである。
 自然風景を撮る、写す、という行為は、美しい光景を目の前にした時に、「美しい」という抽象的で漠然とした感覚を「1枚の写真」というものに具体化することであり、それには、自分は一体、何に感動し、何を美しいと感じているのかを明確に認識し、そしてそれをどう表現すればよいのかを考え、構図、露出を決定して、シャッター・チャンスを狙って撮ることが必要だ。
 そして、誰もが「美しい」と思う「芸術作品」にしなければならないと思う。有名な景勝地に行けば、それなりのものが撮れるだろうが、他人の真似ばかりしていては進歩がない・・・色々と思いながらも撮れない自分が悔しい。

お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、 画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

渋峠

渋峠「のぞき」
Canon EOS 5D Mark2 / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
絞り優先AE F14 0.8秒 ISO 100(撮影地:長野県下高井郡山ノ内町 2012.10.08)

湯檜曽の紅葉

湯檜曽の紅葉
Canon EOS 5D Mark2 / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
絞り優先AE F11 1/5秒 ISO 100 +1EV(撮影地:群馬県利根郡みなかみ町湯檜曽 2010.11.06)

美ヶ原の紅葉

美ヶ原の紅葉
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F18 1/4秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:長野県松本市美ヶ原 2012.10.20)

美ヶ原の紅葉

美ヶ原の紅葉
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F18 1/4秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県松本市美ヶ原 2012.10.20)

カラマツ黄葉

カラマツ黄葉
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F22 1秒 ISO 100(撮影地:山梨県甲州市 2011.11.5)

大銀杏と紅葉

大銀杏と紅葉
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 0.3秒 ISO 100 +1/3EV CPLフィルター使用(撮影地:東京都青梅市 2014.11.24)

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


スメタナ「モルダウ」(玉川大学管弦楽団)

2015-10-28 23:20:01 | 音楽

シリーズ:自演クラシック音楽1.~玉川大学管弦楽団

スメタナ 連作交響詩「わが祖国」よりモルダウ

 前々記事にて掲載した音楽ムービー。懲りずにまた作成した。今回は、「モルダウ」である。

 「モルダウ(The Moldau)」は、チェコの作曲家スメタナ(1824~1884)による全6曲からなる連作交響詩「わが祖国」の第2曲。モルダウ川(Vltava)は、ボヘミアを南から北に流れ、ラベ川(エルベ川)に合流するチェコの重要な河川の一つであり、曲は、源流からプラハ市内へと続く、上流から下流への川の情景が非常に鮮明に描写されている。
 スメタナの「わが祖国」では、この「モルダウ」が有名だが、是非、全6曲を聞いて頂きたい。お薦めは、社会主義化を逃れて亡命したチェコ出身の指揮者クーベリックが、祖国の民主化に際し42年ぶりに帰国し、かつての手兵チェコ・フィルハーモニーを振った「プラハの春」の記念的演奏の翌年、チェコ・フィルと共に1991年11月2日東京サントリーホールで行った、格調高く気迫に満ち溢れた演奏(ライブ録音)である。第5曲「ターボル」から間を置かずに第6曲「ブラニーク」へ。冒頭の金管楽器の気合いに満ちた美しいファンファーレに鳥肌が立ち、最後の「高い城」のメロディーには、涙が止まらない。CD及びDVDが販売されている。参照:クーベリックの「我が祖国」に感涙

 この動画は、玉川大学管弦楽団(首席フルートは、私)が、1986年に演奏した時のライブ録音を編集したものである。オーケストラでのフルート吹きなら、「モルダウ」は一度は吹いてみたい曲の1つである。LPレコード化したものを音源としているため、後半は雑音がかなり入ってしまっている。

Youtubeの再生は、設定をHDに

スメタナ 連作交響詩「わが祖国」よりモルダウ(1986年10月5日 川崎市麻生文化センター ライブ録音)

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


富士10景

2015-10-26 22:06:58 | 風景写真/富士山

「まとめシリーズ第二弾」~富士10景~

 世界文化遺産に認められ、日本人の信仰や日本の芸術創作の源泉である富士山。24日の夜、NHKの番組「ブラタモリ」を見ていたら、富士山の生い立ちと美しさの秘密について放送していた。(10/31にシリーズ第4回目の放送がある)私も山頂に2度ほど登ったことがあるが、最近は、遠くから眺め、時には写真を撮っているだけである。
 この山ほど写真に撮られている山はないのではないだろうか。富士山を専門に撮られている方の足元にも及ばないが、私も素人ながら過去に幾つかの富士山を撮影しているので、それぞれ違う場所から、主役や脇役として撮影した富士10景を並べてみた。

お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、 画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

紅富士

紅富士
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F11 1/4秒 ISO 100 -1EV(撮影地:山梨県忍野村 2011.1.3 6:54)

雲見千貫門と富士山

雲見千貫門と富士
Canon EOS 5D Mark2 / EF17-35mm f/2.8L USM
絞り優先AE F22 1.3秒 ISO 100(撮影地:静岡県賀茂郡松崎町 2012.1.2 16:35)

富士山

逆富士
Canon EOS 5D Mark2 / EF17-35mm f/2.8L USM
絞り優先AE F20 0.5秒 ISO 100 -1EV(撮影地:山梨県南都留郡山中湖村 2012.1.7 7:01)

忍野富士

忍野富士
Canon EOS 5D Mark2 / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
絞り優先AE F13 1/5秒 ISO 100 +1EV(撮影地:山梨県南都留郡忍野村 2012.1.7 7:50)

霧氷と富士山

霧氷と富士
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F11 0.5秒 ISO 100 +1EV(撮影地:長野県塩尻市・高ボッチ高原 2012.12.02 6:56)

富士山(三ツ峠)

三ツ峠より富士
Canon EOS 5D Mark2 / EF17-35mm f/2.8L USM
絞り優先AE F11 1/30秒 ISO 100(撮影地:山梨県南都留郡富士河口湖 2012.12.31 7:48)

富士山

富士とススキ原野
Canon 5D Mark2 / EF17-35mm f/2.8L USM
絞り優先AE F18 1/10秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:山梨県富士河口湖町 2013.11.17)

富士山

富士の夕景
Canon EOS 5D Mark2 / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
絞り優先AE F11 1/50秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:神奈川県箱根町 2014.11.29 16:19)

富士山

茜富士
Canon EOS 5D Mark2 / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
絞り優先AE F11 1/10秒 ISO 100 -2EV CPLフィルター使用(撮影地:山梨県富士河口湖町 2013.12.14 16:30)

富士山

水ヶ塚より富士
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/10秒 ISO 100 CPLフィルター使用(撮影地:静岡県裾野市/水ヶ塚 2015.2.11 6:39)

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


水鏡の四季彩

2015-10-21 21:53:53 | 風景写真/湖沼

「まとめシリーズ第一弾」~水鏡の四季彩~

 紅葉の「まいめの池」を掲載し、周囲の風景を映し出す水鏡の美しさを前記事で紹介したが、これまでに撮影した、池や湖を「水鏡の四季彩」として4点ピックアップしてみた。過去に個別に掲載していた写真を別のテーマに基づいてまとめてみるのも面白い。

お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、 画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

中綱湖

中綱湖(春)
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 0.4秒 ISO 100 -1/3EV CPLフィルター使用(撮影地:長野県白馬村 2015.5.3)

御射鹿池

御射鹿池(初夏)
Canon EOS 5D Mark2 / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
絞り優先AE F11 30秒 ISO 100(撮影地:長野県茅野市奥蓼科 2010.06.20)

木戸池

木戸池(秋)
Canon EOS 5D Mark2 / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
絞り優先AE F14 1/13秒 ISO 100 -1EV(撮影地:長野県下高井郡山ノ内町 2012.10.08)

御射鹿池の雪景色写真

御射鹿池(冬)
Canon EOS 5D Mark2 / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
絞り優先AE F2.2 30秒 ISO 100(撮影地:長野県茅野市奥蓼科 2014.12.07)

御射鹿池の雪景色写真

御射鹿池(冬)
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F3.2 30秒 ISO 100(撮影地:長野県茅野市奥蓼科 2014.12.06)

田代池の霧氷写真

田代池(冬)
Canon EOS 5D Mark2 / EF17-35mm f/2.8L USM
絞り優先AE F18 1/6秒 ISO 50 +1EV(撮影地:長野県松本市/上高地 2013.01.05)

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


まいめの池 ~紅葉~

2015-10-18 16:20:22 | 風景写真/湖沼

 まいめの池は、長野県松本市安曇・乗鞍高原の中央部を占める一の瀬園地(標高1,500m)にある小さな池。周辺には、「あざみ池」「どじょう池」「偲ぶの池」等、幾つかの池があり、トンボの撮影には「あざみ池」が良いが、紅葉を撮るならば「まいめの池」だろう。
 トンボやチョウではなく、久しぶりに自然風景との真剣勝負。見頃の時期を待って、フルサイズ機種の Canon EOS 5D MarkⅡ を持って出掛けた。

 10月17日雨の土曜日。午後から会議のために出勤。自宅から車で会社に向かい、退勤後は自宅に戻らずにそのまま長野へ向かった。
 中央道諏訪SAで夕食をとり、松本ICで降りて乗鞍高原へ。国道158号線(野麦街道)は、傾斜のある急カーブが多く、またトンネルが狭い。この2~3年で何回走ったか分からないほど通い慣れた道だが、真っ暗な夜道は、いつも怖さを感じる。前後を走る車はなく、時々対向車とすれ違う程度。闇に吸い込まれていく。
 乗鞍高原の一の瀬園地に22時に到着。車を降りて見上げれば、快晴の空に満天の星。乗鞍岳の右方向に流れる天の川。写真に撮ろうと思ったが、気温7℃。寒さと疲労に負けて断念。4時半にアラームをセットして就寝。
 朝、目覚めると、駐車場には全部で3台。想像していたよりも、かなり少ない。気温は3℃まで下がっていた。5時。準備を整え、懐中電灯を頼りに池まで歩く。先客は4名。挨拶を交わした後、とりあえず池のほとりに三脚を立て夜明けを待った。

 まいめの池の全貌が明らかになり、撮影可能になった午前5時半。撮影開始である。快晴無風で冷え込んだ朝ならではの池から湧きたつ靄が、幻想的な雰囲気を醸し出している。さざ波一つない水面は、水鏡となって柔らかな秋の色彩を映している。
 6時55分。池のほとりの紅葉に朝陽が当たり始める。今度は、キラキラと輝く秋の色彩が水鏡に映し出された。

注意:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、 画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

まいめの池の紅葉

まいめの池(紅葉)
Canon EOS 5D MarkⅡ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
絞り優先AE F11 4秒 ISO 100(撮影地:長野県松本市・乗鞍高原 2015.10.18 5:50)
写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

まいめの池の紅葉

まいめの池
Canon EOS 5(紅葉)D MarkⅡ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
絞り優先AE F6.3 30秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:長野県松本市・乗鞍高原 2015.10.18 5:33)
写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

まいめの池の紅葉

まいめの池(紅葉)
Canon EOS 5D MarkⅡ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F11 0.3秒 ISO 100(撮影地:長野県松本市・乗鞍高原 2015.10.18 6:59)
写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

まいめの池の紅葉

まいめの池(紅葉)
Canon EOS 5D MarkⅡ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F11 0.4秒 ISO 100 CPLフィルター使用(撮影地:長野県松本市・乗鞍高原 2015.10.18 7:07)
写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

 乗鞍岳の紅葉は、シャトルバスで乗鞍スカイラインを通ると赤いナナカマドが美しい。一方、乗鞍高原では、ダケカンバやミズナラの黄色が ほとんどを占めるため、色彩的には物足りなさを感じてしまう。ただ、一の瀬園地には、紅一点の絵になる「大カエデ」があり、丁度、見頃と思われたが、おそらく、どのように撮っても他の方々と対して変わらぬ絵になるので、今回は、「まいめの池」だけに集中した。

 これまで、四季を通じて各地の池湖風景を撮影してきたので、参考までに以下に記す。

御射鹿池
水鏡
大田切池
木戸池と一沼
小田代湖
中綱湖(水鏡)
田代池の霧氷

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


ヤマキチョウ属2種

2015-10-16 22:42:15 | チョウ/シロチョウ科

 シロチョウ科のヤマキチョウとスジボソヤマキチョウ。レモン・イエローの美しい2種は、半逆光で撮影することで魅力を引き出せる。

シロチョウ科(Pieridae)

モンキチョウ亜科(Coliadinae)

ヤマキチョウ族(Gonepterygini)
ヤマキチョウ属(Gonepteryx)
ヤマキチョウ(Gonepteryx rhamni maxima)
スジボソヤマキチョウ(Gonepteryx aspasia)

ヤマキチョウ(Gonepteryx rhamni maxima)
 8月頃に羽化し、そのまま成虫で越冬して翌年5月頃まで見ることができるが、分布は極めて狭く、青森県と岩手県、 長野県と山梨県の一部地域にしか生息していない。これは、ヤマキチョウの生息環境が乾燥した明るい高草原地帯で、幼虫の食樹がクロツバラのみであることが所以であるが、 環境悪化や採集等により、生息地においても数は減少傾向にある。
 近縁種のスジボソヤマキチョウに似ているが、形態では、前翅先端の突起が弱く、翅に赤系の縁取りがあることで区別できる。
 環境省レッドリストでは絶滅危惧IB類に選定され、近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種である。

ヤマキチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 +1EV(撮影地:山梨県富士河口湖町 2013.08.27)

スジボソヤマキチョウ(Gonepteryx aspasia)
 紀伊半島を除く本州と四国に分布し、高原や林縁、渓流沿いなどに生息している。食樹は、クロツバラの他にクロウメモドキも食べる。 生態的にも相違点があり、スジボソヤマキチョウは、ヤマキチョウよりも早い7月に羽化し、しばらく活動後、夏眠する。9月頃になると再び現れ、 ヤマキチョウ同様にそのまま成虫で越冬し、春に産卵し、5月頃まで生き続ける。
 山梨県や長野県等では比較的出会うことが多い種である。

スジボソヤマキチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F5.0 1/500秒 ISO 200 +1EV(撮影地:長野県長野市鬼無里 2014.7.12)

参照
ヤマキチョウ
スジボソヤマキチョウ
スジボソヤマキチョウ(夏眠前)
晩夏のお花畑にて

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


ミルンヤンマ

2015-10-15 22:05:52 | トンボ/ヤンマ科

 ミルンヤンマ(Planaeschna milnei)は、7cmほどでの中型のヤンマで、大きな複眼と腹部が少しくびれているのが特徴。 丘陵地や山地の流れの緩やかな渓流などに生息している。6月下旬頃に羽化し、11月頃まで見られる。昼間は、薄暗い藪の中で木の枝にぶら下がって休んでいるが夕暮れに飛びまわり、 小さな昆虫を捕食する。秋になると、日中でも捕食活動を行う。
 ミルンヤンマは、日本特産種で北海道南部・本州・四国・九州・南西諸島の一部など広範囲に分布している。環境省RDBに記載は ないが、北海道と長野県では準絶滅危惧種、神奈川県では要注目種に選定されている。

 カトリヤンマの撮影に訪れた場所は、水田の脇に雑木林、その間に小さな流れがあり、ミルンヤンマの生息場所にもなっている。 14時を過ぎた頃、何頭かのミルンヤンマが飛びだしては虫を捕らえて枝に静止するという光景が見られた。
 日陰に止まっているため1枚目はストロボを使用し、2,3枚目はノーマル撮影だが、日陰の時は、ストロボを使用した方が 複眼の色彩が美しい。

参照:
ミルンヤンマの産卵
ミルンヤンマ
ミルンヤンマ(メス)
ミルンヤンマのヤゴ

ミルンヤンマ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F8.0 1/10秒 ISO 400 -1EV ストロボ使用(撮影地:神奈川県北部 2015.10.12 14:47)

ミルンヤンマ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F10 1/30秒 ISO 3200(撮影地:神奈川県北部 2015.10.12 15:05)

ミルンヤンマ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F10 1/40秒 ISO 3200(撮影地:神奈川県北部 2015.10.12 15:11)

ミルンヤンマ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4(撮影地:神奈川県北部 2015.10.12 15:11)

 この週末は、天気にもよるが、フルサイズ機の Canon EOS 5D Mark2 を持ってGW以来の自然風景(紅葉)の撮影を予定。次の週末は、チョウを求めて和歌山遠征に出かけるが、その後は、昆虫から離れて「霧氷」を追いかけるシーズンとなる。

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


カトリヤンマ

2015-10-12 21:12:22 | トンボ/ヤンマ科

 カトリヤンマ(Gynacantha japonica)は、北海道南部から九州まで広く分布し、平地や丘陵地の細い流れや池沼、 林縁の水田などに生息するヤンマである。
 夏に羽化し、昼間は、薄暗い藪の中で木の枝にぶら下がって休んでいるが夕暮れや早朝に飛びまわり、文字通り蚊や小さな昆虫を捕食する。秋になり成熟すると産卵時期を迎え、メスは午後になると稲刈りが終わった水田の畔などの泥の中に産卵、オスは水田の上でホバリングする今が旬のヤンマである。
 カトリヤンマは、かつて普通に見られた種だが、圃場整備による水田の乾燥化や山裾の水田の放棄荒廃により、近年減少傾向が著しい。環境省RDBカテゴリにはないが、20の都県でRDBに掲載しており、関東では東京都と千葉県で絶滅危惧Ⅰ類に、神奈川県では準絶滅危惧種に選定している。

 これまで何度か撮影しているが、未だにメスの産卵の様子を綺麗に撮影できていない。そこで、今年も産卵シーンを狙うべく、神奈川県の生息地を訪れた。
 13時過ぎに到着すると、すでにオスのカトリヤンマがホバリングを行っていた。14時になると1頭のメスが現れ、稲穂の中に消えて行った。圃場では、まだ1/3ほどの稲が刈られていない。メスは、そこを選んで稲の根本付近の土に産卵するのである。稲をかき分けて入って行くわけにもいかず、結局、今回も残念ながら産卵シーンを撮ることができなかった。
 産卵行動は基本的には夕方に多く行われるが、気温とも関係があり、季節が進み、気温が低ければ14時頃から行われると言われている。この場所(水田)は、森の東側に位置しており、14時には、水田のほとんどが日陰になる。16時まで待機したが、その後、オスもメスもやってくることはなかった。この日の気温は、23℃。産卵行動は、産卵場所の日照とも関係があるかも知れない。

カトリヤンマ

カトリヤンマ(オスのホバリング)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F9.0 1/400秒 ISO 2500(2015.10.12 13:15)

カトリヤンマ

カトリヤンマ(オスのホバリング)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F9.0 1/400秒 ISO 1250(2015.10.12 13:19)

カトリヤンマ(オスのホバリング)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F9.0 1/500秒 ISO 800(2015.10.12 13:19)

カトリヤンマ

参照:
カトリヤンマ(未熟)
カトリヤンマ(産卵)
カトリヤンマ
カトリヤンマ(飛翔)

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


日本ホタルの会シンポジウム 開催のお知らせ

2015-10-11 21:58:41 | ホタルに関する話題

日本ホタルの会シンポジウム 開催のお知らせ

第22回 日本ホタルの会シンポジウム -ホタルを通じて身近な自然環境を考える-

 「ホタルはどこで入手できますか?」という問い合わせがよく届きます。最近ではインターネットを通して容易にホタルを購入することができますので、 飼育方法や再生する野外の環境特性の理解が不十分なままにホタルの再生活動を始めてしまうと、飼育もうまくいかず、環境も整っていないのに、安易に購入したホタルを放し続けている という事態になりかねません。
 一方では、最近の生物多様性・地域固有性の認識の高まりから、購入したホタルの放流についての懸念が指摘されています。 しかし、あまりにも厳密なことを言い過ぎると、ホタルがいなくなってしまったところでは、何の活動もできないことになってしまいます。

 そこで、22回を迎える今回の「日本ホタルの会シンポジウム」では、ホタルの入手先を探しているような場面を想定して、 室内飼育から野外での再生までの具体的なノウハウを解説します。
 そして、その後の討論では、飼育技術の質疑を交えながら、環境のもつ生態的な許容量や、ホタルだけではなくホタルも棲めるような 環境づくりを考え、日本国内のホタルを守ろうと活動する多くの団体が抱える事情に合わせたホタルとの関わり方を検討していきたいと思います。

共催:日本ホタルの会・東京ホタル会議

日時:2015年11月28日(土)13:30~16:30

場所:工学院大学 新宿校舎 中層棟5階 B-0563教室
東京都新宿区西新宿1-24-2

シンポジウムのテーマ:ホタルの室内飼育から野外再生まで

定員:100名,事前申し込み不要

参加費:無料

13:00 開場
13:30 開会の挨拶
日本ホタルの会会長 本多和彦
東京ホタル会議顧問 柴 俊男
13:40 シンポジウムの趣旨説明
日本ホタルの会副会長・東京ホタル会議議長 鈴木浩文
13:50 基調講演
『ゲンジボタルの室内養殖と野外再生の具体的ノウハウ』
日本ホタルの会理事 古河義仁
14:50 休憩
15:00 討論・質疑応答
パネリスト
日本ホタルの会理事 古河義仁
多摩動物公園 教育普及課昆虫飼育展示係 杉田 務
東京ホタル会議副議長・日本ホタルの会理事 井上 務
司会
日本ホタルの会副会長・東京ホタル会議議長 鈴木浩文
16:30 閉会の挨拶
日本ホタルの会顧問・工学院大学准教授 釜谷美則

 このシンポジウムは、ホタルに関心のある方は勿論、自然環境に興味のある方、マスコミの方々等、どなたでもご自由に参加できます。
 どうぞ、お気軽にお立ち寄り下さい。

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


生態系被害防止外来種のチョウ

2015-10-06 22:10:23 | チョウ/アゲハチョウ科

 平成22年10月に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議において、「2020年までに侵略的外来種とその定着経路を特定し、優先度の高い種を制御・根絶すること」等を掲げた愛知目標が採択された。この愛知目標の達成に資するとともに、外来種についての国民の関心と理解を高め、様々な主体に適切な行動を呼びかけることを目的とした、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)」が、環境省と農林水産省によって作成された。
 リストには、計429種類(動物229種類、植物200種類)が掲載されており、昆虫類では22種がリストアップされており、中でも今回は、総合的に対策が必要な外来種(総合対策外来種)「緊急対策外来種」に選定されているのチョウ類2種、ホソオチョウ(Sericinus montela)とアカボシゴマダラ (Hestina assimilis assimilis)について記しておきたい。

 ホソオチョウとアカボシゴマダラは、人為的な放蝶行為によって、現在、日本国内に定着しているチョウである。この2種は、これまで、外来生物法の規制が課されるものではないが、生態系に悪影響を及ぼしうることから、適切な取扱いについて理解と協力をお願いするという「要注意外来生物」として扱われてきたが、先般の愛知目標によって作成された生態系被害防止外来種リスでは、「緊急対策外来種」に選定されている。
 珍しい、美しい等という人間の勝手な欲によって持ち込まれ、繁殖し拡大しようとしている昆虫。昆虫に罪はないが、排除されなければならない外来種である。とは言っても、ここまで拡大し定着してしまうと難しいのが現状だ。

ホソオチョウ(Sericinus montela)

ホソオチョウ/春型オス(撮影地:埼玉県所沢市 2011.4.24)

ホソオチョウ/春型オス(撮影地:岐阜県大野町 2012.4.28)所沢市の本種とは、翅の赤斑と青斑が異なっている

ホソオチョウ/夏型オス(撮影地:埼玉県所沢市 2011.7.17)

ホソオチョウ/夏型オス(撮影地:埼玉県所沢市 2011.7.17)

●原産地と分布
ロシア東部、中国、朝鮮半島
●定着実績
1978年に東京で確認されて以来、分布域は拡大し、これまでに関東、近畿の他、岐阜、岡山、山口、福岡で確認されている。
●評価の理由
在来種のジャコウアゲハとの食草をめぐる競合が懸念されている。植物防疫法で輸入が禁止されており、 これらの法令を遵守するとともに、放蝶に由来すると考えられる分布拡大を防ぐ普及啓発が必要。
●生態系に係る被害
幼虫期における在来種ジャコウアゲハとの競合のおそれがある。
●被害をもたらす要因
(1)生物学的要因
本種の幼虫はマルバウマノスズクサとウマノスズクサを基本的な食草として利用しており、在来種ジャコウアゲハとの競合が懸念される。 オオバウマノスズクサがある場合にはジャコウアゲハはオオバウマノスズクサを利用するが、ウマノスズクサしかない地域では、両者が同じ資源を利用することになり、 競合がおこると考えられる。
(2)社会的要因
日本への侵入、定着及び分布拡大の多くは人為的な放蝶行為によるものと考えられている。
●特徴ならびに近縁種、類似種について
アゲハチョウ科ギフチョウ属の1属1種のチョウ。春型では全体に白い翅色を持ち、夏型は黒色と黄色を呈する、上記の特徴と長い尾状突起を持つ点で類似する種はない。
●その他の関連情報
本種はもともと飛翔力の乏しい種類で特にメスは食草ウマノスズクサの群落からあまり離れることがない。このような種が各地に分布を拡大している背景には意図的な放蝶行為が 繰り返されていることが示唆される。京都府の木津川堤防における調査では、本種の個体数がピーク時でジャコウアゲハの10~30倍にも達している。また、ジャコウアゲハのみしか 生息していない区域に比べ両者が生息している区域ではジャコウアゲハの生息密度が低いことが指摘されている。東京都内での繁殖は報告がないが、近隣の埼玉県所沢市では、 極狭い範囲において繁殖・定着が見られる。植物防疫法に基づく検疫有害動物として輸入が禁止されている。
●注意事項
植物防疫法に基づく検疫有害動物として輸入が禁止されている種であり、国内で意図的に放蝶して野外への定着を試みる行為は、被害の予防の観点からも、厳に慎むべきである。

アカボシゴマダラ(Hestina assimilis assimilis)

アカボシゴマダラ/春型メス(撮影地:東京都青梅市 2012.06.10)

アカボシゴマダラ/夏型オス(撮影地:東京都三鷹市 2010.08.28)

●原産地と分布
中国、朝鮮半島、済州島、台湾
●定着実績
1998年に神奈川県藤沢市で確認されて以来、発生は続き、分布域は拡大している。2004年には藤沢市、横浜市、鎌倉市、逗子市、葉山町、綾瀬市、大和市、茅ヶ崎市で確認されている。
●評価の理由
在来種のコマダラチョウとの食草をめぐる競合が懸念されている。植物防疫法で輸入が禁止されており、これらの法令を遵守するとともに、放蝶に由来すると考えられる分布拡大を防ぐ 普及啓発が必要。
●生態系に係る被害
幼虫期における在来種ゴマダラチョウとの食草をめぐる競合のおそれ。現在は未侵入であるが、環境省レッドリストで準絶滅危惧のオオムラサキの生息地に侵入した場合、 オオムラサキと食草をめぐって競合する可能性も考えられる。
●被害をもたらす要因
(1)生物学的要因
本種の幼虫は食樹エノキの枝の分岐、幹上でも越冬するため、落葉で越冬するゴマダラチョウ幼虫よりも早く新葉に到達し、到達した葉上で台座を作りその位置を占めることが できるため、アカボシゴマダラの方が優位ではないかと推察されている。アカボシゴマダラ同士の観察では、先に新葉に到達した個体がいる場合、後からやってきた個体が反転して 去ってしまう行動が観察されており、ゴマダラチョウとの間でもそのような行動が見られる可能性もあるが、実態は不明。
(2)社会的要因
現在定着している地域では1997年以前にはまったく確認されていなかったので、侵入、定着は人為的な放蝶行為によるものと考えられている。
●特徴ならびに近縁種、類似種について
同属で在来種のゴマダラチョウとは後翅の亜外縁に赤色の紋を持つことで区別される。白化型では赤紋が消失するが、黒色部分が少なく、 ゴマダラチョウとの区別は容易。また、奄美大島、徳之島に産する亜種shirakiiとは春型など低温期に白化型がでることや、後翅の赤紋の色彩、形状が異なる。
●その他の関連情報
1998年に最初に確認されてから、着々と分布を拡大しているので今後の動向に注目が必要。東京都内でも、随所で普通に見られる程、定着・繁殖している。
●注意事項
植物防疫法に基づく検疫有害動物として輸入が禁止されている種であり、国内で意図的に放蝶して野外への定着を試みる行為は、被害の予防の観点からも、厳に慎むべきである。

参考文献

福田晴夫他 (1983) 原色日本蝶類生態図鑑(Ⅱ). 保育社. 325pp.
藤井恒 (2002) ホソオチョウ. 日本生態学会編「外来種ハンドブック」地人書館. P. 157.
桜谷保之・菅野格朗 (2003) 京都府木津川堤防におけるホソオアゲハの生態―特に在来種ジャコウアゲハとの比較―. 巣瀬司・枝恵太郎共編「日本産蝶類の衰亡と保護 第5集」 日本鱗翅学会, p. 181-184.
小路嘉明 (1997) 持ち込まれたホソオチョウ. 日本動物百科第9巻昆虫Ⅱ平凡社, p. 33.
岩野秀俊 (2005) 神奈川県におけるアカボシゴマダラの分布拡大の過程. 昆虫と自然, 40(4): 6-8.
福田晴夫他 (1983) 原色日本蝶類生態図鑑(Ⅱ). 保育社. 325pp.
中村進一 ・菅井忠雄・岸一弘 (2003) 神奈川県におけるアカボシゴマダラの発生. 月刊むし, (384): 38-41.
中村進一 ・菅井忠雄 (2005) 神奈川県におけるアカボシゴマダラの発生(2). 月刊むし, (409): 94-97.
環境省 自然環境局 野生生物課 外来生物対策室/ホームページ
国立研究開発法人 国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター 侵入生物研究チーム/ホームページ

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


日本のアカネ属

2015-10-03 19:09:46 | トンボ/アカネ属

 アカネ属、俗に言う「赤とんぼ」は、日本で22種見ることができるが、その内4種、タイリクアキアカネ(Sympetrum depressiusculum)、イソアカネ(マンシュウアカネ)(Sympetrum vulgatum imitans)、スナアカネ(Sympetrum fonscolombii)、オナガアカネ(Sympetrum cordulegaster)は、中国大陸等から飛来したもので、日本国内での繁殖は確認されていないため、日本に生息するアカネ属は、18種類になる。
 北海道にしか生息していないエゾアカネとヒメリスアカネ(リスアカネの亜種)を除く16種について、本年も今シーズンの区切りとして、分類と撮影した写真をまとめた。
 撮影したアカネ属の中でも、環境省RDBに記載がある絶滅危惧3種については、下記の和名に、その生態や撮影記を知るした記事へのリンクを貼ってあるので、参照いただきたい。

トンボ科アカネ属(Sympetrum属)

  • アキアカネ(Sympetrum frequens
  • タイリクアカネ(Sympetrum striolatum imitoides
  • ナツアカネ(Sympetrum darwinianum
  • マユタテアカネ(Sympetrum eroticum
  • マイコアカネ(Sympetrum kunckeli
  • リスアカネ(Sympetrum risi
  • ヒメアカネ(Sympetrum parvulum
  • ミヤマアカネ(Sympetrum pedemontanum elatum
  • ノシメトンボ(Sympetrum infuscatum
  • コノシメトンボ(Sympetrum baccha matutinum
  • ネキトンボ(Sympetrum speciosum
  • キトンボ(Sympetrumcroceolum
  • オオキトンボSympetrum uniforme)絶滅危惧ⅠB類
  • ムツアカネ(Sympetrum danae
  • ナニワトンボSympetrum gracile)絶滅危惧Ⅱ類
  • マダラナニワトンボSympetrum maculatum)絶滅危惧ⅠB類
  • エゾアカネ(Sympetrum flaveolum) 未撮影
  • ヒメリスアカネ(Sympetrum risi risi) 未撮影

アキアカネ(撮影地:富山県 2015.9.21)

タイリクアカネ(撮影地:兵庫県小野市 2013.11.02)

ナツアカネ(撮影地:東京都あきる野市 2014.10.18)

マユタテアカネ(撮影地:東京都あきる野市 2010.10.10)

マイコアカネ(撮影地:栃木県真岡市 2010.10.11)

リスアカネ(撮影地:富山県氷見市 2015.9.20)

ヒメアカネ(撮影地:東京都あきる野市 2010.11.03)

ミヤマアカネ(撮影地:山梨県山中湖村 2013.08.14)

ノシメトンボ(撮影地:千葉県袖ヶ浦市 2014.10.11)

コノシメトンボ(撮影地:東京都町田市 2011.9.25)

ネキトンボ(撮影地:東京都八王子市 2010.09.18)

キトンボ(撮影地:埼玉県秩父郡 2010.10.23)

オオキトンボ(撮影地:兵庫県小野市 2013.11.02)

ムツアカネ(撮影地:長野県茅野市 2012.09.22)

ナニワトンボ(撮影地:兵庫県小野市 2013.09.14)

マダラナニワトンボ(撮影地:福島県会津若松市 2011.10.08)

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


ヒサマツミドリシジミの発生時期に関する考察

2015-10-01 18:26:12 | チョウ/ゼフィルス

 ヒサマツミドリシジミの飼育を4月と5月に試み、卵から蛹までの様子を富山県在住の 中 毅士 氏とともに観察した。 その結果から、自然界での発生時期に関して考察したい。

 ヒサマツミドリシジミ(Chrysozephyrus hisamatsusanus)は、一般的には6月下旬頃から7月上旬頃に見られるが、 ほとんどが発生地ではなく、山の尾根や山頂等である。ヒサマツミドリシジミは、移動性が強く、発生地から離れた場所で生活するのである。(一説には、発生地は渓谷の 切り立った崖のために風が強く、また飛翔能力が弱いために吹き上げられてしまう、とも言われているが定かではない。)
 オスは7月中には姿を消すが、メスは夏眠をすると考えられており、秋口になると発生地に戻り、9月下旬頃から10月上旬頃にかけて、 食樹であるウラジロガシの冬芽に産卵する。オスが生活する移動先において、メスを目撃することはないと言われている。
 メスは、食樹に朝陽が当たり、渓谷の河原にも朝陽が当たると舞い降りて行き、石の上等に止まって吸水を始める。 この行動は、2015年9月23日に、現地にて実際に観察し「ヒサマツミドリシジミ(メスの吸水行動)」で報告した。吸水後は、ウラジロガシに真っ直ぐに飛んで戻る。午前9時頃までは、 食樹から降りてきては吸水を行うが、9時を過ぎると少なくなり、その後産卵行動に移ると思われる。
 卵を産み付ける場所は、20m以上に達するウラジロガシの樹冠部で、樹上の最先端の梢よりは一段下がった梢である。 また、70%が梢の先端に産み付けるのではなく、先端部より3~4枚下方の葉腋の冬芽の基部に生み付けている。(これは、2015年3月24にウラジロガシから採卵した際に観察した。) 卵は直径が1mmに満たず、このまま卵で越冬する。

ヒサマツミドリシジミの卵(撮影:中 毅士 氏 2015.2.15)

孵化後の殻(2015.4.1)

 有効積算温度は不明だが、ヒサマツミドリシジミの1齢幼虫は、ウラジロガシの冬芽が展開する前に孵化する。 飼育では4月1日であったが、生息地においても4月8日時点では孵化していたようである。
 孵化した1齢幼虫は冬芽に穴を空けて中に潜り込む。理由は不明だが、冬芽の中は、小さな幼虫が外敵から身を守るのに最適な環境であると考えられる。 この行動は、他のミドリシジミ族でも見られる。
 冬芽の中で若葉をほとんどを食べつくし、脱皮をして、他の新芽が展開する頃に外に出てくる。

ウラジロガシの冬芽に潜る(撮影:中 毅士 氏 2015.4.17)

ヒサマツミドリシジミの幼虫(2齢 2015.4.7)

ヒサマツミドリシジミの幼虫(3齢 2015.4.17)

 巣は作らず、若葉を食べながら早いスピードで成長する。3齢、終齢ともに若葉と同じ保護色をしている。

ヒサマツミドリシジミの幼虫(4齢 2015.4.17)

 孵化後、およそ一ヶ月で蛹化するが、蛹化時は、ほとんどが枝から地上の降り、落ち葉(枯葉)の裏返った表側で蛹化し、 一部は、下に降りずに枝で蛹化する。前蛹期間は2日ほどで、前蛹も枯葉と同様の色をしている。(写真は、撮影のために裏返した。)

ヒサマツミドリシジミの前蛹(2015.4.26)

ヒサマツミドリシジミの前蛹(2015.4.26)

ヒサマツミドリシジミの蛹(2015.4.26)

 蛹は、段々と黒ずんでいき、10日から2週間で羽化する。飼育では、5月上旬頃に羽化すると思われたが、管理が上手くいかず、 死なせてしまった。蛹の期間は、直射日光が当たらず、ある程度の湿度がなければ、乾燥して死んでしまうようである。
 孵化の時期や成長速度、羽化までの日数等は、温度と関係しているが、飼育では、孵化から羽化までの日数は45日であった。

ヒサマツミドリシジミの蛹(撮影:中 毅士 氏 2015.5.25)

羽化したヒサマツミドリシジミのオス(撮影:中 毅士 氏 2015.5.25)

羽化したヒサマツミドリシジミのオス(撮影:中 毅士 氏 2015.5.25)

生息場所に放蝶したヒサマツミドリシジミ(撮影:中 毅士 氏 2015.6.2)

 自然界においてヒサマツミドリシジミが見られると言われる6月下旬頃から7月上旬頃は、発生地からの移動後であるから、羽化時期はそれよりも 前であることは間違いない。飼育では、5月上旬から下旬にかけて羽化していた。自然界よりも飼育の温度が高く、成長速度が速かったことが理由として挙げられるが、 ウラジロガシの若葉の展開や成長に合わせてヒサマツミドリシジミの幼虫も生育していることを考えると、自然界においては、飼育下よりも若干遅い程度の時期、つまり、 5月中旬~6月上旬には羽化しているのではないかと考えられる。
 羽化した成虫は、一ヶ月近く発生木に留まっているのか、あるいは徐々に場所を変えながら移動するのかは不明であるが、 観察地である北陸では、6月下旬頃から7月上旬頃には、発生木で成虫を確認することはできなかった。また、当地では移動先も不明である。
 これらのことから下記の1つの仮説を立て、来年、生息地において調査をしたいと思う。

「ヒサマツミドリシジミは、成虫が目撃される6月下旬頃から7月上旬頃よりも、かなり早い時期に羽化している。」

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------