ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

富士山と天の川

2020-02-24 14:30:24 | 風景写真/星

 富士山と天の川の撮影で山梨へ。

 令和となり、2月23日は天皇誕生日となったので2月としては初の3連休。当然、霧氷やダイヤモンドダスト、寄せ氷などの厳冬期ならではの光景を撮る計画を立てていた。肝心の天候は、22日の土曜日は朝晩に雨。しかし、何と関東地方では「春一番」が吹き気温が下がらない。長野県の霧ケ峰等のライブカメラを見ても少しだけ雪が積もった程度。予報を見ると翌23日は晴れだが風が強く、24日は穏やかに晴れるが放射冷却はなし。これでは、霧氷などは全く見ることが出来ない。
 前回、撮影に出かけたのは1月31日の「根本海岸 白浜の屏風岩」。その後何回も土日祭日がありながら、霧氷が付く天候がなく、すべて自宅待機。このままこの3連休もずっと家に閉じこもっていては、ストレスが溜まってしまう。霧氷でなければ、どこに行って何を撮ろうか・・・?そう、2月23日は「富士山の日」である。
 富士山といっても、どんな光景を撮るか?勿論、ただ富士山だけを撮る気はない。しかし、天候から朝焼けと夕焼けは期待できない。田貫湖と河口湖、山中湖の逆さ富士は既に撮っており、同じ場所から同じような写真を撮る気にもならない。さて、どうするか・・・天気は快晴で月明かりもないとくれば、富士と星空しかない。ちょうど、夏の天の川が午前3時頃から昇ってくる。天の川は、夏冬ともに各地で撮影しているが、富士山と夏の天の川の組み合わせは、「富士と天の川(本栖湖)」「富士と天の川(河口湖)」「ペルセウス座流星群と富士」に続いて4回目になる。撮るならば、絶対に今までとは違った絵にしたい。そこで、これまで行ったことがなく光害もない場所をGoogleマップのストリートビューで探して決定し、行くことにした。

 23日の18時に自宅を出発。中央道上り上野原付近の大渋滞を横目に快適に進む。現地近くの「道の駅」に20時到着。自宅を午前1時に出発しても撮影はできるが、 自宅のベッドで寝れば起きるのが辛い。いつもそうだが、今回も車中泊。2時50分に起きて撮影地へ向った。
 標高1,100m。気温マイナス4℃。目前には迫力ある富士。あらかじめ決めておいた構図で3時21分から5時7分まで130カットを撮影。過去に3回、この場所から2kmほど離れた所より富士山と星空を撮影しているが、今回の場所は、光害が全くないこと、富士山までの距離が近いこと、そして天候条件の良さから、多くの星々と天の川を捉えることができた。火球や流れ星も多く見られたが、大半はフレーム外。ただし、運良く5カットに流星が写っていた。構図や露光等全体的に見て自己満足度の高い写真が撮影できたと思う。

 さて、気象庁によれば、1月~2月は記録的な暖冬で、今後も気温は平年より高い予想で、春の訪れが早く、桜の開花も平年より早まりそうだとしている。過去には、3月に奥日光で霧氷、霧ケ峰でダイヤモンドダストを撮影しているが、今季は、もう冬景色は諦めるしかないかも知れない。
 昨年のように4月に雪が降るという強烈な寒の戻りがなければ、昆虫たちも早くに活動を始める。それはそれで嬉しいので、今後の気温変化と積算温度を見ながらスケジュールを組み直したいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

富士山と天の川の写真

富士と星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 30秒 ISO 1250(撮影地:山梨県富士河口湖町 2020.2.24 4:38)

富士山と天の川の写真

富士と星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 30秒 ISO 1250(撮影地:山梨県富士河口湖町 2020.2.24 4:46)

富士山と天の川の写真

富士と星空
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F2.8 30秒 ISO 1250(撮影地:山梨県富士河口湖町 2020.2.24 4:58)

Mt. Fuji and the Milky Way ~富士山と天の川(富士ヶ嶺より)~

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夜と朝の間

2020-02-11 19:49:05 | 風景写真/冬

 夜と朝の間と言えば、1969年10月1日に発売されたピーターのデビューシングル「夜と朝のあいだに」のメロディーが浮かんでくるのは同年代以上。若い方々は、エレファントカシマシや音大出身のメンバーで結成されたポップスロックバンドの「マカロニえんぴつ」が浮かぶかも知れないが、歌手や楽曲の話題ではない。
 私の風景写真は、朝の光景が多い。チョウやトンボの昆虫撮影でも、朝一の活動時間から観察や撮影をするので、当然、夜から現地に入り車中泊などして待機している。その時に目にし、体験するのが 「夜と朝の間」である。時間的には朝日が顔を出す前になるのだろうが、調べてみると日本語には多くの言葉がある。上の3つは、時間的な表現であり、下の4つは状況的な表現になろう。

  • 未明:まだ夜が明けきらない時分(気象庁/午前0時から午前3時頃まで)
  • 明け方:夜の明けようとするころ(気象庁/午前3時頃から午前6時頃まで)
  • 夜明け:日の出前(太陽の中心が地平線下の7度21分40秒に来た時刻)
  • 黎明:夜明け。明け方。
  • 暁:太陽の昇る前のほの暗いころ。(あかつき)
  • 東雲:夜が明けようとして東の空が明るくなってきたころ。(しののめ)
  • 曙:ほのぼのと夜が明けはじめるころ。(あけぼの)

 これだけの言葉がありながら、作詞家はなぜ「夜と朝の間」という言葉を選んだのだろうか?それは「心境」や「心情」を表現したいからだ。眠りにつく夜ではなく、目覚めた朝でもない時間。人は何を感じ、何を思うのか・・・
 気象庁は「明け方」を3時間としているが、詞によれば「夜と朝の間」はいつまでも続いたり、探しても見つからないことさえある。「夜と朝の間」は心の中にあるのかもしれない。ただし、相対性理論等の理論物理学では「心境」や「心情」の変化で時間の進む速度は変化すると言われているし、気持ちの持ちようで別の時間軸に乗り換えてしまうこともあると言うから、詞だけの世界ではなさそうだ。
 「夜と朝の間」は「闇と光の間」という意味で捉えることもできる。旧約聖書冒頭の書である「創世記」では、始めに闇があり、神は闇を夜と名付け、天地創造の一日目の仕事は光をつくることだったとある。「光」は全ての源になっているが、昨今では、必ずしも闇が悪で光が善とも限らない。光が怖く、光が差さないこともある。やはり、気持ちの持ちようで別の時間軸に乗り換えてしまうのだろうか。

 以下に3枚の写真を載せた。何れも空気の澄んだ寒い冬にカラマツと空を撮影したものである。時間的には「明け方」であるから、表題は「黎明」や「東雲」などを付けたくなるが、単に夜から朝へのグラデーションに心惹かれただけではなく、3枚とも「夜と朝の間」と題した。
 不確実性の現代を生きる私たちにとって、期待と不安と葛藤で眠ることができない「夜と朝の間」が永遠に続くことがないよう祈りたい。また、未来に起こることが悪い方へ変化しないよう、今の時間軸のレールを進むために、ぶれない気持ちを持ちたい。さて、あなたは「夜と朝の間」に何を思うだろう・・・ちなみに“夜と朝”は、ギリシア語で“女と男”という意味を兼ねている。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。

夜と朝の間の写真

夜と朝の間
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F9.0 30秒 ISO 100 -1EV(撮影地:山梨県甲州市/柳沢峠 2011.1.07)

夜と朝の間の写真

夜と朝の間
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.6秒 ISO 100(撮影地:栃木県日光市/戦場ヶ原 2016.1.02)

夜と朝の間の写真

夜と朝の間
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 0.6秒 ISO 50 +1 2/3EV(撮影地:長野県松本市/上高地 2013.1.05)

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根本海岸 白浜の屏風岩

2020-02-02 15:16:10 | 風景写真/海

 根本海岸 白浜の屏風岩は、千葉県南房総市白浜町にあり、海岸の波打ち際から屏風のように直立している。この岩は、新生代中新世(約2500万年~500万年前)のものであるという。日本列島は、太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレートがぶつかっており、太平洋プレートはユーラシアプレートに向けて1年に10cmくらいの速度で移動し沈みこんでいくが、根本海岸 白浜の屏風岩は、その力によって大きく押し曲げられ、波のようにうねった「褶曲構造」となった地層の一部であると言われている。現在見えているものは、波の侵食に強い泥板岩と弱い砂岩の互層が隆起したもので、洗濯板のような岩磐が汀線に沿い屏風のように切り立って東西500m以上沖まで連なっている。1955年には、千葉県の天然記念物に指定されている。

 本来、この時期は霧氷等の冬らしい光景を撮りたいところだが、かなりの暖冬で、私にとっては厳しい冬である。ただし、癌の術後の一年前とは違って、打席数は少ないものの前回の箱根はホームラン。昨年暮れの「蒲生の棚田」からヒット続きで気分は良い。このまま打率を維持していくには綿密な計画立案が必須だが、最終的には全て天候次第であるから努力のしようもない。この週末は、長野県の開田高原を視野に入れていたが、予報では気温が下がらず断念。そこで第二候補としていた千葉県南房総市白浜町の根本海岸へ向かうことにした。
 根本海岸には、2012年1月8日の夕方に訪れ撮影しているが、その時は越冬しているチョウの探索次いでに何の下調べもなく訪れたため、当地の特徴的な写真は撮れなかった。(掲載写真2及び3) 今回は半年前から事前に色々と調べて計画を立てており、イメージトレーニングも入念に行い、諸条件合致のタイミングを見極めた上での再訪である。

 根本海岸 白浜の屏風岩の美しさは何か?インターネットで根本海岸 白浜の屏風岩の画像検索をすると、様々な画像が表示されるが、これらを凌ぐ一枚を残したい。先般、撮影した「秋谷の立石」同様に根本海岸も夕暮れが良い。日の入りの方角は、1月と2月は屏風岩の正面からやや右側方向に沈んでいくが、3月になればフレームアウトしてしまうので、沈む夕日も写し込むのであれば2月末まで。また12~2月の寒い時期は「岩のり」の繁殖期に当たるため、屏風岩が緑色に覆われ独特の色彩になるから、やはり2月末までがチャンスである。
 次に潮位。満潮の時間には、洗濯板状の屏風岩は海の中に沈んでしまい、巨岩だけが見える海岸になってしまう。洗濯板状の屏風岩が作り出す不思議な景色を見ることができるのは干潮の時間帯である。ただし、緑色の岩だけ撮っても絵にならない。岩の間に潮だまりがあり、その静かな水面に夕暮れの空を映したい。干潮時、特に大潮では海水が大きく引いてしまうから難しいだろう。そこで気象庁が発表しているデータと自身の都合を照らし合わせて日程を幾つか決めておいた。
 最後は、天気である。沈む太陽は勿論必須条件だが、できれば快晴ではなく「雲」が欲しい。欲を言えば赤く焼けてくれれば最高である。選定した日の初日は2月1日(土)。運よく1月31日(金)は勤務が昼までの日で、金曜日に海に行っても土曜日は山にも行ける。30日(木)に天気予報を細かくチェックし、31日は根本海岸 白浜の屏風岩の撮影に最適と判断し決行することにした。

 1月31日金曜日。晴れ時々曇り。13時半に出発し、会社からそのまま南房総へ向かう。渋滞もない首都高湾岸線、アクアライン経由で館山自動車道。途中、 ハイウェイオアシス富楽里で遅い昼食。おばちゃん達が作る濃厚味噌チャーシュー麺と味付け卵は美味かった。
 館山自動車道の冨浦ICから先を進むと、空が怪しい。都内は快晴だったのに、ここまで来たらどんよりと曇ってポツポツ雨が・・・寒気が入って、不安定になっているのだろう。ただし、海の彼方には晴れ間がある。根本海岸には15時半に到着。早速ロケハンである。
 海岸に人影はない。さすが冬の平日午後の海岸である。念入りにポイントを定めセッティング。まずは説明的なカットを1枚。その後は夕暮れまでの間、TAMRONの70-200mmレンズで他の場所の写真と動画をいくつか撮影。雲間からは、天使のはしごが降りていた。きっと、微笑んでくれるに違いない・・・
 日の入り時刻は17時5分。CanonのEF17-35mmレンズに変えその時を待つ。浜辺に一人。沈む夕日に刻々と変わる色彩。地球の長い歴史と鼓動を感じるダイナミックな光景に更に星が輝き出し、その果てしのない広がりと時の流れに涙が溢れた。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。尚、Facebookでは、以下掲載写真の一部を1920*1280 Pixelsで投稿しています。

白浜の屏風岩の写真

根本海岸 白浜の屏風岩(説明的1枚)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 1/4秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2020.1.31 15:46)

根本海岸の巨岩の写真

根本海岸 白浜の屏風岩(2012年撮影)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F22 30秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2012.1.08 16:57)

根本海岸の写真

根本海岸(2012年撮影)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F25 3.2秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2012.1.08 16:32)

白浜の巨岩の写真

根本海岸 巨岩
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 1/6秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2020.1.31 16:21)

白浜の屏風岩の写真

根本海岸 白浜の屏風岩(天使のはしご)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 1/15秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2020.1.31 16:26)

白浜の屏風岩の写真

根本海岸 白浜の屏風岩
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 0.6秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2020.1.31 16:48)

白浜の屏風岩の写真

根本海岸 白浜の屏風岩
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 2.5秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2020.1.31 17:13)

白浜の屏風岩の写真

根本海岸 白浜の屏風岩(日の入り)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 0.8秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2020.1.31 17:04)

白浜屏風岩の夕暮れ写真

根本海岸 白浜の屏風岩の夕暮れ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 0.8秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2020.1.31 17:08)

白浜屏風岩の夕暮れ写真

根本海岸 白浜の屏風岩の夕暮れ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 5秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2020.1.31 17:26)

白浜屏風岩の夕暮れ写真

根本海岸 白浜の屏風岩の夕暮れ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 13秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2020.1.31 17:32)

白浜屏風岩の夕暮れ写真

根本海岸 白浜の屏風岩の夕暮れ
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Canon EF17-35mm f/2.8L USM / 絞り優先AE F18 10秒 ISO 100(撮影地:千葉県南房総市白浜町 2020.1.31 17:33)

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