ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

蒲生の棚田(冬の朝景)

2020-01-07 16:10:43 | 風景写真/冬

 蒲生の棚田は、新潟県十日町市松代地区の蒲生(かもう)にある棚田。松代地区には、この他に桜の棚田として知られている「儀明の棚田」や大小様々な棚田およそ200枚が斜面に広がる「星峠の棚田」など風光明媚な棚田が多くあり、2013年から四季を通じて通い始めた。これまでに、春には桜、雲海と水鏡、夏には天の川、秋には紅葉、そして冬は雪景色を撮影したが、冬景色に関しては、どうしても納得がいく写真が撮れていなかった。そこで、昨年の12月29日に十日町市を訪れたのであった。
 撮影場所に選んだ棚田は、朝霧が発生しやすく、小さな山間いに広がる日本の原風景とも言える蒲生の棚田である。星峠も良いが、車が転落して死亡事故も起きているほど一部農道が狭く、雪が降ると車で上がるのは危険であり、また人気のあるスポットであるから、車が多ければ駐車場所に困ることは過去の経験から予測できた。更には、昨今マナーの悪いカメラマンが多いので、計画からは外した。

 私が撮りたい棚田の冬の朝景は、以下に記した幾つもの条件が揃った光景である。しかも、私の休日と重ならないと撮れない。

  • 雪が積もっていること
  • 田んぼには、雪が積もっていないこと(できれば水鏡)
  • 木々も雪で白いこと
  • 朝霧が出ていること
  • 朝日で朝霧が染まること

 蒲生の棚田への挑戦は今回が初めてではない。2016年の12月には2回訪れているが、2回とも条件の幾つかが欠けており惨敗。そもそも、この時期の新潟は、天候が一旦崩れると晴れることは滅多になく、それが私の休日と重なること自体、奇跡に近い。それに加え、田んぼには雪が積もっておらず、更には朝日で染まる朝霧の出現という条件が揃うには、現地に住んで毎朝訪れる他はないと思っていた。

 今回の正月休みは、運良く9連休。天気予報をチェックすると、新潟県十日町市は28日に雪マーク。そして翌29日は朝から晴れとなっていた。暖冬なのだろうか。新潟は、このところ雪が降っておらず、27日にライブカメラで確認するとまったく雪が積もっていなかったが、28日午前中のライブカメラでは、雪!雪!雪!願ってもない大チャンスである。
 自宅を14時に出発。圏央道の入間ICから関越自動車へ。赤城高原SAで「ブー次郎みそらぁめん」を食べて先に進むと、沼田IC辺りからは雪。関越トンネルを出た土樽PAからは、チェーン規制であった。六日町ICで降り十日町方面に進むと、雪は止んでいて霧が出ていた。18時半に現地の駐車場に一番乗り。見上げると雲間から星が見えた。「これなら大丈夫。」いつものように好きな音楽ビデオを見ながらワインを1本空けて気を失う。
 朝6時。何と快晴である。雪の積もった棚田には朝霧も出ており、田んぼの形も分かる。カメラマンは私を含めて5人で思ったより少ない。じっくりと集中して撮影開始である。何枚か撮って朝日を待っていると、日の出時刻になって朝霧が消えてしまった。ガッカリしたのか、3人は撮影を止めて引き上げていった。もう1人も30分ほどしたら諦めて帰ってしまった。残ったのは、私1人。
 私には、予感があった。朝日が当たる斜面の一部から湯気が立ち上っていたからである。「きっと、何かが起きる・・・」冷たさで感覚がなくなる足先に耐えながら、棚田の向こうの谷間を見ていると、徐々に霧が集まり濃くなっていくのが分かった。霧は、まるで生き物であるかの様に成長しながら、ゆっくりと棚田の方へ移動して来る。1時間後、再び奇跡は起こった。
 今回の光景は、先に挙げた条件の1つ(木々も雪で白いこと)と一部(田んぼが水鏡)が欠け、また雪が少々少なく地面の土が若干見えるので自己満足度70%ではあるが「冷静に自然と対峙し、自分の心を見つめ、自分が感動し、人々にも感動していただけるオンリーワンの写心」に少しだけ近づけた結果であるように思う。
 最後に載せた映像は、1枚目の写真と同じように彩度を極力落として「冬の原風景」を表してみた。写真とは違った「蒲生の棚田」の光景をご覧いただきたい。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

蒲生の棚田の写真

蒲生の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F14 0.8秒 ISO 100 -1EV(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29 6:47)

蒲生の棚田の写真

蒲生の棚田(夜明け前)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.2 30秒 ISO 100 -1EV(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29 6:11)

蒲生の棚田の写真

蒲生の棚田(夜明け前)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F14 2秒 ISO 100 -1EV(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29 6:37)

蒲生の棚田の写真

蒲生の棚田(夜明け前)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F14 2秒 ISO 100 -1EV(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29 6:45)

蒲生の棚田の写真

蒲生の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F14 0.8秒 ISO 100 -1EV(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29 6:46)

蒲生の棚田の写真

蒲生の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F22 1/50秒 ISO 100(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29 8:54)

蒲生の棚田の写真

蒲生の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F22 1/20秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29 7:46)

蒲生の棚田
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO(撮影地:新潟県十日町市 2019.12.29)

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