ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態や生息環境を研究し保全活動をしていますが、趣味で撮影した昆虫や日本の四季
自然風景の写真も紹介しています。

御射鹿池の四季

2019-10-27 13:44:20 | 風景写真/湖沼

 御射鹿池の四季と題して、この10年間に撮影した四季折々の光景の中から12点を一つの記事としてまとめてみた。

 御射鹿池は、長野県茅野市の奥蓼科温泉郷に通じる「湯みち街道」沿い、標高およそ1,500mにある小さな農業用ため池で、その名は、諏訪大社に伝わる神に捧げるための鹿を射るという神事「御射山御狩神事」に由来する。湖面に映り込む自然の美しさはまさに一幅の絵のようで、私の叔父の友人であった東山魁夷画伯の「緑響く」(1982年制作)という名画のモデルにもなっている。

 東山魁夷画伯は、御射鹿池について次のように語っている。
一頭の白い馬が緑の樹々に覆われた山裾の池畔に現れ、画面を右から左へと歩いて消え去った・・・そんな空想が私の心のなかに浮かびました。
私はその時、なんとなくモーツアルトの「ピアノ協奏曲23番の第二楽章」K488の旋律が響いているのを感じました。
おだやかで、ひかえ目がちな主題がまず、ピアノの独奏で奏でられ、深い底から立ち昇る嘆きとも祈りとも感じられるオーケストラの調べが慰めるかのようにそれに答えます。
白い馬はピアノの旋律で、木々の繁る背景はオーケストラです。

 私が御射鹿池を初めて見たのは20年ほど前。奥蓼科の明治温泉に家族旅行で行った時であった。「何て美しい池なんだ」その時の印象は今でも消えない。しばらく訪れる機会がなかったが、2010年の6月、意を決して撮影に臨んだ。(写真1~3)
 まずは、画伯の「緑響く」を意識する。ただし、こちらは絵画ではなく写真。「創作」ではなく「写実」であり「記録」である。レンズを通して見たものがそのまま写る。「緑響く」には、木々の緑が一番美しい時期、時間帯と天候を読み、更に無風である時を選ばねばならない。また、定番構図であっても、自然とじっくり対峙して得られる「感性」や「感情」がなければ、写真と言えども「作品」にはならない。この時は、千葉県の鴨川でホタルの観察と撮影を終えた後そのまま向かい、深夜から池の縁で待機した。
 午前4時。うっすらと明るくなり、これまで漆黒の闇に包まれていた御射鹿池が、姿を現す。池面や背後の木々には朝霧が立ちこめているが、時間ととも、その美しさが増し、刻々と変化する色彩に胸がどきどきした程だ。様々な色調が重なり背景の木々を鏡のように池面に映し、神秘的なまでに静謐な美しさをたたえ、画伯が描いた「心の静寂」と「祈り」を感じることができた。ただし、私にはモーツアルトの「ピアノ協奏曲23番の第二楽章」の旋律ではなく、マーラーの交響曲第5番の第4楽章「アダージェット」が響いていた。

 御射鹿池の美しさに魅了され、その後は緑の時期だけではなく秋や冬にも訪れた。中秋の名月と月明りに照らされる光景も撮った。画伯の絵画を超えることはできないが、「美しい被写体の一番美しい瞬間を、美しく撮りたい。」今後は、「御射鹿池と水鏡に映る輝くカラマツ霧氷」の1枚を加えるのが目標である。

 ちなみに、御射鹿池は、以前は存在を知っている写真家しか訪れない池であったが、2008年頃に女優 吉永小百合さんが出演したシャープAQUOSのCMに使われてからは徐々に有名になり、その後インターネットやSNSで情報が広がると、数年前には大きな駐車所が出来て、今では大勢が訪れる観光スポットになっている。池の周りに柵が設けられてからは、時期や時間を選ばないと撮影の場所取りが大変なようである。そんな中では「心の静寂」と「祈り」を感じることはできないかも知れない。

 まずまずの天気の今週末。撮影できる昆虫が少なくなる昨今、近場の里山に行けば、それなりの成果を挙げることができるだろう。昆虫写真は観察記録にもなるが、「今年も同じカットを撮りました」では、自身の写欲を満たすだけで進歩がない。次の3連休は、天候によって奥日光の自然風景、または和歌山遠征で自然風景とチョウの撮影を予定してる。場合によっては、両方に行くことも考えている。御射鹿池の撮影でもそうだが、「一期一会だから・・・」は結果が出せなかった時の言い訳。目標達成のために、準備と覚悟をもって臨みたい。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。

御射鹿池の写真

御射鹿池
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F11 30秒 ISO 100(撮影地:長野県 2010.6.20 4:24)

御射鹿池の写真

御射鹿池(緑響く)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F11 25秒 ISO 100 -1EV(撮影地:長野県 2010.6.20 4:29)

御射鹿池の写真

御射鹿池(緑響く)
Canon EOS 7D / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F11 4秒 ISO 200 -1EV(撮影地:長野県 2010.6.20 4:26)

御射鹿池の写真

御射鹿池(緑響く)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/25秒 ISO 10 -1EV(撮影地:長野県 2018.8.25 17:04)

御射鹿池の写真

月光の御射鹿池
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 40秒 ISO 1250 トリミングあり(撮影地:長野県 2018.9.23 18:26)

御射鹿池の写真

御射鹿池(初秋)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/10秒 ISO 100(撮影地:長野県 2012.10.20 14:03)

御射鹿池の写真

御射鹿池(初秋)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 1秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県 2012.10.20 14:05)

御射鹿池の写真

御射鹿池(晩秋)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F14 8秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県 2011.10.23 5:58)

御射鹿池の写真

御射鹿池(晩秋)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F14 4秒 ISO 100 -1EV(撮影地:長野県 2011.10.23 6:15)

御射鹿池の写真

御射鹿池(初雪)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.2 30秒 ISO 100(撮影地:長野県 2014.12.07 6:07)

御射鹿池の写真

御射鹿池(初雪)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 25秒 ISO 100(撮影地:長野県 2014.12.06 6:15)

御射鹿池の写真

御射鹿池(霧氷)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/160秒 ISO 100 +2/3EV(撮影地:長野県 2016.1.31 10:26)

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クロヒカゲ

2019-10-22 19:52:58 | チョウ/タテハチョウ科

 クロヒカゲ Lethe diana (Butler, 1866) は、タテハチョウ科(Family Nymphalidae)ジャノメチョウ亜科(?Subfamily Satyrinae)ヒカゲチョウ属(Genus Lethe)で日本全土に分布する。山地性・森林性が強く、薄暗い林内などに生息している。学名の「diana」は「月の神(ディアナ)」という意味をもっている。(英語読みではダイアナ)

 ヒカゲチョウやジャノメチョウの仲間は、色彩が地味で林内の暗い場所にいる種が多いことから、一部を除いては私的に撮影対象外のチョウにしてきたが、偶然に出会ったときに撮影してみると、羽化後間もない新鮮な個体であれば、その美しさに気づくこともある。クロヒカゲもそんな一種である。特に翅裏の蛇の目紋を取り囲む青紋が発達して、色鮮やかな個体もいるというから興味をそそられる。来年は、そんな点に注目して積極的に撮影していきたい。
 掲載写真は、クロヒカゲの他に、同属のヒカゲチョウ(ナミヒカゲ)とジャノメチョウ、ツマジロウラジャノメも掲載した。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。

クロヒカゲの写真

クロヒカゲ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F6.3 1/800秒 ISO 400 +1 1/3EV(撮影地:岐阜県 2019.9.14)

クロヒカゲの写真

クロヒカゲ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/400秒 ISO 200(撮影地:長野県東御市 2011.7.23)

クロヒカゲの写真

クロヒカゲ(メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 800 +1/3EV(撮影地:長野県 2017.8.13)

ヒカゲチョウの写真

ヒカゲチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F4.5 1/160秒 ISO 2000(撮影地:東京都青梅市 2011.9.10)

ジャノメチョウの写真

ジャノメチョウ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/250秒 ISO 2000(撮影地:東京都立川市 2011.7.24)

ツマジロウラジャノメの写真

ツマジロウラジャノメ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/400秒 ISO 250(撮影地:山梨県 2015.9.11)

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日本ホタルの会シンポジウム開催のお知らせ

2019-10-15 18:56:02 | ホタル

日本ホタルの会シンポジウム開催のお知らせ

第26回 日本ホタルの会シンポジウム
-ホタルを通じて身近な自然環境を考える-

主催:日本ホタルの会
日時:2019年11月9日(土)14:00~16:30
場所:工学院大学 新宿校舎 高層棟8階 A-0815教室 東京都新宿区西新宿1-24-2
参加費:500円(日本ホタルの会会員は無料)
事前登録不要, 定員170名

シンポジウムのテーマ:生物多様性を考慮した自然環境の保全・再生活動

 ホタルに関連する生物多様性の問題としては、ホタルを優先的に保全しようとする弊害やカワニナへのえさやりなど、生態系の多様性(環境)に関するものが少なくありません。一方,販売されているホタルを観光や興行目的で放出するケースや、ホタルの再生を進めたいが適切なホタルを容易に入手できない、ビオトープへの導入ホタルはどのように考えればよいのかなど、遺伝子の多様性への関心も高いと考えられます。しかし,他地域からの持ち込みは、感覚的には好ましくないと分かるのですが、その影響がどのように進み、何がもたらされるのかについて明確に答えることは難しいと考えられます。
 ホタルを身近に楽しみたい、子どもたちに見せてあげたい、遺伝子の多少の違いにこだわる意味が分からないなど、そういった声に答えられるようにしていかなければならないと思います。
 今年のシンポジウムでは、まず、東京近郊におけるゲンジボタルの遺伝子攪乱現況を解説します。そして,ユネスコ・未来遺産「見沼たんぼプロジェクト」に参加している「見沼田んぼ保全市民連絡会」代表の村上氏より、30年に渡る市民活動を通して、遺伝子の保全を含めて生物多様性を保全できるような保全市民活動の進め方をご講演して頂きます。その後,会場の皆様と共に、生物多様性を考慮した自然環境の保全・再生活動のあり方を考えていきたいと思います。

【プログラム】

2019年11月9日(土)

13:30 開場

14:00~14:05 開会の挨拶
日本ホタルの会会長 本多和彦

14:05~14:30 シンポジウム趣旨説明
『東京近郊のゲンジボタルの遺伝子攪乱現況』/日本ホタルの会副会長 鈴木浩文

14:30~15:30 基調講演
『見沼田んぼ保全活動30年から市民活動への伝言』/見沼田んぼ保全市民連絡会代表 村上明夫

15:30~15:40 休憩

15:40~16:25 質疑応答
司会:日本ホタルの会理事 渋江桂子

16:25~16:30 閉会の挨拶
日本ホタルの会理事 井上 務

ホタルの写真

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オオルリボシヤンマ(10月)

2019-10-07 20:34:00 | トンボ/ヤンマ科

 ルリボシヤンマの青メス探索後、標高1,400mの池に立ち寄ってみた。周囲の木々は色づき始めており、あと2週間もすれば紅葉の見頃になるだろう時期にも関わらず、オオルリボシヤンマが何頭も産卵中。他にキトンボ、ムツアカネも多数が産卵していた。
 キトンボ(この池での生息は初確認)は、今が最盛期と思われるが、過去にこの池でオオルリボシヤンマとムツアカネの産卵を撮影したのは、2016年8月20日。今回は一か月半も遅い。2017年の10月8日に新潟県の池でオオルリボシヤンマの産卵を撮影してはいるが、そちらの標高はおよそ300mしかない。標高の高い高原で10月になっても盛んに活動していることに驚きである。今年9月の平均気温は、平年と比較するとここ10年で一番高い。訪れた日も日本各地で30℃を越える真夏日となり、当地は正午で22℃。気候の変動が、昆虫の活動に与える影響は大きい。
 これまで何度も撮影してきた被写体及びシーンではあるが、記録として以下に掲載した。

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オオルリボシヤンマ産卵の写真

オオルリボシヤンマ(産卵)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F7.1 1/400秒 ISO 500 +2/3EV(撮影地:長野県 2019.10.05 12:24)

オオルリボシヤンマ産卵の写真

オオルリボシヤンマ(産卵)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F7.1 1/400秒 ISO 1000 +2/3EV(撮影地:長野県 2019.10.05 12:23)

オオルリボシヤンマ産卵の写真

オオルリボシヤンマ(産卵)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F7.1 1/250秒 ISO 250 +1EV(撮影地:長野県 2019.10.05 12:32)

オオルリボシヤンマの写真

オオルリボシヤンマ(メスの飛翔)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F7.1 1/250秒 ISO 320 +1EV(撮影地:長野県 2019.10.05 12:33)

オオルリボシヤンマ(産卵)

キトンボの写真

キトンボ(連結飛翔)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F7.1 1/200秒 ISO 400(撮影地:長野県 2019.10.05 12:07)

キトンボの写真

キトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F7.1 1/250秒 ISO 200(撮影地:長野県 2019.10.05 12:10)

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ルリボシヤンマ 青メス探索

2019-10-06 13:05:38 | トンボ/ヤンマ科

 ルリボシヤンマ 青メス探索で信州へ。

 ルリボシヤンマ 青眼型メスは、先月に岐阜県で撮影したが、胸部と腹部斑紋も水色になる完全な青色型のメスを撮りたい。ただし、すでに10月に入り中部山岳地帯におけるルリボシヤンマの発生は終わっているかもしれない。他の昆虫も含めて一枚も撮れない覚悟が必要。
 5日。午前2時に起床し自宅を2時半に出発。いつもなら前日の夜に出発して、現地または現地近くで車中泊するのだが、今回は行くことに迷いがあり、2時に起きることができたら向かうことにしたが、執念ともいうべきか、目覚まし時計の音ですぐに起き、無心のまま車を走らせた。
 目的である池(標高1,600m)に6時半到着。5年前の8月に2回訪れたことがあり、ルリボシヤンマの生息は確認済みだが、当時は青色型のメスの確認をしていなかった。おそらくここにいるに違いないと言う虫屋の勘での訪問である。気温10℃。寒い。紅葉も始まっている。池は日当たりが良く、8時過ぎには朝陽が当たり始めたが、トンボもチョウもいない。手がかじかんできたので、諦めムードで車内待機。
 9時。これでいなかったら帰ろうと池を覗くと、1頭のヤンマが池上に出た草の間から飛び出し、また降りて行った。産卵していたようだ。サイズはかなり小さく、複眼をはじめ全体的に黒っぽい。 車に戻ってカメラをセットし、再び池を覗くと、そのメスは林の中へと飛び去ってしまった。季節が進み、これだけ寒くても、まだいてくれたことが何より嬉しい。
 その後、3頭のメスを確認。1頭だけ撮影できたがノーマルタイプであった。最初に目撃したメスは、老熟のために黒っぽく見えたのだろうが、若い時期であれば、複眼と胸部、腹部斑紋も水色である可能性が高いように思う。来年は、この池に的を絞って個体数の多い発生最盛期に訪れたい。

 この日東京では30℃以上の真夏日。10月としては異例の暑さだが、標高1,600mの当地の気温は、10時で15℃。それでもアキアカネのペアがあちこちで産卵を始め、ルリボシヤンマのオスも5頭出てきた。ホバリングを交えながら、メスが産卵していそうな場所を丹念に飛び回り、時折、池畔の白樺に太い幹に止まって休む様子も見られた。オオルリボシヤンマのオスもそうだが、休憩時は小枝にぶら下がることはほとんどない。太い幹にべたっと止まることが多い。日中、ルリボシヤンマのオスたちは、かなり念入りにメスを探すが、オスが多く出てくると、メスは産卵にはやってこない。産卵は、オスがいない朝と夕方限定なのである。
 夕方まで待ってみようかとも思ったが、来年の再訪に期待し、お決まりのオスのホバリングを撮影して当地を11時過ぎに引き上げた。

 帰りがけに標高を200m下げた池に立ち寄ってみた。ここでは、オオルリボシヤンマが何頭も産卵中。他にキトンボ、ムツアカネ、オオアオイトトンボが多数、そしてキベリタテハも見られた。

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ルリボシヤンマの写真

ルリボシヤンマ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F7.1 1/250秒 ISO 160(撮影地:長野県 2019.10.05 10:40)

ルリボシヤンマの写真

ルリボシヤンマ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F7.1 1/200秒 ISO 160(撮影地:長野県 2019.10.05 10:40)

ルリボシヤンマの写真

ルリボシヤンマ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F7.1 1/400秒 ISO 1000 +2/3EV(撮影地:長野県 2019.10.05 11:22)

ルリボシヤンマの写真

ルリボシヤンマ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F7.1 1/200秒 ISO 125(撮影地:長野県 2019.10.05 11:05)

ルリボシヤンマの写真

ルリボシヤンマ(産卵)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F7.1 1/200秒 ISO 250(撮影地:長野県 2019.10.05 10:01)

ルリボシヤンマの写真

ルリボシヤンマ(産卵)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F7.1 1/250秒 ISO 200(撮影地:長野県 2019.10.05 10:02)

ルリボシヤンマの写真

ルリボシヤンマ(産卵)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / Speedlite 550EX / 絞り優先AE F7.1 1/200秒 ISO 400(撮影地:長野県 2019.10.05 10:08)

紅葉の写真

紅葉
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F7.1 1/500秒 ISO 320(撮影地:長野県 2019.10.05 13:05)

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