ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態や生息環境を研究し保全活動をしていますが、様々な昆虫や美しい日本の四季
自然風景の写真も撮っています。

ルリイトトンボ

2018-07-19 22:21:38 | トンボ/イトトンボ科

 ルリイトトンボ Enallagma circulatum Selys, 1883 は、イトトンボ科(Family Coenagrionidae)ルリイトトンボ属(Genus Enallagma)で体長32mm~37mm、オスは美しい瑠璃色をしており、メスは青色型と緑色型の2型がある。黒い斑紋の出方は地域により変異があり、北方のものほど黒味が強い傾向がある。
 北海道、東北・上信越地方、福井県、石川県、岐阜県に分布し、北海道では平地の池沼でも生息しているが、本州では標高の高い山岳地の挺水植物の豊富な池や沼、湿原に生息している。
 近年、山間の池沼や湿原の減少、水源の枯渇や水温上昇などによる生息環境の悪化、湿原周辺の樹林伐採や大雨による土砂流入で産卵するヒツジグサ等の水生植物が埋まる等々が原因で個体数が激減している。また、一部では散策者の踏み荒らしが原因とも言われている。本種は、環境省カテゴリにはないが、栃木県では絶滅、宮城県、石川県では絶滅危惧Ⅰ類、新潟県では絶滅危惧Ⅱ類、青森県、山形県、福島県、岐阜県、福井県では準絶滅危惧種に選定している。

 ルリイトトンボは、2011年に長野県の池にて(写真3の連結態)撮影しているが、前記事のカラカネイトトンボを撮影した池にも多数見られた。本種は、羽化後は水域から離れて周辺の樹林で過ごし、成熟すると羽化水域に戻って繁殖行動を行うが、訪問時は将に繁殖時期であった。長野県のメスの個体は、ほとんどが緑色型であったが、当地のメスはほとんどが青色型であった。(当地での目標がカラカネイトトンボであったため、ルリイトトンボをほとんど撮影していなかったことを後悔している。)

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ルリイトトンボの写真

ルリイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200(撮影地:岩手県 2018.7.14)

ルリイトトンボの写真

ルリイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 250 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

ルリイトトンボの写真

ルリイトトンボ(雌雄の連結態)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.5 1/800秒 ISO 200 (撮影地:長野県 2011.7.16)

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カラカネイトトンボ

2018-07-18 20:07:14 | トンボ/イトトンボ科

 カラカネイトトンボ Nehalennia speciosa (Charpentier, 1840)は、イトトンボ科(Family Coenagrionidae)カラカネイトトンボ属(Genus Nehalennia)で、体長が26~30mmとヒヌマイトトンボに並んでたいへん小さい。未成熟個体は、複眼が乳白色で、胸部と腹部背面の色は金属光沢のある青緑色でアオイトトンボに似るが、成熟すると雌雄共に胸部と腹部背面が金緑色(唐金)となり、複眼は青色になる。老熟すると複眼の上部は茶褐色になる。イトトンボ科で体が金緑色に輝くのはカラカネイトトンボだけである。
 北海道から本州(群馬県以北)に分布し、寒冷地や高冷地のミズゴケ類の生える湿原や、ミズドクサ、スゲ類などの湿地を好む植物の繁茂する池沼に生息するが、生息地はかなり局所的である。また、湿地・池沼の開発、農薬による水質汚染、湿地乾燥遷移進行や過度の採集によって個体群も減少しており、環境省カテゴリにはないものの、青森県、宮城県、山形県、栃木県、群馬県のRDBで絶滅危惧Ⅰ類に、福島県、新潟県のRDBでは絶滅が危惧Ⅱ類、北海道では準絶滅危惧種に選定している。

 カラカネイトトンボは、2011年7月に群馬県の尾瀬ヶ原で撮影しているが、木道からの望遠撮影で、しかも未成熟個体ばかりであったため、今回の岩手遠征において撮影目標の1種にした。
 生息する場所では、後述するルリイトトンボやカオジロトンボに混じって、散策路脇にたいへん多くの個体を見ることができた。飛翔は穏やかで遠くには飛んでいかないが、葉などに止まっても、近づくとすぐに飛んでしまう。それでも、未成熟から成熟個体、老熟個体、交尾態など様々な図鑑写真を90mmマクロレンズで撮影することができた。尚、生息環境を一緒に写し込む場合は、少し引いた撮影や広角レンズで撮影するが、種の特徴が分かる図鑑写真を目的にした場合は、中途半端なマクロは避け、極力アップで撮るようにしている。
 本種が生息する一帯は、環境省がラムサール条約登録に向けた礎とすることや生物多様性の観点から重要な湿地を保全することを目的に「重要湿地」に選定している。

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カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 200 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 1600 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 250 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ(未成熟)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 2000 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ(成熟)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 320 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ(成熟)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 250 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ(未成熟のメス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 250 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ(雌雄連結)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 250 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

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エゾイトトンボの産卵

2018-07-01 16:19:29 | トンボ/イトトンボ科

 エゾイトトンボ Coenagrion lanceolatum (Selys, 1872) は、イトトンボ科(Family Coenagrionidae)エゾイトトンボ属(Genus Coenagrion)のイトトンボで、北海道・本州の分布。本州では岐阜県を南限として東北地方から中部山岳地域など、寒冷地の挺水植物が繁茂する湿原や滞水などに生息し、6月頃から羽化し始める。
 環境省カテゴリにはないが、山間の池沼や湿原の減少、湿原周辺の樹林伐採による土砂流入、水源の枯渇や水温上昇等の生息環境の悪化により、栃木県と岐阜県のRDBでは準絶滅危惧種として記載している。

 長野県松本市の乗鞍高原、標高1,450mにある「まいめの池」では、エゾイトトンボが多数発生しており、繁殖行動真っ盛りであった。
 連結しながら飛翔する雌雄を観察。産卵場所を決定し着地する主導権はメスにあるようである。メスの方が先に産卵場所に降り、オスは直立のままそれに従うが、しばらくすると着地する個体もいる。メスが体を完全に水中に沈めて産卵を行う個体も見られた。また、メスの体色を見ると、黄色のメス型と胸部が青色のオス型の個体が確認できた。

 6月29日、気象庁は関東甲信地方が梅雨明けしたとみられると発表。平年(7月21日ごろ)より22日早く、6月に梅雨明けするのは観測史上初との事。最高気温も連日35℃近くまで上昇し、暑い夏が始まった。7月は昆虫写真撮影の勝負の月。多くの目標を掲げているが、今年は例年よりも発生が早いので、予め立てたスケジュールでは思うように達成できないとの予想で、少しずつ前倒しの行動である。
 6月30日の早朝は、長野県某所にてウラジロミドリシジのオスの開翅を狙ったが、メスしか確認できず、メスの全開翅のみを撮影。その後、高標高のゼフィルスの発生を確認しに移動したが、流石に目標のゼフィルスは未発生であった。今後の計画を練り直して挑戦しようと思う。

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エゾイトトンボの写真

エゾイトトンボ(産卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200 +1EV(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.06.30)

エゾイトトンボの写真

エゾイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200 +1EV(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.06.30)

エゾイトトンボの写真

エゾイトトンボ(連結態)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 250 +1EV(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.06.30)

エゾイトトンボの写真

エゾイトトンボ(水中産卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 500 +1EV(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.06.30)

エゾイトトンボの写真

エゾイトトンボ(水中産卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200 +1EV(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.06.30)

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コフキヒメイトトンボ

2017-10-18 20:35:43 | トンボ/イトトンボ科

 コフキヒメイトトンボ Agriocnemis femina oryzae Lieftinck, 1962は、イトトンボ科(Family Coenagrionidae)ヒメイトトンボ属(Genus Agriocnemis)のトンボで、四国南部、九州、南西諸島に分布している。1964年以降山口県の山口市、防府市で生息が確認されていたが、現在は絶滅しているようである。主に低湿地の背丈の低い草におおわれた滞水や池沼、水田、ほとんど流れを感じないような溝川などに生息し、羽化した個体はほとんど羽化水域を離れず草の茂みの間で生活している。
 本種は、体長が20~25mmで、同属のヒメイトトンボとともに国内最小クラスであろう。モートンイトトンボ(体長25~28mm)やヒヌマイトトンボ(約30mm)に比べても小さい。また本種は、オスのみならずメスにも成熟段階の変化に伴う体色変化が見られる。未熟オスは地色が黄緑で胸に黒条が入り、腹部先端がオレンジ色であるが、成熟すると胸部は白粉で覆われ、尾部のオレンジは消えて黒に変わる。一方のメスは、未熟時は全身が鮮やかな赤であるが、成熟するとくすんだ緑色になり、老熟すると胸部にオスのような白粉をまとう個体もみられると言う。
 本種は、生息場所が局所的であるために環境の変化の影響を受けやすく、生息地の水質の変化、水位の低下、農薬・生活排水の流入による汚染等によって絶滅が危惧されている。環境省カテゴリに記載はないが、佐賀県では絶滅、徳島県、山口県、長崎県は絶滅危惧Ⅰ類に選定、高知県、熊本県では絶滅危惧Ⅱ類、愛媛県、福岡県、宮崎県では準絶滅危惧種に選定している。

 コフキヒメイトトンボは、前記事の「ベニトンボ」生息地において、池の脇にある草に茂った溝で見つけて撮影したが、とにかく小さいので、白い粉を吹いていなかったら気づかなかったかも知れない。生息の物理的環境条件が整っている場所は多くあったが、本種は、ごく狭い範囲においてのみしか見られなかった。飛翔は弱々しく、草の茂みの中を低空飛行してすぐに草の茎に止まるという様子であった。
 時期的に成熟した個体しか見られなかったが、機会があれば、未成熟個体の雌雄も写真に収めたいと思う。

 コフキヒメイトトンボは、初見初撮影の種で「昆虫リストと撮影機材」「蜻蛉目」で102種類目となる。

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コフキヒメイトトンボ(成熟オス)の写真

コフキヒメイトトンボ(成熟オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 400(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

コフキヒメイトトンボ(成熟オス)の写真

コフキヒメイトトンボ(成熟オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 250(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

コフキヒメイトトンボ(成熟オス)の写真

コフキヒメイトトンボ(成熟オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 320(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

コフキヒメイトトンボ(成熟オス)の写真

コフキヒメイトトンボ(成熟オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 640 +2/3EV(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

コフキヒメイトトンボ(成熟オス)の写真

コフキヒメイトトンボ(成熟オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 1000 +1EV(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

イトトンボの写真

未同定(コフキヒメイトトンボの成熟メス?)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 400(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

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クロイトトンボ属5種

2017-06-29 22:06:40 | トンボ/イトトンボ科

 クロイトトンボ属(Genus Paracercion)は、国内に以下の5種が生息している。中には、良く似ている種がおり、しかも同じ場所に混在していたり、雌雄で体色が異なっていたり、或いはメスの間でも体色が異なっているものもいる。クロイトトンボにおいては、青白い粉を吹く前の未成熟個体は、他の種に似ていて同定に困るが、各々、肩縫線上の淡色斑の有無及び眼後紋の形状と後頭条の有無等で判別する。
 本記事では、各種写真のみの掲載とし、それぞれの生息環境や生態についての解説はリンク先の記事を参照いただきたい。

クロイトトンボ属

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オオセスジイトトンボの写真

オオセスジイトトンボ(オス)

オオセスジイトトンボの写真

オオセスジイトトンボ(メス)

クロイトトンボの写真

クロイトトンボ(オス)

クロイトトンボの写真

クロイトトンボ(未成熟のオス)

クロイトトンボの写真

クロイトトンボ(連結態)

セスジイトトンボの写真

セスジイトトンボ(オス)

セスジイトトンボの写真

セスジイトトンボ(メス)

オオイトトンボの写真

オオイトトンボ(オス)

オオイトトンボの写真

オオイトトンボ(連結態)

ムスジイトトンボ(オス)

ムスジイトトンボ(メス)

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セスジイトトンボ

2017-06-26 22:45:50 | トンボ/イトトンボ科

 セスジイトトンボ Paracercion hieroglyphicum (Brauer, 1865)は、イトトンボ科(Family Coenagrionidae)クロイトトンボ属(Genus Paracercion)のイトトンボで、北海道・本州・四国・九州・及び周辺の離島に分布している。主に流れの緩やかな河川中流域から下流域に生息しているが、平地~丘陵地の沈水植物群落がある大きなため池等にも生息している。トンボは、生息環境が流水型と止水型と別れているのがほとんどであるが、本種はどちらの環境にも適応し、5月頃から9月下旬頃まで連続的に見ることができる。

 セスジイトトンボは、環境省RDBに記載はないが、東京都、高知県、愛媛県のRDBで絶滅危惧Ⅰ類、長崎県、千葉県で絶滅危惧Ⅱ類、北海道、茨城県で準絶滅危惧種として選定している。東京都内での生息地は極めて限られており、また私的に優先順位の低い種でもあったことから、なかなか撮影できない種であったが、今回、多産する長野県の池に立ち寄り、撮影することができた。
 池に到着し池面上を探すが、1頭も飛んでいない。ほとんどの個体が池から数メートル離れた草むらにおり、羽化したばかりと思われる未成熟個体も多く見受けられた。また、この池には、時期的なこともあるのか、あるいは環境的なものなのか判断できないが、イトトンボ類はセスジイトトンボだけで、他の種はまったく見られなかった。トンボ類では、ギンヤンマとシオカラトンボのオスが1頭ずつだけであった。

 セスジイトトンボは、「今年の撮影目標」のリストには入れてはいなかったが、初見初撮影で、当ブログの昆虫リスト(撮影しブログに掲載した種)「蜻蛉目」で100種類目となる。私の昆虫写真は、まずは特徴が分かる図鑑写真を撮ることであり、次に生態写真を撮ることであるので、追々、交尾態や産卵等の様子を加えていきたいと思う。
 これでクロイトトンボ属5種の写真を揃えることができたので、次の記事でクロイトトンボ属についてまとめたいと思う。

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セスジイトトンボ(オス)の写真

セスジイトトンボ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F9.0 1/250秒 ISO 400(撮影地:長野県 2017.6.24)

セスジイトトンボ(オス)の写真

セスジイトトンボ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.5 1/800秒 ISO 200(撮影地:長野県 2017.6.24)

セスジイトトンボ(メス)の写真

セスジイトトンボ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.5 1/800秒 ISO 200 +1/3EV(撮影地:長野県 2017.6.24)

セスジイトトンボ(メス)の写真

セスジイトトンボ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.5 1/1250秒 ISO 200(撮影地:長野県 2017.6.24)

セスジイトトンボ(未成熟)の写真

セスジイトトンボ(未成熟)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F9.0 1/250秒 ISO 320(撮影地:長野県 2017.6.24)

セスジイトトンボの生息する池の写真

セスジイトトンボの生息する池

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エゾイトトンボ

2017-06-06 21:39:01 | トンボ/イトトンボ科

 エゾイトトンボ Coenagrion lanceolatum (Selys, 1872) は、イトトンボ科(Family Coenagrionidae)エゾイトトンボ属(Genus Coenagrion)のイトトンボで、岐阜県を南限として福井県から上信越地方、東北、北海道に分布し、山地の池や沼、高層湿原の開けた明るい池に生息。分布及び生息環境ともに先述のカラカネトンボと同じである。
 形態は、同属で北海道、および新潟、長野、群馬、栃木、茨城県以北に分布するオゼイトトンボ Coenagrion terue (Asahina, 1949)と酷似しているが、腹部第2節背面の黒斑の形を見ると、エゾイトトンボのオスはスペード形、オゼイトトンボのオスはワイングラス形の模様をしているので区別できる。また、エゾイトトンボのメスには、青色型と緑色型があるようである。
 環境省RDBに記載はないが、山間の池沼や湿原の減少や、湿原周辺の樹林伐採による土砂流入、水源の枯渇や水温上昇などの生息環境悪化によって、栃木県及び岐阜県では、準絶滅危惧種として選定している。

 エゾイトトンボは関東では見ることができないので、生息地域に遠征した際に撮るイトトンボであるが、今のところエゾイトトンボの生態を撮るために生息地を訪れるというよりも、たまたま生息していたから撮るという種である。撮影した池ではエゾイトトンボとオゼイトトンボの両種が生息するが、エゾイトトンボの方が先に発生し、産卵のピークを過ぎた頃にオゼイトトンボが羽化してくるようである。
 訪れた日には、多くのエゾイトトンボの交尾態が産卵している様子を目の当たりにしながら、撮影をしなかったことを後悔している。今後は、羽化や産卵シーン等の撮影もしながら、生態や生息環境の知見を深めていきたいと思う。

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エゾイトトンボの写真

エゾイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F10 1/160秒 ISO 200(撮影日:2013.5.18)

エゾイトトンボの写真

エゾイトトンボ(青色型メスとの連結態)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 250(撮影日:2017.5.20)

エゾイトトンボの写真

エゾイトトンボ(緑色型メスとの連結態)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 400 +2/3EV(撮影日:2017.5.20)

オゼイトトンボの写真

オゼイトトンボ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 200(撮影日:2011.7.09)

オゼイトトンボの写真

オゼイトトンボ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 3200 +1/3EV(撮影日:2017.5.27)

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ホソミイトトンボ(越冬)

2017-01-22 22:04:19 | トンボ/イトトンボ科

 ホソミイトトンボ Aciagrion migratum (Selys, 1876) は、日本国内に生息する約200種のトンボ類の内、成虫で越冬する3種類の一種(他にオツネントンボとホソミオツネントンボ)であるが、これまで越冬の場所や様子はあまり知られていなかった。しかしながら、筆者の知人T氏とS氏の懸命な探索により、あるホソミイトトンボの多産地において、その越冬の様子が判明した。筆者も観察に同行したので紹介したい。

 ホソミイトトンボは、国内では唯一、夏型と越冬型の季節型があるトンボでもある。夏型は、体長28~34mmでやや緑がかった淡青色の体色で、6月頃から見られ、9月頃には姿を消す。夏型が産卵にしたものが越冬型として盛夏頃から羽化し、そのまま成虫で冬を越し、翌年の5月頃に産卵するまで生き延びるのである。越冬型は、体長が33~37mmと夏型よりも大きく、羽化後は淡青色の体色だが、11月を過ぎ、植物が枯れ始めると茶色に変化する。越冬後は、徐々に体色が青色になっていき、繁殖時期である5月になると、濃い青色へと変化するという特徴がある。
 ホソミイトトンボは、繁殖期は池およびその周囲で生活するが、繁殖期の前後は池から少し離れた草地で生活している。越冬型は、11月を過ぎると体色が茶色に変化し、草地から離れて隣接する雑木林に移動し始め冬を越すのであるが、観察した場所では、越冬態は草地から一山超えた雑木林の南向きの林縁、あるいは林内ギャップの南向きの林縁で見つかった。この生息地では、繁殖池および草地の東側は南北に大きく開けており、西側は山になっているため、草地および草地側の林縁は、正午になると日が陰り、また風もよく通るために体感的にも寒い。一方、越冬場所は日当たりが良く強い風も吹きこまない環境であった。草地からは標高差が20mほどあり、また200~300m位離れているが、これは、この生息地の物理的環境ゆえの特性かもしれない。また、これらの場所で見つかったホソミイトトンボは、すべてオスであり、メスは繁殖池近くの林縁で多く見つかっている。オスとメスの越冬場所が違う可能性もある。他の生息地でも検証する必要があるだろう。
 ホソミイトトンボの越冬態は、いずれも地上から1m~2m付近において、垂れ下がるとても細いササやツル系植物等の枝や茎にぴったりと張り付くように摑まっていた。腹部をまっすぐにしているが、尾部を少し曲げていることもある。その様子は枯れたツル植物に似せる擬態であるのかもしれない。撮影のためにカメラを近づけると、枝の裏側にちょこちょこっと移動する。すると、細い枝よりも更に細いホソミイトトンボは、まったく見えない。
 1日のほとんどを枝に摑まって過ごすが、冬期でも気温が活動できるまで高くなると周囲を飛び回って摂食行動し、摂食後は、また同じ枝に止まるようである。しかしながら、危険を感じると同じ場所には戻らず移動するようである。

ホソミイトトンボ

ホソミイトトンボ/越冬態(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F3.2 1/250秒 ISO 200 -1/3EV(2017.1.22)

ホソミイトトンボ

ホソミイトトンボ/越冬態(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 200 -1 1/3EV(2017.1.22)

ホソミイトトンボ

ホソミイトトンボの越冬環境(白丸内に越冬態)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 400 -1 1/3EV(2017.1.22)

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 以下には、ホソミイトトンボの夏型および越冬型の越冬前、越冬態、繁殖期の写真も掲載した。特に越冬型の体色変化に注目したい。

ホソミイトトンボ

ホソミイトトンボ/夏型
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F9.0 1/320秒 ISO 640 +2/3EV(2016.7.24)

ホソミイトトンボ

ホソミイトトンボ/越冬型(越冬前)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 2000(2013.09.22)

ホソミイトトンボ/越冬型(越冬態)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/1260秒 ISO 400 -1EV(2017.1.22)

ホソミイトトンボ

ホソミイトトンボ/越冬型(繁殖期)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 500 +1EV(2013.5.6)

参照
フィールドワーク撮影記/ホソミイトトンボ
オヤヂのご近所仲間日記/越冬昆虫探し ホソミイトトンボ ついに決着

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モートンイトトンボ

2016-07-28 21:08:28 | トンボ/イトトンボ科

 モートンイトトンボ Mortonagrion selenion (Ris, 1916) は、イトトンボ科モートンイトトンボ属で、体長は、約23mm~32mmとたいへん小さく、オスは、胸部が淡黄緑色で黒色の条斑があり、腹端があざやかなオレンジ色で美しい。メスは、未成熟のメスは、あざやかなオレンジ色だが、成熟すると全身が明るい緑色になる。和名は、イギリスの昆虫学者 Kenneth J Morton(1858~1940)に献上されたものである。
 本州、四国、九州に分布し、平地や丘陵地の湿地、休耕田、ため池の一部、水田横の水路等、小規模な湿地状の水域に生息しており、5月から7月下旬頃まで見られるが、生息地は局地的である。昨今では、湿地開発や生息地乾燥化などにより、絶滅が危惧されており、環境省RDBでは準絶滅危惧種、北海道及び東京23区では絶滅したと言われ、多摩地域においても絶滅危惧ⅠA類、その他、多くの自治体のRDBで絶滅危惧種として選定している。

 掲載の写真は、東京都あきる野市及び神奈川県北西部で撮影したものであるが、都内では八王子市の生息地も含め、発生個体数がたいへん不安定で、年々減少傾向にある。休耕田の遷移、乾燥化が大きな原因となっているように思う。一方、神奈川県内の生息地では毎年安定した発生が見られ、訪れた日も多くのモートンイトトンボが水田内を飛んでいた。農薬を使用しないことによって生態系が豊かになったことによるが、生態系の豊かな里山の維持は、農業経営的には成り立たないことが多い。「希少種がいるから保全が大切」等と他人が軽く口にするのは無責任すぎる。こうして貴重な昆虫たちが生息できるのは、地元農家の方々の地道な努力の結果であることを忘れてはならない。

お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、 画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

モートンイトトンボ

モートンイトトンボ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F9.0 1/250秒 ISO 400(2016.7.24)

モートンイトトンボ

モートンイトトンボ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F9.0 1/250秒 ISO 400(2016.7.24)

モートンイトトンボ

モートンイトトンボ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 2000 -1/3V(2011.7.2)

モートンイトトンボ

モートンイトトンボ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F9.0 1/250秒 ISO 500(2016.7.24)

モートンイトトンボ

モートンイトトンボ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 1600(2011.7.2)

モートンイトトンボ

モートンイトトンボ(未成熟メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/80秒 ISO 400(2011.7.2)

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

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ヒヌマイトトンボ

2016-06-30 22:37:02 | トンボ/イトトンボ科

 ヒヌマイトトンボ Mortonagrion hirosei (Asahina, 1972) は、イトトンボ科モートンイトトンボ属で、1971年に茨城県の涸沼などで発見されたことからこの和名が付けられた。体長3cmほどの小さなイトトンボで、汽水域に棲むトンボとしては唯一のものであるとされ、河口付近に広がるヨシ(Phragmites communis)群落のみを生息地とし、現在では宮城、茨城、千葉、愛知、三重各県および東京都と大坂府の海岸沿いの限られた地域にしか生息していないと言われている。 また、近年の環境変化により、絶滅してしまった地域もあり、環境省レッドデータブックで絶滅危惧ⅠB類に選定されている。

 ヒヌマイトトンボは、何年も前から撮影したくてもできていない種であった。これまで、多摩川、荒川、江戸川の様々な場所を探索したが見つからず、今年、知人S氏に生息場所をご教示いただいてようやく撮影に至った。といっても、今回撮影できた場所は、かつて探索した場所から100mも離れていない場所であった。
 聞くところによると、午前8時くらいでは、地上から1.0m~1.5mくらいの高さにおり、その後は、アシの水際付近に移動して活動するというので、撮影しやすさを考えて早朝に訪れると、 アシ原に入り込んですぐにヒヌマイトトンボを確認でき、やはり地上から1.0m~1.5mくらいの高さのアシ原を飛んでいた。今回は、個人的な時間制限もあり、やっつけ仕事的にオスのみを撮影して引き上げたが、今後は、メス、そして交尾などの撮影をし生態写真になるよう望んでいきたい。

ヒヌマイトトンボは、初見初撮影の種で、「蜻蛉目」では98種目となる。

参照:昆虫リストと撮影機材

  

お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、 画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ヒヌマイトトンボ

ヒヌマイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 1000 +1/3EV(2016.6.26 7:06)

ヒヌマイトトンボ

ヒヌマイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 1250 +1/3EV(2016.6.26 7:07)

ヒヌマイトトンボ

ヒヌマイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 1600(2016.6.26 7:08)

ヒヌマイトトンボ

ヒヌマイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 2000(2016.6.26 7:09)

ヒヌマイトトンボ

ヒヌマイトトンボの生息環境
(2016.6.26)

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