ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態や生息環境を研究し保全活動をしていますが、趣味で撮影した昆虫や日本の四季
自然風景の写真も紹介しています。

ウラジロミドリシジミ(メスの開翅)

2018-07-30 22:17:39 | チョウ/ゼフィルス

 ウラジロミドリシジミ Favonius saphirinus saphirinus (Staudinger, 1887) は、シジミチョウ科(Family Papilionidae)ミドリシジミ族(Tribe Theclini)オオミドリシジミ属(Favonius属)のゼフィルスで、北海道、本州、四国、九州に分布し、東日本ではカシワを主に、西日本ではナラガシワを食樹としている。生息地は極めて局所的で、更には開発等によるカシワ林の消失や乱獲により各地で絶滅が危惧されており、多くの自治体のRDBに絶滅危惧Ⅰ類として記載されている。

 ウラジロミドリシジミのオスの翅表は、見る方向によっては学名(saphirinus)にあるように濃青色(サファイア・ブルー)を呈する。今年撮影した同属のハヤシミドリシジミ Favonius ultramarinus ultramarinus (Fixsen, 1887) のマリン・ブルーとは、また違った美しさがあり、その写真を撮ろうと、これまでに長野県や群馬県に何度も通い、苦労の末、2回ほど開翅の撮影をしている。しかしながら、全開翅ではなく、またサファイア・ブルーらしい色を捉えられていないかった。(参照:ウラジロミドリシジミ)そこで、今年もオスの開翅写真を撮ることを目標にしていた。
 いつもの遠征先にて、前泊で待機。気温が高いと梢から降りてこないのは経験済み。この日の早朝の気温は19℃で曇り。条件的にはまずまず。早速、カシワの木を叩くと1頭のウラジロミドリシジミが降りてきた。ただし1頭しかおらず、しかもメスである。周囲のカシワを叩いても全く姿がない。今年は、昆虫の発生が例年よりも10日ほど早い傾向にあるので、この地のウラジロミドリシジミも発生終盤なのだろう。こちらもスケジュール調整が難しく、また遠方であるから仕方がない。とりあえず、下草に止まった本種を丁寧に撮影することにした。
 ウラジロミドリシジミのメスは、羽化して間もないようで、たいへん美しい個体である。最初の1カットを撮ってから1時間が経過すると、葉先の方に歩き始めた。そして徐々に翅を開き始め、全開翅。地味な色合いであるが、翅がまったく擦れていない綺麗な個体である。天候は曇りで、柔らかい光。構図も良い。もし、これがオスであったら、どれだけ美しかっただろう。
 今までオスの開翅ばかりを狙ってきたので、メスの開翅を撮ったのは初めてであった。また、メスが健在であるという事は、来年に、また発生が期待できるということでもある。楽しみに待ちたいと思う。本記事では、参考までに過去に撮影したオスのウラジロミドリシジミ(半開翅)も掲載した。また、本種は絶滅が危惧され、生息場所も局所的であるため、採集者を意識して記事掲載を意図的に遅らせています。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの 画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ウラジロミドリシジミの写真

ウラジロミドリシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/40秒 ISO 3200 -2/3EV(撮影日:2018.6.30 4:49)

ウラジロミドリシジミの写真

ウラジロミドリシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 3200 -2/3EV(撮影日:2018.6.30 5:45)

ウラジロミドリシジミの写真

ウラジロミドリシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 3200 -2/3EV(撮影日:2018.6.30 5:45)

ウラジロミドリシジミの写真

ウラジロミドリシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 3200 -2/3EV(撮影日:2018.6.30 5:45)

ウラジロミドリシジミの写真

ウラジロミドリシジミ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 1600 +2/3EV(撮影日:2015.7.05 7:12)

ウラジロミドリシジミの写真

ウラジロミドリシジミ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 1600 +2/3EV(撮影日:2018.7.05 7:12)

ウラジロミドリシジミの写真

ウラジロミドリシジミ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 200 -1/3EV(撮影日:2016.7.18 6:47)

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ヤブヤンマの産卵(緑眼メス)

2018-07-28 12:26:08 | トンボ/ヤンマ科

 ヤブヤンマ Polycanthagyna melanictera (Selys, 1883)は、ヤンマ科(Family Aeshnidae)ヤブヤンマ属(Genus Polycanthagyna属)で、オスの複眼はマリンブルーに輝き、たいへん美しい。一方、メスは緑色で、青色を呈する個体もいる。
 昨年7月にメスを撮影し「ヤブヤンマの産卵」として掲載しているが、その時の個体はまだ若く複眼の色は黄緑色(写真6)であった。「産卵シーンの撮影」という目標は達成したが、 次は、複眼の青い個体の産卵シーンを撮りたいという欲求に駆られ、今年の目標に設定していた。

 今回撮影に訪れた池では、15時過ぎにメスが1頭だけ産卵のために飛んできた。池の縁を飛んで、産卵に適した場所を確認するように岸を向いてホバリング。縁に並ぶ石にはコケが生えていないので、岸辺の土が露出している所に止まって産卵を開始した。この個体は十分に成熟しているようで、翅の色も茶色。複眼は青色ではなかったが、美しい緑色(ノーマルタイプ)であった。
 池は、薄暗い藪の中。フラッシュ臭さはマイナス要素だが、美しい緑眼を強調させるためストロボを使用して撮影。また、このメスは、場所を変えながら、かなり近くで何度も産卵してくれたが、 持って行ったレンズが300mm。こちらが下がらないとピントが合わず、従ってアップの写真ばかりになってしまった。
 ヤブヤンマの産卵時期もそろそろ終盤である。チャンスがあればもう一度訪問して、青眼のメスの到来を待ちたいと思う。

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ヤブヤンマの産卵写真

ヤブヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:東京都 2018.7.27 15:17)

ヤブヤンマの産卵写真

ヤブヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 +2/3EV ストロボ使用(撮影地:東京都 2018.7.27 15:44)

ヤブヤンマの産卵写真

ヤブヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 +2/3EV ストロボ使用(撮影地:東京都 2018.7.27 15:44)

ヤブヤンマの産卵写真

ヤブヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:東京都 2018.7.27 15:20)

ヤブヤンマの産卵写真

ヤブヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/30秒 ISO 3200(撮影地:東京都 2018.7.27 15:21)

ヤブヤンマの産卵写真

ヤブヤンマの産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/640秒 ISO 00 -1EV ストロボ使用(撮影地:埼玉県 2017.7.02)

ヤブヤンマの写真

ヤブヤンマのオス
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/20秒 ISO 400 -2EV ストロボ使用(撮影地:埼玉県 2017.7.15)

羽化殻の写真

羽化殻(ヤブヤンマ?)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/100秒 ISO 3200 +2/3EV(撮影地:東京都 2018.7.27)

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ウスイロオナガシジミ

2018-07-25 21:39:39 | チョウ/ゼフィルス

 ウスイロオナガシジミ Antigius butleri butleri (Fenton, [1882])は、 シジミチョウ科(Family Papilionidae)ミドリシジミ族(Tribe Theclini)ミズイロオナガシジミ属(Genus Antigius)のゼフィルス。同属のミズイロオナガシジミ Antigius attilia attilia (Bremer, 1861) より、オナガシジミ属のオナガシジミ Araragi enthea enthea (Janson, 1877) に似るが、翅裏のオレンジ帯が前翅に波及しないのが本種である。
 北海道、本州、九州、淡路島に分布し、四国には産していない。幼虫はミズナラ、カシワ、コナラなどを食樹とし、おもに低山地~高標高地にかけての広葉樹林帯に生息しているが局所的である。成虫は晴天の日中は、日陰の葉上に静止していることが多いが、夕刻や曇天の日には活発に飛翔する。
 本種は、環境省カテゴリに記載はないが、食樹の伐採、針葉樹植林、都市化等により 東京都及び鹿児島県で絶滅危惧Ⅰ類に、埼玉県、神奈川県、群馬県、島根県で絶滅危惧Ⅱ類に、茨城県で準絶滅危惧種に選定している。また、鹿児島県栗野岳亜種 Antigius butleri kurinodakensis Fujioka, 1975 は、環境省カテゴリで絶滅危惧ⅠA類(CR)に選定している。

 ウスイロオナガシジミは、今年の撮影目標にはない種で、しかも葉上に静止していたところを偶然に見つけたのだが、こうして羽化したばかりの美しい個体に出会えると嬉しい。
 以下の写真には、比較のためにミズイロオナガシジミとオナガシジミも掲載した。

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ウスイロオナガシジミの写真

ウスイロオナガシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 3200 +1/3EV(撮影地:岩手県二戸市 2018.07.15)

ミズイロオナガシジミの写真

ミズイロオナガシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/80秒 ISO 3200 +1EV (撮影地:山梨県北杜市 2011.7.16)

オナガシジミの写真

オナガシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/100秒 ISO 3200 +1/3EV (撮影地:山梨県北杜市 2011.7.16)

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ヒメボタルの映像(動画)

2018-07-24 20:03:13 | ホタル

 ヒメボタルの映像(動画)を作成したので紹介したい。ヒメボタルは、今年、岩手県二戸市の折爪岳において撮影してきた。写真は、「ヒメボタル(岩手県折爪岳)」をご覧頂きたいが、この記事では、その時に撮影した映像(動画)と2012年に某所にて撮影した映像(動画)も一緒に公開した。

 ヒメボタルの写真は、インスタ映えするフォトジェニックな点で、昨今、大勢のカメラマンに人気があり、多くの写真が投稿されている。筆者の最近の写真もそうであるが、これらはヒメボタルの生態学的価値よりも写真の見栄えを重視したもので、数十分間の露光に相当するカットを合成したものである。写真は、作り上げた創作作品であり、実際の見え方とは全く違う。こうした写真は、ヒメボタルの魅力を現したものではなく、単に「いいね!」や「コメント」を増やす目的としか思えない。中には、ヒメボタルが飛翔する場所に和傘を置いて撮影した写真すら存在する。和傘を置くために立ち入り、地面にいるメスを踏みつぶしているかも知れない。世に溢れるヒメボタルの創作写真を見ていると、悲しささえ感じてくる。
 SNSに投稿される多くのヒメボタルの写真はインパクトがあるが、合成枚数を増やした撮影者による「創作作品」である。海外を含め多くの人々を魅了する写真であっても、それは撮影者の立場だけで撮ったもので、写真の美しさを感じるだけでしかない。
 我々ホタル研究者は、ホタルの生態とその生息環境を研究しているが、その保全についても啓蒙していかなければならない。その一端としての「ホタル写真」は、写真芸術的にも、ホタルの生態学的にも認められる写実でなければならない。この光景を作る「ホタルと自然環境」を守ろうと思いを馳せて頂くものでなければならないと思っている。

 ヒメボタルの生息環境は様々で、原生林の他、雑木林、竹林、河川敷の林などに生息している。かつては「森のホタル」と言われ、林や森の中だけで発光すると思われていたが、発光時間になると森や林から出てきて、開けた畑の上や道路まで出てきて乱舞する様子を観察している。活動時間も地域性があり、ゲンジボタルと同じ時間帯、19:30~21:00頃(動画1)や深夜22:00~02:00頃(動画2)に活発に発光しながら飛翔する。
 これまでヒメボタルの映像(動画)は、Youtube等でもあまり投稿されておらず、背景も一緒に映しこんだ映像(動画)はほとんどないように思う。また、ヒメボタルの発光の様子を見たことがない方々の中には、これを「ホタル」とは思わない方もいるかも知れないが、これが「ヒメボタル」である。
 ヒメボタルの映像(動画)は、写真のようなインパクトはないが、見た目にほぼ近い光景で、ヒメボタルの発光の仕方や飛翔の様子も分かる。今後は、写真とともに動画を撮影し、ヒメボタルやゲンジボタルの真の魅力を伝えていこうと思う。映像(動画)を通じて、自然の豊かさや大切さに思いを馳せて頂ければ幸甚である。

お願い:HD設定にしますとクオリティの高い映像(動画)を、また全画面でも綺麗にご覧頂けます。画面サイズを大きくしてご覧ください。

ヒメボタルの映像(動画)

ヒメボタルの映像(動画)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE(撮影地:岩手県二戸市/折爪岳 2018.7.14)

ヒメボタルの映像(動画)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE(撮影日: 2012.6.08)

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ヒメボタル生息地

2018-07-22 15:37:55 | ホタル

 ヒメボタルの写真は、本年は二か所の生息地で撮影を予定し、一ケ所は「ヒメボタル(岩手県折爪岳)」で紹介した。そしてこの週末、次の目的の場所で撮影を行ったが、ブログタイトルを「ヒメボタル生息地」とした。現地に17時に到着し、18時半に生息環境を撮影。濃霧と雨のためにカメラにカバーを被せて、深夜型ヒメボタルが発光を開始するまで車内で待機。天候も良くなり、22時半から翌午前0時まで撮影したのだが、レンズキャップを付けたまま撮影し、結局、撮影した数百枚は真っ黒で何も写っていないと言う痛恨のミスを犯してしまった。三日連続で深夜まで撮影する気力がなく、仕方なく今年は生息環境の写真のみの掲載で終了。この原生林に舞う様子を想像して欲しいと思う。
 2枚目は、同生息地において2011年に撮影したものである。昨今、過度な合成でヒメボタルの光が溢れる写真が多いが、こちらは合成なしの長時間露光である。今回の失敗は反省しなければならないが、この失敗のお陰で「ホタル研究者が写すホタルの写真」のあるべき表現に気が付いた。ホタルの光跡を溢れるばかりに合成枚数を増やせば、インパクトのある「創作作品」にはなるが、 あくまでも撮影者による「創作作品」だ。海外を含め多くの人々を魅了する写真であっても、それは撮影者の立場だけで撮ったもので、写真の美しさを感じるだけである。
 我々ホタル研究者は、ホタルの生態とその生息環境を研究しているが、その保全についても啓蒙していかなければならない。その一端としての「ホタル写真」は、写真芸術的にも、ホタルの生態学的にも認められる写実でなければならない。この光景を作る「ホタルと自然環境」を守ろうと思いを馳せて頂くものでなければならない。今回は、痛恨のミスにより光景を目の前にして撮影することができなかったが、重要な生態学的な様々な観察ができたので、知識は残すことができた。

 このヒメボタル生息地は、2010年から通っているが、当時は誰一人と来ることのない生息地であった。しかしながら、年々、撮影者や観賞者が増え始め、そのマナーが気になるところである。車のライト、懐中電灯といった光害である。(懐中電灯は、赤いセロファンを巻いてもホタルに影響を与えるのでダメである。)撮影者や観賞者の増加に半比例するかのように、毎年、ヒメボタルの数が少なくなっているように思う。

 3枚目の写真は、本記事と関係はないが、同日の深夜に長野県の乗鞍高原で撮影した天の川である。

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ヒメボタル生息地の写真

ヒメボタル生息地
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F18 15秒 ISO 100 -2EV(撮影日:2018.07.21 18:21)

ヒメボタルの写真

ヒメボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 300秒 ISO 1600(撮影日:2011.07.23 23:00)

天の川の写真

天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 28秒 ISO 2000(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.07.21 1:31)

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ウラキンシジミ(odai型)

2018-07-20 17:51:59 | チョウ/ゼフィルス

 ウラキンシジミ Ussuriana stygiana (Butler, 1881)は、シジミチョウ科(Family Papilionidae)ミドリシジミ族(Tribe Theclini)コンゴウシジミ属(Genus Ussuriana)のゼフィルスで、前翅長14~20㎜。翅表は暗黒褐色、翅裏は文字通り「金色」(橙黄色~黄褐色)で、亜外縁に橙色斑列がある。雌雄の斑紋は、ほとんど同様であるが、メスの翅表の色彩は、オスに比べてやや明るい。翅裏の色彩は雌雄ともに地理的変異や遺伝的変異があり、岩手県陸中地方で出現する翅裏亜外縁部の黒紋が消失したodai型や埼玉県秩父地方で出現する黒化型等が知られている。
 ウラキンシジミは、日本特産種で北海道~九州まで分布し、低山地から高山地帯の落葉広葉樹が主体の渓流沿いなどを主な生息地としているが、かなり局所的である。幼虫はブナ類ではなく、モクセイ科のトネリコやコバノトネリコを食樹としており、終齢幼虫は葉先を噛み切ってパラシュートのように地上に落下し蛹になる。成虫は、夕方に活発な活動をし、 ノリウツギやクリなどによく訪花する。日中は葉の上に止まっていることが多い。
 落葉広葉樹林の伐採による生態環境の消失と針葉樹の植林による生息地の環境悪化などで、近年は生息地での個体数が減少している。環境省カテゴリにはないが、千葉県、宮崎県で絶滅危惧Ⅰ類、 茨城県、和歌山県、大阪府、香川県、佐賀県で絶滅危惧Ⅱ類、埼玉県、高知県、愛媛県、島根県、山口県、福岡県、熊本県では準絶滅危惧種として選定している。

 ウラキンシジミは、2014年に岐阜県高山市で1頭(写真6)撮影しただけで、その後は出会いすら叶っていなかった。今回の岩手遠征では、確実な生息地情報は分かっていなかったが、訪れた場所は偶然にも本種がたくさん生息しており、探さなくても何頭ものウラキンシジミに出会い、撮影することができた。しかも、翅裏亜外縁部の黒紋が消失したodai型も撮ることができた。

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ウラキンシジミの写真

ウラキンシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 2000 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.15)

ウラキンシジミの写真

ウラキンシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 3200 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.15)

ウラキンシジミの写真

ウラキンシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 1600(撮影地:岩手県 2018.7.15)

ウラキンシジミの写真

ウラキンシジミ(odai型)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 800(撮影地:岩手県 2018.7.15)

ウラキンシジミの写真

ウラキンシジミ(odai型)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 -2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.15)

ウラキンシジミの写真

ウラキンシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.5 1/250秒 ISO 200 -2/3EV ストロボ使用(撮影地:岐阜県高山市 2014.8.3)

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ルリイトトンボ

2018-07-19 22:21:38 | トンボ/イトトンボ科

 ルリイトトンボ Enallagma circulatum Selys, 1883 は、イトトンボ科(Family Coenagrionidae)ルリイトトンボ属(Genus Enallagma)で体長32mm~37mm、オスは美しい瑠璃色をしており、メスは青色型と緑色型の2型がある。黒い斑紋の出方は地域により変異があり、北方のものほど黒味が強い傾向がある。
 北海道、東北・上信越地方、福井県、石川県、岐阜県に分布し、北海道では平地の池沼でも生息しているが、本州では標高の高い山岳地の挺水植物の豊富な池や沼、湿原に生息している。
 近年、山間の池沼や湿原の減少、水源の枯渇や水温上昇などによる生息環境の悪化、湿原周辺の樹林伐採や大雨による土砂流入で産卵するヒツジグサ等の水生植物が埋まる等々が原因で個体数が激減している。また、一部では散策者の踏み荒らしが原因とも言われている。本種は、環境省カテゴリにはないが、栃木県では絶滅、宮城県、石川県では絶滅危惧Ⅰ類、新潟県では絶滅危惧Ⅱ類、青森県、山形県、福島県、岐阜県、福井県では準絶滅危惧種に選定している。

 ルリイトトンボは、2011年に長野県の池にて(写真3の連結態)撮影しているが、前記事のカラカネイトトンボを撮影した池にも多数見られた。本種は、羽化後は水域から離れて周辺の樹林で過ごし、成熟すると羽化水域に戻って繁殖行動を行うが、訪問時は将に繁殖時期であった。長野県のメスの個体は、ほとんどが緑色型であったが、当地のメスはほとんどが青色型であった。(当地での目標がカラカネイトトンボであったため、ルリイトトンボをほとんど撮影していなかったことを後悔している。)

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ルリイトトンボの写真

ルリイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200(撮影地:岩手県 2018.7.14)

ルリイトトンボの写真

ルリイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 250 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

ルリイトトンボの写真

ルリイトトンボ(雌雄の連結態)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.5 1/800秒 ISO 200 (撮影地:長野県 2011.7.16)

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カラカネイトトンボ

2018-07-18 20:07:14 | トンボ/イトトンボ科

 カラカネイトトンボ Nehalennia speciosa (Charpentier, 1840)は、イトトンボ科(Family Coenagrionidae)カラカネイトトンボ属(Genus Nehalennia)で、体長が26~30mmとヒヌマイトトンボに並んでたいへん小さい。未成熟個体は、複眼が乳白色で、胸部と腹部背面の色は金属光沢のある青緑色でアオイトトンボに似るが、成熟すると雌雄共に胸部と腹部背面が金緑色(唐金)となり、複眼は青色になる。老熟すると複眼の上部は茶褐色になる。イトトンボ科で体が金緑色に輝くのはカラカネイトトンボだけである。
 北海道から本州(群馬県以北)に分布し、寒冷地や高冷地のミズゴケ類の生える湿原や、ミズドクサ、スゲ類などの湿地を好む植物の繁茂する池沼に生息するが、生息地はかなり局所的である。また、湿地・池沼の開発、農薬による水質汚染、湿地乾燥遷移進行や過度の採集によって個体群も減少しており、環境省カテゴリにはないものの、青森県、宮城県、山形県、栃木県、群馬県のRDBで絶滅危惧Ⅰ類に、福島県、新潟県のRDBでは絶滅が危惧Ⅱ類、北海道では準絶滅危惧種に選定している。

 カラカネイトトンボは、2011年7月に群馬県の尾瀬ヶ原で撮影しているが、木道からの望遠撮影で、しかも未成熟個体ばかりであったため、今回の岩手遠征において撮影目標の1種にした。
 生息する場所では、後述するルリイトトンボやカオジロトンボに混じって、散策路脇にたいへん多くの個体を見ることができた。飛翔は穏やかで遠くには飛んでいかないが、葉などに止まっても、近づくとすぐに飛んでしまう。それでも、未成熟から成熟個体、老熟個体、交尾態など様々な図鑑写真を90mmマクロレンズで撮影することができた。尚、生息環境を一緒に写し込む場合は、少し引いた撮影や広角レンズで撮影するが、種の特徴が分かる図鑑写真を目的にした場合は、中途半端なマクロは避け、極力アップで撮るようにしている。
 本種が生息する一帯は、環境省がラムサール条約登録に向けた礎とすることや生物多様性の観点から重要な湿地を保全することを目的に「重要湿地」に選定している。

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カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 200 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 1600 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 250 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ(未成熟)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 2000 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ(成熟)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 320 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ(成熟)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 250 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ(未成熟のメス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 250 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

カラカネイトトンボの写真

カラカネイトトンボ(雌雄連結)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 250 +2/3EV(撮影地:岩手県 2018.7.14)

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ヒメボタル(岩手県折爪岳)

2018-07-17 19:58:31 | ホタル

 ヒメボタル Luciola parvula Kiesenwetter, 1874 は、ホタル科(Family Lampyridae)ホタル属(Genus Luciola Laporte, 1833)でゲンジボタルやヘイケボタルと同属であるが、幼虫が陸地で生活する陸生ホタルである。青森県から九州まで分布し、平地から高い山地の雑木林、竹林、ブナ林、畑、河川敷など様々な環境に生息している。体長は6mm~9mmほどで、メスは下翅がなく飛ぶことができない。そのため分布地の移動性は小さく、地域により遺伝的特性や体長の差などが著しい。発光は、黄金色のフラッシュ光の点滅が特徴である。

 ヒメボタルの観察と撮影に、岩手県二戸市にある折爪岳に行ってきた。折爪岳のヒメボタル生息地(山頂の3.5ヘクタール)は、2013年に二戸市、そして今年4月には岩手県の天然記念物に指定され、生息数100万匹とも言われる。いつも観察は十分にできたが、過去に大乱舞を目の前にしながら、フィルムでは上手く撮れていなかったり、天候不順で飛翔数が少なかったりと、これまで私的に満足できる撮影結果は得られていない。昨年は、ブナやミズナラの原生林で光る「折爪岳のヒメボタル」らしい写真は撮影したが、「これぞ!」という光景を残しておきたい。そこで、5度目の訪問となる今回は、二泊三日で二晩のチャンス。過去の経験から、ヒメボタルが多く飛ぶ場所は分かっているので、明るい時間に構図を決めて、それぞれの晩に違う場所で1カットずつ撮ることにした。
 初日は、気温が高く無風。前日に雨が降ったとのことで、たいへん蒸し暑く、まさにホタル日和。19時30分頃から光り始め、多くのヒメボタルが乱舞した。二日目は、気温が少し低めで風が強く、前日に比べて飛翔数は半分ほどであったが、それでも同期明滅も見られるほどの数は飛んでいた。ただし、いつも観察できる場所ではメスがほとんど見られなかった。発生のピークは数日後かも知れない。
 二日間ともに「ヒメボタル観察会」が催され、多くの観光客も訪れていたが、懐中電灯やスマホの明りによって、ヒメボタルが一斉に発光を止めることが多々あった。誰が言ったか知らないが、懐中電灯に赤いセロファンを巻いてもダメである。また、スマホで撮ろうとしても写らない。撮影者の立場では、写真は数秒露光のデジタル画像を何枚も重ね合わせる手法で創作するから、フレーム中に人工光が当たれば、そのカットは削除すれば良い。しかしながら、ヒメボタルは灯りに非常に敏感で、すぐに発光を止めてしまう。メスを探そうと飛び回るオスたちの行動を阻害するのである。懐中電灯やスマホは、ヒメボタルのために是非とも止めて頂きたい。足元だけを照らすこともダメである。

 掲載写真は、ヒメボタルの生態学的価値よりも写真の見栄えを重視したもので、10分~20分の露光に相当するカットを合成したものである。肉眼でも相当数のヒメボタルが発光する様子が見られるが、掲載写真のように見えるわけではないことを付け加えておきたい。

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ヒメボタル(折爪岳)の写真

ヒメボタル(折爪岳)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 1600 10分相当多重(撮影地:岩手県二戸市/折爪岳 2018.07.14)

ヒメボタル(折爪岳)の写真

ヒメボタル(折爪岳)
Canon EOS 7D / EF17-35mm f/2.8L USM(32mm相当) / バルブ撮影 F2.8 ISO 1600 20分相当多重(撮影地:岩手県二戸市/折爪岳 2018.07.15)

天の川(折爪岳)の写真

天の川(折爪岳より)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 30秒 ISO 1600(撮影地:岩手県二戸市/折爪岳 2018.07.14)

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ヘイケボタルの乱舞

2018-07-08 16:54:30 | ホタル

 ヘイケボタル Luciola lateralis Motschulsky, 1860 は、ホタル科(Family Lampyridae)ホタル亜科(Subfamily Luciolinae)ホタル属(Genus Luciola)で、南西諸島を除く日本、朝鮮半島、中国東北部、東シベリア、サハリン、千島列島に分布している。 里山の流れのひじょうに穏やかな小川や水田、湿地等に生息しており、地方によっては「コメボタル」「ヌカボタル」等とも呼ばれている。
 近年、ヘイケボタルは、ゲンジボタルよりも個体数と生息地が著しく減少しており、安定して発生する場所は局地的になっている。圃場整備事業、農薬汚染、水質汚濁、各種開発行為、人工的な光源等が減少要因である。環境省カテゴリーにはないが、東京及び群馬では絶滅危惧Ⅰ類に、千葉、長崎、宮崎では絶滅危惧Ⅱ類に、栃木、埼玉、神奈川、長野、静岡、大阪、香川、愛媛、福岡、熊本では準絶滅危惧種に選定している。

 梅雨が明けたと思ったら、天候不順の一週間。この週末も強風が心配されたが、GPV気象予報を信じてヘイケボタルの生息地へと向かった。
 この場所にはゲンジボタルも生息しており、ゲンジボタルの発生が終わりに近づくとヘイケボタルの発生が始まり、一ヶ月ほど続く。何度も訪れているが、ヘイケボタルの観察と撮影では2016年に続いて二回目。
 現地に18時に到着。気温25度、薄曇りで無風。蒸し暑く、まさにホタル日和である。谷戸の奥まで水田が続くが、ヘイケボタルが発生する水田は2枚ほど。その脇で待機すること1時間半。 稲の中で光り始めた。ゲンジボタルのように「一番ボタル」はいない。数頭があちこちで光り始める。
 20時をまわると水田も暗さを増し、光るヘイケボタルも多くなった。無風であるため、飛翔数も多い。ホタルに取り囲まれ、服やカメラの三脚にも止まって光るほどである。畦においても発光する多くのメスを確認できた。

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ヘイケボタルの乱舞写真

ヘイケボタルの乱舞
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 400 15分多重(撮影日:2018.07.07)

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コヒョウモンモドキ

2018-07-03 21:50:18 | チョウ/タテハチョウ科

 コヒョウモンモドキ Melitaea ambigua niphona Butler, 1878は、タテハチョウ科(Family Nymphalidae)ヒョウモンモドキ属(Genus Melitaea)のチョウ。ヒョウモンモドキ属は、日本には3種生息しているが、本州に限られ、しかも局地的な分布である。

  • ヒョウモンモドキ Melitaea scotosia Butler, 1878
  • ウスイロヒョウモンモドキ Melitaea protomedia Menetries, 1858
  • コヒョウモンモドキ Melitaea ambigua niphona Butler, 187

 コヒョウモンモドキは、ユーラシア大陸に広く分布し、国内では本州(関東地方北部から中部山岳地帯)にのみ分布している。林縁や林間の明るい草原に生息し、幼虫の食草はクガイソウ、ヒメトラノオで、越冬後はオオバコを食べることが知られている。成虫は7月頃に出現し、緩やかに飛んでクガイソウ、オカトラノオ等で吸蜜する。鳥獣類の排泄物や動物の死体に群がることもある。
 昨今、人為的放置による草原の樹林化(日本列島の草地面積は、20世紀初頭には1割ほどであったが、現在では1%程度であるという。)やシカの食害による食草の減少で、絶滅が危惧されている。また本種は、大型・黒化型などの地域変異が見られ、マニアによる採集圧も問題になっている。
 本種は、環境省カテゴリでは絶滅危惧ⅠB類、都道府県のRDBでは、栃木県では絶滅、群馬県、新潟県、富山県で絶滅危惧Ⅰ類に、山梨県、長野県では絶滅危惧Ⅱ類として記載されている。

 個人的趣味から、ヒカゲチョウやヒョウ柄のチョウは、見かけてもほとんど撮ることがなく、知識もあまりない。本種も当然のことながら撮影計画にはなく、今回の遠征での偶然の出会いであった。車から降りると、私の腕に止まって汗を吸い始めたのである。生息地が局所的で絶滅が危惧されていることを知っていれば、もっと丁寧に翅裏等も撮影したのであるが、悔やんでも仕方がない。またの出会いを期待したい。
 コヒョウモンモドキは、初見初撮影の種で「昆虫リストと撮影機材」「鱗翅目」で139種類目となる。

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コヒョウモンモドキの写真

コヒョウモンモドキ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 250(撮影地:長野県 2018.06.30)

コヒョウモンモドキの写真

コヒョウモンモドキ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200 -2/3EV(撮影地:長野県 2018.06.30)

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エゾイトトンボの産卵

2018-07-01 16:19:29 | トンボ/イトトンボ科

 エゾイトトンボ Coenagrion lanceolatum (Selys, 1872) は、イトトンボ科(Family Coenagrionidae)エゾイトトンボ属(Genus Coenagrion)のイトトンボで、北海道・本州の分布。本州では岐阜県を南限として東北地方から中部山岳地域など、寒冷地の挺水植物が繁茂する湿原や滞水などに生息し、6月頃から羽化し始める。
 環境省カテゴリにはないが、山間の池沼や湿原の減少、湿原周辺の樹林伐採による土砂流入、水源の枯渇や水温上昇等の生息環境の悪化により、栃木県と岐阜県のRDBでは準絶滅危惧種として記載している。

 長野県松本市の乗鞍高原、標高1,450mにある「まいめの池」では、エゾイトトンボが多数発生しており、繁殖行動真っ盛りであった。
 連結しながら飛翔する雌雄を観察。産卵場所を決定し着地する主導権はメスにあるようである。メスの方が先に産卵場所に降り、オスは直立のままそれに従うが、しばらくすると着地する個体もいる。メスが体を完全に水中に沈めて産卵を行う個体も見られた。また、メスの体色を見ると、黄色のメス型と胸部が青色のオス型の個体が確認できた。

 6月29日、気象庁は関東甲信地方が梅雨明けしたとみられると発表。平年(7月21日ごろ)より22日早く、6月に梅雨明けするのは観測史上初との事。最高気温も連日35℃近くまで上昇し、暑い夏が始まった。7月は昆虫写真撮影の勝負の月。多くの目標を掲げているが、今年は例年よりも発生が早いので、予め立てたスケジュールでは思うように達成できないとの予想で、少しずつ前倒しの行動である。
 6月30日の早朝は、長野県某所にてウラジロミドリシジのオスの開翅を狙ったが、メスしか確認できず、メスの全開翅のみを撮影。その後、高標高のゼフィルスの発生を確認しに移動したが、流石に目標のゼフィルスは未発生であった。今後の計画を練り直して挑戦しようと思う。

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エゾイトトンボの写真

エゾイトトンボ(産卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200 +1EV(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.06.30)

エゾイトトンボの写真

エゾイトトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200 +1EV(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.06.30)

エゾイトトンボの写真

エゾイトトンボ(連結態)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 250 +1EV(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.06.30)

エゾイトトンボの産卵写真

エゾイトトンボ(産卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200 +1EV(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.06.30)

エゾイトトンボの産卵写真

エゾイトトンボ(産卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200 +1EV(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.06.30)

エゾイトトンボの写真

エゾイトトンボ(産卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200 +1EV(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.06.30)

エゾイトトンボの産卵写真

エゾイトトンボ(水中産卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200 +1EV(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.06.30)

エゾイトトンボの産卵写真

エゾイトトンボ(水中産卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 500 +1EV(撮影地:長野県松本市/乗鞍高原 2018.06.30)

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