ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

アオビタイトンボ

2023-07-12 18:34:24 | トンボ/トンボ科

 アオビタイトンボ Brachydiplax chalybea flavovittata Ris, 1911 は、トンボ科(Family Libellulidae)アオビタイトンボ属(Genus Brachydiplax)のトンボで、その名の通り前額が金青色に輝く。1970年代以前の国内では、沖縄県の大東諸島以南にしか分布していなかったそうだが、本種は北上をしていることで知られており、1970年代後半にはそれより北の沖縄の島々周辺で見られるようになり、1986年には鹿児島県の南さつま市でも発見され、2022年には、広島の江田島市でも発見されている。
 前記事で紹介したオオキイロトンボを撮影した場所では、大きな池の周囲が湿地になっており、そこではアオビタイトンボが多く見られた。最初見た時は、小さいコフキトンボという印象で、やはり オスは成熟すると腹部の一部が黒化し、さらに白粉を生じて青灰色に変化する。気温34度の炎天下であり、トンボたちも熱中症対策で逆立ちポーズ(オベリスク姿勢)をとっていた。
 アオビタイトンボは、昨年に撮影はしているものの証拠程度の1枚だけであったので、今回、ブログ記事「昆虫リストと撮影機材」「蜻蛉目」で110種類目として記載した。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

アオビタイトンボの写真
アオビタイトンボ(オベリスク姿勢)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 250 +2/3EV(撮影地:沖縄県 2023.7.6 13:25)
アオビタイトンボの写真
アオビタイトンボ(オベリスク姿勢)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 320 +2/3EV(撮影地:沖縄県 2023.7.6 13:26)
アオビタイトンボの写真
アオビタイトンボ(オベリスク姿勢)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 400 +2/3EV(撮影地:沖縄県 2023.7.6 13:30)
アオビタイトンボの写真
アオビタイトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 1000 -1/3EV(撮影地:沖縄県 2023.7.7 7:16)
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オオキイロトンボ

2023-07-11 16:17:23 | トンボ/トンボ科

 オオキイロトンボ Hydrobasileus croceus (Brauer, 1867)は、トンボ科(Family Libellulidae)オオキイロトンボ属(Genus Hydrobasileus)で、沖縄本島の他、渡嘉敷島、久米島、石垣島、西表島に分布する国内のトンボ科では最大種である。平地や丘陵地の挺水植物がよく繁茂する池沼や水田・水路に生息している。翅全体が黄橙色に着色しており、後翅の広角部に褐色の部分があり、サイズと独特の翅の模様で他種とは簡単に区別できる迫力あるトンボである。
 オオキイロトンボは、昨年、トビイロヤンマを観察していた場所で見ていた。黄色い大きな連結したトンボが突然現れ、あっという間に飛び去った。後からオオキイロトンボのペアであることが分かったが、その時は二度と飛んでくることはなかった。今年は、是非とも写真に収めたいと思っており、ダム湖の周囲で小さな池と湿地になっている場所を探して行ってみることにした。二日間で朝方と午後に訪れ、二日間ともに目撃し、タンデム飛翔する様子や産卵する場面も観察できたが、なかなか近くには飛んできてくれず、遠くで飛び回るだけであった。写真は、すべて望遠マクロで撮影しトリミングしたものである。
 オオキイロトンボは初撮影で、ブログ記事「昆虫リストと撮影機材」「蜻蛉目」で109種類目となる。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

オオキイロトンボの写真
オオキイロトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 1600 -1/3EV(撮影地:沖縄県 2023.7.7 7:42)
オオキイロトンボの写真
オオキイロトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 1250 -1/3EV(撮影地:沖縄県 2023.7.7 7:42)
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オキナワチョウトンボ

2022-06-29 15:14:17 | トンボ/トンボ科

 オキナワチョウトンボ Rhyothemis variegata imperatrix Selys, 1887 は、トンボ科(Family Libellulidae)チョウトンボ属(Genus Rhyothemis)のトンボで、奄美大島以南の南西諸島の島々に分布し、平地・丘陵地の植生のある池や沼、ダム湖などに生息している。翅が鼈甲模様に似ていることから、以前はベッコウチョウトンボとも呼ばれていた。
 本種は、2012年9月9日に宮古島にて前翅の先端が無色透明なメス(写真一番下)を撮影している。翅の模様も異なっているが、地域変異と個体変異によるものである。ある用水路にて様々なトンボを追いかけていると、ほんの数頭ではあったが、本種がひらひらと舞うように飛んでおり、時折枝先や葉上に止まったりしていた。宮古島ではあまり撮れていなかったので、今回は少々時間をかけて追いかけた。
 次の記事では、沖縄遠征における「トンボ」のまとめを掲載したいと思う。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと拡大表示されます。

オキナワチョウトンボの写真

オキナワチョウトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 1250 +2/3EV(撮影地:沖縄県 2022.6.23 9:09)

オキナワチョウトンボの写真

オキナワチョウトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 1250 +2/3EV(撮影地:沖縄県 2022.6.23 9:14)

オキナワチョウトンボの写真

オキナワチョウトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 1600 +2/3EV(撮影地:沖縄県 2022.6.23 9:14)

オキナワチョウトンボの写真

オキナワチョウトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 400 +1EV(撮影地:沖縄県 2022.6.23 9:26)

オキナワチョウトンボの写真

オキナワチョウトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 800 +2/3EV(撮影地:沖縄県 2022.6.23 9:27)

オキナワチョウトンボ(メス)
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM / 絞り優先AE F10 1/500秒 ISO 640(撮影地:沖縄県宮古島市 2012.09.09)

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ベニトンボ

2017-10-16 21:05:25 | トンボ/トンボ科

 ベニトンボ Trithemis aurora( Burmeister, 1839)は、トンボ科(Family Libellulidae)ベニトンボ属(Genus Trithemis)のトンボで、国外では台湾以南の中国中~南部及び東南アジアに広く分布している。日本国内では、1954年に鹿児島県薩摩半島南端に近い池田湖で発見されたのが最初の記録で、その後、近くの鰻池にも生息していることが報告された。その後の調査で、本種はこの池田湖及び鰻池周辺だけに生息し、沖縄県や鹿児島県の南西諸島には生息していないことが確認され、鹿児島県の一部に飛地的な分布をする種として知られていた。(鹿児島県産の本種は、国外のものよりやや小型)
 しかしながら、1980年頃から八重山諸島や沖縄本島で本種が採集されはじめ、本種が北上しつつあることが判明する。2000年以降になると高知県、徳島県、和歌山県でも目撃されるようになり、現在では、それらの地域では定着しているようである。分布域の北上については、地球温暖化などが原因と言われている。

 ベニトンボを撮るために、高知県四万十市を訪れた。本種は、平地~丘陵地の流れのゆるやかな川や水路、池沼やダムなどに生息する。全長は34~43mmで、ハラビロトンボより少し大きいくらいのトンボである。四万十市では、多くのベニトンボが見られた。狭い範囲をかなり俊敏に飛び回るが、草木に止まると近接撮影も可能であった。
 成熟すると体の色彩が変化するトンボは多く、ナツアカネやショウジョウトンボでは全身が真っ赤になるが、ベニトンボは、全身がショッキングピンクになる。更に全身に赤紫色の粉を生じ、複眼の上部は深紅に染まり、翅脈も赤く色付くのである。この特徴的な色彩はオスだけであり、メスは黄褐色のままである。

 ベニトンボは、初見初撮影の種で「昆虫リストと撮影機材」「蜻蛉目」で101種類目となる。

参考文献
朝比奈正二郎.1956.日本におけるベニトンボの発見.新昆虫,9(1): 51.
竹村芳夫.1958.郷土の昆虫図説(Ⅱ).SATSUMA,7(17):1-2.

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、すべて1024*683 Pixelsで掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ベニトンボの写真

ベニトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 200(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

ベニトンボの写真

ベニトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/160秒 ISO 200(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

ベニトンボの写真

ベニトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 200(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

ベニトンボの写真

ベニトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 250(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

ベニトンボ(メス)の写真

ベニトンボ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 200(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

ベニトンボ(メス)の写真

ベニトンボ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 200(撮影地:高知県四万十市 2017.10.14)

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カオジロトンボ

2017-08-06 20:55:56 | トンボ/トンボ科

 カオジロトンボ Leucorrhinia dubia orientalis Selrs ,1887 は、トンボ科(Family Libellulidae)カオジロトンボ属(Genus Leucorrhinia)で、体色は全身が黒で、翅胸背面や腹部第2,3節あたりに黄褐色または赤色の部分がある。また腹部背面には黄褐色の斑紋がある。また額が白色であるのが大きな特徴で、和名の由来となっている。
 海外では、ヨーロッパ・ロシア・中国・朝鮮半島に、国内では、北海道から本州中部地方に分布し、ヨーロッパには原名亜種 Leucorrhinia dubia dubia (Vander Linden ,1825)が、ロシアから日本かけては本種が分布している。またカオジロトンボ属のトンボは、国内では本種とエゾカオジロトンボ Leucorrhinia intermedia Bartenef, 1910 の2種のみが分布している。
 カオジロトンボは、北海道では低地に、本州では、標高1,000以上の山岳地帯に点在的に生息し、モウセンゴケやミズゴケの生えた高層湿原にある池のみというごく限られた環境に生息しており、個体数も少ない所が多い。湿原周辺の樹林伐採による土砂流入、水源の枯渇や水温上昇などによる生息環境の悪化で、絶滅が危惧される地域もあり、環境省カテゴリにこそ記載はないが、福井県のRDBでは絶滅危惧Ⅰ類、岐阜県、石川県、栃木県、山形県、青森県では準絶滅危惧種として選定している。

 今回、カオジロトンボの交尾態を初めて撮影したので、過去に撮影したオスの写真ともにまとめた。
 撮影した池は、池の半分以上がミズゴケで覆われ水深も浅い。撮影はしていないが、本種以外に、ルリボシヤンマ、キイトトンボ、アオイトトンボが見られた。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、すべて1024*683 Pixelsで掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

カオジロトンボの写真

カオジロトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 250(2013.8.10)

カオジロトンボの写真

カオジロトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 250(2013.8.10)

カオジロトンボの写真

カオジロトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 250(2013.8.10)

カオジロトンボの写真

カオジロトンボ/交尾態
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 640(2017.8.07)

カオジロトンボの写真

カオジロトンボ/交尾態
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 800(2017.8.07)

カオジロトンボの写真

カオジロトンボ/交尾態
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.6 1/400秒 ISO 640(2017.8.07)

カオジロトンボ生息池の写真

カオジロトンボの生息環境

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ウスバキトンボ

2017-07-29 17:21:52 | トンボ/トンボ科

 ウスバキトンボ Pantala flavescens(Fabricius, 1798)は、トンボ科(Family Libellulidae)ウスバキトンボ属(Genus Pantala)に分類され、世界で一番分布域が広く、世界中の熱帯・亜熱帯地域に分布している熱帯系のトンボである。
 本種は「渡り」をすることで知られており、7月29日に我が家で目撃したので記しておきたい。(ただし、休日で家に居たことにより目撃したもので、初見日とは異なる。)

 ウスバキトンボは、熱帯・亜熱帯地域から海を渡って南北アメリカ、アフリカ、ヨーロッパの一部にも飛来すると言われ、少なくとも7,100kmの距離を渡っている可能性が最近の研究で明らかになっている。これまでは、チョウ類のオオカバマダラ Danaus plexippus (L., 1758)の渡り4,000kmが最長であったが、ウスバキトンボはこれを上回る距離を移動しているようである。
 日本には、東南アジア方面(正確には不明)から季節風に乗って移動してきて、まず九州で春頃に繁殖を始める。メスは、池、プール等の止水に産卵し、羽化までの期間はおよそ一ヶ月である。普通のトンボは、卵から成虫になるまでに1~3年かかり、成長の早いアキアカネでさえ半年かかるから、ウスバキトンボは驚異的な繁殖力である。その後、繁殖を繰り返しながら、どんどん北上して行き、東京には、概ね7月頃に到達する。この時東京で見られる個体は、日本で生まれた第2世代以降であると考えられる。(ただし、昨今、関東地方でのウスバキトンボの初見日が早まっている傾向にある。季節風の影響か温暖化の影響によるものかは分からないが、4月下旬に千葉や都内での目撃情報がある。)
 ウスバキトンボの北上は、最終的に9月頃北海道まで達するが、寒さに弱いため、秋になると八重山諸島などの暖地以外では、繁殖できずに死滅してしまうという。

 ウスバキトンボは、日中のほとんどの時間を地上に降りずに飛び回っている。時に羽ばたかずにグライダーのような滑空もする。長時間、長距離を飛ぶためにエネルギーを節約していると考えられている。また、身体は非常に脆く、捕虫網で捕獲するだけで潰れてしまうほどである。これも飛翔のために身体を最大限軽量化した結果であると考えられている。
 日中は、飛んでいる姿しか写真に撮ることができないが、夜は草木に止まって休むため、朝夕は、図鑑写真の撮影チャンスである。

参考文献
Daniel Troast, et.al. "A Global Population Genetic Study of Pantala flavescens" (2016)
NPO法人 むさしの里山研究会/全国一斉ウスバキトンボ調査報告書 2015

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、すべて1024*683 Pixelsで掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ウスバキトンボの写真

ウスバキトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 +2/3EV(撮影地:東京都国分寺市 2017.7.29 11:13)

ウスバキトンボの写真

ウスバキトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 200 +2/3EV(撮影地:東京都国分寺市 2017.7.29 11:13)

ウスバキトンボの写真

ウスバキトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F2.8 1/500秒 ISO 200(撮影地:静岡県磐田市 2011.8.27 6:03)

ウスバキトンボの写真

ウスバキトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F2.8 1/400秒 ISO 200(撮影地:静岡県磐田市 2011.8.27 6:04)

ウスバキトンボの写真

ウスバキトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F2.8 1/500秒 ISO 200(撮影地:静岡県磐田市 2011.8.27 6:05)

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チョウトンボ

2016-08-03 18:53:29 | トンボ/トンボ科

 チョウトンボ Rhyothemis fuliginosa Selys, 1883. は、トンボ科チョウトンボ属で、金属光沢のある金紫色の翅をひらひらさせて、チョウのように舞うのが大きな特徴である。翅に色が付いており、このように飛ぶトンボは他にはいない。若い個体が高い場所で滑空飛行するために、ヒコウキトンボとも呼ばれる。(地域によって様々な呼び名があるようである。)
 羽化した個体は水辺近くの林に移動して、樹の上や少し開けた空間を集団でヒラヒラと飛ぶ様子がしばしば観察されるが、オスは成熟すると水辺に戻って挺水植物の繁茂する水域に縄張りをつ作り、その上空1mくらいの高さを飛び回ってメスを待つ。時折、近くの植物等に止まって休息しては、再び縄張りのパトロールを続ける習性がある。
 国内では本州、四国、九州にかけて分布し、主に平地から丘陵地にかけての植生豊かな池沼などで見られるが、海岸沿いの潮が入る沼沢にも生息する。 東京都内の公園の池でも見ることができ、個人的には普通種と思っていたが、環境省RDBにこそ記載はないものの、神奈川県では絶滅危惧Ⅰ類、東京都では絶滅危惧Ⅱ類、千葉県、山梨県、栃木県、福島県、富山県、長崎県では、準絶滅危惧種として選定している。
 日本国内におけるチョウトンボ属は、本種以外に南西諸島の徳之島以南に分布するオキナワチョウトンボ Rhyothemis variegata imperatrix Selys, 1887.がいる。

 チョウトンボは、光の当り具合によって異なる翅の輝きが魅力で、撮影も難しくはないトンボだが、その美しさを100%捉えられていない。と言うよりは、真剣に時間をかけてチョウトンボと向き合っていないのが原因かも知れない。掲載の写真は、数年の内に様々な地域において撮影したものだが、思い起こせば、 いつも出会ったついでの流し撮り的ないい加減さであった。今年はネアカヨシヤンマの産卵を待つ合間の退屈しのぎ的な撮影。これでは、良いい昆虫写真は撮れない。
 主たる目的の被写体には、事前にプランを立てて望むが、今後は、予め目的外の被写体との出会いも想定して、綿密な戦略的撮影計画を練って臨むことが必要だ。

お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、 画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

チョウトンボ

チョウトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 1250(2016.7.30)

チョウトンボ

チョウトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 1250(2016.7.30)

チョウトンボ

チョウトンボ(ノシメ型)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F2.8 1/1250秒 ISO 200(2011.8.7)

チョウトンボ

チョウトンボ(オベリスク姿勢)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/320秒 ISO 200(2010.08.22)

チョウトンボ

チョウトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 200 (2011.7.10)

チョウトンボ

チョウトンボ(交尾態)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 800 (2011.7.10)

チョウトンボ

チョウトンボ(交尾態)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 800 (2011.7.10)

オキナワチョウトンボ

オキナワチョウトンボ
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM
絞り優先AE F9.0 1/500秒 ISO 320(2012.09.09)

オキナワチョウトンボ

オキナワチョウトンボ
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM
絞り優先AE F10 1/500秒 ISO 640(2012.09.09)

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ハラビロトンボ

2016-05-24 22:19:19 | トンボ/トンボ科

 ハラビロトンボ Lyriothemis pachygastra (Selys, 1878)は、トンボ科(Family Libellulidae)ハラビロトンボ属(Genus Lyriothemis)で、ハラビロトンボ属は、日本には本種以外に2種(オオハラビロトンボとキイロハラビロトンボ)が生息している。本種は、北海道の南部から九州・四国まで分布し、体長の割に腹部が極端に太く扁平で短いという独特の体形をしており、特にメスの腹部は極太である。未熟なうちは雌雄とも全身が黄色を基調とした体色をしており似ているが、交尾器で容易に判断できる。オスは成熟するにつれて全身が黒化したのち、腹部背面がシオカラトンボのように青白い粉を帯びるようになるが、メスは体色が全体的に黄色が濃くなる程度である。また、雄雌ともに顔面の額上部が青色の金属光沢を放つのも特徴である。
 本種は、平地や丘陵地の挺水植物が繁茂する腐植栄養型の沼や湿地に生息しており、4月頃から9月頃まで見ることができる。幼虫は毛深いヤゴで、常に泥を多く付着させており、 他のトンボよりも乾燥に強いとされ、水が干上がってもある程度は泥の中で生存する能力を持つといわれている。
 環境省RDBに記載はなく、北海道および千葉県のRDBでは絶滅危惧Ⅰ類に選定され、東京都では絶滅危惧Ⅱ類に選定しているが、都内多摩西部の谷戸では群れ飛ぶように生息している。 私的には普通種という感があり、これまで数枚しか撮影していなかった。過去の写真を見ると、メスと思っていたものが未成熟のオスだったりといい加減。まずは、特徴が分かる「図鑑的写真」をきっちりと収めようと思った。次は、羽化や産卵などの生態的シーンを撮っていきたいと思う。

お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、 画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ハラビロトンボ

ハラビロトンボ(未成熟オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F6.3 1/1603秒 ISO 320 +2/3EV(撮影地:東京都あきる野市 2016.5.14)

ハラビロトンボ

ハラビロトンボ(未成熟オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 320 +2/3EV(撮影地:東京都あきる野市 2016.5.14)

ハラビロトンボ

ハラビロトンボ(成熟途上オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 -1EV(撮影地:東京都あきる野市 2011.5.22)

ハラビロトンボ

ハラビロトンボ(成熟オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:東京都あきる野市 2011.5.22)

ハラビロトンボ

ハラビロトンボ(成熟オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F11 0.3秒 ISO 320(撮影地:東京都あきる野市 2011.5.22)

ハラビロトンボ

ハラビロトンボ(未成熟メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F5.0 1/200秒 ISO 200(撮影地:東京都あきる野市 2016.5.14)

ハラビロトンボ

ハラビロトンボ(未成熟メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 250(撮影地:東京都あきる野市 2016.5.14)

ハラビロトンボ

ハラビロトンボ(成熟メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 250(撮影地:東京都あきる野市 2016.5.22)

ハラビロトンボ

ハラビロトンボ(成熟メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 320V(撮影地:東京都あきる野市 2016.5.22)

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ヨツボシトンボ属

2016-05-08 19:42:25 | トンボ/トンボ科

 トンボ科(Libellulidae)ヨツボシトンボ属(Libellula属)は、日本国内に以下の2種が生息している。

ヨツボシトンボ属

  1. ヨツボシトンボ(Libellula quadrimaculata asahinai Schmidt,1957)
  2. ベッコウトンボ(Libellula angelina Selys, 1883)

 ヨツボシトンボは、北海道、本州、四国、九州に分布し、平地では4月下旬頃から5月上旬、標高の高い山地や北海道では7月でも見られる。環境省RDBには記載されていないが、都道府県のRDBでは、東京都、千葉県、愛媛県で絶滅危惧Ⅰ類、神奈川県で絶滅危惧Ⅱ類、埼玉県、栃木県、静岡県などで準絶滅危惧種として選定している。
 ベッコウトンボは、かつては宮城県以南の本州・四国・九州に広く分布し5月上旬頃をピークに見られたが、各地で絶滅し、環境省RDBでは絶滅危惧ⅠA類、多くの都府県RDBにおいても絶滅もしくは絶滅危惧Ⅰ類に選定されている。現在の確実な生息地は静岡県・兵庫県・山口県と九州に数か所しかなく、トンボ類の中では一番絶滅が危惧されている。 また、国内希少野生動植物種(種の保存法)にも指定されており、捕獲は原則として禁止されている。

 両種ともにヨシなどの挺水植物が繁茂している池沼や湿地に生息し、周辺の豊かな植生が不可欠であると言われているが、ベッコウトンボにおいては池の浅い部分に適当な開水面があり,植物が水面を埋め尽くさないような条件が必要で、また、幼虫は採餌のための徘徊が不活発で、餌となる小動物の密度が薄くなると生存率が著しく低下すると言われている。
 平成8年に文部科学省、農林水産省、環境省によってベッコウトンボの保護増殖事業計画が策定され、生息地の1つである鹿児島県薩摩川内市の藺牟田池は、平成8年に種の保存法に基づく「生息地等保護区」に指定され、生息環境の保全とモニタリングを行っている。また、国内では唯一の安定した多産地と言われている静岡県磐田市にある桶ケ谷沼は、沼とその周辺約50.5ha(およそ東京ドーム10個分)が、県の条例に基づき自然環境保全地域に指定され、さらに地域内の11.4haが特別地区(野生動植物保護地区)に指定されており、ベッコウトンボをはじめとする多くの貴重な動植物が守られている。

注釈:本記事は、過去に様々な地域や場所において撮影し個別に公開していた写真を、時節柄の話題として提供するために再現像し編纂したものです。

お願い:写真は、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、 画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ヨツボシトンボ

ヨツボシトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 200(撮影地:東京都あきる野市 2011.5.14)

ヨツボシトンボ

ヨツボシトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 320(撮影地:東京都あきる野市 2011.5.14)

ベッコウトンボ

ベッコウトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 1000(撮影地:静岡県磐田市 2011.5.3)

ベッコウトンボ

ベッコウトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 800(撮影地:静岡県磐田市 2011.5.3)

ベッコウトンボ

ベッコウトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 200(撮影地:静岡県磐田市 2012.4.29)

ベッコウトンボ

 掲載のヨツボシトンボは東京都あきる野市で、ベッコウトンボは静岡県磐田市の鶴ヶ池で撮影したものだが、写真では、両種ともに脚4本で止まっているのが分かる。止まる時にも飛んでいる時と同じように前脚を頭の後ろに折りたたんでいることがあるのだ。こうした動作は、シオカラトンボ、コシアキトンボ、チョウトンボでも見られるが、6本で止まることもあり、理由については分かっていない。
 尚、以前「昆虫なのに脚4本?」という記事でタテハチョウについて紹介したが、タテハチョウ科の前脚は萎縮していて小さくなっており、頭部と中脚の間に小さく折り畳まれていて、歩行や止まるためではなく感覚器官としての働きに特化している。

ヨツボシトンボ

ヨツボシトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F6.3 1/640秒 ISO 200(撮影地:東京都あきる野市 2011.5)

東京ゲンジボタル研究所 古河義仁/Copyright (C) Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.

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