ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態と環境を52年研究し保全活動してます。ホタルだけでなく、様々な昆虫の生態写真や自然風景の写真も掲載しています

まいめの池(紅葉)

2018-10-30 21:11:40 | 風景写真/紅葉

 まいめの池は、長野県松本市安曇・乗鞍高原の中央部を占める一の瀬園地(標高1,500m)にある小さな池。乗鞍高原には池が点在し、それぞれ特徴があるが、「まいめの池」は池畔の木々の映り込みが特に美しく、トンボの撮影も含めて頻繁に訪れる撮影スポットのひとつである。
 新緑も良いが紅葉の季節はまた格別である。「まいめの池」は標高が高いので紅葉の時期が早く、例年10月上旬に紅葉が始まり中旬にピークを迎える。シラカバと紅葉のシンメトリーが美しく、快晴無風の朝は放射冷却で冷え込むため、池面から立ち上る水蒸気が陸上の冷たい空気に触れて霧となり、幻想的な光景となる。

 これまでの記事内容で分かるように、10月はトンボの撮影に費やしたため高標高の山岳地帯の紅葉は見ることができなかった。今後、関東近辺の紅葉を撮りたいとは思うが、まずは、自身の風景撮影に気合を入れるため、2015年に撮影した「まいめの池の紅葉」から、未掲載のカット3点を選んで現像し掲載した。
 まいめの池は、星空が美しいことでも有名。本記事では、すぐ近くの駐車場から撮影した天の川も併載したが、今度は、池に映る星空を撮ってみたいと思う。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

まいめの池の紅葉写真

まいめの池(紅葉)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 0.6秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:長野県松本市・乗鞍高原 2015.10.18 6:33)

まいめの池の紅葉写真

まいめの池(紅葉)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/4秒 ISO 100(撮影地:長野県松本市・乗鞍高原 2015.10.18 7:00)

まいめの池の紅葉写真

まいめの池(紅葉)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/4秒 ISO 100(撮影地:長野県松本市・乗鞍高原 2015.10.18 7:04)

乗鞍高原より天の川写真

乗鞍高原より天の川
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / EF17-35mm f/2.8L USM / バルブ撮影 F2.8 29秒 ISO 2000(撮影地:長野県松本市・乗鞍高原 2018.7.21 1:30)

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ウチワヤンマ

2018-10-27 14:17:14 | トンボ/サナエトンボ科

 ウチワヤンマ

 ウチワヤンマ Sinictinogomphus clavatus clavatus (Fabricius, 1775) は、サナエトンボ科(Family Gomphidae)ウチワヤンマ属(Genus Sinictinogomphus)で名称に「ヤンマ」と付くが、サナエトンボの仲間である。青森県から鹿児島県に至るまで、平地や丘陵地の大きな池や湖で6月頃から10月頃まで見られる。腹部第8節側縁下方に半円形の付属物が大きな特徴であり、和名の由来でもある。「なわばり」の行動として、水面から突き出た棒の先などに後肢4本で止まるのも面白い。
 昨今、四国南部や九州および南西諸島に分布していたタイワンウチワヤンマ Ictinogomphus pertinax (Selys, 1854) が分布域を北上させている。約70年前には高知市近辺が北限であったが、2017年現在では、北は島根県太田市まで、東は神奈川県の海岸沿いにまで記録が広がっている。本種はタイワンウチワヤンマ属(Genus Ictinogomphus)で、腹部第8節側縁下方に半円形の付属物がすべて黒色をしているのでウチワヤンマとは容易に区別ができる。
 両種の間には幼虫の生息環境に違いがあり、共存するようないけにおいても、水生植物の多い所にタイワンウチワヤンマ、水生植物があまり見られない場所にウチワヤンマというように棲み分けをしているため、タイワンウチワヤンマの北上がウチワヤンマの生存を脅かしていることはないようであるが、近年、生息場所の減少や環境の悪化からウチワヤンマは数を減らしており、環境省カテゴリには記載がないものの、長崎県のRDBでは絶滅危惧Ⅰ類、東京都では絶滅危惧Ⅱ類、千葉県をはじめ、他に5つの府県で準絶滅危惧種として選定されている。

 タイワンウチワヤンマは、今年10月8日に愛媛県で撮影したが、画質が悪かったため宮古島で撮影したものを掲載した。ウチワヤンマは過去に撮影したものを再現像して掲載。
 これまでに撮影したトンボを整理してみると、103種類撮っているが、本種の写真は掲載したものがすべてであり、サナエトンボ科に至っては、数種しか撮影しておらず、すべて図鑑的なもの。 前記事の「ギンヤンマ」もそうであるが、今後は、産卵、羽化といった生態を観察し、その瞬間を写真に収めていきたいと思う。

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ウチワヤンマの写真

ウチワヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/400秒 ISO 200(撮影地:東京都 2010.8.21)

ウチワヤンマの写真

ウチワヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/800秒 ISO 200(撮影地:東京都 2010.8.21)

ウチワヤンマの写真

ウチワヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 200(撮影地:東京都 2010.8.21)

ウチワヤンマの写真

ウチワヤンマ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 250 +1/3EV(撮影地:埼玉県 2012.6.17)

タイワンウチワヤンマの写真

タイワンウチワヤンマ
Canon EOS 7D / EF100-300mm f/4.5-5.6 USM / 絞り優先AE F5.6 1/640秒 ISO 200(撮影地:沖縄県 2012.9.09)

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ギンヤンマ

2018-10-25 17:31:27 | トンボ/ヤンマ科

 ギンヤンマ Anax parthenope julius Brauer, 1865は、ヤンマ科(Family Aeshnidae)ギンヤンマ属(Genus Anax)のトンボ。比較的多く目にするヤンマの代表種でありながら、これまであまり撮っていなかった。今回、産卵の様子を撮ったので、過去に撮影した写真とともにまとめてみた。
 他の昆虫でもそうであるが、どんなシーンでも誰かが必ず素晴らしい写真を撮っている。私は、それらに追いつけ追い越せというわけではなく、私の昆虫写真は、私自身が昆虫の生態や生息環境の知見を深めるための記録であり、図鑑である。様々な昆虫の生態や生態系を学ぶことで、専門である「ホタル」の保全に役立てばと思っている。

 ギンヤンマは、北海道では希種であるが、本州、四国、九州をはじめ、南西諸島や小笠原諸島に至るまで、ほぼ日本全国で見られる。近縁種のクロスジギンヤンマが小規模な池を好むのに対して、本種は大きめの開放的な池を好み、平地~丘陵地の開放的な池沼、人工池、植生の多い川にも生息し、都市部の公園、学校のプールなどでも見られる。
 体長は65~84mmと大型で、頭部と胸部が黄緑色、腹部が黄褐色をしている。腹部第3節の下側が白銀色をしていることが和名の由来である。オスは腹部第2~3節に水色の斑紋をもつが、メスも同じような淡青色部分のある個体(青色型)も見られる。

 ギンヤンマは、アカネ属がそろそろ終盤という10月中旬を過ぎても池を陣取っている。関東地方では8月頃に一番多く見られるが、地域によっては4月から11月頃までの間に数回発生する。オスは、飛翔占有型で広い縄張りを持って水面上を悠然と飛び回り、他のオスが縄張りに侵入すれば、物凄いスピードで追いかけ追い払う。本種は、昆虫の中で最も速く飛行する虫だと言われており、その最高速は時速60kmに及ぶと言われている。飛んでいる様子をカメラで捉えるのは容易な事ではないが、稀に向かい風にのって静止飛翔するので、その時を狙った。
 ギンヤンマは、交尾後にオスとメスが連結したまま飛び回り、適切な産卵場所を見つけたら植物等に止まって組織内に産卵する。時にはメスが単独で産卵をする場合もある。連結産卵は、小型のイトトンボ科やアカネ属では良く見られるが、ヤンマ科では異例であり、ギンヤンマだけではないだろうか。

以下の掲載写真は、1920*1280 Pixels で投稿しています。写真をクリックしますと別窓で拡大表示されます。

ギンヤンマの飛翔写真
ギンヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 200(撮影地:東京都 2012.9.30)
ギンヤンマの飛翔写真
ギンヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F5.6 1/500秒 ISO 200(撮影地:東京都 2012.9.30)
ギンヤンマの交尾写真
ギンヤンマの交尾態
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 3200 -1/3EV(撮影地:富山県 2015.9.20)
ギンヤンマの交尾写真
ギンヤンマの交尾態
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 3200 -1/3EV(撮影地:富山県 2015.9.20)
ギンヤンマの産卵写真
ギンヤンマの連結産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 +1EV(撮影地:静岡県 2018.10.20)
ギンヤンマの産卵写真
ギンヤンマの連結産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 +1EV(撮影地:静岡県 2018.10.20)
ギンヤンマの産卵写真
ギンヤンマの連結産卵(青色型メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 +1EV(撮影地:静岡県 2018.10.20)

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スナアカネ

2018-10-21 16:39:29 | トンボ/アカネ属

 スナアカネ Sympetrum fonscolombei (Selys, 1840)は、トンボ科(Family Libellulidae)アカネ属(Genus Sympetrum)で、体長37~46mmと小さく、翅の基部に橙色の斑紋を持つ。胸部が灰青色で雌雄ともに複眼の下面が青みを帯びるのが大きな特徴である。成熟したオスは、顔面も赤くなる。北アフリカ、中東、モンゴル、インドを含む南西アジア、および南部ヨーロッパ等に広く分布しており、ヨーロッパでは、1990年代以降年々北上し、スウェーデンやアイルランドなどでも発見されている。
 日本国内では、台風等に乗って飛来する、いわゆる「飛来種」と考えられているが、同じ「飛来種」であるタイリクアキアカネ Sympetrum depressiusculum やオナガアカネ Sympetrum cordulegaster のように日本海側だけに見られるのではなく、太平洋側の海岸沿いでも、主に9月から11月にかけて多く目撃される。

 スナアカネは、沼地、湖沼、池、河川(季節的河川を含む)等、幅広い環境で繁殖し、主に5月から10月頃に見られるが、地中海とその周辺では、年間を通じて成虫を見ることができるという。他のヨーロッパに分布するトンボとは異なり、本種は卵の期間が約10日、幼虫期間が76日~141日で年に1回以上発生し、生息地によっては幼虫で越冬すると言われている。雌雄のペアは連結打水産卵を行うが、連結したまま海上を飛び、海水にも産卵することが知られている。
 国内で世代交代している報告はないが、愛媛県では羽化が確認されており、また福岡県や静岡県では産卵も確認されている。日本トンボ学会会員で松山市在住の飯田 貢 氏の観察によれば7月18日に羽化殻を確認。その後、7月20日~7月27日までに雌雄の羽化を確認している。7月に羽化が確認されるということは、4月から5月頃に産卵したことになる。その時期、ユーラシアからの偏西風のジェット気流は日本の太平洋側を通るので、おそらくはそれに乗って飛来することもあるかも知れない。また、本種の環境適応性を鑑みると、すでに定着して世代交代している可能性もある。

 スナアカネの撮影は、年頭に掲げた撮影目標にはなかったが、見てみたいトンボではあった。今年、愛媛県で7月に羽化が確認されたことで、この秋に行けば撮れるかも知れないと思い、他のトンボ類の撮影も含めて10月の7日と8日に愛媛県まで遠征した。撮影した他のトンボ類の写真は、先に掲載した通りで、オオキトンボやナニワトンボのように関東では見ることのできない種の産卵シーン、カトリヤンマの青い複眼のメス等であり、主目標であったスナアカネも海岸の砂浜にてメス1頭を撮影することができた。

 今回はオスを撮るべく、静岡県に行ってみることにした。Googleマップの航空写真で見当を付けて訪れてみると、すぐにスナアカネのオスを見つけることができた。最初はヒメアカネと思ったが、複眼の下面が青いので分かった。全部で3頭のオスを確認。メスは確認できなかった。(採卵のために捕獲された可能性もある。)スナアカネは、昼近くになって池に集まってきて抽水植物の先端に止まってテリトリーを占有する。池が沢山隣接していても、集まる池は1つだけであった。飛翔する時は池でも陸地でもかなり低空を飛び、砂地や低めの草茎に止まることも多い。飛翔の範囲も狭く、遠くに飛んでいくことはなかった。
 確認したオス3頭ともに成熟した個体であるが、翅はまったく擦れていない美しい個体である。太平洋側にも強風をもたらした台風24号が日本付近を通過してから3週間が経過し、偏西風も日本海を通るこの時期、果たして飛来した個体なのだろうか?この場所は海岸近くの池であるため、ここで羽化した個体である可能性もあるが、確証はない。

 スナアカネは、初見初撮影の種で「昆虫リストと撮影機材」「蜻蛉目」で103種類目となる。愛媛においては、日本トンボ学会会員の飯田 貢 氏、山本 桂子 氏に現地をご案内いただき、多くの成果を得ることができた。心より御礼申し上げたい。

関連記事/乗鞍高原でスナアカネ発見

参考文献

  1. 鵜飼 貞行 日本国内におけるスナアカネに関する知見 Tombo 38, 63-65, 1995-12-01 日本蜻蛉学会
  2. Selys-Longchamps, de, E. 1840. Monographie des libellulidees d'Europe. Libellula fonscolombii p. 39, Librairie Roret, 220 pages, Paris

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スナアカネの写真
スナアカネ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 +1EV(撮影地:静岡県 2018.10.20)
スナアカネの写真
スナアカネ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/800秒 ISO 200 +1EV(撮影地:静岡県 2018.10.20)
スナアカネの写真
スナアカネ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 +1EV(撮影地:静岡県 2018.10.20)
スナアカネの写真
スナアカネ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 +1EV(撮影地:静岡県 2018.10.20)
スナアカネの写真
スナアカネ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200 +1EV(撮影地:静岡県 2018.10.20)
スナアカネの写真
スナアカネ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/640秒 ISO 200 +2/3EV(撮影地:静岡県 2018.10.20)
スナアカネの写真
スナアカネ(メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/640秒 ISO 200(撮影地:愛媛県 2018.10.07)
スナアカネの写真
スナアカネ(メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 250 +1 2/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07)
スナアカネの写真
スナアカネ(メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/640秒 ISO 200 +1EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07)
スナアカネの写真
スナアカネ(メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 200 +1EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07)
スナアカネの写真
スナアカネ(メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/640秒 ISO 200 +1EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07)

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ネキトンボ

2018-10-17 22:23:58 | トンボ/アカネ属

 ネキトンボ Sympetrum speciosum speciosum Oguma, 1915 は、トンボ科(Family Libellulidae)アカネ属(Genus Sympetrum)で、和名は翅の基部が橙色をしているところに由来する。国内では東北地方以南に分布し、平地、丘陵地、山地の木陰のある植生の豊かな池に生息するが、時には学校のプールやコンクリート張りの池など人工的な水域でも幼虫が発見される。
 生態は他のアカネ属と大きく異なっており、基本的に幼虫で越冬するため、アカネ属の中では早い時期から羽化が始り、成虫は5月下旬頃から羽化し、遅いところでは11月下旬頃まで見られる。

 写真は、10月8日に愛媛遠征の際に撮影したもの1枚と、過去に撮影したものの中から未掲載のものを選んで掲載した。
 今年の昆虫撮影の遠征は、今週末が最後になりそうである。空振りに終わるかも知れないが、静岡県の浜松と三重の伊勢神宮を予定。 その後は、紅葉や霧氷等の自然風景撮影にシフトしようと思う。

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ネキトンボの写真

ネキトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F4.0 1/400秒 ISO 200 +2/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.08)

ネキトンボの写真

ネキトンボ(連結飛翔)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 1/3200秒 ISO 200(撮影地:東京都 2010.9.26)

ネキトンボの写真

ネキトンボ(連結飛翔)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 1600 +1/3EV(撮影地:長野県 2018.6.30)

ネキトンボの写真

ネキトンボ(連結飛翔)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 1000 +1/3EV(撮影地:長野県 2018.6.30)

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ヒメカマキリ

2018-10-14 11:53:40 | その他昆虫と話題

 ヒメカマキリ Acromantis japonica Westwood, 1889 は、ハナカマキリ科(Family Hymenopodidae)ヒメカマキリ亜科(Subfamily Acromantinae)ヒメカマキリ属(Genus Acromantis)。日本のカマキリ類は、カマキリ科(Family Mantidae)とハナカマキリ科(Family Hymenopodidae)の2科よりなるが、本種は、国内唯一のハナカマキリ科である。体長は25.0~35.0mmと、日本産カマキリ類の中では、ヒナカマキリ Amantis nawai(Shiraki, 1911)に次いで小さい。
 ヒメカマキリは、日本固有種で、本州、四国、九州、対馬、屋久島、奄美大島に分布し、九州には同属のサツマヒメカマキリ Acromantis australis Saussure, 1871 が生息している。本種は、暖地性であり、東日本での確実な生息場所は千葉県南部に限られるようである。環境省カテゴリにはないが、千葉県RDBでは絶滅危惧Ⅱ類、京都府では準絶滅危惧種として記載している。
 体色は緑褐色から茶褐色で、中脚と後脚は茶褐色の縞紋様を呈している。他のカマキリ類に比べ、前胸部が相対的に短い。前翅は雌雄ともに薄く、半透明である。主に低山地から山地の雑木林の林内や林縁、その周囲の草地などに生息し、夜間、明かりにも飛来する。年1化で、成虫は9~11月頃に多く見られる。

 ヒメカマキリは、今回、トンボ撮影のために遠征した愛媛県において、同県在住の方が見つけてくださったもの。同県では、それほど珍しい種ではないらしい。個体だけの写真では、その大きさが全く分からないが、指先に乗せると、その小ささが分かる。
 本種は、初見初撮影の種で、掲載した写真は、全て同じ個体でメスである。(ヒナカマキリは、3年前より探索し卵鞘は撮影しているが、未だ成虫は撮れていないので、来年の課題としたい。)

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ヒメカマキリの写真

ヒメカマキリ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 640 +1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07)

ヒメカマキリの写真

ヒメカマキリ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 1000 +1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07)

ヒメカマキリの写真

ヒメカマキリ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 1600 +1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07)

ヒメカマキリの写真

ヒメカマキリ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 2000 +1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07)

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タイリクアカネ

2018-10-13 13:13:46 | トンボ/アカネ属

 タイリクアカネ Sympetrum striolatum imitoides Bartenef, 1919 は、トンボ科(Family Libellulidae)アカネ属(Genus Sympetrum)で、同属のアキアカネ Sympetrum frequens (Selys, 1883) に似ているが、一回り大きく、肢のけい節の外側が黄褐色をしていること、翅の基部および前縁が橙黄色をしていること、また、オスの縁紋が赤くなること等の特徴があり区別できる。
 本種はユーラシア大陸に広く分布する。日本国内には亜種が分布し、北海道から本州東北部にかけてと本州中部から九州南部にかけて分布するが、産地は局地的である。関東地方から中部地方にかけては分布の空白域がある。環境省RDBカテゴリでは選定されていないが、福島県、富山県のRDBで絶滅危惧Ⅰ類に、和歌山県、愛媛県のRDBで準絶滅危惧種に選定されている。
 本種は、沿岸域の開放的な池沼、水たまり等に生息するが、使用期間外の屋外プールや、公園の池、ビオトープ等でも繁殖しているという。ヤゴ期間は、2~9カ月程度で1年1世代。北日本では卵、西日本では幼虫で越冬すると言われている。羽化後しばらくすると繁殖水域から離れ、高地に移動していると言われているが、詳細は不明である。秋になると繁殖水域にもどり産卵活動を始める。

 タイリクアカネは、2013年に兵庫県にてオスを撮影しているが、今回の愛媛遠征において、オオキトンボが生息するため池で雌雄一組の連結飛翔を撮影した。掲載写真には、2013年に撮影したものも掲載した。

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タイリクアカネの写真

タイリクアカネ/連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 400 +1 1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07)

タイリクアカネの写真

タイリクアカネ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X / 絞り優先AE F9.0 1/800秒 ISO 800(撮影地:兵庫県小野市 2013.11.02)

タイリクアカネの写真

タイリクアカネ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X / 絞り優先AE F9.0 1/800秒 ISO 3200(撮影地:兵庫県小野市 2013.11.02)

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カトリヤンマ(青眼メス)

2018-10-10 21:53:48 | トンボ/ヤンマ科

 カトリヤンマ Gynacantha japonica Bartenef, 1909 の青眼型メスを撮影したので紹介したい。
 ヤンマ科において雌雄の体色が異なる種の中には、複眼、胸部、腹部の斑紋の色がオスと同じ色になる「オス型メス」というものが出現する。特に顕著なのがルリボシヤンマ属のオオルリボシヤンマとマダラヤンマで、オオルリボシヤンマは、昨年兵庫県で、今年は新潟県で撮影しており、マダラヤンマでは、昨年長野県内において撮影している。他のヤンマ科では、マルタンヤンマのようにメス個体にオスの色彩がまったく現れない種もいるが、ヤブヤンマやクロスジギンヤンマのメスでは、複眼がオスと同じような青色の個体もいる。
 カトリヤンマにおいてもオスの体色に似たメスの個体が出現するが、その存在はあまり知られておらず、インターネット上でもその確実な写真はない。そこで、昨年から特に青い複眼のメスを探して多産地にて撮影を繰り返してきたが、今回、愛媛県において青眼型メスを撮影することができた。オスと同じ緑がかった青色の複眼が美しい。また、過去に撮影した写真も併せてみると、メスの体色には幾つかのタイプがあることも分かった。カトリヤンマのメス個体の色彩(個体変異)は、他のヤンマのメスに比べて、とてもバラエティーに富んでいると言えよう。ただし、オスと同じ腹部第1~2節に青斑が現れる個体はいない。

  1. 複眼が青色で、胸部と腹部斑紋が緑色
  2. 複眼、胸部、腹部斑紋が緑色
  3. 複眼、胸部、腹部斑紋が黄色
  4. 腹部第3節の斑紋が青色 など

 以下に、今回撮影したカトリヤンマの青眼型メスと、上記に記した特徴が分かる他個体の写真、そして比較のためにオスの写真も掲載した。尚、愛媛県の多産地では、山間部の稲の刈り取りが終わった小さな田んぼ4面にメスが産卵のために数十頭が飛来するが、青眼型メスは、多数見られた。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

カトリヤンマの青眼メスの写真

カトリヤンマ/メス(青眼タイプ 個体A)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 +1/3EV ストロボ使用(撮影地:愛媛県 2018.10.07 16:27)

カトリヤンマの青眼メスの写真

カトリヤンマ/メス(青眼タイプ 個体B)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 +1 1/3EV ストロボ使用(撮影地:愛媛県 2018.10.07 16:12)

カトリヤンマの青眼メスの写真

カトリヤンマ/メス(青眼タイプ 個体B)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:愛媛県 2018.10.07 16:12)

カトリヤンマの青眼メスの写真

カトリヤンマ/メス(青眼タイプ 個体C)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 +1/3EV ストロボ使用(撮影地:愛媛県 2018.10.07 16:23)

カトリヤンマの青眼メスの写真

カトリヤンマ/メス(青眼タイプ 個体C)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 3200 +1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07 16:22)

カトリヤンマのメスの写真

カトリヤンマ/メス(黄眼タイプ)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/250秒 ISO 3200 -2/3EV(撮影地:千葉県 2017.9.24)

カトリヤンマのメスの写真

カトリヤンマ/メス(緑眼タイプ)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/80秒 ISO 400 -2/3EV ストロボ使用(撮影地:千葉県 2017.9.24)

カトリヤンマのメスの写真

カトリヤンマ/メス(青斑タイプ)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/60秒 ISO 400 -2/3EV ストロボ使用(撮影地:千葉県 2017.9.24)

カトリヤンマの写真

カトリヤンマ/オス
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.0 1/500秒 ISO 640(撮影地:神奈川県 2013.10.14)

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ナニワトンボ(連結打空産卵)

2018-10-09 20:14:47 | トンボ/アカネ属

 ナニワトンボ Sympetrum gracile Oguma, 1915は、トンボ科(Family Libellulidae)アカネ属(Genus Sympetrum)で、いわゆる"赤とんぼ"の仲間であるが、オスは成熟しても赤くならずシオカラトンボのように青灰色の粉を吹く、言わば"青い赤とんぼ"である。日本特産種であり、和名の"ナニワ"は、発見地が大阪であったことによる。瀬戸内海周辺を中心とした本州と四国に分布するが生息場所は局地的で、環境省カテゴリでは絶滅危惧Ⅱ類に、鳥取県では絶滅、滋賀県と徳島県では絶滅危惧Ⅰ類、大阪府、奈良県、広島県、岡山県、山口県では絶滅危惧Ⅱ類、その他7の自治体においても準絶滅危惧種に選定している。
 ナニワトンボは「ため池」に生息するが、生息には以下のような条件がある。

  1. 樹林が、ため池に隣接していること
  2. ため池の水が、秋に落とされて水際が後退し、露出した池岸ができること
  3. 露出した池岸が、一部でも木々に覆われていること

 ナニワトンボは、2013年9月に兵庫県小野市において撮影し「ナニワトンボ」として掲載しているが、この時はオスの静止画像ばかりであった。今回の愛媛遠征では、オオキトンボに続いて本種の生息地もご案内いただき、雌雄の連結飛翔と連結打空産卵の様子を観察し撮影することができた。
 オスは、池の周囲の草叢でも確認できたが、雌雄の連結飛翔及び連結打空産卵は、水が落とされて露出した岸辺で、しかも木々で覆われた部分でのみ行われていた。満水時は樹木が池に張り出していて、水面を覆っているが、水がなくなると、その部分は枯葉や枯れ木が散在している。その場所において、雌雄が連結したまま空中から卵をばらまくという産卵を行っていた。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ナニワトンボの連結打空産卵の写真

ナニワトンボ/連結打空産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 1250(撮影地:愛媛県 2018.10.07 11:40)

ナニワトンボの連結飛翔の写真

ナニワトンボ/連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 1600(撮影地:愛媛県 2018.10.07 11:50)

ナニワトンボの写真

ナニワトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 +1 1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07 11:28)

ナニワトンボの写真

ナニワトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 3200 +1 1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07 11:30)

ナニワトンボの写真

ナニワトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 1000(撮影地:愛媛県 2018.10.07 11:34)

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オオキトンボ(連結飛翔)

2018-10-08 21:23:59 | トンボ/アカネ属

 オオキトンボ Sympetrum uniforme (Selys, 1883)は、トンボ科(Family Libellulidae)アカネ属(Genus Sympetrum)で、体に􄛿明瞭な斑紋がなく、脚も含めて一様に緑味のある橙黄色をもつトンボである。北海道から九州まで分布し、平地から丘陵地におけるため池周辺に生息するが、全国的に確実に減少しており、現在の確実な生息地(2016年の確認情報)は、青森、大阪、兵庫、香川、愛媛、高知、大分の7府県のみであり、いずれも極めて局所的に生息している。環境省RDBカテゴリでは絶滅危惧ⅠB類(EN)に選定されている。
 成虫は6月頃から羽化し、羽化後は、成熟するまで発生地のため池から離れて生活する。成熟した個体は10月頃からため池に戻って産卵するが、池の水落(池干し)がなされ、岸から浅い部分がなだらかに続くような場所でのみ行われる。「池干し」といった昔ながらのため池管理がされていなければ生息できないのである。

 オオキトンボは、これまでに5回兵庫県内のため池に通い3回ほど撮影したが、単独飛翔と草などのへの静止写真だけであった。今回は、愛媛県において雌雄の連結飛翔の写真と連結打水産卵の動画を撮影したので掲載したい。
 オオキトンボは、風も穏やかで良く晴れた日は、午前10時頃になるとオスは水際の草の上に止り、10時半頃になると水面をパトロールし始め、水面上でホバリングしながら、メスがやってくるのを待つ。ペアができると、連結飛翔しながら池底が露出してできた部分に打水(打泥)産卵する。この日は、10ペア以上が産卵を行っていた。
 本種は愛媛県のRDBでも絶滅危惧Ⅱ類に選定されている。当地は、比較的安定した生息が確認されているが、地域全体では、農業形態の変化に伴いため池の水管理や改修によって生息環境の悪化が心配されている。現在は、NPO法人によって情報収取・整備が行われ、今後は、地域住民、専門家、行政等関係者による保全活動計画の策定を目指していると言う。
 今回、貴重な生息地において、多くのオオキトンボを観察し、撮影できたことに感謝したい。

参照:オオキトンボ

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。Internet Explorerの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorerの画面サイズを大きくしてご覧ください。

オオキトンボの連結飛翔写真

オオキトンボ/連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 640 +1 1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07 10:40)

オオキトンボの連結飛翔写真

オオキトンボ/連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 640 +1 1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07 10:44)

オオキトンボの連結飛翔写真

オオキトンボ/連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 320 +1 1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07 10:09)

オオキトンボの飛翔写真

オオキトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 320 +1 1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07 10:04)

オオキトンボの連結飛翔写真

オオキトンボ/連結飛翔
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/300秒 ISO 320 +1 1/3EV(撮影地:愛媛県 2018.10.07 10:18)

オオキトンボ/連結打水(打泥)産卵
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4(撮影地:愛媛県 2018.10.07)

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