ホタルの独り言 Part 2

ホタルの生態や生息環境を48年研究し保全活動をしていますが、趣味で撮影した昆虫や
美しい自然風景写真も掲載しています。

東京のホタル

2019-06-30 20:05:07 | ホタル

 東京のホタルを観察する催しが、この週末に行われた。私も理事の一人である「日本ホタルの会」の恒例行事である。今年は、多摩丘陵の里山で、幼虫の放流などは一切行っていない将に天然の発生地であり、2008年にTBSテレビ「ニュース23」に出演した時にキャスターと訪れた場所でもある。当時は、ゲンジボタルが乱舞していたが、昨今ではかなり荒れた状態になっており、一時期、川の水も枯れたこともあって、発生数は激減していた。
 この日は、全部でおよそ20頭を確認。19時25分に1頭が光始めたが、生憎、飛翔時間に本降りの雨となり、数頭飛んだものの、ほとんどの個体は葉に止まったまま、時折、発光する程度であった。 (写真1)

 東京のホタルは、山間部の渓流にも生息している。こちらは、毎年安定した数のゲンジボタルが発生しており、週末には大勢の観賞者が訪れる。深い谷の底であるため、街灯や車のライトの影響は受けないが、相変わらず観賞者の中には、懐中電灯を照らす方が見受けられる。ただ、今回気になったのは、観賞者ではなくカメラマンである。
 およそ1km手前の駐車場に車を止めて徒歩で現地に向かい、18時から待機していると、30分後に6人ほどの年配のグループがやってきた。写真クラブの講師と生徒なのだろう。講師の指示に従って、 皆、同じ方向にカメラを向けていた。19時半を過ぎると、私がカメラを向けた方向ではゲンジボタルの飛翔が始まったが、グループの方角はまったく光らない。20時を過ぎて飛翔数が増えても、グループの方角は画角には収まらない高い所を飛翔していた。
 彼らにとっては残念な結果であろうが、途中でカメラの設定を変えるために懐中電灯を照らす等の行為にはガッカリした。講師も生徒も、ホタルの飛翔を入れた風景写真を撮りたいなら、ホタルの生態を少しは勉強してから来て頂きたい。

 「カメラマンは、マナーを守れ!」先日、新潟日報にはこんな記事が出ていた。
 新潟の十日町には風光明媚な棚田で有名な「星峠」がある。私も何回か訪れているが、昨今、カメラマンの迷惑行為が頻発していると言う。田や畑に、三脚の跡や車のタイヤ跡。ゴミを農地や道路に捨てる、あぜで用を足す、撮影の邪魔だから農作業を止めろというカメラマンもいるらしい。5月の大型連休には、深夜に細い山道をバックで上っていた車が約15m下の棚田に転落。昨年も同じ場所で転落事故が起きているとの事。運転者は死亡。オイル漏れから、「もうここでは米を作れない」と棚田の所有者は、ここでの米作りを諦めたと言う。

 写真を撮るにも、守るべきことがある。良い写真を撮るためなら、何をしても良い訳ではない。自然風景写真だけではなく、ホタルの飛翔風景や様々な昆虫の生態写真でも同じだ。許可なく田んぼや池に入って撮るのは、星峠の悪行と変わらない。入らなければ撮れないなら、諦めるしかない。あるいは、許可をもらうか、自宅で飼育して撮影するしかない。観察だけでも同様。研究だからという言い訳は通用しない。私自身も反省しなければならない。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。また動画においては、Youtubeで表示いただき、HD設定でフルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

ゲンジボタルの写真

ゲンジボタル
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / FUJICHROME Provia400F Professional(自宅室内での撮影)

東京のゲンジボタルの生息地の写真

東京のゲンジボタルの生息地
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / 絞り優先AE F13 10秒 ISO 100(撮影地:東京都 2019.6.29)

ゲンジボタルの写真

ゲンジボタルの飛翔風景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 320 4分の多重露光(撮影地:東京都 2019.6.29)

ゲンジボタルの写真

ゲンジボタルの飛翔風景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 400 3分の多重露光(撮影地:東京都 2019.6.28)

ゲンジボタルの飛翔動画
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE(撮影地:東京都 2019.6.28)

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ヒメボタルの交尾~孵化

2019-06-25 20:31:47 | ホタル

 ヒメボタル Luciola parvula Kiesenwetter 1874 は、幼虫が陸地で生活する陸生ホタルで、成虫はゲンジボタルとヘイケボタルのようによく発光するホタルである。フラッシュのように明滅する独特な発光が写真映えするため、昨今では多くのカメラマンが生息地を訪れ写真を撮っている。ネット上に溢れるヒメボタルの飛翔写真は、どれも美しい。しかし、見た目とは大きくかけ離れた創作写真が大半を占めている。撮影方法やそれら写真の批評については別の機会に述べるとして、この記事では、誰もが撮る飛翔写真ではないヒメボタルの姿を掲載したいと思う。(尚、写真はすべて飼育個体で、自宅室内での撮影である。)

 ヒメボタルの発生期間は短く、7~10日間ほどである。メスには羽ばたく下翅がなく、地面や草の茎、枝などに捕まりながら発光し、それに惹かれてやってきたオスと交尾し、翌日には卵を産み始める。産卵数は少なく、およそ30~90個ほどである。メスの体長はおよそ6mmしかないが、卵は直径約0.7mmで、ゲンジボタルの卵と比べてもかなり大きい。一度に全部の卵を一か所にかためて産卵する個体もいれば、数日間に渡って土の上に数個ずつバラバラに産む個体もいる。

 ヒメボタルの卵は、およそ20日(積算温度約435度日)で孵化する。ゲンジボタルの場合は、卵がだんだんと黒くなるので(卵の中の幼虫が見える)孵化が間近であるかどうかが分かるが、ヒメボタルの場合は、最初から最後まで卵はレモン色のままである。孵化した幼虫(およそ1.4mm)には模様がなく、レモン色であるためだ。孵化して2日ほどすると、少し茶色に色づいてくる。
 孵化で興味深いのは、かなり遅れて孵化する卵があるということである。クロマドボタルでは、産卵後一カ月で孵化するものと、秋になってから孵化するものが混在しているという。ヒメボタルの場合も、十分考えられる。今後の研究課題である。
 孵化した幼虫は、落ち葉や土の隙間等で過ごし、夜になるとオカチョウジガイやキセルガイ等の陸生巻貝、ミミズなどを食べ、1~数年かかって成虫になる。

 ヒメボタルの産卵数が少ないのは、環境が安定しており、生存率も高いからであるが、逆に言えば、環境が激変すれば一気に減少するということである。飛翔写真の撮影で生息域内に立ち入れば、土の上にいるメスや産んだ卵を踏んでしまうことにもなる。生態を学んだ上で、撮影を楽しんでほしい。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。

ヒメボタルの写真

ヒメボタル(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F11 16秒 ISO 400

ヒメボタルの写真

ヒメボタル(交尾)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/60秒 ISO 400 +2/3EV

ヒメボタルの写真

ヒメボタル(交尾)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/60秒 ISO 400 +2/3EV

ヒメボタルの写真

ヒメボタル(交尾)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F2.8 1/60秒 ISO 400

ヒメボタルの写真

ヒメボタル(産卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F16 1/60秒 ISO 400

ヒメボタルの卵の写真

ヒメボタル(卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F20 1/8秒 ISO 3200

ヒメボタルの卵の写真

ヒメボタル(卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F2.8 1/60秒 ISO 400

ヒメボタルの卵の写真

ヒメボタル(発光する卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F2.8 114秒 ISO 6400

ヒメボタルの写真

ヒメボタルの雌雄背面(左:オス 右:メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F16 1/50秒 ISO 3200

ヒメボタルの写真

ヒメボタルの雌雄腹面(左:オス 右:メス) / オスの複眼の方が大きい。
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F20 1/100秒 ISO 3200

ヒメボタルの写真

ヒメボタルの雌雄腹面(左:オス 右:メス) / 死んでもしばらくは発光し続ける
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F2.8 10秒 ISO 400

ヒメボタルの孵化写真

ヒメボタルの孵化
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F14 1/15秒 ISO 3200 -1/3EV

ヒメボタルの孵化写真

ヒメボタルの孵化
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F14 1/15秒 ISO 3200 -1/3EV

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ホタルの産卵~孵化

2019-06-23 16:59:51 | ホタル

シリーズ「ホタルの写真を撮る」その4

 ブログでは、ホタルの一生を写真で紹介してきたが、今回はホタルの産卵~孵化について掲載したいと思う。
 オスは光りながら飛び回り、葉先で目立つように光る未交尾のメスを見つけると近寄っていき、光によるコミュニケーションが行われて交尾に至る。15時間ほどの交尾が終わると、メスは22時頃から河川上を一直線に飛びながら産卵場所を探し、23時頃から産卵を開始する。主に日陰で、水際の水面に対して垂直に生えているコケにおよそ500~1,000個の卵を産みつける。産卵数は、西日本型の方が多く2,000個ほど産む個体もいる。産卵は夜明けまで続けられ、2~3日かけて産卵する。
 卵はやや楕円形をしていて、長い方の直径がおよそ0.55mmで、短い方の直径がおよそ0.5mmである。卵は成虫の体内にある間にすでに発光しているといわれているが、その光は産み落とされたばかりの頃は、暗闇の中でやっと見える程度の明るさである。成虫のように点滅するのではなく、昼間も夜も光り続けている。そして、日がたつにつれて少しずつ強い光りになっていき、孵化の数日前になると、その光りはさらに強くなり、殻を通して中の幼虫の尾端の2つの発光器を確認することができる。この時期では、何かの刺激を受けると一気に強く発光する。
 孵化は、産卵後平均25日くらいで始まるが、孵化まで期間は「有効積算温度」(卵の発育零点 9.3℃ 有効積算温度 357.4℃日)で決定され、高い気温の方が日数が短くなる。孵化は午前1時頃から始まり、幼虫は、そのまま水中へと入っていく。

 小さな被写体を大きく撮影する時は、マクロレンズを使用するが、一般的なマクロレンズの拡大率は等倍までである。つまり、35mmのフィルム上に実物大の大きさが写るのであるが、直径0.5mmのホタルの卵を大きく写すには、それでは物足りない。カメラボディとレンズの間に中間リング(エクステンションチューブ)を取り付ける方法もあるが、 拡大率は2倍くらいが限度であるため、これ以上の拡大になると「ベローズ」が必要になる。「写真8」この組み合わせでは、およそ7倍もの倍率で撮影できる。(尚、メーカーによっては、レンズ単体で5倍まで撮影できるレンズも市販されている。)
 以下に掲載したすべての写真は、フィルムで撮影し、スキャナーでデジタル化したものでるが、「写真9」のようにCanonのデジタルカメラ EOS 7D にオリンパスのオートベローズを付けて 撮影することもできる。ただし、フィルムで撮影した方が鮮明で奇麗であった。
 残念ながら、撮影に使用したフィルムは、既に製造販売されていない。現在、販売されているリバーサル・フィルム(富士フィルム)は、35mmではプロビア100F、ベルビア50、ベルビア100の3種類しかない。卵の写真では、これらのフィルムで美しく撮ることができるが、発光は、成虫の飛翔風景も含めてネガ・フィルムの PRO400H しかない。

参照

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ゲンジボタルの写真

ゲンジボタル
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / FUJICHROME Provia400F Professional

ゲンジボタルの写真

ゲンジボタルの交尾
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / FUJICHROME Provia400F Professional

ゲンジボタルの写真

ゲンジボタルの産卵
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / FUJICHROME Provia400F Professional

ホタルの卵の写真

ゲンジボタルの卵
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / AUTO-BELLOWS M-System / FUJICHROME Provia400F Professional

ホタルの卵の写真

発光するゲンジボタルの卵
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / FUJICHROME Provia400F Professional

ホタルの卵の写真

ゲンジボタルの卵(幼虫が透けて見える)
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / AUTO-BELLOWS M-System / FUJICHROME Provia400F Professional

ホタルの孵化の写真

孵化するゲンジボタルの幼虫
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / AUTO-BELLOWS M-System / FUJICHROME Provia400F Professional

カメラの写真

撮影システム(フィルム)
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / OLYMPUS AUTO-BELLOWS M-System

カメラの写真

撮影システム(デジタル)
Canon EOS 7D / OLYMPUS ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / OLYMPUS AUTO-BELLOWS M-System / OLYMPUS EXTENSION TUBE 25 / Canon MACRO TWIN LIGHT MT-24EX

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苺月と源氏蛍(Firefly in the Strawberry moon)

2019-06-22 12:16:05 | ホタル

 6月はゲンジボタルの季節である。ちょうど満月と発生時期が重なり、また気象条件も良かったので撮影したが、実は、ホタルは満月が大嫌いである。 ご存知のように、ホタルは互いが発する光によってコミュニケーションを図っている昆虫である。このような満月の明かりでは互いの光が見えないために、写真のように葉の上で静かに光っているだけで、飛び回るオスは少ない。つまり、その夜の繁殖行動は極めて少ないのである。
 満月は自然現象であり、月の昇る時間や天候によってその影響がホタルの発生期間中ずっと及ぶことはない。しかしながら、人工的、あるいは人為的な灯りは「光害」と言い、ホタルの繁殖行動を最も阻害するのである。0.1luxの灯りでも繁殖は阻害されるのである。ホタルの生息地において、街灯の灯りが当たったり、家の灯りが当たるような場所では、ホタルはどんどん暗がりを探して逃げていく。
 そもそもホタル(ゲンジボタル)の発生期間は、長くても3週間くらいである。メスはオスよりも遅れて羽化してくるから、繁殖できる期間は2週間くらいに減ってしまう。しかし、満月の晴れた夜、風の強い夜、気温が15℃以下の肌寒い夜は、オスは飛び回らないから、実際に繁殖できる期間は1週間くらいかも知れない。その少ない繁殖のチャンスを「光害」は更に機会を奪ってしまう。
 「光害」が全くない条件の良いホタル生息地でも安心はできない。ホタル観賞に訪れる方々は、無意識に懐中電灯を照らす。足元だけでなく、ホタルが飛び回る方向にも向ける。スマホでフラッシュを焚いて写真を撮る。まだ、飛翔時間帯なのに車のライトをつけて帰る・・・このような行為が続けば、そのうちホタルはその場所からいなくなってしまうだろう。

 写真を趣味や職業として撮るカメラマンにとっても、風景的なホタル写真の撮影に「光害」は邪魔になるため、「灯り」については注意しているようだが、昨今、インスタ映えするヒメボタルの写真撮影者が増えており、一部に、絶対にしてはいけない行為が見受けられる。
 ヒメボタルのメスは下翅がなく飛ぶことが出来ないため、地面や葉の上でオスの飛来を待っているわけだが、撮影者が撮影ポイントを探すために農道や林道から外れて生息場所に平気で立ち入るのである。ヒメボタルが飛翔する場所に番傘を置いて撮影した馬鹿者もいる。おそらくメスのヒメボタルを踏みつけているだろう。意図する作品を撮るためなら、何をしても良いわけではない。 撮影者は、あらかじめヒメボタルの生態について細かく学んだ上で現地に来て撮って欲しい。

 ホタルの飛翔風景写真を撮り飽きると、撮影者は、次に成虫が発光しているマクロ写真も撮りたくなる。撮影された写真の中には、発光しているホタルに何らかの灯り(懐中電灯やストロボ)を照らしたであろうものがある。その撮影にどのくらいの時間を掛けたのかは分からない。撮影者1人の「一瞬」かもしれない。周囲に誰もいなければ、鑑賞者や飛翔風景を撮っている撮影者の邪魔にもならない。短い時間ならば、ホタルの繁殖にも影響がないだろう。私もホタルにストロボを焚いて撮影した写真が何枚もあるが、それらはすべて飼育して羽化させた個体を自宅室内のセットで撮影しているものだ。絶対、自然発生地では人工的な灯りは使用しない。それは、ホタルが好きだからである。当てるべきではない。
 自然河川においてホタルにストロボを当てて撮影し、その撮影方法をブログで詳細に解説していたあるプロの写真家に対して苦言を呈したところ、「極論であり、なんの影響もない。マナーは人に押し付けるな。自身のホームページだけで言っていろ。」という言葉が返ってきた。悲しい事実である。

 昆虫撮影でも風景撮影でも、求める被写体、求めるシーンを撮るためら何をしても良いのだろうか?「自分一人だから良いだろう。一瞬だから良いだろう。」は、正論であろうか?何かを犠牲にして撮った写真は、単に自己を満足させるだけであるように思う。撮影者はエコーツーリズムの精神をもって望むことが必要なのではないだろうか。
 以下に掲載した写真は、夕暮れに最初に光る一番ボタルを自然光で撮影している。画質は悪いが、自然界ではこれ以上の写真を望んではいけないと思う。

 ストロベリームーンは、6月の満月を指す俗称。 正式な天文学の用語ではなく、名称はアメリカ先住民のオジブワ族が風習に由来するものであり、 色とも関係がない。オジブワ族は、野生の木の実や種子を採集する暮らしを送ってきたことから、その時に採集できるものを月の呼び名としてきた。ストロベリームーンは、イチゴの収穫時期に昇ることから呼んだ名称である。(ウィキペディアより)
 アメリカに生息するフォチヌス等のホタルならば、表題はカタカナ表記が良いだろうが、ここでは漢字とした。

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ホタルの写真

苺月と源氏蛍
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F2.8 3秒 ISO 200(撮影地:東京都 2012.6.09 20:01)

ホタルの写真

ゲンジボタル
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F2.8 3.2秒 ISO 1000(撮影地:東京都 2012.6.04 20:02)

ホタルの写真

ゲンジボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 10秒 ISO 1600(撮影地:東京都 2012.6.16 19:30)

ホタルの写真

ゲンジボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 8秒 ISO 1600(撮影地:東京都 2012.6.16 19:32)

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三草山ゼフィルスの森

2019-06-16 20:34:21 | チョウ/ゼフィルス

 三草山ゼフィルスの森は、大阪府能勢町にあり、自然の豊かさと生息する希少種の存在を保護する目的から大阪府自然環境保全条例に基づく、 緑地環境保全地域に指定された森である。公益財団法人「大阪みどりのトラスト協会」が地上権を設定しており、ナラガシワ林の育成(育苗、萌芽更新、受光伐、植樹)によるゼフィルス類の保護や蝶類の多様性確保のために下草の縞状刈り払いによる林内整備、不法採集防止のための巡視活動、観察会等による啓発等を行っている。勿論、採集は禁止である。
 この三草山ゼフィルスの森には、多種のゼフィルスが生息しているが、京都府北部から山口県にかけての中国山地にのみに局所的に分布するオオミドリシジミ属(Favonius属)のヒロオビミドリシジミ Favonius cognatus latifasciatus Shirôzu et Hayashi, 1959 が生息している。

 三草山ゼフィルスの森には、2015年と2017年に訪れている。勿論、中国山地に生息するヒロオビミドリシジミを撮影するためである。2015年には、オスの開翅を撮影できたものの残念ながら羽化不全の個体で翅が痛んでいた。(ヒロオビミドリシジミ)そのリベンジで訪れた2017年は、発生時期よりも前に訪れてしまったため、一枚も撮ることができなかった。
 そして3回目の今回。翅の擦れていないヒロオビミドリシジミのオスの開翅撮影が目的である。

 計画では、15日(土)に兵庫県内で未撮影であるヒサマツミドリシジミのオスの開翅を撮影し、16日(日)に三草山ゼフィルスの森に立ち寄る予定にしていたが、生憎15日は大雨に強風。仕方なくヒサマツミドリシジミは諦め、ヒロオビミドリシジミ一本の予定に変更した。
 15日(土)14時に雨の東京を出発し、およそ500km先の大阪府能勢町を目指す。途中、鈴鹿を超えた信楽辺りは豪雨。新名神高速の川西ICで降りて、現地近くの道の駅に20時到着。いつものようにワイン一本開けて車中泊。良朝4時に目が覚めて、5時過ぎから登山開始。
 天候は曇り時々雨、後晴れ。気温19℃。前日は雨であったから、ヒロオビミドリシジミは下草に降りているのに違いない。朝から暑ければ木の上に飛んで行ってしまうが、低ければ下草上で開翅する。曇りなら、柔らかい光が回って、美しい青色が写せる。撮影には、完璧に近い気象状況である。イメージトレーニングしながら、急な上り坂を息を切らしながら急ぐ。ポイントに6時前に到着。日曜日であるから、翌日の仕事の事を考えると夕方には帰宅したいところ。逆算すれば、11時前には出発したい。下山の時間を入れれば、ポイントでの滞在時間は4時間程。その間に何とか撮りたい一心で探索。

 結果は、やはり多くのゼフィルスが下草に降りており、時間とともに開翅。ミズイロオナガシジミが多数。ウラミスジシジミとウラジロミドリシジミ(メス)も撮影できた。肝心のヒロオビミドリシジミは、下草で開翅するオスを2頭ほど目視したものの、撮影前に飛び立ってしまい写すことができなかった。代わりにメスの開翅(初)を撮影。飛んでいるオスも何頭か確認したが、気温が上がりナラカシワの高い梢にとどまるばかり。残念ながらタイムアウト。
 現地を10時半に出発し、不完全燃焼の気持ちを引きずりながら17時に帰宅した。また来年、挑戦したい。(経費/高速代:8160円×2、ガソリン代:6500円)

 参考までに、写真の最後に2015年に撮影した羽化不全のヒロオビミドリシジミのオスも掲載した。

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ヒロオビミドリシジミ(メス)の写真

ヒロオビミドリシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 3200(撮影地:大阪府能勢町 2019.6.16 6:48)

ヒロオビミドリシジミ(メス)の写真

ヒロオビミドリシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 3200(撮影地:大阪府能勢町 2019.6.16 6:50)

ヒロオビミドリシジミ(メス)の写真

ヒロオビミドリシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 3200(撮影地:大阪府能勢町 2019.6.16 7:52)

ヒロオビミドリシジミ(メス)の写真

ヒロオビミドリシジミ(メスの開翅)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 2000 -1/3EV(撮影地:大阪府能勢町 2019.6.16 8:31)

ヒロオビミドリシジミ(メス)の写真

ヒロオビミドリシジミ(メスの開翅)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 250 -1/3EV(撮影地:大阪府能勢町 2019.6.16 9:06)

ウラジロシジミ(メス)の写真

ウラジロミドリシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 3200(撮影地:大阪府能勢町 2019.6.16 6:34)

ウラジロシジミ(メス)の写真

ウラジロミドリシジミ(メスの開翅)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 2500(撮影地:大阪府能勢町 2019.6.16 7:37)

ミズイロオナガシジミの写真

ミズイロオナガシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 1600(撮影地:大阪府能勢町 2019.6.16 8:45)

ミズイロオナガシジミの写真

ミズイロオナガシジミの開翅
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 1000 -1/3EV(撮影地:大阪府能勢町 2019.6.16 8:49)

ウラミスジシジミの写真

ウラミスジシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/80秒 ISO 3200(撮影地:大阪府能勢町 2019.6.16 6:27)

ウラミスジシジミの写真

ウラミスジシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 640 -1/3EV(撮影地:大阪府能勢町 2019.6.16 8:59)

ヒロオビミドリシジミの写真

ヒロオビミドリシジミ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.0 1/250秒 ISO 2000 +2/3EV(撮影地:大阪府能勢町 2015.6.06 9:53)

ヒロオビミドリシジミの写真

ヒロオビミドリシジミ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/50秒 ISO 3200 +2/3EV(撮影地:大阪府能勢町 2015.6.6 9:12)

ヒロオビミドリシジミの写真

ヒロオビミドリシジミ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 2000 +2/3EV(撮影地:大阪府能勢町 2015.6.06 10:10)

ヒロオビミドリシジミの写真

ヒロオビミドリシジミ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 2000 +1/3EV(撮影地:大阪府能勢町 2015.6.06 10:12)

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東日本型のゲンジボタルの乱舞

2019-06-09 18:28:42 | ホタル

 東日本型のゲンジボタルの乱舞を前々回の記事「ホタルの乱舞~里山で舞う東日本型ゲンジボタル~」同様に写真と映像で紹介したいと思う。

 ゲンジボタルの発光周期には地理的変異があることは良く知られており、気温 20℃での発光周期(オスの同期明滅)を比較すると西日本型(短周期で2秒)と東日本型(長周期で4秒)に分けられるが、観察していると、発光している時間や飛び方等にも若干の違いが見られる。東日本型ゲンジボタルは、比較的長く光りながらゆっくり飛び、飛翔距離も短いという特徴がある。
 長時間露光による光跡を写した写真でも西日本型と東日本型ゲンジボタルの違いが分かる。西日本型ゲンジボタルの飛翔風景を写真に撮ると、光跡がスー、スーと流れるように写るが、一方の東日本型の場合は、写真的に絵にならない。ただし、映像はほぼ見た目と同じであり、東日本型ゲンジボタルであっても、その魅力を十分に味わうことができる。尚、映像には同期明滅が分かるものも掲載した。

 東日本型のゲンジボタルの乱舞を撮影した場所には、4月10日に上陸の様子を観察に行っているが、8頭ほどしか上陸していなかった。当日は勿論雨であったが、東京奥多摩では雪が降るほどの低温で、当地の気温も10℃であった。その後は、雨らしい雨があまり降らず、今年のゲンジボタルの発生はとても少ないのではないかと危惧していたが、いざ発生時期になってみると、前々回の記事で掲載した場所も本記事で掲載した生息地も、例年にない乱舞であった。
 しかし、疑問が残る。羽化までの有効積算温度を発生日から逆算していくと、上陸は4月10日~15日に計算上はなる。昨今、上陸が早くなってきており、場所によっては3月に上陸しているという観察報告もあるので、今一度、上陸時期、上陸の条件、羽化までの有効積算温度等を再検証する必要がある。

 今後のホタルの予定は、今月下旬頃に、開発計画のある東京都内の谷戸(ここでは、ゲンジとヘイケが同時に乱舞すると言われている)、同じく都内の渓流においての動画撮影を予定。7月は6年間で8回通って、2009年にようやく撮影できた東京奥多摩のヒメボタル。当時フィルムであったので、今回はデジタルでの再挑戦。そして、昨年、レンズキャップを外し忘れて何も撮れていなかった富士山麓のヒメボタルを予定している。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。また動画においては、Youtubeで表示いただき、フルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

東日本型ゲンジボタルの飛翔風景の写真

東日本型ゲンジボタルの飛翔風景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 640 5分相当の多重(撮影地:千葉県  2019.6.08)

西日本型ゲンジボタルの飛翔風景の写真

西日本型ゲンジボタルの飛翔風景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 ISO 640 5分相当の多重(撮影地:東京都)

東日本型ゲンジボタルの同期明滅(気温20℃)

西日本型ゲンジボタルの同期明滅(気温20℃)

東日本型ゲンジボタルの乱舞(BGM付)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE(撮影地:千葉県 2019.6.08)

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キバネツノトンボの産卵

2019-06-05 20:33:40 | その他昆虫と話題

 キバネツノトンボの産卵の様子を長野県安曇野市の多産地で撮影したので紹介したい。

 キバネツノトンボ Ascalaphus ramburi MacLachlan 1875は、アミメカゲロウ目(ordo Neuroptera)ツノトンボ科(Family Ascalaphidae) キバネツノトンボ属(Genus Ascalaphus)昆虫でトンボではなく、ウスバカゲロウの仲間である。本州、九州に分布し、体長は約23mmで山地から平野の草原に生息し、4月~6月に出現する。昼間活動し、草原を活発に飛翔しながら小さな昆虫を捕まえて食べている。
 昨今、開発や植生遷移による草原の減少により生息地が限定され、個体数も少なくなってきている。環境省カテゴリには記載がないが、東京都では、ゲンゴロウやギフチョウなどと同じく「絶滅」。 岩手県、神奈川県、埼玉県、群馬県、富山県、大阪府、兵庫県のRDBでは絶滅危惧Ⅰ類に記載している。

 キバネツノトンボは、長い触角と大きな複眼、そして独特の黒と黄色の組み合わせが特徴的で、愛嬌もある。同じツノトンボ科の「ツノトンボ」と「オオツノトンボ」も長い触角と大きな複眼が特徴であるが、翅は「ウスバカゲロウ」のように、細くて長いパラフィン紙の様であり、翅をバタつかせながら弱々しく飛ぶが、キバネツノトンボは、猛スピードで直線的に飛び、急に向きを変えたりする。トンボのようなホバリングはしないが、速度も自在に変化させる高い飛翔能力を持っている。

 キバネツノトンボの多産地を訪れたのは、2013年に続いて今回で2回目。前回は午前中の早い時間帯で、その時は餌を探して上空を飛び回っていたが、今回は正午近くの訪問。多くの個体が低空を飛び回っていた。よく見ると、ほとんどがメスで、どうやら産卵場所を探していたらしい。そのうち1頭が草の茎に止まって産卵を始めた。腹部の先端を茎の左右に振りながら、卵を1つずつ丁寧に産みつけていった。(産卵数は56個)

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。

キバネツノトンボの産卵の写真

キバネツノトンボの産卵
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 200(撮影地:長野県安曇野市 2019.5.26 12:11)

キバネツノトンボの産卵の写真

キバネツノトンボの産卵
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 200(撮影地:長野県安曇野市 2019.5.26 12:13)

キバネツノトンボの産卵の写真

キバネツノトンボの産卵
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 200(撮影地:長野県安曇野市 2019.5.26 12:13)

キバネツノトンボの産卵の写真

キバネツノトンボの産卵
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F5.6 1/400秒 ISO 200(撮影地:長野県安曇野市 2019.5.26 12:18)

キバネツノトンボの写真

キバネツノトンボ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 6400(撮影地:山梨県北杜市 2014.6.14)

キバネツノトンボの写真

キバネツノトンボ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 320 +2/3EV (撮影地:長野県佐久市 2011.6.4)

キバネツノトンボの写真

キバネツノトンボ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 320 +2/3EV (撮影地:長野県佐久市 2011.6.4)

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ホタルの乱舞~里山で舞う東日本型ゲンジボタル~

2019-06-02 14:54:20 | ホタル

 ゲンジボタルが飛び交う季節となった。九州や四国では先々週あたりから、発生しているという情報を得ているが、ようやく関東でも早い所では発生のピークを迎えている。
 今回、観察と撮影に向かったのは、千葉県内のゲンジボタル自然発生地である。典型的な里山で、幼虫の放流を含めて全く保全活動等はされていない天然ボタルである。 当地では5月の中旬頃から発生しており、谷戸の場所を変えながら発生している。幼虫の上陸時期の雨不足と4月の寒の戻りで、今年の発生はとても少ないのではないかと心配していたが、当地の谷戸の最奥では、筆者でさえ歓声を上げるほどの乱舞であった。

 「ホタルを見るなら明るい時間から現地へ!」筆者は、講演会でも各メディアでも、そういつも訴えかけているが、なぜ明るい時間帯から行くのか?ホタルは発光することでオスとメスがコミュニケーションを図っている昆虫だ。暗くないと、お互いの光が見えない。月明りでさえも影響がある。にも関わらず、ホタル観賞にくる人々の中には、懐中電灯を持参してくる方々が多い。暗い道を歩くために使うが、心理的にどうしてもホタルの方に向けてしまいがちだ。当然、ホタルの繁殖に影響が出る。
 1つの生息場所においてホタルが飛び交う期間は3週間程度だが、毎晩が繁殖機会ではない。メスはオスよりも1週間ほど遅れて発生してくるから、繁殖の期間は2週間程度しかない。雨が降っても影響はないが、月が明るい夜や風が強い夜、気温が15℃を下回る寒い夜は活動が鈍るから、繁殖の期間は更に減って1週間くらいになる。その1週間しかない繁殖のチャンスを我々人間が懐中電灯で奪っているのである。
 懐中電灯を持たない、使わない。そのために明るい時間帯に行くのである。目が慣れて、暗くなっても良く見えるから心配ない。暗くなるまでの間は周辺を見て、ホタルがどんな環境に生息しているのか、よく観察する。写真を撮るならば、この時間帯にポジションを決め、構図等を確認しておく。そして1番最初に光る「1番ボタル」を見つけようではないか。

 今回、現地へは18時到着。日の入りは19時なので、ゲンジボタルが光るまでは1時間以上もある。周囲を散策すると、水田や隣接する水路の周辺は、奇麗に草刈りがされていた。ホタルのためには草刈りはしない方が良い。特に下草に止まるメスには必要だ。この草刈りは、鑑賞のためでもなく、農作業の一環であるから仕方がない。ただし、生息域の一部であり、谷戸の最奥の湿地周辺は草が伸び放題である。
 気温21℃。曇りで風速2m。気温は良いが、空は一面の雲に都心の灯りが反射して、かなり明るく、乾いた風が時折強く吹くので、条件的にはあまり良くない。しかしながら、19時15分。刈り取られた短い草の中で、1匹が光り始めた。しばらくすると、少し離れた藪の中でも発光。19時26分に飛翔開始となった。

 ここに生息するゲンジボタルは、東日本型のゲンジボタルであり、その生息環境も東日本型の典型と言える水田とその脇を流れる用水路、そして雑木林がセットになった谷戸である。この日は、渓流や河川ではない、こうした環境に舞うゲンジボタルの光景を写真として残すことに専念した。写真は、およそ12分相当の多重である。また、動画でも記録として撮影したのでご覧頂きたい。尚、下記掲載の成虫の写真は、過去に撮影したものである。

お願い:なるべくクオリティの高い写真をご覧頂きたく、1024*683 Pixels で掲載しています。ウェブブラウザの画面サイズが小さいと、自動的に縮小表示されますが、画質が低下します。Internet Explorer等ウェブブラウザの画面サイズを大きくしてご覧ください。また動画においては、Youtubeで表示いただき、フルスクリーンにしますと高画質でご覧いただけます。

ゲンジボタルの写真

ゲンジボタルの光景
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 12分相当の多重 ISO 200(撮影地:千葉県 2019.5.31)

ゲンジボタルの写真

ゲンジボタル
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F2.8 4秒 ISO 1000

ゲンジボタルの写真

ゲンジボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 10秒 ISO 1600

ゲンジボタルの写真

ゲンジボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F2.8 10秒 ISO 1600

ホタルの乱舞~里山で舞う東日本型ゲンジボタル~Japanese Firefly Light Show
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE(撮影地:千葉県 2019.5.31)

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