本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

方便智発起殊勝の行(ほうべんちほっきしゅしょうのぎょう)

2024-05-21 20:38:08 | 十地経

「方便智発起殊勝の行」

というのが第七地の眼目

になります。

初地から六地までは

根本智です。

ここが甚深ということ。

 

第七地が方便智

方便智によって発起された

殊勝の行ということで、

先生の言葉を借りると

深いままが浅くはたらく

ということです。

 

八地から十地までが

智慧神通行ということに

なります。

 

これが大きく分けた

『十地経』の構造です

こういう三つの分け方が

出来るようです。

 

ここで「方便智」という

ことが繰り返し出てきます

「方便」ということが

分かったようで分からない

それは幅広い意味をもった

言葉だからです。

 

善巧方便

(ぜんぎょうほうべん)

という言葉もあります。

ここでは

善巧は智慧、方便は慈悲

という意味になります。

善巧という言葉も

お経ではよく出てくる

言葉です。

巧みに導くというような

意味なのですが、

 

また、原語からいうと

その語源には二つあって

ウパーヤとプラヨーガと、

があります。

その中で、

ヨーガの修行としての方便

四摂事としての方便

があります。

 

ヨーガの修行としては

・戒を守る、

・そこから念を守る

(つまり忘れない憶念不忘

ということ戒を保ち続ける)

・戒を守るから、怠ける心

を対治して善法を行う

・なまける心がないから

内心にヨーガを修する

これが

方便のヨーガとしての

実践です。

 

そして、四摂事としての

方便行は

他の人びとを救う実践行

としての慈悲行です

具体的には

布施行・愛語行・利行・

同事行の四つです

これは四摂の法ともいわれ

菩薩としての修行の一つ

として重要なものです。

 

方便ということが

普通に使う「方便」とは

違って、仏教の根本的な

智慧であり実践であり

また、幅広くいろいろな

ことと関係を持っている

ことに驚きます。

 

講義は

「方便智によって発起

せられた殊勝の行と、

これが七地の面目なんだ。

『勝』という字がある。

これは根本智じゃないん

ですね。

根本智は六地だ。

甚深の法門だ。

甚深というのが根本智。

七地は方便智。

 

甚深は深いんでしょう。

深いというよりも、

まだ深くないのは浅いかも

知らんけど、

そうではなしに、

深いままが浅くはたらくと

 

深いのをやめて

浅くなるんじゃない。

深いままが深さというもの

を否定して浅くはたらくん

んだ。

こういうところに

殊勝ということが

出てくるんです。」

 

よく先生は色紙に

「深心妙行」

という言葉を書かれました

「深いところに立って

 自由にはたらく」

という意味です。

 

ここに出てくる

方便智殊勝の行という

ことになるのでしょう。

 

まあ、方便ということ

なかなか難しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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