本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

ONEの対立

2020-01-06 20:51:33 | 住職の活動日記

「ワン・チーム」という言葉が

話題になりましたが、

スポーツの世界でも

はたまた政治の世界でも

この言葉が使われています。

 

一つになって戦うというか

物事を実践するという

昔の言葉では「一丸となって」

ということでしょう

全員が一つになって、という意味で

ワン・チームということが

いわれるようですが、

この言葉にも微妙なニュアンスが

あるように思うのです。

 

「世界は一つ」

ということが言われますが

とてもいい響きを持った言葉です

私たちにとっては、

でも、

このことを問題視する人もいます

世界は一つでいいのですが

その中心になるのは誰か?

ということが問題です

世界には色々のイデオロギー

それから宗教もあります

そのそれぞれが

「私が世界の中心だ!」

と叫んでいるところに

問題が生じ、

戦争が起きているように思います

 

どこかの大統領が言い出した

「何とかファースト」

それに続くようにどこの国でも

強調ということより

自国第一を掲げるように

なってきたように思います

 

ある哲学の先生が

言っておられましたが

これは駄々っ子の原理だとか

人間は成長するのではなく

幼児に戻っているのが

今の世界ではないかと、

 

「ONE」という言葉も

色々の内容を持っているようです

先日テレビで、

「ウィアザワールド」

という歌を高らかに歌って

いましたが、

よく聞くとどうも

神様のもとに私たちは一つになる

というような内容にも

聞こえてきました。

 

ONEということも

仏教でもとても大事にします

お釈迦さまも生まれてすぐに

七歩歩んで

「天上天下唯我独尊」と

名乗りを上げたと

この言葉にも「独尊」という

「独」という一人という

言葉が入っています。

似た言葉に「弧」という字が

あります

二つ合わせて「孤独」という

言葉もありますが、

「孤立する」ということと

「独立する」ということでは

内容が少し違てきます

 

教えを聞く時は

その他大勢として聞くのではなく

自分一人(ひとり)の問題として

我一人(いちにん)という

他の人はどうでもいい

というのではなく

この問題は自分の問題なのだと

自分に引き受けて聞く

そうでないと見に入らないのです

お客様として聞くのではなく

今日のこの話は自分の事なのだ

という気持ちで聞かないと

響いてこないのです。

 

こういう一人が「独」という

ことになると思います

弧ということは、

昔よく言われていたことは

出家ということは家出とは違う

自ら世を厭い離れるのを出家

世から捨てられたのを家出

出家しても世から捨てられては

いけない!

ということ厳しく言われました。

 

一人でいても寂しくない

大勢の中にいても邪魔にならない

そういう独立心を大切にしている

のが仏教の立場だと思います。

 

今はニュースを見ていても

非常に危険な状態のようです

あまりにもファースト・ファースト

ということが叫ばれ

自国のことだけ考えて

他を認めようともせず

自分の国さえよければということが

どうも気になって仕方ありません。

 

ファースト、ワンチーム、独立、

という言葉を考え直し

まやかしの言葉に

惑わされないようにしなければ

いけないように思います。

 

 

 

 

 

 

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