本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

今週の言葉5/21~5/27

2007-05-20 23:46:19 | 住職の活動日記
 『 一つ足りれば  また二つ

        三つ四つ五つ  むつかしの世や 』


 先週の、パスカルの言葉の、日本語バージョンとして、選びました。

 わかるような、ちょっとむつかしいような、言葉でしょう。

 簡単には、一つ足りればそれで満足すればいいのですが、もう一つ欲しくなる、

そしてそれが手に入ると、三つ四つ五つと次々に欲しくなってくる、という

人間の欲の深さを歌ったものだと思います。

 パスカルの『 人間は幸せになることが出来ない …… 』とありましたのも

それは人間の欲深き故でしょう。


 お釈迦さまのお経の中に、『 燃焼 』 という言葉があります。

  『 見よ、すべては燃えている 』 といわれました。


これは、物が燃えているということではありません。

 人間の心は、「 見たもの、聞いたもの、 」そういう五感に感じるものによって

『 燃えている 』、といわれているのです。

 眼・耳・鼻・舌・身・意 (げん・に・び・ぜっつ・しん・に)

   (般若心経に出てくる言葉です。)

という感覚器官が、いい香りがすると、心がよろよろと動きます。

おいしいものを見ると、おなかのことは考えずに、ついつい食べ過ぎてしまいます。

『 貪 』(とん)むさぼり、という心によって、(心の虜になって)

五感という感覚器官が『 燃焼 』している、とお釈迦さまは言われています。

 燃え盛っている、というように、人間の欲の激しさを、この炎に例えて、

おっしゃったのだと思います。

           

 しかし、これも微妙な問題ですが、なにも「 欲 」といことが単に悪いということで

はありません。 『 意欲 』といこともあります。

 考えなければいけないのは、『 何を欲するのが正しいのか 』といことです。

『 自分のためだけに欲することが、それでいいのか…? 』

また反対に『 他のためにしてあげたい 』という欲求も、私たちは持っているのです。

『 欲 』という問題も、善とか悪とかで、簡単に片付けられることではありません。


ただ、足るを知る、というブレーキを持つことは、大事なことのようです。
 
 お付き合い有り難うございます。

  なんかいつも小難しくなるようで、すいません。

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