本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

道という言葉に迷うことなかれ

2019-08-16 20:58:33 | 住職の活動日記

こう言う言葉があります。

 

「道という言葉に迷うことなかれ

  朝夕己が為すわざと知れ」

 

読んでいる『十地経講義』で

たびたび「菩提心」ということが

出てきます。

菩提ということは

直訳すると、覚(めざめる)

ということですが

「道」というようにも訳します。

 

道(ドウ)ということも

インドの言葉ではマールガといい

目的地に至らせる通路、

とあり、

仏教辞典にも詳しく述べてあります

大事な意味を持った言葉です。

修行としては三十七道品と、

三十七の修行の方法があると

反対に

三悪道(さんまくどう)、とか

五道、六道という時の道は

地獄とかに通じる道ということで

この場合も道という字を使います。

 

一般には

剣道、柔道、弓道、茶道、華道

というように

一つの道を究めるという意味で

道という字が使われます

剣術ではなく剣道と

術という方法ではなく

己を磨く道であるということです

 

そういうと何かしら

特別のことに励むことを

道というような気がしますが

「朝夕己が為すわざ」

とありますから、

何がなく日々行っていることを

指しているのでしょう。

 

「威儀即仏法」

という言葉もあります。

威儀には四威儀ということがあって

「行住坐臥」の四つです。

美空ひばりの「柔」という歌の中に

「行も坐るも止まるも伏すも」

という歌詞がありましたが

あれも一つには

「行住坐臥」を

言い表しているのでしょう。

つまり日常の生活がすべて

理にかなっている。

翻って

私自身を振り返ってみると

歩けばダラダラと歩き

家の中ではごろごろしてる

座れば姿勢は悪いし

寝るときは寝相が悪いと

日常のどれ一つとってみても

理に反しているようです。

 

お釈迦さまはこのことを

非常に大事にされて

厳密に規定されています。

歩くときは

女の人や酔っぱらいと

歩いてはいけない、

左右をキョロキョロ見てもいけない

七尺(約2m)の地を直視せよ、

言われています。

住というのは

立つということで

直前直後に立ってはいけない

とありますが

ヨガの中にも立木のポーズ

というのがあって

真直ぐに立つというのも

練習しないと出来ないものです

座るときは

結跏趺坐か半跏趺坐で座り

疲れたら一脚を伸ばしても

両方を伸ばしてはいけない

臥、寝るときは

右手を枕として右脇を下に

両足を重ねるという具合に

結構難しく規定されています。

 

朝夕己が為すわざ

というのですから

日々の行為が当たり前になって

なおざりになってはいないか

そういうことも

今一度思い直してみると

何でもない行為が「道」という

修行の道程になる

のではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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