本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

今週の言葉5/26~6/1

2008-05-25 22:38:48 | 今週の言葉
    おれは、
人間のいいところをみる、
     その方が面白いよ。
                       渥美 清


 『 ふうてんの寅さん 』 で有名な 『 渥美清 』 さんの言葉です。

簡単なようで、薀蓄のある言葉です。

 仏教も基本的には人間の良い点を根底に据えて見守っていくと言う考え方だと思いま

す。

 室町時代の武将 『 足利尊氏 』 は

『 人の悪を見る者は、己の悪を見ず 』 といっています。

 人の批判だけしている人は、自分の悪い点は見ないというのでしょう。この言葉も一つ

の真理を表していると思います。

 ところが、やっかいなもので、どうも、『 人の悪口 』 となると盛り上がるもので

す。

 以前、聞法会のとき、先生が 「 人の悪口ほど面白いものはないね~! 」 といっ

ておられ不思議に思ったことがあります。

 『 なぜだろう ? 』 とそのときはわかりませんでした。

『 こそこそ、悪口言うから、ダメだ! 明るく悪口言え! 』

 これもまた、わからない言葉でした。『 明るく悪口、それも堂々と言え! 』


 今思うと、これは単なる悪口ではなく、深い人間洞察なのですね。

ちょっと分かりづらいかも知れませんが、悪口に聞こえていたのですが、実は

人間の深い痛みに対する、慈悲の言葉でもあるのです。 

 人間としての 『 性 さが 』 というか、同じ悩み苦しみを持っているやないか!

どうすることもできん。その見抜いたところから出てくる言葉が 『 悪口 』 なので

すが。 


 昔、法然上人と盗人の耳四郎でしたか、その盗人が法然上人に打ち明けるのですね。

話は分かった、げど、昔から身についた習慣で人をみたら、頭で思うより先に手の方が

出てものを盗ってしまう。どうしたらいいでしょう。

 『 おまえが欠け茶碗なら自分は割れ茶碗 』 同じものを持っているじゃないか。

と、共にお互いの業に泣いた、という話があります。


 だから、いい点というのも、うわべだけではなく、一旦は人間の 『 悪 』 を共に

知った上で、 『 いいところを見る、その方が面白い 』 となるのでしょう。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アゲハの幼虫

2008-05-25 15:23:03 | 住職の活動日記
 昨日の強い雨、一日降り続きました。時おり、強く、よく降りました。

今朝一番に気になったのは、アゲハの幼虫です。

 今年もやってきました。山椒の木が好きで、いつもやってきます。今年は、昨年、植木

屋さんが切ってしまったので、小さな新芽で、アゲハ君のご飯にしたら少し少ないかもし

れません。

 昨日の雨にも負けず、元気にしていました。


『 胎・卵・湿・化 』 ( たい・らん・しっ・け )

 仏教では命のあり方を四つに分けて考えています。

『 胎生 』 哺乳類の生きものです。母体から生れるもの。

『 卵生 』 呼んで字のごとく、卵から生れるもの。

 ( 先日、安産のお祓いにお見えになりましたが、暑くて、しんどそうでした。

   人間も卵で生れたら楽かもしれませんね?

   そしたら、愛情も薄くなりますよ。

   そうですね、なおさら人間の謙虚さがなくなりますよね。

   そんな話を思い出しました。 )

『 湿生 』 涌いて出るというか、このアゲハも厳密には卵でしょう。

 でもその命はどこかに隠しているのですね。池のフィルターにもいつの間にか、

糸ミミズのようなものがいっぱい生れています。どこから来たかわかりません。

 アゲハも大きくなってチョウチョになって飛び回っても、たぶん銀太を始め猫たちの

餌食になってしまいます。でも、いつのまにか、どこかに、次の命を隠してつたえている

のです。

 そういう生きものを 『 湿生 』 といったのでしょう。

『 化生 』 よくわかりませんが、突然現れる、まあ昔の方は 「 お化け 」

みたいな存在を当てはめたのかもしれません。



 アゲハ君ではありませんが、良くぞ毎年命をつないでいくものだと感心します。

銀太にやられないように元気で育つことを願っています。

 銀太!捕まえないでくれ! 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする