令和三年二月八日(月) 曇
本日(米国では2月7日(日)、米国フロリダ州タンパ市のレイモンド・ジェイムス・スタジアムにて、第55回NFLスーパーボウルが開催された。
NFL (National Football League)は、AFC (American Football Conference)とNFC (National Football Conference)の2つの団体で構成されている。
今年は、AFC優勝 カンザスシティー・チーフス v.s. NFC優勝 タンパベイ・バッカニアースとの頂上対決となる。
昨年のスーパーボウルを制したチーフスを率いる、若き司令塔パトリック・マホームズ 15(25歳)と、今年ニューイングランド・ペイトリオッツからタンパベイ・バッカニアーズへ移籍した、過去6度のスーパーボウルを制したベテラン司令塔トム・ブレーディー 12(43歳)との一騎打ちと言っても過言ではない。
*名前の後ろの数字はユニフォームの背番号
若さと機動力と度胸に満ちたマホームズと、大舞台における豊富な経験と冷静な判断力を持つブレーディー、真の新旧最強QB(クオーターバック)のトップ争いである。
因みに、マホームズはチーフスのドラフト1巡目(全体27位)で指名を受けたが、なんとビックリ、ブレーディーはドラフト全体199位・・・。
驚くべきは、ブレーディーが20年間在籍(スーパーボウル出場10回、優勝6回)していた古巣のペイトリオッツからバッカニアーズへ移籍した1年目に、スーパーボウル出場を果たした事である。
ブレーディーがバッカニアーズへ移籍して間もなくは、チームがうまく機能していなかったが、途中でペイトリオッツ時代のホットラインだったWR(ワイドレシーバー)のロブ・グロンカウスキー 87がバッカニアーズに加入してから、一気に強力なチームへと変化していった。
優秀なQBがいると、いままでうだつのあがらなった選手が本来持っている、プロとしての最高のパフォーマンスを引き出してくれるのだろう。
NFLは全体的にQBは若手かベテランの二極化が激しく、本来最強であるはずの中間層の活躍が目立たない。
若手ではレイブンズのラマー・ジャクソン 8(23歳)、今年ドラフト1巡でチャージャーズへ加入して最優秀新人賞攻撃部門を受賞したオイラの一押しジャスティン・ハーバート 10((22歳)、ラムズのジャレッド・ゴフ 16(25歳)、シーホークスのラッセル・ウィルソン 3(35歳)微妙なお年頃・・・。
ベテランではスティーラーズのベン・ロスリルバーガー 7(38歳)、16年間チャージャーズ在籍してコルツへ移籍したフィリップ・リバース 17(38歳)、レッドスキンズのアレックス・スミス 11(36歳)、パッカーズのアーロン・ロジャーズ 12(36歳)、セインツのドリュー・ブリーズ 9(41歳)の活躍が目立つ。
それにしてもタフなおじさん達だ。
スーパーボウル開催にあたり国歌斉唱が行われるが、この時にアメリカ合衆国軍隊6組織の軍旗が一列に並べられる。
陸軍、海軍、空軍、海兵隊、宇宙軍、沿岸警備隊の6つの軍旗だ。 この光景を毎回羨ましいと思いながら観ている。
米国において軍人は、国民から尊敬の念を持たれており、公共の場においても日本国軍軍人とは比べようもない素晴らしい待遇を受けている。
今年は国歌斉唱終了と同時に、予想もしなかったB2,B1,B52の最強爆撃機3機が会場上空を通過していった。
国家の歌詞と共に米国の強さを誇示し、米国民である誇りと国民が一体感に包まれる最高の瞬間だ。 羨ましい!
第55回スーパーボウルは、KCチーフス 9点 - TBバッカニアーズ 31点という結果となった。
今回はマホームスがつま先を怪我しているとの事で、彼の最強の武器である機動力が抑制されてしまい、バッカニアーズのディフェンス陣からのプレッシャーに押さえ込まれたとい感じだった。
マホームスの怪我に関わらず、バッカニアーズのディフェン陣のパワーと、尋常ではない機動力に驚きを隠せなかった。
ディフェンスラインの押し込みのプレッシャーも強力だったが、ラインバッカ-のデビン・ホワイト45、ラボンデ・デイビッド54、シャキール・バレット58のスピードと可動範囲の広さに度肝を抜かれた。 また、コーナーバックとセイフティーも反則もなく完璧にパスを抑えていた。 観ていてワクワクするようなプロの仕事に感動す。
チーフスの攻撃の主力となるWRタイリーク・ヒル 10とTEドラヴィス・ケルス 87へのパスがことごとく抑えられ、頼みのRBクライド・エドワーズ 25のランも強力なラインバッカ-陣に阻まれ続けた。
あまりにもディフェンス陣のプレッシャーが強すぎるので、オフェンスラインのホールディングの反則が多く見られ、通常のチーフス本来の攻撃スタイルが全く見いだせなかった。
こんな神がかったようなディフェンス陣を相手に、点を取るのは困難だろう。
実際あの天才マホームスですら今回1つもタッチダウンを奪えなかった。 ノー・タッチダウン、フィールド・ゴール3本のみ。
今回、スーパーボウル初の女性審判による重要な局面における反則判断が、個人的には誤審に思えたがそのままスルーとなった。(これは女性差別発言か?)
斯様なチーフスをよそ目に、バッカニアーズのブレーディーは冷静にWRグロンカウスキー 87とRBフォーネット 28を中心に攻撃を組み立てていき、いぶし銀のWRエバンス 13と RBジョーンズ二世 27を有効に使いながら攻撃ヤードを進めていき、最終的に4TD、1FGで31点を奪っている。
これまで大した怪我も無く、44歳となる来年も引き続きプレー可能なのではないだろうか。
アメリカンフットボール史上において、ブレイディーの記録を塗り替えられる選手は二度とでてこないであろう。
マホームスに頑張ってもらいたいが、スーパーボウル出場10回、優勝7回の金字塔はあまりにも高すぎるかもしれない。
ブレイディーと同じ時代に生き、素晴らしい試合を拝観できた事を幸せに思う。
試合後、ドナルド・トランプ前米国大統領が貴賓室でシャンパンを飲んでいる光景が映し出された。
いろいろあったが、とりあえずお元気そうでなにより。 将来有望な若手政治家の育成に投資して下さい。
それでは、また。 ごきげんよう。