寺巡りの順番が前後してしまいますが、ご案内する妙寿寺(地図上の17番)はここ寺町の寺院の中では最も日本的な香りと日本の建築美を境内全体に醸し出している寺の一つではないかと感じました。
通りに面して構える山門の重厚さから山門を抜けてご本堂へとつづく参道の落ち着いた雰囲気はまるで京都の古刹に迷い込んだような趣を感じます。
妙寿寺山門
そして何にもまして、当寺の境内の景色に極めて日本的な風情を加えているのが客殿なのですが、この建物は旧鍋島侯爵邸を移築したものです。この建物を見る限りでは、境内の木々の緑と客殿の色合いが美しく調和し、まるで一枚の絵画を見ているような錯覚を覚えます。
絵葉書のような客殿の姿
客殿
石灯篭と客殿
本堂へつづく参道脇に鐘楼と間違えてしまうように梵鐘が吊るされているのではなく、置かれています。実はこの梵鐘は享保4年江戸時代中期(1719)に鋳造されたもので、大正12年の関東大震災の時、隣接するガス会社より流出したコールタール等により猛火につつまれ破損してしまいました。梵鐘を見ると、大きく口を開けた割れ目が梵鐘の上部に残っています。このことから「妙寿寺の割れ鐘」と呼ばれています。
梵鐘
割れ鐘
宮沢賢治の詩碑
境内の参道にそって日本的な風情を醸し出す美しい「竹林」がさらに当寺の絵画的な風景をさらに趣深くしています。
風情を感じる竹林
参道を進むと右手に大きなご本堂があるのですが、残念なことに木製ではなくコンクリート製の建造物であるがゆえに、若干ながら興ざめしてしまいます。が幸運にも木々の緑が多い季節には、その木々の葉がこのコンクリート製の建物を上手にカモフラージュしてくれています。
ご本堂
そして今回の烏山の寺町巡りで最も思い出深いお寺で、私が小学生の頃、写生会で訪れ境内の美しい景色を水彩画で書いた覚えがある寺へ歩を進めました。その当時の季節は定かではありませんが、おぼろげながら境内には色とりどりの花が咲き誇っていたように記憶しています。
高源院山門
そんな記憶を辿りながらやってきたのが臨済宗大徳寺派の禅宗寺院「高源院」なのです。広い間口の山門の向こうにわずかながら方丈の建物が見えます。山門を抜けると参道が手入れの行き届いた庭につづき、山門からわずかに見えた方丈の正面に導いてくれます。方丈の白い障子が周囲の緑に美しく映え、禅寺らしい素朴さを醸し出しています。
山門から境内の庭を俯瞰
方丈全景
梢越しに見る方丈
その方丈の左手に広がるのが当寺を有名にしている「鴨池」です。正式には弁天池と呼ばれているようですが、池の中に浮かぶように御堂が置かれています。池には睡蓮の葉が繁茂し、水を求めて野鳥がたくさん飛び交い、さえずっています。鴨池を中心とする景観 は烏山を代表するものとして区の特別保護地区に指定されています。
鴨池
鴨池
鴨池に浮かぶ御堂
都会の喧騒から隔絶された静寂の世界が目の前に広がっています。私以外に訪れる人がいない境内とこの鴨池を独り占めにして、しばし夢想の世界へと入り込んだ次第です。
あの小学生の頃、境内のどこに腰をかけて絵を描いたのかはまったく覚えていませんが、ただ鴨池に浮かぶ御堂を描いたことは確かに覚えています。そして描いた絵は学年の絵画コンクールで賞をいただき、校長室にしばらく飾られていたことまでは境内にたたずみながら思い出しました。
今回の烏山寺町の寺巡りでは26寺のうち16寺を足早に詣でることができました。次から次に現れるお寺の多さに改めて驚くと同時に、町全体がお寺といってもいい場所が東京に残っていることに感動したひとときでした。
世田谷にもある小京都・烏山の寺町散策(その一)~通りを挟んで山門と甍が続く景色~
世田谷にもある小京都・烏山の寺町散策(その二)~江戸の文化人が眠る寺院~
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通りに面して構える山門の重厚さから山門を抜けてご本堂へとつづく参道の落ち着いた雰囲気はまるで京都の古刹に迷い込んだような趣を感じます。
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そして何にもまして、当寺の境内の景色に極めて日本的な風情を加えているのが客殿なのですが、この建物は旧鍋島侯爵邸を移築したものです。この建物を見る限りでは、境内の木々の緑と客殿の色合いが美しく調和し、まるで一枚の絵画を見ているような錯覚を覚えます。
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本堂へつづく参道脇に鐘楼と間違えてしまうように梵鐘が吊るされているのではなく、置かれています。実はこの梵鐘は享保4年江戸時代中期(1719)に鋳造されたもので、大正12年の関東大震災の時、隣接するガス会社より流出したコールタール等により猛火につつまれ破損してしまいました。梵鐘を見ると、大きく口を開けた割れ目が梵鐘の上部に残っています。このことから「妙寿寺の割れ鐘」と呼ばれています。
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境内の参道にそって日本的な風情を醸し出す美しい「竹林」がさらに当寺の絵画的な風景をさらに趣深くしています。
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参道を進むと右手に大きなご本堂があるのですが、残念なことに木製ではなくコンクリート製の建造物であるがゆえに、若干ながら興ざめしてしまいます。が幸運にも木々の緑が多い季節には、その木々の葉がこのコンクリート製の建物を上手にカモフラージュしてくれています。
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そして今回の烏山の寺町巡りで最も思い出深いお寺で、私が小学生の頃、写生会で訪れ境内の美しい景色を水彩画で書いた覚えがある寺へ歩を進めました。その当時の季節は定かではありませんが、おぼろげながら境内には色とりどりの花が咲き誇っていたように記憶しています。
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そんな記憶を辿りながらやってきたのが臨済宗大徳寺派の禅宗寺院「高源院」なのです。広い間口の山門の向こうにわずかながら方丈の建物が見えます。山門を抜けると参道が手入れの行き届いた庭につづき、山門からわずかに見えた方丈の正面に導いてくれます。方丈の白い障子が周囲の緑に美しく映え、禅寺らしい素朴さを醸し出しています。
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その方丈の左手に広がるのが当寺を有名にしている「鴨池」です。正式には弁天池と呼ばれているようですが、池の中に浮かぶように御堂が置かれています。池には睡蓮の葉が繁茂し、水を求めて野鳥がたくさん飛び交い、さえずっています。鴨池を中心とする景観 は烏山を代表するものとして区の特別保護地区に指定されています。
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都会の喧騒から隔絶された静寂の世界が目の前に広がっています。私以外に訪れる人がいない境内とこの鴨池を独り占めにして、しばし夢想の世界へと入り込んだ次第です。
あの小学生の頃、境内のどこに腰をかけて絵を描いたのかはまったく覚えていませんが、ただ鴨池に浮かぶ御堂を描いたことは確かに覚えています。そして描いた絵は学年の絵画コンクールで賞をいただき、校長室にしばらく飾られていたことまでは境内にたたずみながら思い出しました。
今回の烏山寺町の寺巡りでは26寺のうち16寺を足早に詣でることができました。次から次に現れるお寺の多さに改めて驚くと同時に、町全体がお寺といってもいい場所が東京に残っていることに感動したひとときでした。
世田谷にもある小京都・烏山の寺町散策(その一)~通りを挟んで山門と甍が続く景色~
世田谷にもある小京都・烏山の寺町散策(その二)~江戸の文化人が眠る寺院~
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