駄楽器駄日記(ドラム、パーカッション)

ロッキンローラーの打楽器日記

日野氏の中学生徒ビンタ事件について

2017年09月06日 | 駄日記
今もまだ話題のネタですが、僭越ながら自分も考えを書いてみたいと思います。
JAZZ界世界の巨匠、日野皓正氏が1年前から指導している中学生のビッグバンドのドラマーを殴ったということで、その映像がネット界で流されており、賛否両論が渦巻いています。
オレ自身、日野氏には遠く及びませんがドラム教室の講師でもあり、ミュージシャンのはしくれとして、この件については興味深く見ています。

その映像からは、日野さんらしき指導者が怒鳴りながらドラマーのスティックを奪い取る場面、それでもやめずに素手で叩き続ける生徒の頭を押さえ(髪を引っ張る?)、往復ビンタをするまでが映っていました。
満員の観客がいる発表会の場での、生徒を殴る衝撃的な証拠映像として非難されています。

一方で、日野さんはその後のインタビューで、「叩いたこと自体は良くないので謝るが、自分と彼は親子みたいなもので、あれは愛情表現」という持論を述べておられました。
それについての意見は、『断罪派』と『擁護派』に分かれていて(賛否の賛の方はあまり見られなかったけれど)、断罪派の意見は強硬な意見が多い。
「どんな理由があったにしろ、教育の現場での虐待・暴力は絶対に許されない。彼を擁護するような教育者も含めて徹底的に断罪し、謝罪と罰則を要求する」という趣旨の厳しい意見。
確かに、現代での主流であるモラルとかコンプライアンスといった視点で見れば、その意見が正しいのかも知れません。
しかし、擁護派の意見としては「親も生徒自身も日野氏に逆に謝っていて、被害者はいないのだから問題視する必要はないのではないか」だとか、「叩かなきゃわからない子供には叩いて教えるのが愛情」という昔ながらの精神論も。

オレ自身はどう感じたかと言うと、世界の巨匠と特異な才能を持った少年との親密な関係性については全く分からないので何とも言えないのが本音ですが、この時代、映像での証拠が流出して、「加害者叩き」がネット市民のストレス発散になってしまった現状からすると、政治家や芸能人の「犯行現場」が流出すること自体、アウトだとは言えるでしょう。
事件の本質の「賛・否」は別として、現場の「流出・拡散」がアウトなんですよね。
事件としては、擁護派の言うように誰も傷ついていないし、終わったことだと思う。今さらとやかく言いだすことが、生徒さんを傷つけることになってしまうのかなとも思います。

それよりも、世界の日野さんが「自分は親だ」とまで言い切るほどに惚れ込んだ少年の持って生まれた才能がとても羨ましいし、彼の将来が気になる。相当なハイレベルなのか、特異な個性の持ち主かどちらかなのだろうと想像します。
「親」と言うからには、今後もとことん全力で指導していくのでしょう。叩こうが蹴っ飛ばそうが、とにかく世界に通用するドラマーに育てようという覚悟がおありなんだろうと思うし、生徒も親御さんも日野さんに将来を預ける覚悟なのだろうと思いました。
もう一つ、指導者としての経験も豊富で冷静なはずの世界の日野さんが、思わず暴力を奮ってしまうほど激高したその場面とは、いったいどんな流れだったのだろうという興味があります。
映画「セッション」の印象がオレの中に強く残っていて、『信頼を裏切った指導者に対する報復としてショーを台無しにする長いドラム・ソロ』というそのエンディングに重なりますが、まさかそれを再現したわけではあるまい。そっちの方が気になって仕方がないのであります。
コメント (3)
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